『TABLE MANIA』 編集長
菅野 有希子さん
1983年生まれ。「フツーの人でもできるちょっと素敵なスタイリング」をテーマにイベントオーガナイズ、テーブルコーディネートやフードスタイリングを行うフリーランサー。2015年、絵になる食卓をつくるWeb magazine『TABLE MANIA』を立ち上げ、編集長に。その際、サイトデザインやプログラミングを初めて学ぶ。TWSA認定ブロンズテーブルウェアスタイリスト
人生いろいろ、このテーマには人それぞれにやり方がある。万人にとっての正解はないし、順番だって前後することがあるだろう。それでも、5月21日に東京・渋谷で初開催されたイベント『TECH LADY HOLIDAY』を取材した限りでは、カギを握るのは概ねこんな行動だ。
【1】 周囲に「やりたい!」と伝える
【2】 やり方を学ぶ
【3】 小さく、一部分でいいからやってみる(やれる環境に身を置く)
【4】 やりながらまた学ぶ
【5】 アウトプットしながら「やりたい!」と言い続ける
【6】 すると「パーティ(≒師匠、先輩、仲間)」が増えていく
【7】 パーティからも学ぶ
【8】 徐々に「人に求められるスキル」ができ上がる
【9】 好きなことが仕事になる
『TECH LADY HOLIDAY』とは、未経験から1カ月でサービスを作れるエンジニアになれるプログラミングスクール『TECH::CAMP』を運営する株式会社divの取締役・中山紗彩さんが主催する、ITスキルの習得に関心のある女性向けトークセッション&交流会イベントだ。
コンセプトは、「ITスキルの習得で広がるキャリアの可能性を伝え、アクションを支援をする」こと。これからプログラミングやWebデザインを学びたいと考える女性や、IT・Web関連の仕事に興味を持っている業界未経験者に向けて、ITスキルを習得することで広がる可能性を伝えながらアクション支援をしていくのが狙いという。
96名もの女性が集まった初回のイベントは、ランチを取りながら参加者同士で対話するカジュアルな雰囲気の中、ITスキルを習得し、それを活かして「好き」を仕事にして活躍する女性のトークセッションが行われていた。
今回まとめた「9つのステップ」は、このイベント参加者たちの会話や、トークセッションに登壇した女性クリエイター2人の話(プロフィールは以下参照)をヒントにして編集部がまとめたものだ。さらに共通する要素をまとめると、
■ 人に伝える
■ 学び続けられる環境を作る
■ 師匠、先輩、仲間を作る
の3つが、「好き」を仕事にする上で大事なポイントになるだろう。なぜこの3要素なのか、その理由をイベント後に行った取材内容を紹介しながら説明しよう。
『TABLE MANIA』 編集長
菅野 有希子さん
1983年生まれ。「フツーの人でもできるちょっと素敵なスタイリング」をテーマにイベントオーガナイズ、テーブルコーディネートやフードスタイリングを行うフリーランサー。2015年、絵になる食卓をつくるWeb magazine『TABLE MANIA』を立ち上げ、編集長に。その際、サイトデザインやプログラミングを初めて学ぶ。TWSA認定ブロンズテーブルウェアスタイリスト
株式会社ラブグラフ 取締役CCO
村田あつみさん
1991年生まれの女性Webディベロッパー。大学在学中からインターン生としてベンチャーのWebデザイナーを務め、『美学生図鑑』などのデザイン・コーディングを担当。卒業後、リクルートホールディングスにIT人材として新卒入社。現在は、在学中に立ち上げたフォト撮影サービス『Lovegraph(ラブグラフ)』の取締役CCOであり、同時に同サービスのWebマーケティング、デザイン、開発に至るまででマルチにこなす。初心者の女の子のためのデザインデザイン講座『Design Girls(デザインガールズ)』講師
まず、なぜ「人に伝える」行為が大切なのか?から。
新しく何かを始める時は、「孤独」になりがちである。しかし、特に未経験から何かを始める場合「1人で抱え込まないことが大切」と語るのは、自身も未経験からメディアを立ち上げた『TABLE MANIA』編集長の菅野有希子さんだ。
「今日のイベントが終わった後、たくさんの女性から『どうすればやりたい仕事ができるのか?』とご質問をいただきました。私がお答えしていたのは、『1人でやるのは意外と難しい』ということ。私自身、『TABLE MANIA』を立ち上げる時は、メディアを作りたい!と周りの人たちに伝えることで、たくさんの方々にサポートしていただきました」(菅野さん)
当然、意思だけ伝えても人は付いてこず、「やりながら伝える」ことが大事だと菅野さんは続ける。
【3】 小さく、一部分でいいからやってみる(やれる環境に身を置く)
で挙げたように、メディアづくりであれば記事を書いてみる、写真を撮ってみるなど、やれることから始めてみる。そうすることで、その道の専門家がアドバイスしてくれたり、自分にはできないことを手伝ってくれるようになるのだ。
菅野さんの言うように「小さくやってみる」際には、やり方を学ぶことも必要不可欠だが、村田あつみさんは「今は学ぶための機会が豊富にある」と続ける。
「プログラミングやWebデザインはネットを介して学ぶことができるし、『TECH::CAMP』のようにネットとリアルの両方で学べるサービスもあります。もっと言うなら、学生インターンやコミュニティに参加すれば、学び方まで教えてくれるんです」(村田さん)
村田さん自身、最初にWebサービス開発のイロハを学んだのは、学生時代に長期インターンで入ったとあるWebベンチャーだそう。
「大学生のころは文系の学部に通っていたので、開発の事前知識なんてほとんどありませんでした。それでも、実務を通じて学べるならそれに越したことはないと。独学と実践の両方を通じて、一つずつ学んできました」(村田さん)
結果として、今はカップルフォト撮影サービス『Lovegraph(ラブグラフ)』の運営を行う立場となり、見事に「やりたかったこと」を仕事にしている。
「私は本業とは別に『Design Girls』という女性向けWebデザイン講座の運営にも携わっているのですが、コミュニティに参加してみることでやりたいことに近づくきっかけが得られるというケースも多いと思います。とにかく動いてみるのが一番です」(村田さん)
最後に、なぜ「師匠、先輩、仲間を作る」ことも大切なのかを説明しよう。菅野さんは、RPGゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズに例えてこう話す。
「先ほど、一部分でもいいからやってみることで、アドバイスをしてくれる方やサポートしてくれる仲間ができるとお話しましたが、これってドラクエでいう『パーティ』だと思うんですね。パーティを組めば、お互いの強みで誰かの弱みを補い合いながら冒険できるじゃないですか。つまり、ゴールにたどり着くための心強いお供ができるんです」(菅野さん)
「好き」を仕事にする最初の一歩が仲間探しというのは、WebベンチャーでインターンすることでITスキルを身に付けた村田さんにも共通する点だ。すでに開発を生業にしている人たちの中に入り込むことで、そこで求められることをこなし、こなすために学ぶというサイクルが村田さんを成長させた。
また、この「学ぶサイクル」づくりという点では、菅野さんがフリーランサーとして仕事をする中で気付いた以下のやり方も参考になるかもしれない。
「仕事って、誰かに求められて初めて『仕事』になるんです。だから、まずは周囲の人に求められることをやってみるのも大切。これを続けていると、次第に自分に足りないことや、向き・不向きが分かってきます。そして、それを補うためにまた学ぶのです。この繰り返しで、たくさんの人に求められるスキルが身に付くのだと思います」(菅野さん)
なお、ITスキルを使って仕事ができるようになると、いろんなことを両立できるようになるというメリットもあると村田さんは言う。
「私は一時期、リクルートで働きながら『Lovegraph』の運営をするというダブルワークをしていましたが、それができたのもPCがあれば仕事ができるWebの仕事だったからだと思います。また、女性は一生の間にいろんなライフイベントがありますから、いろんなことを両立しながら働くための術としてもITスキルを習得するのはオススメです」(村田さん)
取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)
※一部写真は『TECH::CAMP』提供
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