※Ease of doing business index
世界の約190カ国についてビジネス活動における制度的環境を比較評価し、各国のビジネスのしやすさをランキング化したもの。2019年10月に発表された最新ランキングでは、ジョージアは7位。
参照:https://www.globalnote.jp/post-12031.html
![アイキャッチ](http://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/ziziog.jpg)
東欧・ジョージアに世界からエンジニアが集まる理由は? 現地でギークハウスを創設した日本人プログラマーに聞く
ここ数年で、「海外ノマド」という働き方を選択するエンジニアが増えてきた。
移住先の例として、タイの首都バンコクは、物価が安い上に通信環境や食事などの条件がよく、日本人エンジニアの移住先として定番。現地には、日本人が創設したエンジニア専門のシェアハウスも存在する。
しかし今、エンジニアや起業家の間で移住先としてにわかに注目されている国が、意外な場所にある。東欧の一国、ジョージアだ。
日本人の旅行先としては全くメジャーではないが、2019年ごろから移住を希望する人が増え続けているという。
現在27歳のZiziさんは、2019年9月に先駆けてジョージアに移住した日本人エンジニアの一人だ。
![ziziさん](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi02.jpg)
フリーランスエンジニア兼デザイナー
Ziziさん(@ZiziNomad)
1992年北海道生まれ。ジョージアの起業家。ジョージアでIT企業、シェアハウス、不動産屋を経営。クラウドファンディングで220万円の資金調達に成功し、ジョージア初のギークハウス『ZIZIHOUSE』をオープン。大学卒業後独立、フィリピン留学へ行き、オーストラリアでワーキングホリデーを経験。帰国後、未経験からフリーランスへなり、北海道の大手制作会社がクライアントに。日本最大のプログラミングスクールTechacademyのコンテストで最優秀賞受賞。プログラミングメンターサービス代表。セブ島インフルエンサー留学経験有
・著書『人生を変える海外移住 vol.01 トビリシ(ジョージア): 日本人の海外移住ガイドブック』
・公式ブログ:Zizilog
彼は大学卒業後に海外移住、未経験からフリーランスエンジニアになり、現在はWeb制作やKindle作家として働きながら、現地で日本人エンジニア向けのギークハウス『ZIZI HOUSE』を創設し、運営している。
ジョージアに移住したことで仕事の幅が広がったと話すZiziさんに、ジョージアにエンジニアが集まる理由や、働く場所を問わず自分らしいキャリアを築くための方法を伺った。
未経験でフリーランスエンジニアになり、チェンマイへ移住
ジョージアを拠点にさまざまなことを並行していて、アプリの開発、Kindle作家、そしてジョージアでのビジネスプロジェクトをいくつか進行中です。例えば、シークレットバーの経営や温泉を掘るなど。
これまではWeb関連の仕事を中心にやってきたんですが、この領域である程度稼げることが分かったので、今度はオフラインのビジネスにも挑戦して経営力を磨きたいなと考えています。WEBよりオフラインのビジネスの方が100倍ぐらい難しいと思うので。
僕は就職否定組ではないのですが、どうしても就職したい企業が見つけられなかったので、リゾートバイトでお金を貯めて海外へ出てみることにしたんです。海外なら働きたい仕事が見つかるかもしれないと思って。
フィリピン留学、オーストラリアでのワーキングホリデーを経て、タイのチェンマイに移り住み、そこでとあるフリーランスデザイナーに出会ったことで、プログラミングやフリーランスの働き方を知りました。
その人から「プログラミングを勉強してみたら?」と勧められて学習を始め、プログラミングスクールやProgateなどのオンライン学習ツールを使って5ヶ月ほど集中して勉強したところ、WEB制作案件を獲得できました。
日本に住むとしたら未経験からフリーランスエンジニアになって、生活できるほどのお金を稼ぐのはなかなか難しかったと思いますが、チェンマイを拠点にしたことで月5万円での生活が可能になったので、フリーランスとしての一歩を踏み出すことができたんです。
学習自体は苦ではなかったのですが、その先の案件獲得に苦労しましたね。制作会社や広告代理店などに営業メールを100件送り、返信が来た30件の会社に片っ端から会いに行ったんです。
すべての企業にアポを取って商談するのは骨が折れる作業でしたが、この行動の甲斐あって10件ほど案件を獲得することができました。
典型的なエンジニアのイメージって、パソコンの前に張り付いているような感じですよね。だからこそ他の人がやらないようなことに注力しようと思いました。
そして、一度案件をいただいたら120%の力で取り組んで、単価を上げてもらいながら継続発注を獲得する循環をつくる。こうして仕事の基盤を整えた後に、本格的にチェンマイに移り住みました。
生活コストは月5万。ビジネスのしやすさ世界7位のジョージア
![広々としたジョージアのカフェ](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi03.jpg)
広々としたジョージアのカフェ
居住地としてチェンマイはすごく気に入っていたのですが、東南アジアはビザなしでの滞在が厳しくて、何かしらのビザを取得しないと日本人ノマドワーカーが長く滞在するのは困難です。次の場所を探さなければと思って、世界中のノマドワーカーに利用されている『Nomad List(ノマドリスト)』というサイトを参照して、東欧に目を付けました。
一度、周辺国を視察しようと思い、昨年ジョージアに降り立ったら、この国のおもしろさに惹かれて、そのまま住み着いてしまいました。
まず、日本人はビザなしで1年間住むことができます。多くの国ではビザなしだと1〜3カ月しか滞在できないのですが、ちょっと他の国と違いすぎていて意味が分からないなって(笑)。生活コストは東南アジア同様に安くて、自炊をすれば5万円以内でも十分に暮らせます。
![ジョージアの路上マーケットにて](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi04.jpg)
ジョージアの路上マーケットにて
加えて、世界トップクラスで起業が簡単。世界銀行・IFCの「Ease of doing business index」によるビジネス環境ランキング(※)では、ジョージアが上位に入っていて、起業はシンプルな3ステップのみ。
登記できる住所を見つける、役場で登記する、法人口座を開設し税務署に登録する。掛かる費用は6,000円程度です。これだけビジネスしやすい条件がそろっている国は、そうないと思います。
以前から、「海外に在住しながらお金を稼ぎたい人たちの窓口を作りたい」「海外で日本円を稼げる人材を輩出したい」と思っていて、自分自身がその目標をクリアできたので、起業しやすいジョージアでギークハウスを創設することにしました。
この『ZIZIHOUSE』という名前で運営しています。今後、ジョージアもビザの取り締まりが厳しくなる可能性はありますが、今のうちにビジネスを拡大させておけば永住権を取得できる可能性もあります。
「大人の社交場」「コワーキングスペース付きのシェアハウス」というイメージですね。作業に没頭できて、一緒にビジネスをするなど化学反応が起きる場所にしたいと思っています。
![作業効率の良さを重視した『ZIZIHOUSE』の作業スペース](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi05.jpg)
作業効率の良さを重視した『ZIZIHOUSE』の作業スペース
立ち上げにあたってはクラウンドファンディングを利用し、1年間運用するための費用が集まったため、リスクなしでテストできる状況を整えられました。
クラウドファンディング『CAMPFIRE』:ジョージアに日本人向けギークハウスをオープン!全ての人に海外で稼ぐという選択肢を
すでにエンジニアをしている人やエンジニアになりたい人、YouTuber、起業家などさまざまです。現状は1〜2カ月の短期居住者が多いのですが、みんな海外移住に興味を持っているので、ギークハウスでの生活を通して将来に備えているようです。中には、僕と一緒にビジネスをしている人もいますよ。シェアハウス内での勉強会も時々ありますし、おもしろいコミュニティーが育っていると思います。
当たり前の枠を超えた出会いが、刺激的なビジネスにつながる
生活コストが安く快適な居住環境が整えられているし、毎月違う人と一緒に暮らしているので、適度な刺激があって楽しいです。
犬や猫などの動物と国民がうまく共存しているところです。日本だと野犬を見ることはないと思うんですが、ジョージアにはたくさんの野犬や野良猫がいて、街のみんなで動物を育てている雰囲気があります。
![ジョージアでよく見かける人なつっこい野良犬](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi06.jpg)
ジョージアでよく見かける人なつっこい野良犬
野犬といっても東南アジアで見掛ける危なそうな犬ではなくて、ジョージアにいる多くの犬は狂犬病対策がされていて、すごく人になついています。外出のついでに犬や猫と遊んだりすると癒やされますね(笑)
一つおもしろいシステムがあって、空のペットボトルを街中のリサイクルボックスに入れると、ドッグフードで還元されるんですよ。リサイクルするとお金が戻ってくるシステムは北欧などにありますが、ドッグフードは意外でした。
![ジョージアでよく見かける人なつっこい野良犬](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/zizi07.jpg)
ジョージアのリサイクルボックス
これまで出会ったことがないタイプの人に出会えるようになったことが一番の変化ですね。海外でのインターンを経験した人やネットショップの経営者、YouTuberなど、彼らが持つ新しい視点をインプットしながら一緒に刺激的なビジネスに取り組み、充実した日々を過ごしています。
好きなことを貫き「明日死んでもいい」と思える生き方をしたい
ジョージアでのミッションを達成できたら、次はアフリカに移り住みたいと考えています。世界中の開発が進む中で、唯一残されているのがアフリカかなって。
そのために、まず今年はカナリア諸島に1〜3カ月ほど住みたいなと思っています。ここはモロッコの隣に位置するスペイン領の島で、ここを拠点にアフリカをいろいろ回ってみたいですね。
日々悩んだり落ち込んだりすることはありますが、ちょっと視点を広げて考えると、数十年後には僕も含めて今生きている人たちは、いずれ誰もが死を迎えます。それなら自分が好きなこと、楽しいと感じることをとことんやったほうが死ぬときに後悔が少ないかなって。
僕自身は「明日死んでもいい」と思えるような生き方をしたいと思っていますね。
自分自身の幸せを大事にしたいと思っているからですかね。誰かの価値観ではなく、自分自身のものさしで何が幸せかを決めるみたいな。
実は過去の自分もそうだったのですが、日本人は周りと比較して判断することが多いですよね。「普通」とか「あるべき姿」を気にして、周りと足並みを揃えてしまう。
でも、海外に出て十人十色の価値観を持つ人たちの中で暮らしたら、「そんな必要ない」と強く思えるようになりました。もっと自分本位に生きたっていいじゃないか、自分で決められる以外のことは神様がなんとかしてくれると。
それからは周りを気にせず、やりたいことに挑戦できるようになりましたね。
僕自身はやりたいことが浮かんだら、小さくても何かアクションを起こすようにしています。新しい情報をインプットすると、それだけで満足してしまいがちですが、アクションを起こさなければ現実は何も変わらないと思うからです。
これまでも泥臭い行動の積み重ねで、自分のやりたいことを一つ一つ実現させてきました。例えば、週末にプログラミングを学んでみる、ブログを立ち上げてみるなど、小さな一歩でも行動を起こすことで必ず変化は起きるし、自分の思いに共感してくれる人が自然と集まってきてくれるはず。
もし、読者の皆さんの中に海外移住に興味がある方がいたら、ぜひ一度ジョージアの『ZIZIHOUSE』に遊びに来てください。
アグレッシブにやりたいことをやっているメンバーたちがお待ちしています!
取材・文/小林 香織 編集/河西ことみ 写真/ご本人提供
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