この連載では、技術・組織づくり・経営・キャリアに詳しいIT業界の専門家たちが、社外メンターとして登場。エンジニアtype読者の“上司に言えない悩み”に、複数のメンターたちが回答を寄せていきます!
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リモートワーク中、先輩に“ちょっと相談”をうまくするには? 澤円、えふしん、藤倉成太が20代エンジニアの悩みに回答
今回『エンジニアtype』公式メンターズに相談を寄せてくれたのは、「リモートワーク中、先輩に『ちょっと相談する』ことができなくて困っています」というエンジニアのHさん。
今までは先輩の様子を見て気軽に話し掛けることができていたのに、リモートワークになってからは、どのタイミングで相談をしていいのか、判断できなくなってしまったそうです。
澤円さん、藤川真一(えふしん)さん、藤倉成太さんからの助言とは?
エンジニアtype 公式メンターズ
Hさんの質問:リモートワーク中、先輩にちょっとした相談がしづらい。どうすれば?
今年の4月から、働き方が完全にリモートワークになったのですが、先輩に「ちょっと相談する」ことが難しくなったと感じています。
チャット等で会話はできますが、分からないことをうまく言語化できないことも多いし、ビデオ会議をわざわざつないでもらうのも申し訳なく、一人で考え込んでしまうので作業効率が下がっている気がします……。相手の雰囲気が直接分からない今、上手に相談する方法はありますか?
Hさんのプロフィール
25歳。WebのシステムやECサイトなどの受託開発を行っているSE。
緊急事態宣言が解除された後も当社ではリモートワークを継続することになり、社内のエンジニアは全員リモートで仕事をしています。
リモートワークのスタイル自体には慣れて、快適さを感じる部分も多いのですが、上司や先輩に「ちょっと相談する」ということの難しさを感じています。
今までオフィスに出勤していた時は一つ上の先輩が隣に座っていたので、先輩の様子や雰囲気を読み取って、ちょくちょく質問して仕事を教えてもらっていました。
例えば、お客さんに送るメール文の不安なところをちょっと見てもらったり、提出前に非公式でざっとコードレビューしてもらったりなどです。
リモートワークになってからも困ったときはチャットで相談をするようにしているのですが、相手の様子が見えないため、「今すぐに聞きたい」というような相談がしづらくなりました。また私の説明が下手なのか、オフィスで働いていたときに比べて状況を伝えるのに時間がかかることも。
そうしたことから、先輩に相談するかしないか、今相談を持ち掛けても大丈夫かなどと考えてしまい、作業効率が下がっている気もしています(私に話し掛けられなくなって先輩は効率が上がっているかもしれませんが)。
上司に相談するようなことでもないかなと思い、ここに投稿させていただきました。
リモート環境の中で「ちょっと相談する」をうまくやるにはどうすればいいのか、相手への配慮の仕方などあれば教えてほしいです!(Hさん)
澤さんの回答:ネットを使って、雑談のように相談してみましょう!
相談相手は何も社内だけにいるわけではありません。今は、SNSを開けばさまざまなキャリアの方々とつながることができる時代です。自分の時間も提供するというマインドで、ネット全体をうまく活用してみてください。
長年掛け声倒れだった「働き方改革」のまさにど真ん中のトピックだった「テレワーク」が、まさかこんな形であらゆるビジネスマンに降りかかってくるとは予想してませんでしたね。
僕はもともとテレワーク中心で働いていたので、まったく違和感なくシフトできましたが、「ちょっとした雑談」や「空気を共有することで得られる情報」が大事だった人には、やりにくさを感じる側面もありそうですね。
僕の場合は、社内外問わずSNSなどを通じてのアウトプット量が多いので、それに反応する形で雑談的なやりとりが発生します。
リアルな雑談よりそちらが中心なので、あまり気になりません。
Hさんの場合にも、「上司に相談するのもおかしな話だから」ということで、ここに投稿したわけですが、まさにそれではないかと!
要するに、「相談相手は社内の人だけではない」と思って、どんどんSNSなども使って雑談・相談すればいいかと思います。機密情報などでなければ、技術的な相談はネットでしても問題は起きないでしょう。
今はあらゆるものがシェアリングされる世界にシフトしていっています。
自分の時間も提供する(見知らぬ誰かの相談に乗る)というマインドを持って、ネット全体を雑談の場と考えてしまうのはいかがでしょうか。
えふしんさんの回答:生産性が落ちて喜ぶ上司はいません。気にせず相談してみては?
当社でもコミュニケーションの課題対策のために、Slackなどの活用方法を見直しています。しかし、一番重要なのは「人同士が気軽に話してもいい」という空気の醸成です。コミュニケーションのしづらさを感じたのであれば、Hさんも上司に相談すべきだと思います。
私たちもリモートワークの課題として、仰ることと全く同じリスクを考えています。ちょっとした気後れの蓄積がプロジェクトに与える影響は無視したくありません。
当社でもSlackによるコミュニケーションのしやすさについては徹底的に守っていく必要があり、例えば、相手への配慮を除き、深夜にメンションを送るのは“気にしなくていい”としています。
その代わり、受け手側は業務時間外などの通知設定により制御しましょう、といったことを徹底しています。
無駄に返事を期待してイライラしないような配慮も必要ですし、緊急時の連絡手段の確保も必要です。さくっとZoomを立ち上げて相談することも推奨しています。
Slackなども、人同士のコミュニケーションについてはしっかり考えられているので、適切な技術の運用を徹底することでの心理的安全性の確保をしていくことは可能だと思います。
しかし、いずれにせよ人同士が気軽に話してもいいという空気の醸成こそが重要なので、ご自身でできるならやるべきですし、やりにくければ上司を動かしてチームメンバーに浸透させていくことが必要です。
仕事の生産性が落ちて喜ぶ上司はいませんし、それを解決するのも上司の仕事ですので、その点は気にせず気軽に上司に相談してみるといいと思いますよ。
藤倉さんの回答:周囲と「相談していい」の認識をそろえてみましょう
リモート下のコミュニケーションの課題は、多くの企業が直面している問題なので、上司に相談することはおかしくありません。暗黙の了解だったことを言語化し、周囲と認識を合わせることで、心理的にも安心につながると思います。
これまではリアルな接点の中でお互いに空気を読みながら、良いスタイルを模索してきたことが、オンラインに移行したことによって叶わなくなったものの一つの例ですね。
これまではご自身と先輩の間に暗黙の了解があって、「こんな感じだったら相談をしてもいい」というルールがあったものを、言葉にしてお互いに認識していくのがいいと思います。
「自分はこういうときに相談したくなります」
「相談をスルーしてるときは手が離せないときだからちょっと待ってほしい」
そういう共通認識を明らかにして、周囲の方々と約束をしてみてはいかがでしょうか。認識がそろっていれば、心理的にも安心できると思います。
この問題は、まさに今、多くの企業が向き合っている課題だと思います。ご自身の生産効率や、心理的な負担にも影響するものなので、上司に相談することもおかしなことはないと思いますよ。
『エンジニアWebメンタリング』では、読者の皆さまからの悩みを随時募集中!
澤円さん、えふしんさん、藤倉成太さんなど、エンジニアtype公式メンターズに相談したい内容を、下記のフォームからご記入ください。
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円さん(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、外資系大手テクノロジー企業に転職、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)※11月末発売予定
Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ メルマガ:澤円の「自分バージョンアップ術」 オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
BASE株式会社 取締役EVP of Development
藤川真一(えふしん)さん(@fshin2000)
FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスのプロデューサーのかたわら、07年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。10年、想創社を設立し、12年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。14年8月BASE株式会社のCTOに就任。19年7月から現職
Sansan株式会社 CTO
藤倉成太さん(@sigemoto)
株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮する
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