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ジャニーズ愛が強すぎるエンジニアおじさんに聞いた“推し”が仕事人生に与えてくれるもの

働き方

    仕事にとことん没頭する人生もいいけれど、職場の外にも「夢中」がある人生は、もっといい。「偏愛」がエンジニアの仕事や人生に与えてくれるメリットについて、実践者たちに聞いてみた!

    芸能プロダクション『ジャニーズ事務所』。国民的人気を誇る『嵐』をはじめ、数々の人気アイドルグループを世に送り出してきた。

    特別な興味がなくとも、日本で生まれ育った人であれば、テレビ番組やCMソングを通じて何かしらジャニーズに触れてきたはずだ。

    ジャニーズファンの多くは女性のイメージだが、実は男性ファンも少なくない。「ジャニヲタおじさん」という名前で大好きなジャニーズについて発信をしているシステムエンジニアの男性も、そんな一人だ。

    ジャニヲタおじさん

    ジャニヲタおじさんのTwitterアカウント。フォロワーは2万人を超える

    ジャニーズに夢中になることは、彼の仕事や人生に何をもたらしたのだろうか。

    「完成までの苦しさ」を知っているからこそ、若手ジャニーズに共感する

    ジャニヲタおじさんの本業は、SIer勤務のエンジニア。インフラエンジニアとしてWeb系や金融系のシステム基盤設計、構築、運用を担当したのち、現在はシステムコンサルタントとしてクライアント企業のクラウド推進を支援している。

    一見ジャニーズとは縁遠そうだが、ジャニーズ好きで嵐ファンの妻の影響により、ズブズブと“ジャニーズ沼”にハマっていった。

    「もともとジャニーズは『テレビに出ていたら何となく見る』くらいの存在でしたが、妻が『ARASHI SUMMER TOUR 2007 Time -コトバノチカラ-』という嵐のコンサートDVDを見ていて。『このニノ(二宮和也)がかっこいい』と話すのを聞きながら一緒に観ているうちに、すっかり情が移ってしまいました(笑)」

    その後、2015年ごろから主にデビュー前の『ジャニーズJr.』が出演する番組『ザ・少年倶楽部(NHK)』を見るように。そこで『Sexy Zone』や『ジャニーズWEST』といった他のグループに出会い、本格的にジャニーズの面白さに目覚めた。

    「2015年当時、嵐はすでに完成されたトップグループ。一方で、Sexy ZoneやジャニーズWESTは、まだグループをつくっていく過程にありました。若い彼らがいろいろなことを感じながら、成長していく過程が新鮮だったんです」

    ジャニヲタおじさん

    作業デスクの上にも、ジャニーズの写真を飾っている(※写真はボカシています)

    ジャニーズの魅力は、「歌やダンスで魅せるエンターテインメントの華やかさと、エンターテイナーとして上を目指す過程のドラマ」だとジャニヲタおじさん。

    「ジャニーズは選ばれた人だけが入れる特殊な世界。人と同じことをやっていてもダメで、突き抜けたものがないと難しい中、売れるための武器を見出そうと努力しながら上を目指す感じが奥深いなと思います。楽しさと苦しさが混在している感じというか……」

    成長過程を見られるのは、ジャニーズに限らずアイドルグループを応援する醍醐味。自分自身がいちエンジニアとしてシステムに関わり、「何かを完成させるまでの苦しさ」を知っているからこそ、共感する面もある。

    「自分の仕事に置き換えて考えると、完成までの過程にはつらいことの方が多いように思います。そういう意味では、グループをつくり上げる苦しさにも想像できる部分があるような気がして。つい『表には出せない苦労があるんだろうな』と考えながら見てしまいますね」

    今やジャニーズタレント全般が好きだというジャニヲタおじさんだが、中でも好きなのはケンティーことSexy Zoneの中島健人さん。その魅力を「真面目で一生懸命で、かつ不器用」と語る。

    「ケンティーは歌とダンスが上手で、ピアノまで弾けて器用そうに見えるんだけど、実はめちゃくちゃ不器用なんです。そんな人間味がありつつも、アイドルでいようとしている姿に惹かれます。僕自身、自分なりに考えて一生懸命やっている人と一緒に働きたいと思うし、そういう人って助けてあげたくなるじゃないですか。そんな気持ちに通じるものがあるかもしれません」

    前列右がケンティーこと中島健人さん。「部下にこんな人がいたらいいですよね」と話しつつ、「実際は僕と彼の間に接点なんて何一つあってはいけない。ステージの上に立っているケンティーをあくまで端っこの方で見ていたい」と、自身のファンとしてのスタンスをジャニヲタおじさんは力説する

    「24時間365日対応」の緊張感をジャニーズが和らげてくれる

    ジャニーズに出会ったことによるプラスの影響は「とにかく楽しい」と、実にシンプル。「今日はこのコンサートDVDを見よう」といった明確にやりたいことがあるから、休日や空き時間を何となく過ごすことも減った。その結果、仕事のメリハリもつくように。

    「特に24時間365日で対応していた頃は、常に緊張してしまっていて。緊張感がずっと続くのはしんどいから、それを一度切る意味でも、『この番組が見たいから、それまでに仕事を終えよう』など、何かしらの楽しみがあることの効果は大きいと思います」

    インフラエンジニアの仕事に、緊急時の突発的な対応は付き物だ。かつてはコンサート会場で障害対応をしたこともあったそうだが、最近では「コンサートに行くのでこの時間は電話に出れません」とあらかじめチームメンバーに予定を共有。自分が原因でトラブル時の初動が遅れることがないよう工夫もしている。

    ただ、それでも過去には、楽しみにしていたコンサートを諦めざるを得ないこともあった。

    「2016年の『Welcome to Sexy Zone Tour』の福岡公演に行く予定だったんですけど、前日にトラブルが起きて東京に行かなければいけなくなってしまって……。参戦した家族から後日感想を聞いたんですけど、もう、本当に無念でした……」

    ジャニヲタおじさん

    「ふまけん(中島健人と菊池風磨)の『Electric Shock』を生で見れなかったんです……」とジャニヲタおじさんは悔しそうにつぶやいた。「ちなみにこの写真は、翌年リベンジしたときのものです」

    チームメンバーに対応を代わってもらう理由が「コンサートに行くから」である以上、「誰の?」という質問は避けられない。必然的にジャニヲタおじさんのジャニーズ好きは職場の人たちにとって周知の事実となった。その結果、「自分のことを知ってもらえるようになった」と振り返る。

    「仕事以外の面も含めた相互理解を深めるのは、重要だと思うんです。特にエンジニアはいろいろな人とのつながりが多い職種。コミュニケーションのハードルが低いと意見も言いやすいですし、やりとりもスムーズですから、好きなことをきっかけに自分をさらけ出すことの良い効果って意外とあるなと感じます」

    好きなことを公言するのは、「単純にコミュニケーションツールとして使える」とジャニヲタおじさん。親しみを持ってもらいやすくなり、相手も自分の好きなものについて話をしてくれるようになったという。

    だが、好きなものを好きだと正直に言うのは、思いの外難しい。ジャニーズに限らず、自分が何かのオタクであることをオープンにしていない人もいるだろう。

    ジャニヲタおじさんも「ジャニーズファンであることに、ネガティブな印象を持っている人はいると思う」と冷静だ。その上で、「言ってしまった方が楽ですよ」と続ける。

    「好きなものや趣味を通じて打ち解ける場面は多いですし、その結果仕事がやりやすくなったり、職場に愛着が湧いたりという効果もある。ですから、ぜひ勇気を出して言ってみてください。それがジャニーズであれば、そんなに卑下することはないと伝えたいですね。ただし、圧が強すぎると引かれちゃうので、ほどほどに(笑)」

    ジャニヲタおじさん

    今では家族全員がジャニーズ好き。「息子の入学式が終わって、その足で家族皆でコンサート会場に行きました。画像のうちわを持って、息子がケンティーからファンサをもらった思い出があります」

    定年退職後の夢は“ジャニーズ研究者”。データを分析して考えを深めたい

    ジャニヲタおじさんはファン活動の一環として、ブログやTwitterでジャニーズに関する考察などを発信している。執筆を通じて考えを深めることは、仕事にもプラスに働いているという。

    「テレビや雑誌での言動を通じて、『この人にはこんな特性があって、きっとこういう才能があるんだろう』『こんなことをやったら良さそう』など、頭の中でぐるぐる考えてしまうんです。そんな時間が増えたことは、会社の若手メンバーとの1on1にも生きています。『その人のどこに魅力や才能があるのか』を考える意味では、ジャニーズを見る目線と共通する部分があるように感じています」

    ジャニヲタおじさん

    また、ジャニーズについて考えることは「良い感じに気が散る効果もある」とジャニヲタおじさん。

    「一つのことを考え続けると行き詰まるけど、ジャニーズのことを考えて、仕事のことを考えて、また違うことを考えて……と、三つくらいに分散できるとちょうどいい気がします。案外ジャニーズについて考えたことが仕事にリンクすることも多いんです。生きる上でのリスク分散と言ったら大げさだけど、逃げ道が2〜3あった方が思いつめなくて済むかなと思います」

    今では企業からタイアップ記事の依頼がくることも。今後についても「本業をしっかりやりつつ、趣味の活動の時間を増やして、もっとインプットとアウトプットをしていきたい」と精力的だ。その中のやりたいことの一つが、分析だという。

    「ジャニーズってデータが多いんですよ。例えば『ジャニーズ楽曲大賞』のアンケートデータはCSVで落とせるので、回答文を形態素解析してワードを切り出せば、楽曲の魅力が見えてくる。それを『SageMaker』に入れて……といったことができるのは、僕の強みでもあります。今も考察をブログにまとめていますけど、もっと時間をかけて掘り下げていきたいですね」

    仕事を定年退職した後の夢は、“ジャニーズ研究者”だ。

    「達成感みたいなものを求めるところが、オタク気質の人にはあるんだと思います。それが収集癖として現れる人もいれば、コンサートを全ステ(全公演への参戦)するような場数に向かう人もいる。僕にとって『やってやったぞ!』と思えるのは、分析して考えて文章にすること。そうやって自分のオタク活動を昇華させたいのかもしれませんね」


    【おまけ】ジャニヲタおじさん一押し!エンジニアにオススメなジャニーズグループ

    Sexy Zoneを推薦します。アイドルってステレオタイプな考え方のままな部分も多いですが、Sexy Zoneは他にあまりない、新しい感性を持っているグループ。メンバーの考え方や気質、出自も従来のアイドルとは違うところがあって、それが魅力です。刺激になることは多いですし、新しいものや人と違うものが好きな人にハマるのではと思います」

    「それに、Sexy Zoneはパニック障害で療養していた松島聡くんが戻ってきて、今が一番楽しい時。10月29〜31日にライブ配信があるので、最近はそれを励みに仕事をしています

    >>ジャニヲタおじさんのSexy Zoneに関する記事:
    Sexy Zoneが創り出す“新たなアイドルの概念” ダイバーシティの重要性訴える、マリウス葉らの言動

    「あと、まだデビューしていないたくさんのジャニーズJr.の中から原石を見つけるのは、エンジニアの本能をくすぐるんじゃないかなと思います。僕は2人子どもがいるんですけど、上の息子は18歳。まさにジャニーズJr.の世代なので、つい親目線でジャニーズJr.を見てしまいますね」

    取材・文/天野夏海 編集/大室倫子

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