本連載では、圓窓代表・澤円氏が、エンジニアとして“楽しい未来”を築いていくための秘訣をTech分野のニュースとともにお届けしていきます
話題のリスキリング、「自分がする」より「人の後押し」で新しいポジションをつくろう【連載:澤円】
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
皆さんこんにちは、澤です。
最近、「リスキリング」という言葉をあちこちで耳にしますよね。
スキルを身につける、というのはエンジニアにとって永遠のテーマだったりするわけですが、そこにまた「リスキリング」なんて言葉が流行り始めたら、ちょっとげんなりする人もいるかもしれませんね。
この「リスキリング」という言葉の意味は、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」と定義されているようです。
・・・これって、エンジニアにとっては、めちゃくちゃ当たり前の話では? と思う人も多そうですよね。
エンジニアの世界では、次々に新素材や新技術が生まれ、それを融合させ続けなくてはならないという宿命があります。
SF映画なんかを観ていると、エンジニアに対する過剰なまでの期待とプレッシャーは、何十年も前から描かれ続けていますし、そして実際の技術革新は映画の設定年代を大きく前倒ししているものもたくさんあります。
SF映画では、大抵の場合何かしらのトラブル(謎のテロ組織が核ミサイルを使って攻撃するとか、狂った科学者が毒薬をばら撒くとか)に対して、正義担当のエンジニアが最新技術を投入したソリューションで対抗するというストーリーが展開されます。
正義担当エンジニアは、毎日リスキリングをしないと人類滅びちゃいますね。
ここまで危機的な状況に毎日対応しなくちゃいけないエンジニアは多くないと思いますが、それでも「時代の進歩の半歩先をいく」というマインドは絶対に必要ですよね。
なぜなら、多くの人は「困りごとはテクノロジーで解決してほしい」と思う一方で、「自分は作り出せないから誰かに任せたい」とも思っているからです。
なかなかこれは理不尽な状況ですよね。
自分のリスキリングではなく、非エンジニアのリスキリングの後押しを!
エンジニアは、最新技術を学び続ける必要があり、それによってキャリアアップすることができるのは自明の理です。
何か特定の技術領域だけで一生食える時代は、はるか昔に終了しています。
なので、常にアップデートしなくちゃいけないのは、避けられない事実です。
ただ、「エンジニアが割を食う」という時代もそろそろ終わりにしたいな、と思っています。
DX、という言葉がここまで浸透しているからには、非エンジニアの連中もぼちぼち目を覚ませや、と言っていいタイミングだろ、と思うわけです。
ほんの30年前まで、「コンピュータに詳しいやつ=オタク」という図式が市民権を得ていました。
しかし、その後にコンパックショックやWindows95の発売などの影響で、ビジネス界におけるコンピュータの位置付けが変わり、「一人一台体制」の時代が到来しました。
その時点で「パソコンを使えないおじさん」の量産体制が整いました。
まともにキーボードを扱えないけど、口だけは達者なおじさんの介護に、多くのエンジニアの時間は浪費されていたことでしょう。
そして、時代はDXとリスキリング。
これはエンジニアにとって革命を起こす時ではないかとボクは思っています
つまり「エンジニアがリスキリングをする」のではなく「非エンジニアのリスキリングを強烈に後押しする」という役割を担えばいいのではないでしょうか。
「リスキリングの時代だから、あなたを徹底的に鍛えます」というポジションを作る絶好の機会到来であると、勝手にワクワクしています。
今の時点では、そんな体制が整っているとは思っていません。
だからこそ、「革命」が必要なのです。
小手先の操作方法ではなく、本質的にテクノロジーを理解することを求めるために「リスキリング」というキーワードをどんどん使っていけばいいでしょう。
「弊社の役員のリスキリングのために、メタバースの体験会を開きます」
「中堅の営業マネージャー向けに、ITセキュリティのリスキリングの研修をやりましょう」
こんなことを人事部門や研修部門に持ちかけてみてはいかがでしょう?
リスキリングというキーワードのもとに、エンジニアの持つスキルをどんどん伝承していくと、実はエンジニア自身のリスキリングに直結するはずです。
かの有名な経済学者、ピーター・ドラッカーさんは「学ぶために最も効果的な方法は、人に教えることである」という言葉を残しています。
まさにこれ、だとボクは思います。
リスキリングの手伝いをすることは、すなわちエンジニアとしての基礎体力を劇的に向上させることができるのではないかと思います。
ユーザーはどの操作でつまづくのか、リテラシーの有無はどこで見極めるのか、UIによってどんな人たちが救われるのか・・・
こういった知識は、「教える」という行動によって、どんどん蓄積していくのではなかろうかと思います。
プロフィットセンターの人たちに対して遠慮がちな立場だったエンジニアは、「リスキリング」というキーワードのもとに、一気に形勢逆転をできるかもしれません。
今まで「相手するのが面倒だった相手」を「成長を手伝ってあげる生徒」として扱えると、ずいぶん気が楽になるような気がします。
あ、この戦略は、非エンジニアの人たちには内緒にしないといけませんね!
自分に嘘をつかない、
無理はしない。
だから、可能性が広がっていく。
マイクロソフトを卒業して、
自分らしく生きる僕が大事にしていること
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