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セキュリティーエンジニアの仕事内容とは? ニーズの高まりや必要なスキル、キャリアパスなどを解説!

エンジニア辞典

近年サイバー攻撃やマルウェア感染による情報漏えいなどのセキュリティー事故が多発しており、セキュリティー対策は企業にとって喫緊の課題となっています。これに伴って需要が高まっているのが、セキュリティーエンジニアです。

この記事では、セキュリティーエンジニアの仕事内容から必要なスキルや資格、キャリアパス、セキュリティーエンジニアを目指す方法まで詳しく解説します。

セキュリティーエンジニアとは

セキュリティーエンジニアとは、情報セキュリティーを考慮したシステムやネットワークの設計・運用などを行う、その名の通り「セキュリティーに特化したエンジニア」です。企業のシステムやネットワークを潜在的な脅威や外部からのサイバー攻撃などから守るため、さまざまなセキュリティー対策を実施します。

各種ソフトウエアやアプリケーションの導入は企業に多くのメリットをもたらし、テクノロジーは今やビジネスに欠かせない存在となっています。しかし、利便性が高い一方で、インターネットへの接続により外部からの攻撃対象になってしまうなどさまざまなリスクがあることも事実です。

これらのセキュリティーリスクから企業・組織を守ることを目的とし、非常に重要な役割を担っているのがセキュリティーエンジニアです。

セキュリティーエンジニアのニーズ・重要性

セキュリティーエンジニアのニーズは年々高まっている傾向があります。その理由は、ITシステムの利用拡大に伴い、手口が巧妙化したサイバー攻撃が年々増加しているからです。

IPAによる「情報セキュリティ白書2022」によると、2021年の情報セキュリティーインシデントの種類別報道件数は全体で769 件であり、前年の537件から43.2%も増加しています。

こうした現状からもセキュリティートラブルに対する企業の危機感は高まっており、情報セキュリティーマネジメントに対する深い知識やスキルを持った人材が求められています。

セキュリティーエンジニア

セキュリティーエンジニアの仕事内容

セキュリティーエンジニアの仕事内容は多岐にわたりますが、いずれもシステムを外部からの攻撃や潜在的なリスクから守ることを目的としています。

「企画・提案」「設計・実装」「テスト・運用・保守」のフェーズに分かれることは他のエンジニアと同様ですが、情報セキュリティーに特化していることが特徴です。

企画・提案

対象となるシステムの調査とセキュリティー状況を分析した上で、必要なセキュリティー施策を企画し、提案します。

セキュリティー診断とは、システムに欠陥がないか診断することです。脆弱性診断とも呼ばれ、既存のシステムに存在するセキュリティー上の脆弱性や、リスクとなり得る構成などを検出します。適切なセキュリティー施策を行うために、現在のシステムの状況を把握することが目的です。

・企画立案

システムの構成や現状を把握した上で要件をヒアリングし、具体的なセキュリティー施策の企画立案を行います。安全性を確保しつつ要件を満たし、運用までを視野に入れた計画が必要です。

設計・実装

提案した企画をもとに、具体的な設計や実装を行うフェーズです。

・要件定義・設計

必要なセキュリティー要件を洗い出し、要件定義書にまとめます。具体的にはハードウエア・ソフトウエア・OS・ファイアウォール・ネットワークなど、システムの構成要素別に要件を整理していきます。

要件定義書が完成したら、それをもとに設計を行い設計書を作成します。システムの構成やセキュリティー対策の実施方法などを検討し、整理していく作業です。

・機器の設定・プログラミング

設計書に基づいて、実際にセキュリティー施策を実装していきます。サーバーやネットワーク機器などのラッキングや設定から、OSやアプリケーションなどのセキュリティー対策、アクセス権の設定などを行う作業です。

また、各プログラムにセキュリティー対策を施すためのプログラミング(セキュアプログラミング)を行う場合もあります。

テスト・運用・保守

セキュリティー施策を実装したら、テストを行います。また、完成後にもセキュリティーレベルを維持するための運用・保守が必要です。

セキュリティーテスト

完成したシステムにセキュリティー上の問題がないかテストする作業です。システムやアプリケーションに対して攻撃者の目線で侵入を試みる「ペネトレーションテスト」などを用いて、脆弱性が存在しないか確認します。万が一脆弱性が特定された場合は、設計・実装フェーズに戻って改善策を検討し、修正する必要があります。

システムの運用・保守

システムをリリースした後も、継続的な運用・保守業務が必要です。セキュリティートラブルが発生しないよう監視し、異変やトラブルがあれば迅速に対策を行います。

また、脆弱性情報やサイバー攻撃情報は毎日のようにアップデートされています。常に最新情報を収集し、トラブルを未然に防ぐ対応を行うことも重要な仕事です。

セキュリティーエンジニア

セキュリティーエンジニアに必要な知識・スキル

次に、セキュリティーエンジニアに求められる知識やスキルについて解説します。

情報セキュリティーマネジメントへの理解

情報セキュリティーマネジメントとは、重要な情報を漏えいや改ざんなどのリスクから守り、安全性を確保するために組織全体で体系的な管理や運用を行うことを指します。情報をどう扱うかはセキュリティーエンジニアにとって必須の知識であり、情報セキュリティーマネジメントへの理解が求められます。

アプリケーションやインフラの知識

セキュリティー対策の対象はアプリケーションからインフラまで広範囲にわたります。それぞれ適したセキュリティー対策は異なるため、アプリケーションからインフラまで基本的な知識を身につけておくことが求められます。

サイバー攻撃に関する知識

最適なセキュリティー対策を行うには、サイバー攻撃の種類や手口、トレンドなどについて熟知しておく必要があります。深い知見があればあるほど、あらゆる可能性を想定して対策を講じることができるからです。サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しているため、常に最新情報にアンテナを張っておくことも重要です。

プログラミングスキル

先述したようにセキュリティーエンジニアはセキュアプログラミングを行う場合もあるため、プログラミングのスキルも必要です。また、他のエンジニアが書いたプログラムが読めなければ脆弱性を見逃してしまう可能性もあります。

セキュリティーエンジニアに求められるプログラミング言語はシステムによって異なりますが、多くのWebサイトで使用されているPHPやJavaScript、汎用性の高いC言語やC++などを習得すると役立つ機会は多いでしょう。

洞察力・想像力

サイバー攻撃や脆弱性はいつ発生するか予想することができません。そのため、セキュリティーエンジニアにはシステムの異変を迅速に検知し、攻撃の可能性を想定して対策を取ることのできる洞察力・想像力が求められます。

セキュリティーエンジニアにおすすめの資格

セキュリティーエンジニアに必要な知識やスキルを習得するために役立つ、おすすめの資格を三つ紹介します。

情報セキュリティマネジメント試験

「情報セキュリティマネジメント試験」は、IPAが運営するITを利活用して情報セキュリティーマネジメントを行う立場の方を対象とし、セキュリティー対策についての基本的な知識や、トラブル発生時の緊急対応などに関する知識が問われる国家資格です。セキュリティーエンジニアにとっては基礎的な内容であるため、入門編としてこの試験から取り組み始める人も多いです。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士も、IPAが運営する情報セキュリティーに関する知識、技能を認定する国家資格です。情報セキュリティーに関するネットワークやハードウエア、アプリケーション、法令まで幅広い知識が問われます。情報セキュリティマネジメント試験の次のステップとして受験するケースが多いです。

取得することで、セキュリティー対策を適切に適用・運用できるだけでなく、指導・進言できる知識や能力を有し、情報セキュリティーの専門家として活躍できる実力を持つことが保証されます。

シスコ技術者認定

シスコ技術者認定は、ネットワーク機器大手のシスコシステムズが運営する資格です。ネットワークに関する知識やシスコ製品を扱うスキルを認定します。さまざまな種類がありますが、セキュリティー分野に該当するのは以下のような資格です。

・CyberOps Associate:セキュリティー関連の基礎的な知識について認定
・CCNP Security:インフラ関連やセキュリティーのトレンド、最新テーマから出題。
・CCIE Security:セキュリティー分野のエキスパートとして高いスキルを証明

セキュリティーエンジニア

セキュリティーエンジニアを目指すには?

セキュリティーエンジニアの仕事内容や必要スキル、おすすめの資格などについて紹介しました。では、実際にセキュリティーエンジニアとして働くにはどうしたら良いのでしょうか?

業務範囲の広いセキュリティーエンジニアの求人で未経験の方を対象としているものは非常に少ないのが現状です。そのためまずは他の分野でエンジニアとして経験を積み、スキルを生かしてセキュリティーエンジニアを目指す方法があります。

現在エンジニアとして働いている方は、以下のポイントを意識してみてください。

関連分野のエンジニアとして経験を積む

インフラエンジニアやネットワークエンジニア、システムエンジニアなど、セキュリティーと関連する分野のエンジニアとして経験を積みましょう。インフラやシステムについての知識や経験を積むことで転職時にもアピールしやすく、セキュリティーエンジニアとしての仕事にも役立ちます。

資格取得に励む

他分野のエンジニアとして経験を積みつつ、今回ご紹介したようなセキュリティー関連の資格取得に励むことも効果的です。セキュリティーエンジニアに資格は必須ではありませんが、資格があることで転職時にセキュリティーについて一定の知識やスキルを持つ証明ができます。

コミュニティー活動やセミナーへ参加する

社外のエンジニアが集まるコミュニティー活動やセミナーへ参加し、自己研鑽に励むこともおすすめです。スキルアップにつながるほか、人脈を形成することでモチベーションが上がったり、思わぬきっかけで仕事につながったりする可能性もあります。

セキュリティーエンジニアのキャリアパス

次に、セキュリティーエンジニアのキャリアパスを見ていきましょう。

セキュリティーアナリスト

セキュリティーアナリストとは、情報セキュリティーに関する問題を分析し、解決策を提案する専門家です。セキュリティーエンジニアとしての知見を生かすことができ、さらに高度なスキルが求められる職業となります。分析や対策の提案といったスキルを極めたい方におすすめです。

セキュリティーコンサルタント

セキュリティーコンサルタントとは、企業や組織に対して情報セキュリティーに関するアドバイスやコンサルタントを行う専門家です。情報セキュリティーについての助言を行うことでセキュリティーレベルを保ち、企業価値を向上させることを目的とします。

セキュリティーに関する深い知識や多角的な視野、コミュニケーションスキルが求められる職業です。

CISO

CISO(Chief Information Security Officer)とは、企業における情報セキュリティーの最高責任者を表す役職名です。企業や組織における役員クラスの役職の一つとされることが多く、企業内のあらゆる情報セキュリティーにおいて、責任と最終決定権を持ちます。

裁量権の大きいCISOは、セキュリティーエンジニアとしての知識や技術的な経験はもちろん、ビジネススキルやリーダーシップが求められます。

セキュリティーエンジニアは今後も高い需要が期待される仕事

セキュリティーエンジニアは、企業のシステム環境をあらゆるリスクから保護するポジションです。年々増加・巧妙化するセキュリティートラブルに対する企業の危機感は強く、あらゆる業界でセキュリティーエンジニアの需要は高まっています。

将来的にもニーズの高まりが期待できるため、エンジニアとしての経験を積みながら情報セキュリティーマネジメントの知識を身に付けて見てはいかがでしょうか。

文/江副杏菜

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