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「法律を読み解き、正解をつくる」金融犯罪をアイデアと技術で食い止める技術者集団の知られざる働きとは?

【PR】 ITニュース

オンラインバンキング、QRコード決済、暗号資産……Fintechの広がりによって日常生活は便利になる一方で、国際的な金融犯罪が増えている。

その代表格が、マネー・ローンダリングだ。日本ではそれほどなじみのない犯罪だが、2001年に起きた同時多発テロ事件以降、世界的に件数が増え、対策が強化されてきた。

国内でも早くからAML対策パッケージソフト『Oculus®』シリーズを開発、展開しているのがNTTデータ ルウィーブだ。

リリースから15年、現在国内トップの導入率を誇る同製品。

発売当初からその開発に携わり、現在は同製品の企画・開発を指揮する村田隆洋さんは「次々と出てくる新しい犯罪手口に、システムでどう対抗していくか。金融庁や財務省、銀行などと一緒になって、道なき道をかき分けていくことが面白い」と仕事の魅力を語る。

村田さんの話を聞くと、エンジニアでありながら、金融犯罪に立ち向かう特殊な活躍ぶりが見えてきた。 

プロフィール画像

NTTデータ ルウィーブ株式会社
アドバンスト・ソリューション事業部
AMLソリューション事業部 事業部長 CAMS公認AMLスペシャリスト
村田隆洋さん

AMLの国際的な専門資格であるCAMS (公認AMLスペシャリスト)を持ち10年以上に渡り自社AML対策ソリューション『Oculus®』(オキュラス)シリーズの企画、開発を主導。多くの金融機関へのAML対策製品導入経験があり、システム面のみならず、業務面でのサポートにも対応 当局や、AML関連ベンダーとの情報交換や協業の推進も担う。2020年より現職

惨劇や悲劇を引き起こすマネー・ローンダリング

NTTデータ ルウィーブ株式会社

麻薬の売買、賭博、オレオレ詐欺などの犯罪行為から得た「汚れたお金」を、複数の金融機関を転々とさせて「きれいな資金」に見せかけるマネー・ローンダリング(以下、マネロン)。

「最近はオンラインバンキングや暗号資産の広がりに伴い、マネロンは日本でも他人ごとではなくなってきているんです。

実際、不正に入手したオンラインバンキングの暗証番号を使い、他人の口座に大量のお金を送金するケースがあります。

ほかにも、複数の金融機関を経由して最終的に制裁対象国に送金されるようなケースや、暗号資産を次々と異なる暗号資産に交換し、『ダークウェブ』や『闇サイト』など一般公開されていないルートを経由して現金化する犯罪も増えていますね」

NTTデータ ルウィーブ株式会社

参照元:マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(2022年3月)

各金融機関は、金融庁からこうした犯罪を未然に防ぐための対策を求められている。

そこで出番となるのが、AML対策ソリューションだ。

「AML対策システムが広まったきっかけが、9・11米国同時多発テロでした。約3000人もの死者を出したこのテロ事件は国際テロ組織アルカイダによって企てられ、その資金源となっていたのが麻薬売買で得た不正な資金だったことから、世界中でマネロン、テロ資金供与が問題視されたのです。

そんな惨劇や犯罪の防止に一役買うプロダクトとして、AMLシステムの注目が高まり、開発が加速されていきました」

人工知能の活用で検知件数は2倍に

マネロン対策を怠った場合に課せられる制裁として、業務停止命令や業務改善命令など、企業活動にまつわる制裁が中心となる日本と比べ、海外では数十億円、数兆円単位の制裁金が課せられる。制裁レベルは桁違いだ。

それだけに、海外ではAMLシステムに大きな予算を割く企業が多く、AMLシステムの種類も豊富にある。優れたAMLシステムを提供する海外ベンダーがひしめく中で、国産AMLシステムを開発する理由はどこにあるのだろうか。

村田さんはその理由を「日本語特有の難しさ」と「日本の法律に合わせて、金融機関と足並みをそろえてシステムを開発すること」が海外参入のネックになっていると説明する。

NTTデータ ルウィーブ株式会社

「渡辺という名字一つとっても渡邉や渡邊とさまざまで、新旧漢字・ひらがな・カタカナ・小文字など多様な文字列や日本語特有のあいまいな表記に対応しなければならず、海外ベンダーからは非常に敬遠されると聞きます」

また、金融機関と足並みを揃えて開発するシーンとしては、次の例をあげる。

「16年の犯罪収益移転防止法の改正では、新たに『資金の出し入れ頻度や金額など、日頃のお金の使い方の変化までチェックすること』といった趣旨の文言が加えられました。

だからといって『こんなシステムを準備しなさい』とまで金融庁から言及されるわけではないので、私たちは法律を読み込み、用意すべきシステムを金融機関と一緒になって検討していくのです」

法律や金融庁から発表されるドキュメントを読み、対応する仕組みを金融機関や弁護士などの専門家と考える。日本独自の法改正に合わせて随時変更を加えていかなければならないため、海外参入のハードルは自然と高くなる。

とはいえ、普通なら会うことのないような人と切磋琢磨できることはこの仕事の醍醐味だと村田さんは続ける。

「横浜銀行と提携し、疑わしい取引を検知するシステムを共同開発したことも貴重な成功体験となりました。

銀行口座の入出金履歴、取引金額などを分析し、マネー・ローンダリングが疑われる取り引きを、AIに3,000件近く学習させ、横浜銀行特有のAMLのアルゴリズムを生成。

各銀行のAMLデータをしっかり分析し、銀行ごとの『疑わしい取り引き』の傾向をつかみ、検知して確実に監督官庁に報告する仕組みをつくった結果、不審な取り引きの検知件数を2倍に増やすことができました」

ステークホルダーが多く、コミュニケーションコストもかかりやすいこの領域だが、金融機関と協力してマネー・ローンダリングを未然に防ぐ方法を考え、そのために必要な機能に知恵を絞るということは、日本の犯罪抑止にひと役買っている。

金融庁や金融機関と一緒に「正解」をつくっていく

キャリアの約半分をAML開発に費やしてきた村田さん。村田さんから見て、AMLの領域で働くエンジニアやPMの醍醐味とは何なのだろうか。

「日々新しい犯罪の手口が見つかりますし、テクノロジーも進化していくため、時代とともに“正解”も変わっていきます。

金融機関やユーザーと、犯罪抑止のために何が有効なのか一緒に考え、共に正解を見つけ出していくプロセスは飽きないですね」

NTTデータ ルウィーブ株式会社

「最近は、地方銀行と協働で実証実験や講演を行ったり、プレスリリースを出したり取材を受けたりすることもあります」(村田さん)

「マネー・ローンダリング対策のプロフェッショナルとして、財務省や金融庁、制裁リストの提供会社などいろんなステークホルダーとコミュニケーションを取りながら、情報提供のハブとして機能できる点はなかなか経験できるものじゃないので、面白く感じています」

そんな村田さんは、今後NTTデータ ルウィーブのAMLの開発組織をどのようにスケールさせていこうと考えているのだろうか。

「金融庁をはじめとする、関連当局の規制や法令は日々アップデートされ、年々厳しくなっています。規制や法令が変わっても、当局の状況に柔軟に対応し、臨機応変に機能追加できるようにしていけるように、近々サブスクリプション型のSaaSへ舵を切ることも考えています。

そのためには、開発組織のさらなる強化、特に提案や導入を牽引するプロジェクトマネジャーの存在が重要になってきます。

特に、顧客の話に耳を傾け、その要望を社内の開発担当者にしっかり伝えて新しい機能や製品につなげていけるプロジェクトマネジャーを増やしていきたいですね。

AMLに関わった経験のある人は多くないでしょうから、基本的には業界経験はなくても構いません。プライマリーベンダーで顧客と直接やり取りしていた方や、中小規模のベンダーで働いていた方はじめ、顧客とコミュニケーションが取れるエンジニアなら活躍できるフィールドだと思います」

マネロンで引き起こされる被害や悲劇を、技術とアイデアで食い止める。

一般的には日の当たることが多くはないアンチ・マネー・ローンダリング業界だが、そんなプロフェッショナルの奮闘が、国民のお金や平穏な日々を守っている。

NTTデータ ルウィーブ株式会社

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取材・文/石川 香苗子 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子

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