株式会社ハッチアップ
代表取締役
八反田智和氏
ソーシャルアプリイベント『Social Top Runners』を主催するかたわら、GMSやgumiのリクルーティングエージェントを務める。現在、『GameBusiness.jp』にて、「ソーシャル、日本の挑戦者たち」を連載中
――自分の「価値」とは何か?
誰もが一度は考えるこの命題。一体、世のエンジニアたちはどのように考えているのだろう? エンジニアの「価値」を明らかにする特集を組むにあたり、まずは転職サイト『@type』に登録している現役ITエンジニア472人を対象に、アンケートを取ってみた。以下がその結果だ。
上記の回答結果を見る限り、ほとんどのエンジニアは、「問題解決力」と「変化対応力」、「技術力」の三つを、自身の価値を決定するものと考えているといって間違いない。では、エンジニアを対象に活動するヘッドハンターも、同じ点をエンジニアの価値ととらえ、人材を見極めているのだろうか?
株式会社ハッチアップ
代表取締役
八反田智和氏
ソーシャルアプリイベント『Social Top Runners』を主催するかたわら、GMSやgumiのリクルーティングエージェントを務める。現在、『GameBusiness.jp』にて、「ソーシャル、日本の挑戦者たち」を連載中
「優秀なエンジニアを探すとき、わたしは主に4つのポイントから、その人材価値を推し量ります」
そう話すのは、ハッチアップの代表取締役を務める八反田智和氏。さまざまなソーシャルメディア系イベントを主催することでエンジニアを集め、そこから優秀な人材を見つけ出して企業に紹介する、リクルーティングエージェント兼ヘッドハンターだ。
「4つのポイントとは、
1.変化するマーケットへの認識
2.変化対応力
3.熱狂
4.仮説思考・行動
です。
開発者を取り巻くマーケットの移り変わりは非常に早い。マーケットが変われば、そこで求められるスキルセットが変わるのは自明です。そもそもそのことを認識できていない人は、どこへいっても長くはハマりません。なので、まず①が挙げられます。
ただ、認識していれば良いわけではなく、『変化に伴い必要なスキルを理解し、習得に取り組んでいるかどうか』も、重要な指標になります。それが2.変化対応力ですね」
とはいえ、変化対応力の重要性は、冒頭のアンケート結果からも分かる通り、多くのエンジニアが気づいているところ。「評価されるか否か」の分かれ目は、3、4によって決まることが多いという。
「『3.熱狂』とは、『業界の盛り上がりに対し、当事者として熱狂できるか』。Web業界、特にソーシャルアプリ業界の盛り上がりは目を見張るものがあります。そこに感応し、自ら”祭り”に飛び込んでいけない人は、一言でいえば『センスがない』。
確かに、マーケットの移り変わりが早い分、転職したものの突然会社が解散……なんてことも起こりえます。でも、そんなの長い人生から見れば、ささいな”ノイズ”に過ぎません。そうした可能性も知った上で、行動を起こせる人が、評価の対象になります」
アンケートでは、熱狂に近い答えとして「情熱」を選んだ人が多数いたものの、その主な理由は、「仕事を継続するために必要な熱意」という意味。八反田氏の言う、「熱狂」とは似て非なるものだ。
「最後の4.仮説思考・行動は、『知らないことに対しても仮説を立て、自分なりに出した答えに沿って行動できるか』です。Web業界のように、ノウハウの蓄積や過去の成功体験がないのが当たり前の世界で、それでも成果を出していくには、必要不可欠のマインドなんです」
八反田氏が明かした、ヘッドハンターがエンジニアを見る4つのポイント。では、どうやってその有無を知るのだろう。八反田流・人材獲得の軸となるソーシャル系イベントの前と後に分け、同氏が行っている具体的な見極め方はこうだ。
【イベント前】
「人材の選定はまず、イベントへの参加申し込みフォームの記入内容から行います。氏名や勤め先、スキルセットはもちろん、TwitterやFacebookといったソーシャルアカウント名も記入してもらうので、それらを糸口に情報を集めるのです。
主催/参加している勉強会・コミュニティは何か、どんなメディアを使ってどんな情報を発信しているか、『GitHub』でどんなライブラリを公開しているか、SNSでどんな人たちと交流があるのかなど、だいたいのことは事前に調べがつきます。
これらの集めた情報から、その人の興味とそのベクトルの方向を知り、1.や2.のレベルが分かります」
【イベント後】
「イベントで参画企業によるプレゼンが終わった後の懇親会が、次の人選の舞台です。
前もって目を付けていた人に話を持ち掛けるんですが、会話の中でさりげなく、絶対にその人が答えを知らない質問を投げかけます。例えば、受託納品が主体のSIerで働いた経験しかない人(イベント参加者の職種や業種は、事前に頭の中に入っています)に、
『最近、☓☓会社さんがNoSQL/KVS(Key-Value Store)にMongoDBを使い始めたらしいんですが、◯◯さん(話をしてるエンジニア)のところは、KVSに何を使ってます?』
と聞いてみます。受託開発経験が中心であれば、大量のトラフィックをさばくことは少ないので、『KVS』が何かも知らないという方が多い。でもそこで、『KVSって何ですか?』と聞き返してくる人はアウトです。
つまり、それまでの経験では知らないことを知らないと言う人ではなく、知らないことに直面したら、前後の情報から仮説を立て、自分なりに答えを出せる人がほしいんです。ここで④の有無を見ます。
③はイベント後に記入してもらったアンケートを見て、判断することが多いですね。イベント前は転職を考えていなかったにもかかわらず、イベントで参画企業のプレゼンを聞き、経営陣と直に触れ合ったことで、転職希望に変わったと答えた人は、”熱狂の輪”に加わったと見ています」
ここまで、採用される側が知らない評価されるエンジニアの「価値」を明らかにしてきた。では、どうすればそれらの「価値」を身につけることができるのか。
後半では、実際にエンジニア採用に力を入れている企業の採用担当者たちによる座談会を開催。それぞれの考えを話し合ってもらった。
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