SIerの参考記事
・エンジニアがSIerで働く魅力とは? 未経験でもOK? 自社開発やSESとの違いも詳しく解説
・従来型のSIビジネスはなぜ立ち行かなくなるのか~斎藤昌義×倉貫義人『受託開発のこれからを考える』レポート
・SEに問われる「脱・受託思考」必要なアクションは何?【SI 3社座談会】
・受託型から創発型へ。SI転換期を生き残るSE像を探る
日本のSI(システムインテグレーション)ビジネスの未来を危惧する声が聞かれるようになって久しい。にも関わらず、旧態依然としたビジネスモデルは回り続けており、そこでは多くのエンジニアが今も働いている。
日本最大の電子掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」の設立者であり、理路整然とした語り口と歯に衣着せぬ物言いで知られるひろゆき氏は、そうしたエンジニアに向けて「今すぐ逃げた方がいい」と呼びかける。
改めて、SIerはなぜ「ヤバい」のか。どうやって「それ以外の道」を模索すればいいのか。最新著『働き方完全無双』の売れ行きも好調なひろゆき氏に、今エンジニアが採るべきキャリア戦略を聞いた。
※本記事は2018年8月7日に公開し、2022年11月15日に最新プロフィール情報に更新しています。
この仕事を知らない人にはよく「エンジニア」と一括りにされがちだけど、エンジニアといっても2種類あると思うんです。自社サービスを持つ会社のエンジニアと、SIerで働くエンジニア。この2つって、全くの別物なんですよ。
はっきり言って、SIerで働いているエンジニアは今すぐ逃げた方がいい。
他社にものを納品するビジネスモデルの会社は、同じような企業がたくさんある中での競争になるから、その競争に勝つためにはどうしたってコストを削減せざるを得ない。コストを削減すれば、当然給料も安くなる。それをしなければ競争に負けて潰れるだけ。
自社でものを作っている会社にはまれに「当たる」ということがある。すると「社員にもボーナス出すわ」ってことにもなりますよね。でも、他社の仕事を請け負っているだけのSIerは、受注する仕事を増やして会社の規模が大きくなることはあるかもしれないけど、一件あたりの利益の幅が上がることは基本的にはない。だからひたすらに疲弊していくということです。
SIerにいるエンジニアは、工夫する機会にも恵まれないですよね。自社サービスだと「こう書いた方がリソースコストが下がる」とか、「こっちの方がユーザーさんが喜ぶんじゃないか」とか、いろいろ考えてものを作るじゃないですか。世に出した結果うまくいかなかったら、どうすればうまくいくかを自然と考える。でも、SIerにはそのインセンティブがありません。仕様書通り作らなくちゃいけないし、すごく優秀なアルゴリズムを組んだところで評価もされない。だから、工夫できなくなるんです。
もちろん、エンジニア1年生で、コードがある程度書けるようになるまでSIerで訓練するというのはアリだと思います。先輩社員も多くいて社会経験になるし、資料や研修も充実しているだろうから学べることもあるでしょう。でも、SIerにはさっき言ったような構造的な問題があるから、そこで働くコーダーはいずれ疲弊することになる。だから、長居するのは禁物ですね。
とはいえ、いきなり今いる場所から逃げろとだけ言われても、どうしていいか分からない人もいるかもしれません。そういう人には、次の4つのアドバイスを贈りたいと思います。
まずは自分の置かれている外部環境を正しく認識することから始めた方がいいでしょう。
例えばこの日本という国が、今後経済的にヤバい状況になっていくのは明らかですよね。人件費の高い先進国は、国際市場ではただでさえ相対的に不利な立場に立たされている。その上日本は、労働人口減少の問題でも世界の最先端を行っています。その解決策として安い労働力が海外から大量に流入すれば、多くの職種で日本人の給料が下がるのは確定しているし、失業率だって上がることになるはずです。
そういう環境を理解していれば、採るべき戦略はおのずと見えてきます。たとえば外国向けに売れそうなプロダクトを作っている会社を選ぶ。あるいは外資系企業で働いて、ドル建てで給料をもらう。そうすれば手取りは増えていくだろうし、日本に住み続ければ、周りが落ちていく分、同じ給料をもらっているだけでも暮らしはどんどん楽になっていきます。
働く上で「能力の違い」って大した問題じゃないと思うんですよね。ある課題があった時に、それを5秒で解決するのと5分かけて解決するのとに、本質的な差はない。どちらも同じ「すぐに解決できた」という評価でしかないんですよ。仕事においては、能力やスキルそれ自体よりずっと大切なことがある。それは、“必要な能力をその都度身に付けられること”です。
Linuxでサーバが立てられるとか、Pythonでコードが書けるとか、エンジニアはスキルと呼ばれるものが明確で分かりやすい職業なので、あれもこれもできた方がいいとなりがちなんです。もちろんできるに越したことはないんですけど、例えばPerlを書くエンジニアなんて、2020年にはいなくなってますよ。それくらい一つの技術が廃れるのは速い。
だとしたら、「俺はPerlでしか書いたことないから、Perlでしか書かない」という人よりも、「Rubyで書いたことなんてないけど、面白そうだからやってみる」という人の方がずっといい。そうやって好奇心を持っていろいろやっていると、まだ枯れてない技術にうっかり手を出して、誰も触れてないようなバグを拾って苦労したりもするんですけどね(笑)。
でも、そういうことを何回か経験していると、だんだんと「これはもう少し枯れてから手を出そう」というバランス感覚が身に付いてきて、上流の設計の話ができるようになるんです。だから好奇心を持っていろいろと手を出すことは、エンジニアのキャリアを拓くことにもつながるんですよ。
以前は一つの会社に長くいることに価値があったけれど、それは終身雇用が前提でした。今はそれが崩れてきて、転職が当たり前の時代になっている。すると、一つの会社に長くいることは、むしろリスクになってきます。なぜって、その会社の業務フローに詳しかったり、社内の政治に明るかったりすることって、転職市場ではなんの価値もないですから。
それよりも、どの職場でもうまくやれるコミュニケーション力を持った人の方がよっぽど価値がある。その意味で、たくさん転職経験のある人の方がいいという逆転現象が起きてきます。嫌々働いていたって、ストレスが溜まるばかり。スキルなんて磨かれないし、運が悪ければ変な部署に飛ばされて、さらに運が悪いと部署ごと切られることだってある。変に会社に忠誠心を持って長居しても、何もいいことないですよ。だったら、さっさと働く場所を移った方がいい。
エンジニアとして出世したいんだったら、ただコードを書いているよりも、ビジネス全体のことを理解しておいた方がいいでしょうね。「コードを速く書けます!」とかアピールしても、ビジネスサイドの人にはポカーンとされるだけなんで。
だからよく「経営者視点を持て」とか言われるんです。でも経営者でもないのに経営者視点なんて身に付かないですよね。それよりは、適当にアプリでも作って売ってみたらいい。小さくてもお金が絡む何かをやってみると、「もっとユーザーに喜ばれるにはどうしたらいいか」とか、「ちょっと手が回らなくなってきたからバイトを雇ったけど、バイト代はどうやって捻出したらいいだろう」とか、自然と考えるようになるんで。
それに、そうやって好きで作ったアプリが当たって儲かったなんて話、あまり表に出てこないだけで、裏側にはゴロゴロしていますから。何が当たるかなんて分からないですけど、少なくとも打席に立たないことにはその機会もないわけで。そういう意味では、いかに暇を保てるかも大事。って考えたら、やっぱりSIerで忙しく働くなんて選択肢はないと思いませんか?
撮影/桑原 美樹
沈みゆく日本で、あなただけが無双状態で働くには、どうすればいいのか。2ちゃんねる、ニコニコ動画、4chanなど…、「世界一の管理人」である西村博之がおくる、リアルガチな働き方改革! 転職を考えている人も必読だ。
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