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「プログラミングを学ぶほうがいいとはわかっているけど、プログラミングができなくても仕事はこなせている」
IT業界の中でも、そういう方が多いのではないでしょうか?特に役員クラスになると実際に手を動かす仕事はどんどん減っていき、方向性を示したり最終チェックをするという役割が大きいポジションの方もいらっしゃるでしょう。
今回インタビューさせていただいたのは、20代で起業し数々のWebサービスを手がけてきた松本龍祐氏。現在はメルペイの取締役CPOであり、前述のポジションに当てはまります。
しかし松本氏は2018年の年末にTECH::CAMPの7日間集中イナズマコースを個人として受講。1からプログラミングを学ぶという年の瀬を過ごされました。
受講の理由を詳しく聞いてみると、非常に学びが多い内容だったのでお届けします。経営者がプログラミングを学ぶと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ありがとうございます。こんなに勉強したのは受験勉強以来ですね。集中力落ちてるな~と感じました(笑)でも楽しかったです。
わかりやすかったです。とにかく丁寧でフレンドリーでした。学習の上では、エラーが出たときその理由が本当に些細なことが多かったんです。それを自分ひとりだったら解決できなかったと思うし、ものすごく時間がかかっていたと思います。挫折ポイントが山程あったので直接質問してどんどん解決できるというのは本当によかったですね。
そうですね。教えて、と言えば快く教えてくれる人はたくさんいると思います。でも自分の学習のために社員や友人の時間を奪うのはダメだな、と。
独学はもちろんやったことがあります。ただコードをコピペして行って、その先の学習をするまでのエラーでしょっちゅう突っかかっていて、その間に飽きちゃいましたね。
全くできませんでした。仕事は長くIT業界ですが、自分はどちらかというとずっとプロデューサーやディレクターの立場だったので。むかーしブログを立ち上げたことがある、ぐらいです。
もちろん、コードは書けなくてもWebサービスをつくる上で理解しないといけない部分はわかっていました。Webサービスをつくっていった過程で理解していった、というほうが正しいですが。
たしかに同年代の起業家で自社サービスなどを作ってきた人はプログラミングができるCEOは多いです。ただ私は昔からサービス作ってたと言っても受託から始めたのでエンジニアを採用してプロダクトを作っていく、という流れでしたね。CTOもいたので自分が必ずプログラミングができる必要があるか、というとそういう環境でもなかったのでこれまでコードを書くことはありませんでした。
理由は3つあります。
まず1つ目はずっとプログラミングが分からない、コードをかけないというのがコンプレックスでした。今日受講最終日で「コードをかける」と言っていいかと言うとそうではありませんが、受講前とは理解度の深さは雲泥の差がありますね。
2つ目ですが、仕事上やっぱりプログラミングを理解していると便利だからです。私は直接エンジニアと接する機会は多くないのですが、一番接するPM(プロジェクトマネジャー)も過半数はエンジニア出身の会社なんです。だからプログラミングを理解してエンジニアリングにおいての共通言語をもっているとPMと仕事をするとき非常にスムーズになります。
3つ目は、新しいものやおもしろいものをすぐに触れるようになりたいからです。API(Open APIs)などをGoogle や AWS などもたくさん出しています。例えば Google Cloud Vision API とか、Amazonが自社で使っているレコメンドサービスをAWS上で提供を始めたり。
ただ私はそれをドキュメントを読んで楽しむことしかできないんです。
今の時代、どんどん新しいものが出されて誰でも開発しやすくなっているのに、プログラミングが分からないとそれも全くできない。これはものすごくもったいないことです。
使いたいときはエンジニアに最初の一歩もやってもらう必要があります。このままじゃダメだな、と。
新しいものを触っていけるとビジネス的にも「今後こういう流れがくるはず」とか「こういうサービスをつくれるんじゃないか」とか舵取りができるようになります。
サービスを開発するレベルのプログラミングができなくても、Open APIs などを少しでも触れるレベルにはなりたいと思って受講を決めました。
1番言えるのはエンジニアの気持ちが分かるようになったかもしれない、ということです。あくまで「かもしれない」ですが(笑)受講前に比べるとエンジニアへのリスペクトは格段に上がりましたね。エンジニアからの回答にこれまでは理解できなかった部分も、理解できるようになりました。
具体的には「工数の見積もりが難しい」という意味がわかりました。私はずっとディレクターよりの仕事だったのですが、ディレクターが工数の見積もりをするときは画面の数とかを考えます。でもエンジニアだと違うということに気づきました。データベースの数だったり、ディレクターよりももっともっと細かい点を考える必要があります。
「工数の見積もりをざっと出して」という要求は結構厳しいものだと実際にプログラミングを学ぶとわかります。集中して考えないと分からない、ということがわかってよかったです。
そうでしょうね。わたしも受講前と最も変わるだろうと確信しているのは要件定義の出し方です。
これまではざっくりとしたものしか出していなかったのですが、データベースの設計をするときに必要な要件ってものすごく細かいということがわかったので。
これまでサービスをいくつもつくってきましたが、今回受講してこれまでの要件定義はちょっと甘かったなということに気づきました。
なぜサービスをつくる上で発注側と受注側の認識が違って、途中でいろいろと覆ってしまうのか、つくりなおさないといけなくなるかがわかったことは本当に大きな収穫です。
モチベーションの維持が大変でしたね。Railsに入って進捗のスピードが早くなっていったので最初は理解しきれなかったんです。
でも1週間でとにかく多くカリキュラムを進めたほうがいいと思って、完全には理解してないけど全体を一旦通そうと思いました。受験勉強もそうだったので、やり方は間違っていないと思いますが必ず復習が必要ですね。
業界によって異なるとは思いますが、まずエンジニアへのリスペクトができてエンジニアになぜいい椅子やデスクを提供しないといけないかがわかります(笑)
あと、マシンのスペックは絶対高くすべき!!生産性が全く違います。
そういうのを「どこもやっているからやる」のと「腹落ちしてやる」のは経営者として全然違うと思いますね。
この講座を受ければプログラミングが完璧にできるというわけではないし、逆に自分とプロダクトをつくるまでの距離を痛感します。それでも受けるべきだと思います。
エンジニアとの共通言語ができることと、コードを書いているプロセスを知ることはメリットが非常に大きいです。
非インターネット業界の経営者の方であれば、プログラミングの過程を知ること自体がメリットだと思います。会社の業務をシステム化するときやエンジニアの部門をつくる、などのときに非常に武器になるはずです。
※こちらの記事は、『TECH::NOTE』コンテンツから転載をしております。
>>元記事はこちら
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