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マイクロソフト澤円 の“ありたい自分でいられる仕事術”とは? エンジニアが幸せに働き続けるためのヒント

働き方

    日本最大級のエンジニア向け転職イベント『type エンジニア転職フェア』が2020年1月18日(土)に開催された。

    当日は、エンジニアtypeの連載でもお馴染みの、日本マイクロソフト 業務執行役員の澤 円さんがスペシャルゲストとして登壇。

    『ポンコツエンジニアのワークスタイル ~ありたい自分でいられる仕事術~』と題した講演を行った。

    エンジニアフェア講演/澤円

    株式会社圓窓 代表取締役
    澤 円(@madoka510

    立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、外資系大手テクノロジー企業に転職、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)※11月末発売予定 Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ メルマガ:澤円の「自分バージョンアップ術」 オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

    澤さんは講演の中で、「これから転職をする皆さんには、“ありたい自分”へと近付けるような仕事をぜひ選んでほしい」と投げ掛けた。

    しかし、実際はどうだろうか。エンジニアの中には、「そもそも“ありたい自分”がイメージできない」人もいるかもしれない。

    どうすれば、自分がこれから目指したい状態がクリアになるのか。澤さんの講演内容を一部抜粋し、そのヒントをお届けしよう。

    「ありたい姿 < あるべき姿」で仕事選びするのはもうやめよう

    そもそも、「ありたい姿」から逆算してキャリアをつくることが、なぜ重要なのか。澤さんは、次のように言い切る。

    「これは僕の持論ですが、そもそも、人は幸せになるために働くものだと思っています。エンジニアという素晴らしい仕事に就いているのであればなおさら、仕事をただの“稼ぐ手段”にしてしまうのはもったいない。

    働きながら、幸せになる。そのためには、自分が“ありたい姿”でいられるような仕事だったり、そこに近付いていけるような働き方を選ぶべきだと思うんです」

    今、シリコンバレーなどを中心に、“Being(どうありたいか)”からキャリアを考える方法がスタンダードになりつつある。社会が成熟するにつれて、私たちの関心事は「どう稼ぐか」から「どう生きるか」へと変化してきた。

    type エンジニア転職フェア講演/澤円

    真剣に澤さんの話を聞くエンジニアの皆さん。講演の定員70名のところ100名以上のエンジニアが集まり、大盛況だった

    「若い人の例にはなりますが、髪の毛を茶色などの自分の好きな色に染めている学生さんの多くが、就活のときに『企業ウケが悪いから』という理由で、黒染めしてしまいます。

    でも、『茶髪の自分』が本当に好きなら、『茶髪でも大丈夫な会社』に就職することを選べばいいんです。無理して周囲の価値観に合わせる必要はありません

    転職においても同じことが言える。自分がどうありたいか以前に、どう思われるかを気にしてしまい、本当は望んでいない選択をしてしまうこともあるのではないだろうか。

    職場環境や働き方が多様化し、私たちはさまざまな選択肢を手に入れたはずなのに、何となく”無難そうに見える道”へと流されてしまいがち。

    あるべき姿は気にしなくていい。これからの仕事選びでは、あなたが、あなたらしくいられる職場を“Being”から逆算して選んでみてください」

    “Being”は、キャリアや年齢を重ねながら変わっていくもの

    しかし、“ありたい自分”がまだ見えない人も多いはず。キャリアの浅いエンジニアであれば、なおさらだ。

    澤さんはそんな人たちに向けて「決して焦らなくていい」と語りかける。

    「環境や時代が変わると、エンジニアに求められるものや自分の立場も変わる。すると、ありたい姿も変化していきますよね。まさに私自身がそうでした」

    1993年に生命保険のIT子会社へ就職した澤さん。文系出身のSEとして、キャリアをスタート。入社当時は「コンピューターのことなんてさっぱり分からなかった」と笑う。

    >>文系ポンコツエンジニアが、「澤円」になるまでの話

    「最初の2~3年は本当に苦労したし、挫折を何回も味わいました。当時は文系SEの走りの時代ということもあり、勉強法は本で学ぶくらい。ITの基礎知識がない私には、かなり厳しい新人時代でした」

    そんな澤さんに転機が訪れたのは、1995年にインターネット時代が始まった時だった。

    「当たり前ですが、当時インターネットのことをよく知っている人は誰もいませんでした。僕自身もそう。用語を聞いても全く分からないし、知識も皆無。でも、それが『チャンスになる』と感じて、猛烈に勉強し始めたんです」

    技術力で自分より優れたエンジニアは大勢いる。ならば、誰も知らない領域に“詳しい人”になりたいと考えた澤さん。

    まだ誰も知らないことなら、学習のスタートラインは同じ。「ここで頑張れば周囲と差を付けられる」と意気込んだ。

    エンジニアフェア講演/澤円

    「僕は自分のことを優秀だと思ったことはありません。コンパイルが一発で通ったことなんて一度もないし、仕事の飲み込みも悪い(笑)

    だからこそ、『人並み以上に勉強しなきゃ』という気持ちは強くて。そういう自覚があったから、勉強を頑張れたんだと思います」

    今では“プレゼンの神”と呼ばれることもある澤さん。分かりやすい説明を心掛けるのにも、過去の自分が苦労した経験がある。

    「先ほども申し上げましたが、僕は同期の中でも相当な落ちこぼれだったんですよ。

    でも、だからこそ“できない人”の気持ちや、“人が言っていることが理解できない人”の気持ちはよく分かるんです

    かつての自分に寄り添うように仕事を続けていたら、いつの間にか、その業界の中で“自分らしい”ポジションを築けたという。

    「自分の弱みだと思っていたことや、ポンコツな部分をさらけ出すと、それが誰かのためになることってよくあるんですよ。

    僕はそれに気付いて、過去の自分のような人たちを助けられる人でありたいとか、そういう仕事がしたいって考えるようになった。それで、今に至ります」

    ありたい姿に近付くために。まずは目の前の仕事を楽む工夫を

    また、ありたい姿に近付く仕事をするためには、日々の仕事を楽しむための工夫も大切だという。

    そのために有効なのが、エンジニア自身がコミュニケーション能力を上げ、並行して無駄な仕事を減らしていくことだ。

    「人から信頼されることや、“嫌々やる作業”を減らしていくことで、仕事はもっと面白くなります。すると、自分にとって大事なことが見えてきやすくなるはずです」と澤さん。

    講演の最後に、今日からでもすぐにできるTipsを教えてくれた。

    ■コミュニケーション能力を上げるには?

    ・1日5ツイートを日課にする
    「ランチに行った、みたいな出来事報告ではなく、そこで何を感じたか、どう思ったのか、自分の考えを発信してみましょう。

    短文で自分の伝えたいことをまとめる能力が身に付くと、対面の場においても人に何かを伝えることがうまくなります

    ・笑顔の練習をしよう
    自然な笑顔はあなたの強い武器になります。笑顔をつくるには16個の顔の筋肉を使うそうなのですが、普段からやっていないと必要なときにすぐできません。『笑顔は意外と難しい』と心得て、意識的に練習を」

    ・爽やかに「おはよう」と挨拶する
    「職場で元気に挨拶をするだけで、人に好印象を与えられます。

    元気に挨拶をしても、同じように返してくれる人ばかりではないかもしれませんが、それは気にしなくていいです。単純なことですが、気持ちよく挨拶できる人は信頼されますよ

    ■仕事の無駄を省くには?

    ・自分が出席する必要のない会議には出ない
    「後で議事録を読めば十分です。ただ拘束されているだけの時間になってしまうくらいなら、『会議に出ない時間でこんなことやりましたよ』とドヤ顔できる成果を出しましょう」

    ・苦痛なことを我慢しなくていい
    「苦痛に感じていることがあっても、我慢している人は多いですよね。

    例えば、朝の満員電車での通勤。それが自分のパフォーマンスの低下につながっていると思うなら、リモートで働ける会社を探すのもあり。業種業態にもよりますが、エンジニアなら自由度の高い働き方が実現しやすいはずです

    エンジニアフェア講演/澤円

    最後に澤さんは、「これまでの話で勘違いしてほしくないのですが、『やりたいことをする』というのはわがままを言っていいという話ではありません」と付け加える。

    自分の仕事が100%やりたいことだけで構成されている人なんて、この世にはいません。もちろん、仕事をしている時間は楽しいことばかりとは限りません。

    世の中で『やりたいことをやっている』と見られている人も、その現状を維持するために並々ならぬ努力をしています。

    ですから皆さんも、ありたい姿を見つけ、そこに向かっていくために、日々の仕事をより良くすることから始めてみましょう。

    やるべきことに集中し、周囲から信頼され、仕事を面白がっている人のところに、チャンスは訪れるはずですから」

    >>当日使用されていたスライドはこちらから閲覧可能

    取材・文・撮影/川松敬規(編集部)

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