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ITアーキテクト/SE
“新技術”の習得にばかり目を向けてないか? PM支援のプロに聞くエンジニアが「総合力」を磨く大切さ
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目まぐるしい時代の変化についていくために、日々新たな知識の習得に追われているエンジニア。しかし、新しい技術を身に付けることだけに目を奪われていて、「時代の変化に対応すること」はできるのだろうか?
「新しい技術習得に追われるのではなく、“総合力”を身に付ければ、どの時代のどんなプロジェクトにも通用するエンジニアになれる」。そう主張するのは、 ITプロジェクト支援・代行を行う株式会社プライム・ブレインズの代表、五反田基秀さんだ。
エンジニアが「変化の時代を生き抜く」ために必要なスキルとして重要視する“総合力”とは何なのか、どうすればその力を身に付けることができるのか。 同社代表の五反田さんと、現場社員の伊賀良太郎さん、髙木岳人さんに話を聞いた。
“知識”だけでは、ユーザーが満足するシステムは作れない
「最近のエンジニアは『スキルを身に付ける』ためには、新しい言語やフレームワーク、最新のインフラ環境での仕事を行うことが大前提であると考えがちです。しかし私が主張する“総合力”とは、そうした傾向に対するアンチテーゼでもあります。
具体的には、プログラミング力、アプリケーション設計力、業務分析・設計力、インフラ構成力、ITアーキテクチャ設計力、マネジメント力、プロジェクト計画力、品質管理力といったITエンジニアの各専門領域の力。
これらの“領域をまたがったスキル”を保有した上で、プロジェクトに貢献できる力をプライム・ブレインズでは総合力と呼んでいます。すべてを一人で網羅することはかなり困難ですが、広くカバーできればそれだけ高く貢献できるようになるでしょう」
これはかなりハイレベルな要求にも思えるが、「技術スキルだけが高いエンジニアが集まっても、ユーザーが満足するシステムは作れない」と五反田さんは語る。
「新しい言語やフレームワークといった技術力は、いわゆる“知識”です。その基本さえ押さえていれば、新しい技術については、必要になったときにキャッチアップすればいい。しかしシステム開発の現場では、そうした知識だけではない、もっと根源的なスキルが求められます。それが、総合力です」
プロジェクトチームをつくる際は、各分野のプロフェッショナルを集めれば良いという見方もあるが、五反田さんは「それだけでは不十分」だと考えている。それは、専門領域間の隙間を埋められない可能性があるからだ。
そんなチームの中に総合力を持つエンジニアがいれば、各チームをまたがる齟齬を察知し、正しい方向に進むための原動力となることができる。また、チームを越えたコミュニケーションも、総合力があるからこそ円滑にできることだ。
「例えばインフラ、アプリ、運用で異なることが主張されたときに、それぞれの主張を考慮した方向性を発想できる人がプロジェクトには必要。このとき総合力があれば、どんな人たちとでも対等に会話し、合意を形成することができます。
大きなプロジェクトの場合、トップのPM以外に“総合力を持つエンジニア”がキーマンとして活躍していることが、プロジェクトの重要な成功要因となります。30代の中堅エンジニアで、年齢を重ねてもプロジェクトの最前線で活躍したい人であれば、特に意識して身に付けていくべきスキルだと考えています」
不足スキルに自ら気付き、弱点を克服し続けることで総合力は伸びていく
新しい技術を学ぶだけでも一苦労なのに、総合力を身に付けるなんて、本当にできるのだろうか。しかし「最初から完璧な総合力を身に付けている人なんていません。だからこそプライム・ブレインズでは、業務を通じて成長できる環境を整えています」と五反田さんは語る。
実際に、同社では総合力向上のために独自の人材育成制度を運用している。基礎的な業務遂行能力、プロフェッショナル業務遂行能力、設計・開発・技術力、マネジメント力の四つの領域に分かれた全14のスキルについて、各職階で目標とすべきレベルが定義されているのだ。
社員が自分自身のスキルレベルを自己評価した上で、「今期重点的に伸ばしたいスキル」を二つほどピックアップし、育成担当者とのすり合わせを行う。その後研修、OJT、資格取得などの計画を立て、年間を通してスキル向上を目指す仕組みだ。
「不足スキルへの気付きを促し、弱点を計画的に克服することによって総合力を身に付ける」と同時に「他者と差別化できる可能性のあるスキルをさらに磨くきっかけづくり」が制度の狙いであると五反田さんは説明する。
スキルアップに向けた取り組みは、これだけではない。
「社員はバラバラの現場で働いているので、ともすれば会社にナレッジが蓄積されません。そのため、プロジェクトで蓄積されたナレッジ、例えばアーキテクチャ構成事例、各種計画立案方法やスケジュール管理のやり方など、各プロジェクトでの取り組みを社内で積極的にシェアしています」
さらに同社では、お客さまの意向により難しいといわれる「現場ローテーション」にも力を入れている。
「各社員が伸ばしたいことに取り組めるよう、できるだけ担当現場をローテーションさせています。十分な引き継ぎ期間を当社のコストで負担し、お客さまの理解を得た上で交代を実現。
これは個別プロジェクトに関するナレッジの属人化を回避することにもつながるので、長期的に見ればお客さまにとってもメリットのある取り組みだと考えています」
人材育成制度、ナレッジ共有、現場ローテーション。これが、総合力が身に付くプライム・ブレインズの仕組みだ。「どんな時代のどんなプロジェクトにも通用するエンジニアの育成を目指しています」と五反田さんは夢を語る。
~Member’s Voice~
「仲間と共に総合力を磨ける現場」
続いて、同社社員の伊賀良太郎さんと髙木岳人さんに、プライム・ブレインズでどのように総合力を磨いているのか、現場の声を聞かせてもらった。
伊賀:私は8年ほどフリーランスでエンジニアをしていました。それまではIT技術の習得にばかり興味を向けていましたが、個人ではできない大きな仕事をチームでやりたいと思ってプライム・ブレインズに入社し、今年で13年目です。
現在は技術支援サービス部の部長を担当しつつ、現場プロジェクトを二つ兼務しています。一つはSIerの受託開発プロジェクトのプロジェクトマネジャーとして。もう一つは、ユーザー企業のIT戦略部に入って各種開発を支援しています。
部長、プロジェクトマネジャーと言ってもマネジメント専任というわけではなく、ITアーキテクトを兼任するような立場です。
高木:私もフリーランスで4年ほどエンジニアをしていて、知人の紹介で入社しました。今年で12年目になります。主な業務内容は、PM支援サービス部におけるプロジェクトの維持管理で、現場に入る社員の後方支援を担当しています。案件の状況によっては、設計・開発を担当することもあります。
伊賀:担当プロジェクトで作成した計画を社内でレビューする機会を設けてくれるので、社員同士でナレッジの共有ができるのはありがたいですね。また、進めているプロジェクトでトラブルが起きたときにも、一人では解決できそうにないことでも、社内に助けを求めると誰かしら答えを持っています。
私の場合、他のプロジェクトに技術面でのサポートを行うことが多いですが、逆に各種計画やプロジェクト運営面、顧客交渉面などにおいては、詳しい者にサポートを受けるケースも多いです。
そうやって仲間とともにトラブルを乗り越えたり、厳しい現場でさまざまな役割をこなす中で、総合力が磨かれていると感じます。
高木:私はフリーランスで活動していたときに、プロジェクトの流れ全体を知る機会があまりなく、一部分を担当することがほとんどでした。
しかし当社に入社してプロジェクトリーダーとして現場を任せてもらえるようになり、プロジェクト全体を俯瞰できるようになりました。そこでシステム開発や現場管理の「いろは」を学べたことが、今の自分の基礎になっていると感じます。
伊賀:現場では、お客さまのマネジメント層だけでなく、アプリケーションやインフラ、運用のエンジニアなどさまざまな立場の人とコミュニケーションを取ることになります。たくさんの関係者に信頼され仕事を進めるには、幅広い知見が欠かせません。
難しくはありますが、総合力があれば、お客さまとの関係性をしっかりつくることができるので、やりがいのある仕事だと思いますね。
それから同業種の会社によっては、現場にエンジニアが一人で放り込まれて、会社に帰ってきても誰も知らない……といった孤独な状況になりがち。でも当社では現場に出ていても、後ろには会社の仲間たちがいると感じることができます。
一人で黙々とスキルを磨くのではなく、常に仲間と切磋琢磨しながら力をつけていくことができるのは当社ならではのポイントですね。
高木:伊賀の言う通りですね。会社としてのバックアップはかなりしっかりしていますし、社員同士の距離感も近いので、声を上げれば上げた分だけ反応してもらえます。チャレンジしやすい土壌があるからこそ、エンジニアとして「できること」を増やしていきやすいと思います。
伊賀:やったことのないことを「できない」と言ってしまうと、それで終わりです。でも何にでもチャレンジしていく姿勢さえあれば、どんどん自分の幅を広げられる。自分次第でどこまでも成長できる環境が、プライム・ブレインズにはあると感じますね。
特に30代になってから「これからどうやって成長していこう」と自分の方向性を模索しているエンジニアにとっては、ぴったりの環境だと思いますよ。
取材・文/一本麻衣 撮影/竹井俊晴
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