この連載では、技術・組織づくり・経営・キャリアに詳しいIT業界の専門家たちが、社外メンターとして登場。エンジニアtype読者の“上司に言えない悩み”に、複数のメンターたちが回答を寄せていきます!
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エンジニア個人の「ストレッチ目標」はどう設定すればいい? メルカリ名村・SmartHR芹澤・スマニューたいろーが25歳SEにアドバイス
今回お悩みを寄せてくれたのは、25歳のSE。マネジャーから「自分の能力よりちょっと背伸びをした仕事を目指してほしい」と言われ、どう目標設定すればいいのか、悩んでいるそうです。 そこで今回は、メルカリCTO名村さん、SmartHR CTOの芹澤さん、スマートニュースのたいろーさんに「ストレッチ目標、どうやって設定したらいい?」と相談してみました。 四半期ごとの目標を設定するときに「自分の能力よりちょっと背伸びした仕事をしよう」と言われますが、具体的に何をすればいいのか分からなくて、いつも上司のアドバイス通りに目標設定してしまいます。 ストレッチ目標は、努力を引き出すためのものではなく、アイデアや考え方を引き出すことが目的。なので、「普通に考えて不可能であること」が大事です。 ストレッチ目標は会社によって考え方が違い、一概にこう、とは言えないため、あくまで個人的な観点で回答します。 僕が考えるストレッチ目標の意味は、単に「背伸びをしてより成長していこう」というものではありません。 ストレッチ目標を立てる最大の目的は、普通に考えると達成不可能な目標を置くことで、達成するために何が必要なのかアイデアを絞り出し、非日常的な思考を求めるところにあると考えています。 今の仕事の延長線上にストレッチ目標を置いてしまうと、単に仕事の時間を増やすなどの努力をすることが達成の手段になってしまいます。ストレッチ目標は、努力を引き出すためのものではなく、アイデアや考え方を引き出すことが目的であるべきなのです。 会社や組織、事業の成長には、常に発想の転換が求められています。ほとんどの事業は努力をするだけで勝てるような競争環境ではありません。 実は努力は最も簡単な手段なのです。そこで努力だけでは達成不能なストレッチ目標を置くことで、ゲームチェンジャーとなるような考え方やチャレンジを引き出すことができるのが理想ですね。 目標は達成するためにあるのではなく、達成のための手段を考えさせるためにあるべき。ですので、ストレッチ目標を立てるときは、まず「普通に考えて不可能であること」が大事だと思っています。 目標の対象となる期間だけで考えるのではなく、中長期的に見た理想形から逆算して、そこに近づけるものになっているかどうかを大切にしています。 エンジニアとしての目標設定ってとても難しいですよね! 「ちょっと背伸び」とはよく言われますが、究極のところ、ちょっと背伸びしていたかどうかなんて、他人はおろか自分でも分からないんじゃないかと思っています。 目標は、大きく「組織への貢献に関するもの」と「個人の成長に関するもの」に分けられるかと思いますが、今回は後者についてお話します。 僕が個人の成長目標を考える上で大切にしていることは、「中長期的に見た理想形から逆算して、そこに近づけるものになっているかどうか」です。目標の対象となる期間だけで考えるのではなく、もうちょっと長いスパンで見た時の一部分として考えるのです。 この時のポイントが二つあって、一つは「理想の姿は、心の底から目指したいワクワクできるものにする」ということです。これは、その理想を追うモチベーションを保ち続けられるかどうかという点で非常に大切になります。あまりにも簡単に達成できてしまうようなものでもダメですし、到底不可能な非現実的なものでもダメです。頑張ればできそう、というワクワク感を意識してみてください。 もう一つは「ゆっくりでもいいので、着実に理想に近づけるように逆算する」です。成長には何かしらの苦痛が伴うもので、油断するとその挑戦は放棄されがちです。一つ一つのステップは簡単なものにして、とにかく歩みを止めないことを意識してみてください。 エンジニアの目標設定では、目的と手段とのつながりが曖昧にされてしまっているケースが見受けられます。まずは目的を確認した上で、「理想的な状態」を思い描いてみましょう。 目標設定は、どこまで上手くやっても人間の主観が入ってくるので、エンジニアからすると曖昧で気持ち悪いですよね。 ただ、厳密さを求め過ぎると「目標設定に時間がかかって業務が進まない」という本末転倒なことになりがち。そこで、始めは「会社や事業に貢献するための目標設定」について考えてみましょう。 まずは「目標=Target」の前に、今まさに焦点を当てようとしている「目的=Objective」が会社や事業を成長させ、お客さまへの提供価値につながるのか確認してください。 営業やマーケティングなど、直接売上や費用に関わる職種であれば貢献も見えやすいですが、エンジニアの目標設定では、目的と手段とのつながりが曖昧にされてしまっているケースが見受けられます。なので、まずは目的を確認した上で「何のためにこれをやるのか」という仮説に納得感があるか確認しましょう。 ある程度納得できるようであれば、次に、設定した目的が達成された「理想的な状態」を思い描いてみましょう。到達まで何カ月〜何年も掛かりそうな場合は、ゴールから逆算して複数のフェーズに分けて、それぞれの到達点をマイルストーンとして設定。 ここまで来ると、自分にとっての「ちょっと背伸びしないと難しそうだな」という目標、つまりたどり着きたい状態への到達難易度が、「技術的な難易度」と「期限的な難易度」に分けて考えられるはずです。 株式会社メルカリ 執行役員CTO 1980年生まれ。小学生の頃からプログラミングを始め、大学はコンピュータ・サイエンスを専門とする会津大学へ進学。コンピュータ理工学部へ進み、在学中からSIerでシステム開発を行う。2004年、大学を中退した後はSIerに就職、その後サイバーエージェントに入社。リードエンジニアとして『アメーバピグ』『AbemaTV』など主要サービスの開発に携わる。16年メルカリに入社。US版メルカリの開発などを担当。17年4月に執行役員CTOに就任 株式会社 SmartHR 取締役・CTO 2011年よりナビゲーションサービスを運営する会社にて、経路探索や交通費精算、動態管理といったサービスを支える大規模なWebAPIの設計と開発に従事。16年2月にSmartHR入社、開発業務のほか VPoE としてエンジニアチームのビルディングとマネジメントを行う。20年11月現職に就任し、現在はプロダクト開発・運用に関わるチーム全体の最適化やビジネスサイドとの要望調整を担う スマートニュース株式会社 Technical Product Manager 早稲田大学卒業後、リクルートで人事・営業などを経験した後、エンジニアに転身。新サービスの立ち上げやビズリーチでの求人検索エンジン開発などを経てメルカリに参画。Head of Data/AI/Searchとしてメルカリの検索アルゴリズム改善やAIを活用した新機能の開発、Machine Lerning Engineer組織を統括した。2020年より現職。AIを活用したダイナミック広告のプロダクトオーナーとして開発のマネジメントを担っている。■ブログ:ユニコーン転職日記、■voicy:ユニコーン転職ラジオ、■note:たいろーのnote 『エンジニアWebメンタリング』では、読者の皆さまからの悩みを随時募集中! エンジニアtypeの「メンターズ」たちに相談したい内容を、下記のフォームから募集中!今回のお悩み:自身のストレッチ目標、どう設定したらいい?
皆さんは、自分の「ストレッチ目標」はどのように設定しているのでしょうか?名村さんの回答
芹澤さんの回答
たいろーさんの回答
メンターズプロフィール
名村卓さん
芹澤雅人さん(@masato_serizawa)
森山大朗さん(@tairo)
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