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「筋トレは、次の問題に挑む勇気をくれる」筋肉エンジニア・Masaが気付いた、仕事とトレー二ングの良い関係

働き方

    仕事のストレス、リモート疲れ、運動不足に暴飲暴食……良くないと頭では分かりながら、つい目を背けてしまいたくなってしまう自分の体のこと。

    今回話を聞いた“筋肉エンジニア”Masaさんも、5年前までは「仕事のストレスで暴飲暴食、どんどん悪い方向に変わっていく自分の体に愕然とした」という。

    しかしあるきっかけで“筋トレ沼”にハマってからというもの、仕事にもプライベートにも好影響が。

    いまやベンチプレス100キロを持ち上げ、“筋肉エンジニア”として支持を集めるMasaさんに、「疲れない心身づくり」が仕事に与えてくれたことを聞いた。

    プロフィール画像

    Masaさん(@maaaato

    新卒でSIerに入社。その後、ゲーム会社やITベンチャーにて、主にサーバーサイドを担当した。現在はプロジェクト管理ツール『Backlog』などを運営するヌーラボでインフラエンジニアとして活躍

    “筋トレ沼”のきっかけは、ストレス・暴飲暴食・体重増加……

    新卒でSIerに入社し、ゲーム会社やITベンチャーなどで主にインフラ・サーバーサイドを担当してきたMasaさん。

    「無理して働いても、効率が下がるだけ」と考え、仕事のストレスに気を付けていた方ではあった。

    それでも4~5年前までは、膨大な業務量を抱え、徹夜で仕事をしたり、暴飲暴食に走ったりして疲労をため込んでしまうことも少なくなかったという。

    「SIerやゲーム会社は納期に追われた働き方も多い業界ですし、スタートアップにいた頃はちょうどサービス立ち上げの時期だったので、すっごく忙しくて。ろくに眠れなかったですし、これまでにないほど、ストレスと疲労を抱えていました。

    楽しみと言えば、会社帰りに居酒屋に寄ることくらい。毎日のように店に通い詰めて、暴飲暴食の生活を続けていて。それが体に悪いとは分かっていたけれど、自炊する暇も体力も残っていない。見ないふりをしていたら、お腹まわりがやばいことになってきたんですよね。

    30代を迎える頃だったので、『このまま放置したらまずいことになるぞ』と漠然と不安になりました。周りの同僚も同じように、仕事による不規則な生活で暴飲暴食を繰り返していたので、『まずはダイエットから始めよう……』という話になったんです」

    Masaさん

    暴飲暴食しまくっていた当時のMasaさん

    しかし、いきなり生活を変えるのは難しい。できるだけストレスなく、体質を改善するには何かしらの工夫が必要だ。そこでMasaさんは、同僚のエンジニア2人と「2カ月で誰が一番体脂肪率を落とせるか」を競うダイエットを開始した。

    「まずはスタンダードに、食事制限と軽い筋トレをしてみたんです。何となくの知識で、腕立て伏せを10回。最初はそれだけでもハァハァ言っていました。でも次第に回数がこなせるようになり、次はダンベルに手を出し、持ち方を変えてみて……としていると、いつの間にか工夫していくのが楽しくなったんですよね」

    一緒にダイエットを始めた同僚エンジニアたちとは、Slackで進捗状況を共有して、情報交換をし合った。

    「僕は筋トレと食事制限を同時並行でやっていましたが、1人は食事中心、もう1人は全然ごはんを食べなかったようです……。良くも悪くもですが、それぞれやり方が違って成果も当然異なる。Slackを通してリアルタイムに状況を報告し合うのは単純に楽しかったですね」

    日々のタスクを記録し、数値を図り、仮説検証を繰り返す。それはエンジニアの仕事にも近しいものがある。ダイエットのPDCAサイクルをまわすのが楽しくなったMasaさんは、次第に筋肉に関する書籍を読みあさるようになり、自らトレーニングメニューを作成して実行し続けた。

    結果、2カ月のダイエットでは体脂肪が3%、体重は5kgも落ちたのだという。

    仕事のストレスは「いい仕事」でしか解消されない

    Masaさん

    2カ月のダイエットバトルを経て、Masaさんは本格的に“筋トレ沼”にハマった。

    「始めは自宅で腕立てする程度だったのに、気付くと24時間運営のジムに、週に5回通い詰めるようになっていました(笑)。当初50キロしか上げられなかったベンチプレスが、次第に70キロ、90キロ、ついに100キロまで上げられるようになって、楽しくてしょうがなかったですね。次第に体も締まってきたし、それまで職業病だと思って諦めていた肩こりもなくなりました」

    筋肉がついたことにより、肩こりがなくなり、疲れにくくなった。そんな身体的な影響に加えて、筋トレは意外なところでも良い効果を生み出し始めた。

    会社の中で『筋トレキャラ』として認識されるようになったんです。『プロテインって何飲んでますか?』『どんな運動がオススメですか?』と、以前よりも気軽に話しかけてもらえるようになりました。

    そしてエンジニアの中には意外と、筋トレ好きが多いということも分かりました。『筋肉エンジニアコミュニティー』で、同じような属性の人とつながれるようになって。筋トレ、技術のことを発信してリアクションをもらえるのはすごくうれしかったです」

    そして何よりも筋トレは、たとえ仕事がうまくいかなかくても、それを乗り越える「勇気」を与えてくれると続けた。

    「仕事でトラブルが起きたりミスをしてしまったり、『あの時、ああすればよかった』と後悔することはよくありますし、そのストレスが他の仕事にも悪影響を及ぼすことってあると思うんです。でも僕の場合、仕事のストレスは結局『次はもっといい仕事をする』ことでしか解決できないんですよね。

    そんな時に、過去のことでクヨクヨせず、再び強い気持ちで仕事に挑むために、筋トレの力を借りるんです。

    筋トレをしたから問題が解決するわけではないのですが、それに向き合う勇気をもらえるというか。トレー二ングに気持ちをぶつけて、『次はこの重量を上げるぞ』と取り組んでいくと、ものすごい達成感が得られます。そうやって、自分の肉体と心をリフレッシュするようになりました」

    筋トレを通じて気付いた「人と比べる」ことの無意味さ

    Masaさん

    コロナ禍では自宅に器具を買い、トレーニングに励んだそう

    トレーニングを続けているうちに、「人と比べないこと」の大切さにも気付けた。

    「例えば、隣にいる若い人が120キロのベンチプレスを上げていても、自分と比較して落ち込む必要はまったくないですよね。筋トレは、自分が決めた目標に対して日々どんなトレーニングをどれだけやろうかと考えるしかありませんから。

    それは仕事にも通じています。私も筋トレを始める前は、他人と比べがちな性格だったんですよ。でもプログラミング能力も高くて、インフラもマネジメントもできるスーパーエンジニアみたいな人と、自分を比較する必要はないなって。

    それよりも自分の強みを見つけ、目指す方向性を決めて、階段をしっかり上っていくこと。そう思えるようになったのは、筋トレのおかげだと思います」

    日々のトレーニングが、自分自身の仕事観を変えた。そう実感したMasaさん、最近ではパーソナルトレーナーの勉強を始めて、いっそうその学びを深めているのだという。

    「パーソナルトレーニングの勉強を進めていると、人に教える楽しさと難しさを実感します。例えば『肩甲骨を寄せてください』と言っても、ぱっとポーズを取れる人もいれば、『肩甲骨ってどこですか?』と困る人もいる。

    どうすれば相手に分かりやすく説明できるのか、それは仕事でも同じです。エンジニア同士では簡単に伝わる話も、他部署の人だと、『言っている意味が分からない』と言われるのはよくあること。言葉の選び方や、前提知識の確認をしっかり行うなど、以前より『分かりやすいコミュニケーション』を意識するようになりました」

    以前のような、職場と居酒屋を往復するような日々を「楽しかった」と振り返りつつも、「今は毎日のトレーニングが、自分の人生に欠かせなくなった」というMasaさん。

    筋トレは、健康な体だけではなく、前向きな気持ちにもつながってくるもの。Masaさんにとっては、日々の「いい仕事」のためにも欠かせないものなのだ。

    おまけ:これから筋トレに挑戦したい人は……

    Masaさん

    取材の最後に、「これから筋トレに挑戦したい人」は、何から手をつけたらいいのか聞いてみた。すると「なるべく自宅で、何も道具を使わない方法でスタートした方が良い」とMasaさん。

    「いきなりジムに行かずに、その場で腕立て伏せをすることをおすすめします。これならお金もかかりませんし、どこでも何時でもできますから。

    はじめからジムに行っても、周りのすごい人たちに囲まれて萎縮してしまうと思うので。まずは、『自分の世界の中で始める』がポイントです。

    続けていくうちに楽しくなってきて、『もう少しこういうことをやってみたい』と思ったタイミングで、ジムを見学してみたり、ダンベルなどの器具を買ってみたりするのがいいのでは。

    もし自分一人では続かないかも……と不安があるなら、SNSのハッシュタグチャレンジに参加してみるのもいいと思います。例えば『#30日スクワットチャレンジ』など、日数を決めて簡単な筋トレを続けるハッシュタグがはやっていますから」

    まずは『自分の世界で続ける』こと。それを習慣化することが、「自分のメンテナンス」につながっていくのだ。

    取材・文/キャベトンコ 編集/大室倫子(編集部)

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