市場規模1兆円を超えるリユース市場において、業界の覇者として躍進を続けてきたメルカリ。「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という揺るぎないミッションを掲げる同社は、今年で創業9年を迎える。そんな彼らが次のステージとして見据えるのは、世界に引けをとらない「グローバルテックカンパニー」の地位だ。本特集では、進化を続けるメルカリの現在地と未来をお届けする
フリーランス歴13年→メルカリEMへ。会社員復帰の決め手となったメルカリの「解きがいのある課題」
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メルカリは「世界で戦えるエンジニアリング組織」をつくるべく、この数年でエンジニア採用を強化してきた。
特に、世の中にあるさまざまなニーズに応えるために、多様性に富んだチームづくりを重視。年齢、国籍、経歴といったバックグラウンドにとらわれず、メルカリをスケールする力を持ったエンジニアを集めている。
そうした中、2020年6月に同社のバックエンドチームに入社したのは、13年間フリーランスエンジニアとして活躍していた大野晋さんだ。
本記事では大野さんと、彼をメルカリに誘い、現在は彼のマネジャーを務める後藤秀宣さんによる対談を実施。大野さんの転職背景や「内定のポイント」を振り返ってもらった。
大野さんは長年のフリーランス期間を経て、なぜこのタイミングでメルカリに正社員としてジョインしようと考えたのか。そこには、彼の心をくすぐる「解きがいのある課題」があったという。
(1)大規模プロジェクトをリードした経験
(2)複雑な課題を解いて、自らの手で前に進めたいという気概
(3)局所最適ではなく「本質的な課題」に目を向ける姿勢
転職動機&入社の決め手:事業会社で、コアな意思決定に関わりたい
大野:ええ。新卒でWebサービスの内製化支援を行う「ゆめみ」という会社に入社し、1年半ほど務めた後に一度大学院に戻って、それからは13年ほどフリーランスでした。
ただ、フリーランスとはいえ最後の6年ほどは、ほとんどゆめみで働いていたんですよ。業務委託としてアプリ開発全般、リーダーポジションなどいろいろ任せてもらって、時には採用面接を行うこともありました。
業務委託ながらも技術的なチャレンジや責任のある仕事を任せてもらえることに喜びを感じてはいたのですが、受託先の事業に関する意思決定などの深いところまで関わり切れないところに葛藤もあって。
「自分ももっと事業やプロダクトの意思決定の部分から担っていきたい」という気持ちが募り、事業会社への転職を考え始めました。
大野:幸いにも数社からお声掛けをいただいて、3~4社くらいとカジュアル面談……というよりも、もっとラフなかたちでお話をさせてもらいました。そのうちの一人が後藤さんで。
後藤:実は大野さんとは10年以上の付き合いなんですよ。PHPのコミュニティーを通じて度々ご一緒する機会に恵まれて、地元が同じということもあり、仲良くさせてもらっていたんです。
コミュニティーや勉強会での様子を通じて彼の人となりや技術力も知っていたので、前々から「いつか一緒に仕事をしたい」と思ってはいたんですよね。それで、2018年に僕がメルカリに転職し、EMとして採用に関わるようになってから、何度かアプローチをさせてもらっていました。
しばらくはタイミングが合わなかったんですが、先ほど大野さんが言っていたような気持ちが芽生えたタイミングで、ようやく「ぜひメルカリで働きたい」と、転職の意向を伝えてくれたんです。
大野:いろいろと理由はありますが、事前に後藤さんから聞いていた「メルカリの課題」が面白そうだと感じたからですね。
もともとゆめみで大規模プロジェクトを担っていたので分かるのですが、プロダクトが巨大になると複雑さが増してなかなか物事が進まなかったり、調整が大変だったりするじゃないですか。
これまでは受託開発ということもあり、そうしたシーンで自分の責務の範囲外だと遠慮してしまって積極的に取り組めなかったのですが、メルカリならこれまでの知見やスキルを活かしながらも、大きな課題を意志を持って前に進めることができる。きっと、貢献できることが多いのではと感じたんです。
それに、前々から後藤さんと働きたいとは僕も思っていたので、声を掛けてもらえてうれしかったですね。
採用の決め手:複雑に絡まった問題を柔軟に解き明かせるか
後藤:出品アイテムやユーザー管理、取引など『メルカリ』の中核を支えている機能のバックエンドを任せられる人を探していました。
大野さんが入社された2020年半ばごろは、ちょうどマイクロサービス化に全力を注いでいるフェーズ。順調に切り離しが進んだ領域もあった一方で、中核機能の基盤領域などは、ソースコードや組織の課題が複雑に絡み合っていたため、モノリスのまま取り残されていたんです。
ただ、会社やプロダクトをさらにスケールさせていく上では改善を進めなければなりませんでした。
そうした背景から、複雑化した課題を、一度きれいに解きほぐしてから取り組み直すことができる人が必要とされていて。
具体的には、難解な課題を解くことにモチベーションがある人、かつステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取りながら物事を前に進められる人間力を兼ね備えた人。
エンジニアとして設計・コーディング能力がシニアレベルであることは当然として、ソフトウェアにとどまらない問題を解決していける人を求めていました。
後藤:ええ。大野さんはフリーランスの期間が長いですが、大規模なプロジェクトをリードした経験が豊富にあり、また組織課題のとらえ方がとても芯を突いていると感じていました。
大野さんは、「『メルカリ』の出品アイテムや取引機能の開発に早いうちに関わりたい」という考えを持っていたんです。
これらは『メルカリ』の中でも特に中心的な領域。そこを初めに把握できれば、『メルカリ』のどんな開発のことも理解できるようになるはずだと、大野さんは仰っていて。自身の担当領域を超えて全体や未来を俯瞰できていて、素晴らしいなと思いましたね。
大野:フリーランス時代の経験から、ですね。以前担っていた大規模プロジェクトでは、フロントエンドが落ち着いたらバックエンド、それが終わったらiOSアプリ……と、かなり横断的な立場で関わっていたんですよ。
関わる箇所が変わると言語や技術はリセットされるものの、プロダクトの性質やローカル知識などは活かすことができるので比較的学びやすいし、いろいろな領域を担ううちにプロジェクトの全容が分かってくるんです。するとビジネスの状況もソースコードについても、意思決定の背景も見えてくる。
そういう実体験があったからこそ、最も中核な機能ともいえる出品アイテムやユーザー、取引の部分を最初に担うことは、あとあと強みになると思ったんですよね。
後藤:今のフェーズのメルカリでは、与えられた狭い領域だけで仕事をする人よりも、全体をとらえた上で、そこから必要なことは何かを考えられるような人が必要とされています。
「難易度が高くても、課題が複雑でも、まず本質的な問題を解いていこう。」そういう考え方はメルカリのエンジニアとして求められる行動に合致していると感じました。
入社後の成長:チームのパフォーマンスを最大化させることの難しさと醍醐味
大野:入社してからは、マイクロサービスとモノリスの部分両方が入り組んだコアな領域を手掛けています。「やりたいことの両取り」ができて面白い反面、覚えなければいけないことが大量にあるので、大変さはありますね。
例えば僕らのチームが担っている「商品情報」のマイクロサービスは、写真や出品、検索、フロント領域のマイクロサービスなどさまざまな領域とつながっています。いくらマイクロサービスとはいえども、下手な変更をしてしまうと多方面に影響を及ぼしてしまう。
簡単には進められないもどかしさを感じることもある一方で、それだけ大きな領域を担っているという、責任とやりがいを感じます。
後藤:大野さんが入社して2年弱ですが、この期間だけ見ても大野さん自身の大きな成長を感じます。
そもそもソフトウェアエンジニアとして入社して、途中からEMになってもらったのですが、自分を変えるべきだと気付いて、実際に変えようとして、本当に変化したところがすごいなと思っています。
ただ、変化の過程でなかなかうまくいかずに苦しんでいるときは、僕も苦しかったですね。そういう時は「もう一段階ここを乗り越えて、こういうことができるようになってほしい」と、こまめに期待を伝えるようにしました。
大野:EMを任された時、組織としてパフォーマンスを最大化することと、個人としてチームをリードしていくことの違いに少し戸惑いを感じていたんです。
もともとソフトウェアエンジニアなので、どうしても自分でやってしまいたくなるんですよね。タスクを担当してくれるメンバーが見つからないと、つい自分で手を動かしてしまい、その結果タスクを抱え過ぎてしまうことも……。
そこである時マネジメント方法を変え、KPT(※)などを取り入れてチームをエンパワーすることを意識した結果、メンバーがどんどん自発的にタスクを拾ってくれるようになって。
その結果、より重要なことにフォーカスできるようになりました。
※KPT:振り返りのフレームワーク。取り組みの中から「Keep(継続すること)」「Problem(課題)」を洗い出し、「Try(次の取り組み)」を決める手法
自分の強みを発揮できるようになったのは、入社して半年後くらいからだと思います。メルカリが直面している複雑なプロダクトを解体するプロジェクトのリーダーとして抜擢されたことをきっかけに、大規模プロジェクトに関わってきた経験や、プロジェクトを推進する強い意志を活かせるようになりました。
大野:最初にEMになった時、チームは僕も含めて2~3名と小規模なものでした。でも今は新しいメンバーがどんどん増えきて、徐々にチームとしての社内での影響力も増してきています。
今後もチームのケイパビリティを高めながら、個人としてもチームとしてもメルカリのスケールに貢献していきたいですね。
また、個人的な目標としては、「今のチームのようなチームを、また一からつくること」にチャレンジしてみたいです。まぐれで終わりではなく、再現性があるかどうかを試したいなと。
そのために、他のチームのマネジメントなどにも挑戦していけたらいいですね。
後藤:大野さんはすでにメルカリのエンジニアのロールモデルの一人になっているので、今後もより不確実性の高いプロジェクトをリードしていってほしいですし、影響範囲も大きくしてほしいと思っています。
役職だけでなく、実行能力や実績を積み上げて、より大きなものごとを動かしてもらいたいですね。
大野:組織のマイクロサービス化を突き詰めていくと、一つ一つのマイクロサービスを、オーナーシップを持って、デザイン・開発・メンテナンス・問題解決していく必要があります。そして、その責任は各チームにある。
マイクロサービスごとに高いレベルでサービス開発をしていくためには、オーナーシップを持てる人がいいのではないかと思いますね。
後藤:僕は二つあると思っていて、一つは、「強い責任感」です。
メルカリはこれから世界基準のテックカンパニーを目指していくというフェーズにあります。これを実現するためには、エンジニア一人一人が自分の責任の外にあることも含めて物事を思考し、進めることが欠かせません。強いオーナーシップや、実行責任の意識を持ってほしいですね。
それから、もう一つは「メンテナビリティーへの意識」です。『メルカリ』をこれから10年、20年成長させ続けるには、一つの機能を長い間維持し続けることが必要。ソフトウェアがどうなっているべきか、周辺の仕組みがどうなっているべきかというところまで、考えられるエンジニアの皆さんと一緒に働けたらうれしいです。
取材・文/石川香苗子 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)
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