アイキャッチ

モビリティーの進化からイメージする「これからの仕事」とキャリア【連載:澤円】

働き方

プロフィール画像

株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

皆さんこんにちは、澤です。

今回のテーマは「モビリティーとテクノロジーからこれからの仕事をイメージする」です。

蒸気機関開発は産業革命に大きく貢献し、蒸気機関車や蒸気船などで使われるようになり、交通革命も同時に起きましたよ、という話は小学校の頃に習った記憶がぼんやりあります。

人間が行う経済活動の中で、移動というものの果たす役割が極めて大きいことは、いうまでもありません。

さまざまな最新のテクノロジーは、移動手段そのものや、移動中に快適に過ごせるシステムにどんどん応用され続けています。

以前読んだ記事の中で、トヨタの豊田章男社長が「将来のトヨタのライバルは、IKEAになるかもしれない」という発言を目にしたことがあります。

この発言の背後には、「自動運転が進むことで自動車のありようが変わり、『いかに車内での寝心地の良さを追求するか』が大きな差別化ポイントになった場合、IKEAの方が多くの知見を持っている」というコンテキストがあるようです。

テクノロジーの進化は、モビリティーに多様な影響を与えそうであることをすでに感じ取っているあたり、さすがは豊田章男社長だなと感動しました。(実はファンなのです)

クルマには、本当に多くのテクノロジーが取り入れられている

ボクはクルマに乗ることが趣味で、現在5台所有しています。(といっても、軽自動車や中古の国産車ばかりですが)

ボクにとっては、クルマは単なる移動手段ではなく、乗っている体験そのものも含めて楽しむもの、という位置づけです。

持っているクルマは33年物の古いマニュアル車から、クルマ全体がセンサーの塊みたいなものまであるので、テクノロジーの振れ幅も含めて楽しめています。

そして感じるのが、「本当にクルマは多くのテクノロジーが取り入れられているんだな」ということです。

それも、多くのテクノロジーが「組み合わさっている」ということです。

そして、その組み合わせのパターンが多くなればなるほど、ビジネスとしては難易度が上がってきます。

よくボクが引き合いに出すのは、フェラーリとテスラのダッシュボードの比較です。

フェラーリ
テスラ

まったく印象が違いますね。

そして、エンジニアとしてはここで「自分ができる仕事」をぜひイメージしてみてください。

フェラーリのダッシュボードには、多くのスイッチが搭載されていますよね。

となると、クルマとしてはそのスイッチ類を「連動させる」仕組みが必要になってきます。そうなると、「どのような信号をどのように受け取って……」というパーツから出てくるデータの収集システムが必要になります。

一方テスラは、大きなタッチディスプレイにあらゆる操作が集中されています。

データの入力は一か所なので、ソフトウェアで処理された情報を、いかにして駆動系や制動系のクルマ本来の機能へ伝えていくかが求められます。

また写真には全く写っていないものにも想像力を働かせてみましょう。

フェラーリとテスラのダッシュボードを比較すると、パーツの量が全く違うことが分かります。

そうなると、フェラーリは圧倒的に「サプライチェーンが複雑になる」という宿命を負うことになります。

ボタンやダイヤルが一つでも欠品していたら、新車は完成しません。

そうなると、膨大なサプライチェーンを精緻に管理するシステムが必要になるな……と想像することができます。

ボクはクルマの設計については専門家でも何でもないのですが、上記のような情報はクルマにまつわる仕事をしている人たちの話をいろいろ聞いて、自分なりにまとめた「仮説」です。

この仮説に従って考えていくと、「自分が役に立つ場面」を想像することができるかもしれません。

「解決するためのテクノロジー」を考えてみる

最近は、異業種間での転職をどんどん後押ししていこうという動きがあります。

というのも、少子高齢化が進み、労働力減少が不可避な今、自分の業界だけで人材を確保する難易度が上がる一方だから。

また、冒頭の豊田章男社長の言葉にあるように、ビジネスの在り方も業界の垣根を飛び越えたものに今後どんどんなっていくことでしょう。

キャリアを考えるためには、まずは目の前にあるものをじっくり観察して、そこに潜む社会課題や、解決するためのテクノロジーについて思いをはせることも大事ではないかと思います。

ボクは世田谷区と山武市で二拠点生活をしているのですが、モビリティーというキーワードで観察してみると、いろいろな課題が浮かび上がってきます。

両方に共通している課題は、「高齢化」。

これには自動運転が課題解決のカギになりそうです。

そして、世田谷区の課題は「道が狭い」こと。

となると、自動運転をする乗り物はかなり「細身なデザイン」の方がいいかもしれません。

自動走行車には、小型のモーターやバッテリーが必要になり、それを管理するシステムの開発が必須になりますね。

そして山武市の課題は「人口が少ない」こと。

メンテナンスのための人員を常駐させるには、ROIの観点で割に合わないかもしれません。

となれば、自動アップデートの機能や、GPSを使っての見守り機能などの充実が重要なポイントになりそうです。

と、あれこれ考えるのは楽しいものです。

ぜひ、皆さんの周りをじっくり観察してみてください。

エンジニアとして活躍できる領域が見えてくるかもしれませんよ!


澤円
▼澤円氏 最新書籍『「やめる」という選択』(日経BP)

自分に嘘をつかない、
無理はしない。
だから、可能性が広がっていく。

マイクロソフトを卒業して、
自分らしく生きる僕が大事にしていること

>>詳細はこちら

Xをフォローしよう

この記事をシェア

RELATED関連記事

RANKING人気記事ランキング

JOB BOARD編集部オススメ求人特集





サイトマップ