コロナ禍、災害、ウクライナ危機などの影響を受け、深刻化する日本のエネルギー不足や物価高騰。まさに“激動の時”を迎えるエネルギーテック業界の動向や、日本のエネルギー危機に立ち向かうエンジニア・研究者たちの仕事魂を紹介する
電力不足に技術力で立ち向かう!「節電の夏」に注目したいエネルギーテック企業5選【2022上半期 資金調達額ランキング】
ロシアによるウクライナ侵攻に対する欧米諸国の制裁を受け、天然ガスや原油などの価格が高騰。電気料金も値上がりし、産業界や一般家庭の懐は打撃を受けている。
非資源国といわれる日本では、エネルギー調達手段の確保やいかに効率的に消費するかといった課題の解決が待ったなしの状況だ。
そんなエネルギー関連の課題にテクノロジーの力で向き合う「エネルギーテック」企業への期待が高まっている。
そこで今回は、資金調達額ランキングで今注目のエネルギーテック5社をピックアップ。今後、テクノロジーの力で日本のエネルギー業界にイノベーションを起こしそうな可能性あふれる企業の事業内容を紹介しよう。
(ランキング引用元:国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2022年1月-5月) (startup-db.com))
1位 クリーンエナジーコネクト
太陽光発電所を運営するクリーンエナジーコネクト。同社によると、国内では大規模な太陽光発電所の設立に適した土地がすでに枯渇している。
こうした背景を踏まえ、同社では遊休地に比較的小規模な太陽光発電所を開発し、発電した電力を束ねて企業向けに長期的に提供している。
日本は2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げており、企業の再生可能エネルギー需要は大きい。
クリーンエナジーコネクトは企業と長期契約を結んで電力を供給する「オフサイトコーポレートPPA(バーチャルPPA)」などの枠組みを用いて、産業界における電力の安定調達に貢献している。株主には伊藤忠商事も名を連ねるなど、注目されている企業の一つだ。
2位 シェアリングエネルギー
初期費用無料で太陽光発電システムを設置・利用できるサービス『シェアでんき』を展開するシェアリングエネルギー。
『シェアでんき』では利用者の敷地に太陽光パネルを無償で設置し、発電した電力を比較的安い価格で販売する。パネルは利用から15年が経過した時点で譲渡してもらえるため、以降は売電収入も見込める。
太陽光発電は高額な初期費用やパネル設置にかかる手間がネックとされている中、資金の少ない人のニーズを取り込む。また、個人間での太陽光発電による電力売買に向け、ブロックチェーン技術を活用した電力取引の実証事業も進めるなど、今後の取り組みからも目が離せない。
3位 自然電力
自然電力はその会社名の通り、太陽光や風力、小水力といった自然エネルギー発電所の発電事業を展開する。
自然エネルギー発電所の設計や建設、運営・保守、アセットマネジメント、小売り事業など、設置・運営にかかわる一連の業務すべてを担う。
サービスの展開先は日本全国にとどまらず海外まで及び、フィリピンでは150メガワットの出力の風力発電所、ベトナムでは35メガワット出力の太陽光発電所など、豊富な実績を持つ。
先行き不透明な世界情勢や自然環境保護の意識が高まり、再生可能エネルギーへの必要性が叫ばれるなか、発電所関連のあらゆる業務に精通した自然電力の存在感はますます強くなっていくだろう。
(参考:自然電力グループ 公式サイト)
4位 パワーエックス
パワーエックスは、洋上風力発電の電気を運ぶ船舶の開発を手掛けている。設立は2021年3月とスタートアップの中でも新しいが、堂々の5位にランクインした。
日本郵船や三井物産といった大企業から出資を受けるなど、期待度の高さがうかがえる。2025年に初号船の完成を目指しており、成功すれば海底ケーブルで電力を運搬するより費用や時間といったコストを節約できる見通しだ。
独自の蓄電池開発にも取り組むなど、高い技術力も武器の一つ。伊藤正裕取締役兼代表執行役社長CEOはZOZOの取締役兼最高執行責任者(COO)で『ZOZOSUIT』などの開発を主導した経験を持つ。豊富な経験を生かせるか、手腕が問われている。
(参考:株式会社パワーエックス 公式サイト)
5位 エリーパワー
最後に紹介するのは大型リチウムイオン電池および蓄電システムの開発を手掛けるエリーパワーだ。
蓄電池および蓄電システムの専業メーカーとして、安全な大型リチウムイオン電池を世の中に提供し、普及させることで、環境問題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与している。
同社の蓄電システムは高い安全性と信頼性が評価され、住宅を中心に、セキュリティー、通信、病院・介護福祉、官公庁、移動体用途など、さまざまな業種・業界で選ばれている。創業以来“電池起因の重大事故ゼロ”という実績もその評価の証だ。
(参考:エリーパワー株式会社 公式サイト)
地球と人を救うエネルギーテック業界で加速するITエンジニア採用
今回紹介したエネルギーテック企業5社は、自然エネルギーを活用した新しい発電システムを構築するなど多種多様な手法でエネルギー問題の解決に取り組んでいる。
また、『エンジニアtype』が2022年6月に行ったエネルギーアナリストの大場紀章さんへの取材によれば、「エネルギー業界においてもDX推進の流れが加速する中で、ITエンジニアの活躍の場も増えている」という。
>>“節電テック”領域でITエンジニアのニーズが高騰。エネルギーの専門家が解説する脱ロシア依存で注目される新テクノロジー
日本では今年の夏、それから次の冬も電力の逼迫が危惧されている。また、2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標もあり、自然環境保全に対する意識もますます高まっている。
成長業界で社会貢献性の大きな仕事がしたいエンジニアにとって、エネルギーテック業界で働くことは有力な選択肢になるのではないだろうか。
取材・文/まゆ
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