アクセンチュア株式会社 Technology for Living Systems
マネジャー Nozomi.Hさん
大学卒業以降、エンジニアとして数社で勤務した後、2017年アクセンチュアに中途入社。クライアントや社内の各部署に対し、ワークフローやAIなどを用いた業務効率化を推進。20年に新設されたTechnology for Living Systems組織立ち上げメンバーとして参画し、現在ではマネジャーを務める
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総合コンサルティング企業の中でも、特にテクノロジー分野で圧倒的な存在感を誇るアクセンチュア。彼らが2020年に立ち上げたテックチーム「Technology for Living Systems」(以下、TfLS)は、インテリジェントオートメーションのスペシャリスト集団。
国内企業の「Living Systems(進化し続けるシステム)」の実現をサポートするソリューション設計や、システム開発、デジタルソリューションを組み込んだビジネス設計をサポートする。
近年、業界・業種を問わず、あらゆる企業がDX推進を掲げ、コンサルティング・ITに関連する各社がこぞって専門チームを新設してきたが、「TfLSは従来のDX専門部隊とは明確な違いがある」と、同チームでマネジャーを務めるNozomiさんは解説する。
一体その違いとは何なのか、TfLSチームがなぜ時代の変化に柔軟に対応できる高品質なシステムをスピーディーに開発・提供できるのか、その理由とあわせて聞いた。
アクセンチュア株式会社 Technology for Living Systems
マネジャー Nozomi.Hさん
大学卒業以降、エンジニアとして数社で勤務した後、2017年アクセンチュアに中途入社。クライアントや社内の各部署に対し、ワークフローやAIなどを用いた業務効率化を推進。20年に新設されたTechnology for Living Systems組織立ち上げメンバーとして参画し、現在ではマネジャーを務める
「『Living Systems』はアクセンチュアの造語で、ビジネスの変化に合わせながらITシステムを進化させ、継続して活用していくことを意味しています。
一般的に行われているDXプロジェクトでは、新しい基幹システムやRPAを導入し、デジタル化を進めて終わりというケースも少なくありません。
一方、私たちTfLSが目指すのは市場の変化に強いシステムアーキテクチャを構築すること。システム改革を一度行って終わりではなく、市場の変化や事業フェーズに合わせ、柔軟かつスピーディーに改善を繰り返すことができるテクノロジーを提供し、顧客の業務効率化に貢献し続けることが、私たちのミッションです」
TfLS設立以前から、ワークフローやAIなどを用いた顧客の業務効率化プロジェクトに携わってきたというNozomiさんだが、その現場でエンジニアに求められる開発スピードは、近年さらに加速していると実感値を語る。
「私が業務効率化に関するプロジェクトをメインで担当するようになったのは、2018年頃。当時から迅速な効率化を常に求められていましたが、現在求められている速度はその時の比ではありません。
ここ数年、市場の変動が激しく、ビジネスの方向転換や体制変更に踏み切る企業が増えている印象です。競合と差をつけるためには、いかに効率的に成果を挙げられるか、という点が重要。そのため、各社がこぞってテクノロジーによる業務効率化を急いでいるという背景があります。
お客さまからのリクエストにスピーディーに応え続けていくためには、われわれプロジェクトチーム側の開発効率を上げていくことが必要不可欠。そこで、TfLSが設立されてからは、クイックに成果を出せるような体制づくりに注力してきました」
長くしなやかに進化を続けられるシステムを、スピーディーに提供する。そのポリシーを具現化するために、TfLSでは三つのポイントを重視しているという。
「お客さまの業務効率支援を行う場合、ステークホルダー全員がシステムの改修に前向きとは限りません。
全体の合意がなかなか取れないまま、スケジュールが遅れていく。さらにはプロジェクトの終盤で手戻りが発生し、工数ばかりが増えて開発効率も低下。そんな状況を経験したことがあるエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
まず私たちは、業務目線を持ってシステムを作る事を大切にしています。実務のなかでシステムが有用となるためにも、業務とシステムをリンクさせた形で全体の検討をします。
その上でとにかくこまめにお客さまへのレビューを行うようにしています。最初はレビュー用画面を見せながら自動化がもたらす効果のイメージをお客さまへお伝えしていく。その後はそれまで手作業で行っていた業務を実際に自動化してみるのですが、ここでシステム導入の効果が一目瞭然となることで、スムーズに進めやすくなります。
開発途中で状況の共有や確認をこまめに実施しておけば、仕様変更が発生した場合でも柔軟に対応ができます。仮にお客さまのイメージと違っていても、この段階ならリカバリーしやすく、最終的な工数にも大きな影響は出ません」
前倒しでのレビュー、小まめな要望ヒアリングとアジャイル型での遂行。極めてシンプルな工夫だが、そこには「若手エンジニアの育成」というもう一つの目的もあるという。
「このレビューのタイミングの見極めや進め方は、経験豊富なエンジニアだからこそわかるもの。このノウハウを継承するためにも、若手メンバーも巻き込みながらお客さまとの調整を進めるようにしています」
ベテランから若手へのノウハウ継承。これは、アクセンチュアが持つ「ナレッジを共有する文化」に基づくものだ。
TfLSの開発効率向上に欠かせない要素として、社内アセットの活用がある。
「アクセンチュアには、お客さまへのシステム導入事例を体系化して蓄積した『SynOps(シノプス)』というアセットがあります。
国内はもちろん、グローバルチームとも連携してこれまでの経験値をシェア。アセットに登録された事例をベースにすることで、ゼロから設計を行う必要がなくなるのでシステム提供までの時間を短縮できます」
その他、システム開発の作業も無駄なく進められるよう、ローコード、ノーコード開発も推進しているという。
「先ほどご説明したような、お客さまへのレビュー用のシンプルな画面なら、ノーコード開発が圧倒的に効率がいいですね。
ローコード、ノーコードはプログラミング未経験者向けの開発手法というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
私自身、これまではカスタム開発ばかり行ってきましたが、コードを書かずとも画面が作れる仕組みには、『楽さ』だけでなく『面白さ』も感じますし、これまで長い時間と手間をかけて開発していたものが、短時間でつくれるようになったことで『ものづくりが、もっと好きになった』と言うエンジニアもいるんですよ」
TfLSが重きを置いているのは、開発のスピードだけではない。「TfLSチームでは、エンジニアのものづくりに対するモチベーションを高める仕組みづくりにも力を入れている」とNozomiさんは言う。
「お客さまの要望にスピーディーに応えることは、もちろん大事。ですが、エンジニアたちの根本にある『ものをつくることが好き』という気持ちを尊重することも、同じように大切にしていきたいと考えています。
現場の声を聞くと、開発業務そのものにやりがいを感じているエンジニアが多い。私自身、大学を卒業してからずっとエンジニア一筋で働いてきたので、その気持ちがとても分かります。なので、効率化とエンジニアのモチベーション維持を両立させていきたいのです」
そのための方針の一つとして、Nozomiさんはプロジェクトの進め方に対する考えを説明した。
「設計やシミュレーションは重要な工程ですが、時間をかけ過ぎるのは違うと思っていて。できるだけ早い段階から手を動かして、まずはつくってみる、ということを優先しています。
仮に手戻りが発生したとしても、『何かをつくった』という手応えは残ります。エンジニアが最も情熱を注げる『開発』の工程をそぎ落とし、考えているばかりでは、苦い思いだけが残ってしまいますから。少しでも多く、ものづくりに触れる時間を持てるようにしています」
徹底した開発効率化により、TfLSのエンジニアリングチームには「ものづくりを楽しむ心の余裕と時間」が生まれたという。
さらにNozomiさんは、触れられるソリューションの幅広さもTfLSの特徴の一つだと言う。
「TfLSでは、お客さまに提案するソリューションを限定していません。企業や部署によっては『RPAならこのツール』と決められている場合も多いかと思うのですが、私たちなら、それぞれのお客さまの状況に適した課題解決のための手段を柔軟に選択できます。
エンジニアにとっても、特定のツールしか扱えない状況は窮屈なことも。TfLSなら、プロジェクトごとに異なるソリューション、異なる技術に触れることができるので、エンジニアとしてのスキルアップの機会も豊富なんです」
最後に、さまざまな業界の「生き続けるシステム」を支えるこのチームでエンジニアが実現できる成長を、Nozomiさんは次のように語った。
「TfLSでは、『T型人材』をたくさん輩出していきたいんです。それぞれが専門特化した強みを持ちつつも、一つの専門に縛られない領域横断的なスキルを身に着け、どんな場所でも活躍できるビジネスパーソンとして成長していけるような。そんな人が一人でも多く育つ刺激的な環境を、今後も整えてきたいと思います」
TfLS主催、ローコード・ノーコード開発に関する勉強会が7月25日に開催
ローコード・ノーコードによる開発実績を豊富に持つTfLSが、オンライン勉強会を開催。事例を用いて基礎から詳しく解説する。
ローコード・ノーコードを学びたい人はもちろん、アクセンチュアやTfLSのテクノロジーコンサルティングに興味のある人にもおすすめできる勉強会だ。
イベント名:≪勉強会≫ローコード・ノーコードを活用した継続的業務改善とは
日時:2022年7月25日(月) 19:00~20:30
場所:オンライン開催
>>詳細はこちら
取材・文/まゆ 撮影/寺島博美 編集/秋元 祐香里(編集部)
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