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テクノロジー×心理学で日本人の労働が変わる? 60万人の「幸せに働く」を支える『ミキワメ』開発の裏側

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今後の成長に期待が膨らむネオジェネレーションなスタートアップをエンジニアtype編集部がピックアップ。各社が手掛ける事業の「発想」「技術」「チーム」にフォーカスし、サービスグロースのヒントを学ぶ!

せっかくエンジニアを中途採用したのに、なかなか実力を発揮してもらえない。育成に時間を割いて立ち上げを行ったのに、長く定着してくれないーー。そんなエンジニア採用のミスマッチに関する課題を抱えている現場も多いのではないだろうか。

この課題に切り込んだ適性診断サービス・ウェルビーイングサービスとして注目を集めているのが、HRテック企業のリーディングマークが提供する『ミキワメ』シリーズだ。

累計利用企業数は2000社を越え、60万人以上が受検している『ミキワメ』は、リリース後、年次平均成長率200%以上の急成長を遂げている。

また、『ミキワメ』へのニーズの高まりを背景に、2023年5月には、性格診断やサーベイへの回答結果から得られるデータと心理学の知見、生成AIの技術を組み合わせ、人事やマネジャー、従業員一人一人に対して最適なアクションを提案する新サービスの提供も予定している。

いまやエンジニア採用において必要不可欠なサービスとなりつつある『ミキワメ』は、なぜこれほどまでの支持を集めるに至ったのか。エンジニアリング組織のマネジメントを担うVPoEの中川達哉さん、臨床心理士の知見を生かしてR&Dを担う佐藤映さんに、開発の舞台裏について聞いた。

プロフィール画像

株式会社リーディングマーク
サービス開発部 VPoE/部長
プロダクト企画室
中川達哉さん

自身が所属するバンドの広報活動・グッズ制作をきっかけに、フリーランスのデザイナーとして活動。その後、Web制作会社、SIerのエンジニアを経てリーディングマークに入社。現在は開発組織のマネジメントおよびミキワメシリーズのプロダクトマネジメントに携わる

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プロダクト企画室
組織心理研究所 所長
佐藤 映さん

臨床心理士・公認心理師。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。修士(教育学)。京都文教大学で教鞭(きょうべん)をとった後、2020年にリーディングマークに入社。『ミキワメ 適性検査』『ミキワメ ウェルビーイング』の設計責任者を務める

「離職率3割超」からの組織再生の過程で生まれた『ミキワメ 適性診断』

——リーディングマークが提供する『ミキワメ』とは、一体どんなサービスなのでしょうか?

佐藤:『ミキワメ』は、性格診断によって社内の人材の性格分布や組織の傾向を分析するサービスをベースに、今後採用したい人物像を設定し、候補者への「性格検査」によって自社や職種とのマッチ度を見極めたり、社内向けの簡易アンケートである「ウェルビーイングサーベイ」によって従業員の心理的なケアを促進したりするための、採用・人材マネジメント支援サービスです。

採用側が担ってほしいと願う仕事や役割にマッチする性格特性を明らかにすることで、採用時の見極めの精度を高めることをかなえられるだけでなく、入社後の仕事や人間関係での困り感や心理的な不満を早期に発見し、従業員への心理的なサポートやセルフマネジメントを促進することで、休職や離職リスクを低下させる目的でご利用いただけます。

——『ミキワメ』を開発した経緯を教えていただけますか?

中川:以前、『エンジニアtype』さんで記事にしていただいたこともあるのですが、私たちは2017年に組織崩壊を経験しています。

開発チームも空中分解してしまいメンバーの大半が退職。その後も組織崩壊が続き3割もの社員が辞めてしまう事態を招いてしまいました。

その後、スキルや経歴を重視した採用から、ビジョン理解やカルチャーフィットを重視した採用に転換したことで、以前より強固な組織を作ることができたのですが、その経験と反省を踏まえて開発したのが『ミキワメ 適性検査』です。

その後もサービスラインアップを拡大し、2022年3月には『ミキワメ ウェルビーイング』をリリースし現在に至っています。

——すでに世の中には、有力な適性診断サービスが存在します。なぜ、『ミキワメ』を開発する必要があったのでしょうか?

佐藤:一般に、適性検査というものは「Webテスト」の色合いが強いものです。企業が採用の効率化のために受験させて、学力テストのように性格もテストする。まるで特定の性格が優れているかのように判断されかねない仕組みに違和感を覚え、改善したいと思いました。

本来、性格は単なる「特性」であって、どんな方向性でも長所と短所が表裏一体で、特定の結果が優れているとか、劣っているというものではないんです。

リーディングマーク 佐藤 映

——採用のための「テスト」ではなく、受検者自身が自分の特性を知るためのツールである点が『ミキワメ』の特徴ということでしょうか。

佐藤:そうです。

性格検査は本来、現状を把握するために撮影するレントゲンのようなものなのですが、適性検査サービスを「試験」として運用する企業が多いため、結果を企業側が一方的に判定し、受検者には結果を伝えないケースがあることにも違和感があります。貴重な性格情報を提供してくれている受検者に対して、結果をフィードバックするのは「診断」として当然といえます。

一方で、受検者側も採用試験としてとらえてしまうと、「内向的より外向的と答えた方が有利そうだ」といったように、本来の性格とは異なる反応をしてしまう場合もあります。企業側の目的が「試験」になっているため、それをクリアするための「対策」が組まれてしまうわけです。

これらの構造的な問題を解決するため、『ミキワメ性格検査』は、受検の前に、優劣を判断するテストではないことや、素直に回答した方が得策であることを理解してもらえる説明を推奨し、診断結果についても受検者一人一人に手厚く結果をフィードバックするようサービス設計されています。

受検結果を本人に返し、利益を還元するというのは、心理検査や臨床心理の分野では当たり前の姿勢です。こういった、個人を尊重し、性格検査結果を生産的に活用してほしいという「個人のケア」の視点があることも、ミキワメの大きな特長といえます。

中川:『ミキワメ』が他社の診断サービスと大きく異なるもう一つのポイントが、設問のテーマや数を大幅に絞ったことで、一人当たりの受検時間やコストもかなり抑えられていることです。

『ミキワメ 適性検査』に関しては約10分、『ミキワメ ウェルビーイング』については2分程度、設問に答えるだけで結果が出せます。

『ミキワメ 適性検査』や『ミキワメ ウェルビーイング』は、利用する企業のみならず、採用や育成を取り仕切る人事担当者、採用選考に臨む応募者、すでに働いている従業員のすべてにメリットをもたらすサービスです。

膨大なデータ×AIで「個別性」の精度を上げる

——信頼性の高い診断結果を出せるサービスを開発する上では、多くの困難があったのではないかと思います。開発に際して苦労したのはどんな点でしたか?

佐藤:先ほども申し上げた通り、適性診断結果は優劣を決めるものでも、良しあしを判断するものでもありません。世の中には外向的な人に向いている仕事もあれば、内向的な人が力を発揮しやすい仕事もあるからです。

そのため、診断結果の受け止め方や理解が、読む人によって大きくブレないよう、できるかぎりニュートラルな言葉選びや、フラットな表現にはかなり気を配りました。

また、臨床心理学は「心のケア」に関わる学術領域ですが、人間の一般的な行動や心理の理論を明らかにするだけでなく、目の前の個人の役に立とうとする心理学なので、ミキワメの診断結果も、かなり個別性にこだわった作りになっています

個人へのカスタム性にこだわったゆえに、システム内での処理ロジックが複雑になり、開発にあたったエンジニアは非常に苦労したと思います。

中川:確かにそうですね。『ミキワメウェルビーイング』に関していえば、受検者ごとに異なる性格の傾向やサーベイの回答データなどを踏まえ、深掘りすべき設問を個人ごとに変える仕様になっているため、膨大な組み合わせパターンから一人一人に合った情報を抽出するのは簡単ではありません。

また、回答した結果、出力する情報も個人ごとに変わる仕様になっているため、その処理は複雑さを極めます。

加えて単に該当する文言を抽出し表示するだけでは、なかなか内容を自分事として捉えてもらうことは難しいため、受検者の方に「自分に向けた情報である」と感じていただけるよう何度もテストやディスカッションを繰り返しUI/UXを実装しました。

当然、診断結果にはセンシティブな個人情報を含むため、セキュリティー対策にも細心の注意を払わなければなりません。

——受検者に自分事に感じてもらうためのUI/UXとは、具体的に言うとどういったものなのでしょう?

中川:例えば、名前を表示して自分事化してもらうのも一つですね。サーベイの回答や性格の傾向を踏まえて「あなたは○○の傾向があるため、○○のようなアクションをしてみるのはどうですか?」といった表現の仕方にするとか。デザインもユーザーが受け取りやすく、分かりやすい事を大切にし、かなりこだわりました。

リーディングマーク 中川達哉

佐藤:現在は、より個別性を高めた新機能の開発とリリースのために、新規でプロジェクトチームが発足され、2023年5月のβ版リリースに向けて検討が進められています。

——新機能はどういったものでしょうか?

佐藤:回答いただいた性格検査やウェルビーイングサーベイの結果、過去の回答結果や変化などの個別特化した情報と、生成AIのAPIを組み合わせ、より個人の性格や心理状態に寄り添うアドバイスを出力する機能です。私はプロダクトの監修者・専門家として、個別のアドバイス内容を出す仕組みの部分や、心理支援の観点で表現に問題がないかを確認する形で関わりました。従業員一人一人や、その上司、人事に向けて、無限のバリエーションの中からAIがアドバイスを提供することで、新たな気づきを提供したり、自己理解や社内コミュニケーションを活性化したりしていけると考えています。

——裏側のシステムはより複雑になってきますね。

中川:ますます開発のハードルは高くなってきましたね(笑)

裏側で動くアルゴリズムやシステム構成も変わってきていますし、開発組織も大きくなってきているため、単一のアーキテクチャで動かすのは難しくなってきました。

そのため、プラットフォームの移行やデータ基盤共通化などにも着手し始めています。

——ミキワメを導入した企業にはどのような成果をもたらすことができていますか?

佐藤:私が関わらせていただいている企業さまの中には、採用の効率化や、性格とスキルを含む採用モデル人物像の明確化、『ミキワメ ウェルビーイング』を導入し、休職や離職が減少した企業も多くあります。そういった組織規模の成果もそうですが、ご利用いただいている方から「自己理解が深まってコミュニケーションが円滑になった」といった声や、「ウェルビーイングによって気に掛けてもらえている感覚がうれしい」といった声をいただいていて、励みになっています。

『ミキワメ』をうまく使うことによって、採用やマネジメントで数値的な成果を出すだけでなく、実質的にも改善の実感をもっていただいているケースが多いと思います。

——なぜ、それほどまでの成果が出るのでしょうか?

佐藤:出力結果による個別ケアの視点やユーザーに負担を掛けないUI/UXなどもさることながら、開発時の緻密な統計解析や、手厚いユーザーサポートの存在など、細部へのこだわりがあっての成果だと思いますね。

リーディングマーク 佐藤 映

能動的に取り組める工夫がチームのパフォーマンスを上げる

——複雑化していく『ミキワメ』の開発を支えるためには、エンジニアリングチーム全体の成長も求められたと思います。中川さんがチームマネジメントをする上で大切にしていたことがあれば教えてください。

中川:一人一人のエンジニアの自主性を重んじることを大切にしています。

先ほども触れた通り、以前は組織崩壊の危機に直面したこともありました。しかし、今では私たち自身も『ミキワメ』をフル活用し、一人一人が能動的に取り組める組織体制を構築することで非常にモチベーションが高い状態を維持しているところです。

一例をあげると、「360度フィードバック」という制度を通して、強みやのびしろを直接フィードバックすることで能動的な行動を促しています。また、月に10時間分の業務時間を自由に使える制度を設けていて、「360度フィードバック」のシステムはその制度を利用したメンバーが生み出したものです。

こういった組織体制は目に見える結果にも現れており、リンクアンドモチベーション社が提供する、従業員満足度診断「モチベーションクラウド」のエンゲージメントスコアは3年前から倍、この1年半で3回連続で最高位のAAAを獲得しました。これは、開発チームが健全な状態を保っている証しといえるでしょう。

また、R&Dチームとの連携もうまくいっており、その過程で吸収する新たな知見がメンバーのやる気や自主性を引き出す原動力にもなっているのを感じます。

リーディングマーク 中川達哉

——お二人は、これから『ミキワメ』をどのようなサービスに育てたいとお考えですか。それぞれの立場から今後の目標を聞かせてください。

中川:リリース予定の新機能を用いてより「行動」にコミットし、診断を受けた人たちが自らアクションを起こすようなサービスにしたいと考えています。

22年11月に、東京大学協創プラットフォームを筆頭に、複数の投資家から2億6000万円を調達したご縁で、東京大学大学院情報理工学系研究科の鶴岡慶雅教授から、『ミキワメ ウェルビーイング』の精度向上に向けたアドバイスをいただく機会を得られたので、これをプロダクトのブラッシュアップに生かしていきたいですね。

佐藤:私としては、心の支援を行う専門家として、単なる診断ではなく、組織内の人間関係やつながりを回復し、良好なコミュニケーションを支援するサービスとして進化させていきたいと考えています。

よくある性格診断や組織サーベイは、いろんな側面が測れたり、多様な角度で分析ができたりと、便利な機能が多いこともありますが、「測定すること」が目的になってしまっていないか、と思うことがあります。

本当に重要なのは、「なぜ測定するのか」を従業員とすり合わせることや、「測定した結果をどう活用して、何を良くしていきたいのか」という意志と、それを実際に進める行動力だと思っています。そうでなければ、診断やサーベイは「やりっぱなし」になり、「実施するだけで満足」してしまって、企画した上層部と従業員の関係の溝はむしろ広がってしまいます。

臨床心理学は「実践」の学問です。診断結果をどのように活用し、どうやって候補者とのつながりや縁を見つけ出すのか、従業員を支援するのか、といった具体的施策を支援し、本当に意味のあるサービスとしてますます進化させていきたいと思います。

また、こういったITプロダクトのR&Dや、プロダクトを活用した人と組織の心の支援が、心理専門職のキャリアの選択肢になるということを、多くの臨床心理士や公認心理師に知っていただき、仕事の可能性を広げていただければ、と願っています。

リーディングマーク 佐藤 映 中川達哉

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取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/赤松洋太 編集/光谷麻里(編集部)

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