自分に「なぜ」を問い続けよ。PayPayカードCTO信太宏之に学ぶ、ビジネス視座を高めるシンプルな習慣
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その規模の大きさから、業界内でも注目を集めたPayPayカードの基幹システム移行プロジェクト。これを牽引したのが、同社取締役 専務執行役員 CTOの信太宏之さんだ。
システム移行を通じて信太さんが取り組んだのは、自らが実践してきた「自分たちの手で責任を持ってものづくりを行う」カルチャーの醸成だ。
その基盤ができた今、PayPayカードではエンジニアがよりいっそう成長できる環境の整備に力を入れている。
「勝負はこれから」と語る信太さんに、これから目指す開発組織のあり方やエンジニアの成長に必要なことを聞いた。
自分たちの手で責任を持ってものづくりをする体制へ
2023年4月、PayPayカードの新基幹システムが本格稼働を開始した。
基幹システムをAmazon Web Services(AWS)に移行した本プロジェクトは、国内クレジットカード業界では最大規模とも言われるリプレイスプロジェクトで、非常に注目度も高かった。
ところがこのプロジェクト、「その裏では、数々の壁があった」と、CTOの信太宏之さんは明かす。
システム刷新に当たっては、数年かけてJavaへのリライトを行った。スタートした当初は壁も多く、何度もプロジェクトが延期されていた。
「中でも、19年末にPayPayが行った『PayPay祭』の際に、PayPayカードのシステムがアクセス集中によりダウンしてしまい、ユーザーにも加盟店にも多大なご迷惑をお掛けしてしまいました。
これをきっかけに、体制の立て直しを含めて本腰を入れて刷新を進めていこうという話になったのです」
そのかじ取りを任されたのが、当時ヤフーの決済金融サービス領域における開発本部長を務めていた信太さんだった。
「話を聞いた時は、私ですか? と正直なところ驚きました」
本人も予想だにしていない辞令だったが、当時この領域のトップオブトップのスペシャリストが送り込まれたことからも、このミッションの重要性がよく分かる。
20年、信頼できるメンバー1人を引き連れて、PayPayカードに出向。リプレイス作業を牽引することになった。
当時の大きな課題は、頻繁にスケジュールが遅れることだった。
エンジニアにとっても体験したことのない規模のプロジェクトであることから、開発に必要な工数の見積もりや、計画的な進行管理が煩雑になっていたのだという。
「最大の要因は、自分たちの手で責任を持ってものづくりができる体制になっていなかったことですね。
まだまだベンダーに頼った開発が残っていて、フィンテック企業として、ユーザーの声に沿ったかたちで、インフラを含めて自分たちで開発を進めていける体制に変えていく必要がありました」
「小さく試す」を繰り返し、自分の仕事を数字で語る
そこで、信太さんが取り組んだのは、エンジニアが主体となる開発体制の整備だ。
ベンダーとの契約体系を見直し、システム開発を内製化。何が起こっても自分たちで意思決定して、自分たちの手で何とかしていける環境に変えた。
そして、日々の仕事の中では、常に物事を定量的に把握することを求めた。
自分のつくった機能によってどれだけ作業時間を短縮できたか、コスト削減ができたか、全員が数字で語れるようにしていったのだという。
昨日の今日、今日より明日と、一人一人が常に変化を起こしていき、その成果を見える化することで、プロジェクト全体の進行も正確につかめるようになっていった。
「現場で心掛けているのは、『小さく試す』ということです。
私自身、これまでの経験のなかで身に付けてきたことですが、この先に何が起こるか分からない、新しいものを作るときには、まず2~3日の間で、とにかくやってみて、様子を見ながら進めていきます。
これを繰り返していくと、どれくらい初速が出るかも、自分で分かるようになりますから」
自分に「なぜ」を問い掛けて、意識的に視座を高める
信太さんは、新卒でSIerに入社し、07年、ヤフーに転職。1社目の時からずっと決済系のシステムに携わっており、ヤフーでは、『ヤフオク』や『Yahoo!ショッピング』などeコマース上の請求回収システムの構築や、『PayPay』の立ち上げにも携わってきた。
「昔はクレジットカードが中心でしたが、『PayPay』のようなQRコード決済など、新しい決済方法もいろいろ登場して、エンジニアとしては、次はどんなものがくるのかというワクワクするような環境でした。
この領域の仕事をずっとやっていきたいと当時から思っていましたね」
若い頃から常に視野を広げて物事を考えるように努めてきたという信太さんだったが、20代後半で「この人には絶対に勝てない」と思う上司に出会った。
「毎日ことあるごとに『なぜ』『どうして』とうるさいくらい聞いてくる方がいたんです(笑)。自分より常に二歩も三歩も先を見ているというか、考えているレベルが全然違いました。
以来、その上司が何を発言してるか、どんな視点でものを見ているのか、背中を見ながら学んでいきました」
今でもエンジニアに対しては、二歩、三歩先を見ることの大切さを説いている。
「なぜこの仕事をしているのか」で終わるのではなく、「これは本当に必要なものなのか」、「これをやらなかったら誰が困るのか」と、さらにもう二つ「なぜ」と自分に問い掛けを続けることによって視座を高めていくことが必要だという。
「レベルはさまざまですが、仕事とは意思決定の積み重ねです。
意思決定を迫られたとき、答えの選択肢をたくさん持っている人というのは、単に経験を積んでいるというだけでなく、やはり日頃から用意をしているのだと思います。
だからこそ、若いうちから、『なぜ』を積み重ねて、意識的に視座を高めていくことが大切ですね」
「勝負はこれから」技術は事業と一体となって生かされる
PayPayカードのシステムのリプレイスは無事に完了したが、「勝負はこれからだ」と信太さんは言う。
現在、同社は「圧倒的No.1のサービスをすべてのお客さまに」というビジョンを掲げ、ユーザーファーストなサービスの提供を通じて、さらなる成長を目指している。
テクノロジーを使って自らの手でそれを実現するのは、一人一人のエンジニアだ。
「リプレイスを完了させたという実績は、成功体験としてみんなで共有できる実績になる。
ビジネスの環境も日々変化している状況で、新しい技術をどんどん取り入れて、自ら変化を起こしていくことが求められている。チャレンジしたい人にはまさに今がチャンスだと思います」
実際、自分たちの手でものづくりができる環境となり、意欲を燃やしている若手エンジニアも多いという。会社としても、教育研修の拡充など、エンジニアの成長をサポートする仕組みをさらに整えていく予定だ。
「一人ですべてを兼ね備える必要はなく、一つでも自分の得意な分野を確立していくことがエンジニアの成長にとっては大切だと考えています。
そして、これからの時代にますます重要になるのは、現状に満足せずに新たな課題や改善点を見つけて開発に取り組んでいく力。
今日よりも明日、もっとより良いものづくりをしていくために、エンジニア自身が『なぜやるか』『何をすべきか』を考え続け、自分の技術力を使ってお客さまや世の中に貢献していく。それが大事だと思います」
技術を使って、お客さまに受け入れられるサービスを作り上げ、社会のインフラとして機能して初めて価値を生み出したことになる。「技術は事業と一体となって生かされるもの」だと信太さんは言い切る。
「開発組織のメンバーに対しては、常に『早く良いものをお客さまに届けよう』と言っています。
万が一不具合が起きれば、多くのお客さまに残念な思いをさせてしまうことになるし、良いものを届けられれば、それだけ多くのお客さまに喜んでもらえる。
われわれエンジニアが、技術力でできることはたくさんあるはずですからね」
取材・文/瀬戸友子
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