ゲームエンジニアになるには? 必要なスキルや仕事内容・働き方の種類を解説!
ゲームが好きな人であれば、一度は「ゲームを作ってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか? この記事では、ゲーム開発に携わる「ゲームエンジニア」について解説します。
ゲームエンジニアの仕事内容や求められるスキル、向いている人の特徴など、さまざまな角度から解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
ゲームエンジニアの種類
一口に「ゲームエンジニア」と言っても、ゲーム開発にはさまざまなエンジニアやクリエーターが関わります。以下では、ゲーム開発の現場で活躍するエンジニアの中でも代表的な職種を紹介します。
ゲームプログラマー
ゲームプログラマーは、ゲームの「動き」の部分を担当するエンジニア。企画段階で決めたシナリオや演出を表現できるようにプログラミングするのが主なミッションです。「ゲームエンジニア」と言われて一番初めにイメージする職種ともいえるでしょう。企業によってはゲームプログラマーがテスト・デバッグを担当することもあります。
サウンドプログラマー
サウンドプログラマーは、ゲームの「音」の部分を担当するエンジニアです。近年はゲーム音楽が注目を集めることが多く、テーマ曲はもちろん、BGMや効果音はゲームの人気を左右する要素の一つ。サウンドプログラマーには、臨場感や没入感を誘うための音や曲を制作するセンスはもちろん、音楽に関する幅広い知識も必要です。
グラフィックスプログラマー
グラフィックスプログラマーは、ゲームの「ビジュアル」の部分を担当するエンジニアです。ゲーム内に登場するキャラクターはもちろん、背景やエフェクト、画面のレイアウトなど、目に見える部分すべての制作を担います。近年は3Dやアニメーションを駆使し、よりリアルな世界観を表現することも求められます。
PhotoshopやIllustratorなど従来のソフトだけでなく、Mayaや3ds Maxなど新しいソフトに関する知識や技術も必要です。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、ゲームの「通信環境」の部分を担当するエンジニアです。ゲームを複数人でプレイするにはオンライン・オフライン問わずネットワークが必要となります。異なる通信環境でも不具合が起きないように、あらゆる条件を想定しながらネットワークを構築するスキルが求められます。
ゲームエンジニアの仕事内容
ゲームを開発する際は、一般的に以下の工程に沿って進めていきます。所属する企業や得意領域によっては、一つの工程に特化して担当したり、逆に全ての工程を網羅的に担当したりすることもあります。
企画
ゲームプランナーが中心となって、どのようなゲームを開発するかを企画します。斬新さや面白さだけでなく、ユーザーや市場のニーズを分析した結果どの程度の売上が見込めるかを判断したり、予算の見積もりやスケジュールの作成をしたりします。
ゲームプランナーは技術的な知識がない場合も多いため、ゲームエンジニアも企画の段階から加わり、企画案を実現するために必要な技術を吟味したり、各種開発環境の構築をしたりします。また必要に応じて試作品(プロトタイプ)を作成することもあります。
開発
企画段階で決めた仕様書に基づき、開発を行います。ゲームプログラマーだけでなく、サウンドプログラマーやグラフィックスプログラマー、インフラエンジニアなど、ゲーム開発に必要なクリエーターたちがチームで開発にあたります。
まずはメイン要素を盛り込んだα版を開発し、徐々に枝葉部分を加えたβ版(マスター版)を開発するのが一般的です。
テスト・デバッグ
開発したゲームに不具合やバグがないかのテストを行います。それぞれの機能の不具合がないかをチェックし、その後全ての機能を統合して企画書通りに動くかのテストプレイを行います。さまざまな条件下でも想定通りに動くかを確認するため、根気強く取り組むことが求められます。
家庭用ゲーム機向けのソフトの場合、販売後に修正を加えることは難しいため、不具合やバグを解消するために徹底的なチェックが行われます。
リリース後の不具合修正
リリース後にも不具合修正が発生することはあります。特にオンラインゲームの場合、ユーザーの増加によって思いもよらない不具合が起こったり、ユーザーから改善要望がきたりすることも。不具合やバグはユーザーからの満足度に直結する部分ですので、スピーディーかつ慎重に対応する必要があります。
新機能開発
長くゲームを楽しんでもらうには、継続的に新機能開発に取り組む必要があります。話題のアニメとのコラボレーションや周年イベントなど、ゲーム会社発案で新機能を開発することもあれば、ユーザーの意見を取り入れる形でバージョンアップ開発することもあります。新しい機能を追加するたびに、企画⇒開発⇒テスト・デバッグ⇒リリース後の不具合修正の工程を繰り返します。
ゲームエンジニアに必要なスキル
ゲームエンジニアに求められるスキルは、担当する領域に応じて多岐にわたります。ここでは、一般的にゲームエンジニアと言われてイメージする「ゲームプログラマー」に必要なスキルや知識を解説します。
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、ゲームエンジニアに最も必要なスキルです。開発するゲームの種類やメーカーの方針などにより使用するプログラミング言語は異なりますので、必要に応じて習得するようにしましょう。
一般的には、コンシューマーゲームであればC++、AndroidアプリであればJava、Kotlin、iOSアプリであればSwiftがよく使用されます。
コミュニケーションスキル
ゲーム開発をする際は、技術者はもちろん、非技術者と共に進めていくことも多くあります。そのため、チームでスムーズに開発を進めていくためには、協調性や相手に分かりやすいように説明するスキルが必要になるのです。ポジションによってはクライアントに交渉する場面も多くなるため、コミュニケーションスキルは必要不可欠なスキルといえます。
数学や物理に関する知識
ゲーム内に登場するキャラクターの動きは、物理演算や座標計算をもとにプログラムされます。特に近年のゲームにはアニメーションや3Dにより、リアルな動きを表現することが求められるため、数学や物理に関する知識が無いと、キャラクターの動きがぎこちなかったり、反応が悪いと感じたりしてしまいます。
より緻密な表現をするには、三角関数や線形代数、力学など高度な数学や物理の知識が必要となります。
ゲームエンジンに関する知識
ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要な機能を備えた開発環境のことで、ゲームを効率的に開発するのに役立ちます。企業によっては、ゲームエンジンの使用経験を応募資格とすることもあるほど、ゲーム開発の現場で重宝されるスキルの一つです。企業によっては独自のゲームエンジンを持っていることもありますが、Unity、Unreal Engine、PhyreEngineなどが一般的といえるでしょう。
ゲームエンジニアが働く場所
ゲームエンジニアが働く場所は多岐にわたります。以下に代表的な三つを紹介します。
ゲームメーカー
ゲームメーカーでは、ゲームの企画から制作、販売まで一貫して行います。プログラマーはもちろん、プランナーやデザイナーなど専門性の高い人材が集まっており、誰もが一度は名前を聞いたことがあるような大手企業が多いのが特徴です。知名度が高いことや福利厚生・職場環境が整っていることなどから競争率が高いため、専門的な知識がない人が就職するのは難しいといえます。
中には新卒時に総合職として採用を行っている企業もありますが、適性に応じて配属されるためクリエーターとして活躍できるか分からない点は考慮しておきましょう。
ゲーム制作会社
ゲーム制作会社は、ゲームメーカーなどから発注を受け、ゲームの制作部分を担います。ゲーム制作全般を請け負う会社、ゲームの一部分のみを専門的に請け負う会社など制作会社があり、規模も大小さまざまです。大手ゲームメーカーとは異なり、研修や教育にかけられるコストが少ないケースが多いため、即戦力が求められる傾向があります。
IT系企業
ゲーム業界の好調を受けて、近年では主力サービスから派生する形でゲームアプリを開発するIT企業も増えています。少人数かつ短期間でゲームを開発・リリースすることが求められるため、高い技術や幅広い領域に知見のあるゲームエンジニアが活躍できます。専門領域に関する知識やスキルはもちろん、派生する領域に関しても知識を身に付けておくと重宝されやすいでしょう。
ゲームエンジニアの働き方
ゲームエンジニアの働き方は企業規模や開発するゲームの種類などによって大きく異なります。ここでは、手掛けるゲームが受注開発か自社タイトルかによる働き方の違いについて紹介します。
それぞれメリット・デメリットがあるため、ゲームエンジニアを目指す場合は、自分の希望する働き方やキャリアを実現できる方を選びましょう。
受注開発を手掛ける場合
受注開発でゲームを開発する場合、クライアントワークとなるため、スケジュールの進捗状況や納品後の修正量によって業務量が大きく変わります。そのため、時期によっては激務となる可能性が否定できません。
一方で、クライアントとのやり取りが多くなるため、外部のステークホルダーとコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていく力が備わるでしょう。またクライアントの要望に応じてさまざまな技術に触れる機会が多いため、成長の機会も豊富にあるのが特徴です。
ゲームの人気に関わらず収益を確保しやすいビジネススタイルなので、経営的に安定しやすいメリットもあります。
自社タイトル開発を手掛ける場合
自社タイトルの開発を手掛ける場合、働き方は所属する企業によって大きく異なります。1本のタイトル開発にかける期間やリリースする頻度などが企業によって違うからです。転職を考えている場合は、面接などで入社後はどのような働き方をするかをしっかり確認しましょう。
自社タイトル開発は、自分たちで企画から開発を行える面白さが特徴です。ゲーム開発における自由度が高く、ダウンロード数やユーザーの口コミなどで成果を実感する機会が多い点もメリットの一つです。
一方で開発したゲームが必ずしもヒットするとは限らないため、リリース後の状況によっては経営が不安定になることも。作業量と収益が比例するわけではないため、経営状態によっては業務量と待遇が見合わなくなることもあり得ます。
ゲームエンジニアが向いている人の特徴
先ほども少し述べましたが、ゲームの開発には納期がある場合が多いため、スケジュールの進捗によって労働時間が左右されることは珍しくありません。またリリース後も不具合の修正や新機能追加など、定期的に多忙になるタイミングもあります。
これらの理由から「ゲーム業界はきつい」と言われることがありますが、以下のような特徴がある人であれば前向きに働けるかもしれません。ゲーム業界への転職を考えている人は、自分に当てはまるかをチェックしてみてください。
ゲーム好きな人
「ゲーム好き」は、ゲーム業界に向いている人の特徴として最も重要な要素です。「ゲームが好きだからこそ、多少の苦労は気にならない」「ゲームが好きだからこそ、もっと専門性を磨きたい」など、ゲームにかける情熱がゲーム開発における大きなモチベーションとなるからです。また、これまで多くのゲームをプレイしてきた人であれば、その知識をゲーム開発に活かすこともできるでしょう。
好奇心旺盛な人
ゲーム業界は常にトレンドの技術が入れ替わる進化が激しい分野です。常にアンテナを張り、新しい技術やトレンドを学ぶ姿勢が求められるため、好奇心旺盛な人に向いている業界だといえます。新しい技術を身に付けることは、斬新なゲームの開発に活きるのはもちろん、効率的に作業を進める点でも役立ちます。
忍耐力がある人
先ほども述べたとおり、ゲーム開発は納期のある仕事です。時には残業が続いたり、休日出勤が必要となったりすることがあるでしょう。またテスト・デバッグの工程では、根気強く不具合やバグを見つけていく必要もあります。
リリース後はダウンロード数やユーザーの口コミなどで開発したゲームを評価される場面が多く、プレッシャーを感じることも珍しくありません。そのため、忍耐力の有無は仕事を長く続ける上で非常に重要な要素です。
数学や物理の知識がある人
先ほども述べた通り、ゲーム開発には数学や物理の知識を活かせます。これらの知識はプログラミングにおける適性にも通じるため、学生時代に理系だった人はゲーム業界に向いている人が多いといえるでしょう。
成果が実感できる仕事がしたい人
ゲーム開発における一番の醍醐味は、仕事の成果が目に見える点です。実際に自分が携わったゲームをユーザーとして楽しむこともできますし、雑誌やアプリショップなどでレビューを確認することでユーザーからの評価を確認することもできます。
自分の仕事の成果を実感できる仕事がしたい人にとって、ゲーム業界は最適な仕事といえるでしょう。
まとめ|ゲームエンジニアは将来性バツグン! スキルさえあれば未経験者にもチャンスあり
ゲーム開発は、常に新しい技術やトレンドが試される場であり非常に刺激的な仕事です。ゲーム業界には多くの企業が参入しており、将来性が期待できます。
ただし、企業や開発するゲームの種類などによって働き方や必要なスキル・知識は大きく異なります。ゲームエンジニアへの転職を目指すなら、希望するキャリアやスキルレベルをしっかり吟味し、自分に合った企業を選ぶことが重要です。
ゲームエンジニアは、納期のある仕事がゆえの大変さがありますが、それを上回るやりがいと魅力がある仕事です。ゲーム好きな人はぜひ目指してみてはいかがでしょうか?
文/赤池沙希
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