高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者
ネットワークスペシャリスト試験 対象者像 - 独立行政法人 情報処理推進機構 公式HPネットワークスペシャリスト試験とは? 難易度や合格率、おすすめの勉強法などを解説
インフラ分野に身を置く人であれば「ネットワークスペシャリスト」というワードを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。ただ国家資格のため「取得するにはかなりの時間が掛かりそう」「そもそも自分には受験資格がないのでは」と考えている人もいるかもしれません。
実はネットワークスペシャリスト試験は誰でも受験できる試験であり、実務経験の浅い10代の受験者も数多く合格している試験です。この記事では、ネットワークスペシャリスト試験について詳しく解説します!
目次
ネットワークスペシャリスト試験とは
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家資格で、ネットワーク関連の資格試験としては最高峰に位置しています。その名のとおりネットワークに特化した試験ではありますが、セキュリティーやサーバ、サービスについてなど幅広い知識を有していることが求められます。
ネットワークスペシャリスト試験の内容
ネットワークスペシャリスト試験の内容について、詳しく見ていきましょう。なお、下記の内容は情報処理推進機構の公式サイトより確認できます。
※本項目は、全て2024年7月時点での情報です
対象者
ネットワークスペシャリスト試験は、受験する上での必須条件を設けておらず、年齢・学歴・実務経験問わず誰もが受験可能な資格です。一方で、前述したようにネットワークスペシャリスト試験はネットワーク関連の資格として最高難度に位置するため、ネットワーク分野において深い知識を持つ人でなければ取得は難しいとされています。
公式サイトでは、ネットワークスペシャリスト試験の対象者像を以下のように定めています。
出題範囲・出題数・試験時間
ネットワークスペシャリスト試験は四つの試験で構成されており、午後の試験を受けるには午前の試験に合格する必要があります。
午前Iの出題範囲について
ITストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験など、「高度試験」と呼ばれる試験共通の問題です。また、以下いずれかの条件を満たせば、その後2年間は午前I試験が免除となります。
●応用情報技術者試験に合格する
●いずれかの高度試験又は支援士試験に合格する
●いずれかの高度試験又は支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
合格率
情報処理推進機構が発表した統計資料によると、令和5年度春期のネットワークスペシャリスト試験の合格率は14.3%でした。同じく高度試験と呼ばれる他試験の同年度合格率と比較しても低めであることからも、ネットワークスペシャリスト試験の難易度が高いことがうかがえます。
他の高度試験の合格率 ※令和5年度版
●ITストラテジスト試験:15.5%
●システムアーキテクト試験:15.8%
●プロジェクトマネージャ試験:13.5%
●データベーススペシャリスト試験:18.5%
●エンデベッドシステムスペシャリスト試験:16.6%
●ITサービスマネージャ試験:15.2%
●システム監査技術者試験:16.4%
試験日・試験会場
令和元年までは秋期に実施されていましたが、現在は春期(4月の第3日曜日)に実施されています。令和6年度の春期試験は2024年4月21日(日)に実施されており、申込期間は1月中旬から2月上旬までの約3週間程度です。来年度も変更がなければ4月19日(日)に実施されることが予想されていますが、試験日は適宜決定されますので、公式サイトからの発表をこまめにチェックするようにしてください。
試験会場は全国47都道府県の主要都市となります。試験会場は指定できず、詳細な試験地は受験票で通知されます。
受験料
ネットワークスペシャリスト試験の受験料は7,500円(税込)です。支払い方法は以下の3通りです。
●クレジットカード決済
●ペイジー(Pay easy)
●コンビニ利用 ※払い込み手数料(308円)は受験者負担
申し込み方法
申し込み方法はインターネットによる個人申し込みのみとなります。公式HPにアクセスし、手順に従って入力してください。
なお、申し込みには利用者ID(マイページアカウント)が必要です。マイページへのログイン後、申し込み手続きが可能になります。利用者IDは最終ログインから1年経過で無効(ただし、高度試験、支援士試験の一部〈午前I試験〉免除有効期間中は該当せず)となります。無効となった場合は受験履歴などのデータは削除となるため、再度登録が必要です。
有効期限
資格の有効期限はなく、一度取得すれば更新することなく恒久的に資格取得を証明できます。
取得難易度
ネットワークスペシャリスト試験は、国が定めるITスキル標準において最難関であるレベル4に該当しています。ネットワーク関連の資格の中でも最高峰の難易度とされており、国家資格であることからもかなり難易度が高いことがうかがえます。
おすすめの勉強法
ネットワークスペシャリスト試験の合格を目指す上で、効率的な勉強方法を以下で解説します。
スクールに通う
コストは掛かりますが、短期間で確実に知識やスキルを身に付けられる方法です。基礎から体系的に学べるほか、分からない点は講師に相談しながら勉強を進められるため、未経験者や経験の浅い方に特に有効な方法といえます。
スクールの中にはネットワークスペシャリスト試験に特化していたり、通学・オンラインを選べたりとさまざまな種類があるため、自分に合ったスクールを選択しましょう。
書籍・オンラインサイトなどを活用する
独学で資格取得を目指す際は、書籍での勉強が効果的です。ネットワークスペシャリスト試験は未経験者でも合格可能なので、過去問題や問題集を繰り返し解くことで合格にグッと近づくでしょう。試験に関する参考書は非常に多いため、絵の多さやカラーなど自分の好みに合ったものを選択してください。
また書籍で体系的に知識を身につけたら、オンラインサイトなどを利用して苦手な分野を重点的に学びましょう。特にネットワークスペシャリスト試験は出題範囲が非常に広いため、早い段階で出題傾向を掴み苦手分野や出題が多い分野に絞って勉強することが大切です。
参考記事
実機やシミュレーターを利用してみる
ネットワークスペシャリスト試験は筆記試験のみなので実技試験はありませんが、実際にルーターやスイッチなどのネットワーク機器に触れることでより理解を深めることに役立ちます。実機の設定作業などでの失敗体験が理解のヒントになることもあります。
実機を用意するのが難しい場合は、オンラインサイトやGNS3、Cisco Packet Tracerなどのネットワークシミュレーションを利用するのもおすすめです。
取得するメリット
ここでは、ネットワークスペシャリスト試験に合格することによるメリットを紹介します。
キャリアアップにつながる
ネットワーク分野における最高峰の試験ですので、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアなどのインフラ系エンジニアであれば、知識やスキルを証明するのに大いに役立つでしょう。またネットワークスペシャリスト試験に合格するには、インフラ分野だけでなくプロジェクトマネジメントや経営戦略など幅広い知識が必要になります。インフラ系エンジニアでなくとも、取得することでキャリアアップにつながるケースが多いのが特徴です。
資格手当や一時金の対象になりやすい
ネットワークスペシャリスト試験は国家資格のため、非常に信頼性の高い試験といわれています。官公庁システムの開発案件は、国家資格の保有者が多いほど入札しやすいケースも珍しくないため、国家資格の保有者は企業にとっても重宝したい存在です。そのため多くの企業では、ネットワークスペシャリスト試験が資格手当や取得時に支給される一時金の対象になっていることが多く、努力が給与や手当という形で反映されやすいのが特徴です。
転職において有利
資格取得は知識やスキル、学習意欲の証明としてアピールしやすく、転職において有利になるケースは珍しくありません。特にネットワークスペシャリスト試験は国家資格であり、難易度も非常に高いことから市場価値の高い人材としてアピールするのに役立つでしょう。
取得後に目指したい他の専門資格
ネットワークスペシャリスト試験に合格したら、次に目指したい資格はCCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)です。CCIEは、ネットワーク分野において世界No.1のシェアを誇るシスコシステムズ社が認定する資格で、ITSS(ITスキル標準)ではネットワークスペシャリスト試験と同じくレベル4に位置しています。
ITSSにおける難易度のレベルはネットワークスペシャリスト試験と同じですが、受験資格として実務経験が必須であることや実技試験があること、英語で実施される点から、ネットワークスペシャリスト試験よりもさらに難易度が高いとされています。
まとめ:ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク分野における最高峰の国家資格
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークおよびITシステムやサービスに幅広く精通したスペシャリストであることを証明する試験であり、非常に難易度の高い試験です。
一方で、ネットワークスペシャリスト試験は必須の受験資格が設けられていないため、誰でも受験できるという特徴もあります。実技試験もありませんので、実務経験の有無に関わらず自身のスキルを試したいという方はぜひ受験してみてはいかがでしょうか。
文/赤池沙希
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