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「プログラマーは地方に行くべき時代になった」と思う4つの個人的分析【連載:村上福之】

働き方

    日々流れてゆく膨大な情報量の中からおいしいネタを敏感に察知し、ネット界隈を賑わせてくれるWeb業界の異端児・村上福之氏。同氏独自の経験と価値観から、「キャラ立ちエンジニア」の思考回路を紐解いていく。

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    株式会社クレイジーワークス 代表取締役 総裁
    村上福之(@fukuyuki)

    ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。歯に衣着せぬ物言いで、インターネットというバーチャル空間で注目を集める。時々、マジなのかネタなのかが紙一重な発言でネットの住民たちを驚かせてくれるプログラマーだ

    最近、プログラマーやネット系ベンチャー企業は地方に行くべきだと思うことが多いです。時代がかなり変わったので、そこまで東京のメリットも減りました。すべてのネットベンチャーが東京にひしめき合う必要性もないと思います。

    そこでまず、東京にいる必要性がなくなったと感じる理由を独断と偏見で4つ挙げてみましょう。

    【1】東京のキャリアビジネスやプラットフォームが「ある程度」崩壊した

    過去、モバイルのビジネスにおいて、何だかんだで各携帯キャリアの公式メニューがどうのとか、プラットフォーマーと仲良い方が仕事がしやすい時代がありました。公式メニューに入るための審査に関する暗黙知などがあり、東京に籍を置いていないと、それらのノウハウが浸透しない時期があったんです。

    正直、ガラケー時代は溜池山王とベッタリでないと成り立たないビジネスが多かったと思います。その後、某G社やD社といったソーシャルゲーム会社との距離でビジネスが決まる時代もありましたが、もはやそんなものもなくなってしまいました。

    だからあまり東京にいなくてもいい気がする。

    【2】東京は住居コストが高いが、地方の値崩れが半端ない

    東京の住居は家賃が高いのに、日本の空き家は800万件を超えているそうです。八百万の神が日本にいるとは言いますが、今や、それ以上の空き家が日本にあるということになってしまっています。

    僕が大阪の淀屋橋で起業した時の事務所費用は、月4万円でした。日本銀行大阪支店の近く、帝国データバンク大阪支社の裏なので、そこまで不便な場所でもありません。

    東京でそんな事務所を借りると10万円は超えてしまいそうです。千葉に行くと、一千万円で4LDK一戸建てがいっぱいあるし、地方に行くと数万円で一戸建てを借りれてしまう。

    東京は、給料は比較的高いですが、出て行くお金もたくさん。若い時は刺激的で楽しいのですが、おっさんになって落ち着いてくると、あまり幸せな気分でもなくなる気がします。

    【3】クラウドソーシングが普及して外注先を探すことに地域性が減った

    以前は、自社で間に合わなくなった時、外注先を探したり紹介してもらうのは東京でないと非常に難しかったのですが、今は、カッティングエッジではない業務であればクラウドソーシングで探しやすくなりました。

    クオリティに幅があるのは否めないのですが、東京でないと人を集めにくいという状況でもないように思います。

    もちろん、クオリティの高いクリエイターが東京に集中しているのは事実なんですが、それが必要でもない事業も多い上に、別にお金出せば地方でも発注できます。「個人でお金を稼ぐ」ということだけを考えるのであれば、東京にいる必要性はもはや感じられません。

    【4】東京はノイズと誘惑が多過ぎるので技術を極めにくい

    僕が上京してきたばかりの時、はてなの近藤さんが「東京にいるとノイズが多い」と言っていました(出典記事)。自分が上京したばっかりの時は意味がまったく分かりませんでしたが、最近はそれを痛感しています。

    何だかトレンドについていかないと、ものすごく自分が遅れている気がするし、そうすると自分が何を極めたいかが分からなくなってきますし、会社がいっぱいあり過ぎてすぐ転職したい気分になってきたりします。本当に、雑念が多いです。

    東京のネット業界のトレンドは、正直、健全なものばかりでもないので、人として心が病んでくることも多いです。精神衛生上、東京でない方が良いことも多いです。

    地方移住を勧めるポイント

    地方移住を勧めるポイントは、それなりに大手の企業だと地方でもエンジニアの給料が変わらないことが多い上に、住環境が良くて安いからです。最近は、楽天でもサイバーエージェントでもGMOでも、最近の大手ネット企業は地方に支社を構えるようになってきました。GMOの大阪支社なんてJR大阪駅の駅ビルの中にあります。

    さらに東京はコストが割に合いません。大阪市内と東京23区内では、家賃が4割増から2倍はします。渋谷周辺の1Kのマンションで10万円くらいは普通ですが、駅から近くもありません。しかし、それで給料は大阪の4割増から2倍かと言われるとそうでもないです。

    東京の電車は人が多過ぎて死にそうですが、大阪は環状線と御堂筋線以外は空いている気がします。花博のために作られた大阪の鶴見緑地線なんて、いつもガラガラでどうやって運営しているのかが謎なくらいです。

    どういうプログラマーは東京を脱出すれば良いのか?

    毎日、刺激的な毎日を送って、渋谷・新宿・六本木辺りでウェーイしたいのでしたら、東京がいいんじゃないかと思ってます。

    が、それなりに広くて駅に近くて快適な生活をしたければ、無理に東京に住む必要もないのではないかと思います。

    勉強会に行かなくても、公式ドキュメントを読み込むだけである程度のことができるスキルがあるプログラマーなら、一定水準の収入を得て、心に余裕のある生活ができます。無理に東京で働くよりも、心も体もリフレッシュできそうな予感がします。

    ただし、その一方で、地方のネットベンチャーはただの零細企業みたいなのも多く、転職をする際は自分の目でしっかり見極めることをおすすめします。

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