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二流の技術者は技術を難しく説明(ブラックボックス化)する【連載:TAIMEI】

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    小俣泰明(TAIMEI)@taimeidrive

    NTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーでシステム運用やネットワーク構築の技術を磨いた後、面白法人カヤックでディレクターを担当。その後、2009年4月に上場企業の取締役に就任。2012年8月にトライフォートを共同設立、代表取締役Co-Founder/CTOに就任。スマートフォンアプリ・ソーシャル領域に特化した開発・運営を展開している

    「二流の技術者は技術を難しく説明する。一流の技術者は相手に伝わるように理解できる内容にして説明できる」

    これは……。

    もう10年以上前の話になりますが、自分が伊勢丹データーセンター(現・三越伊勢丹システム・ソリューションズ)という会社の社員だった時に、富士通が主催するLS研という研究会に参加させてもらい、知り合った富士通の優秀なエンジニアの方との飲みの場でいただいた言葉になります。

    ※一流とか二流とかって表現はあまり適切ではない言葉かもしれませんが、あえてありのままに記載させていただきました。

    テクノロジーについて難しく語ると、ちょっとカッコよく聞こえますよね。でも、ここには一つのワナが潜んでいます。その点についてご説明します。

    From Alper Cugun 「技術習得」は各々の努力によるものだが、その「努力した過程」に固執し過ぎると…

    From Alper Cugun 「技術習得」は各々の努力によるものだが、その「努力した過程」に固執し過ぎると…

    あるテクノロジーを自分の知識とするのに多くの時間を割いたので、「簡単には人に教えたくない」という心理状況になったことはありませんか?

    それはブラックボックス化を生み出し、自分がいないと解決できない領域を作ることにつながります。結果的に、自分の居場所が作られることになるんです。

    もちろんこういった手法で、チームの中での確固たる地位を築くやり方もあると思いますので、全部を否定する気はありません。でもこの行為は、今のIT技術の進化スピードを鑑みると、自分の首を絞める行為になりかねないと言えます。

    というのも、自分しかできないものがあるということは、その作業は自分がやるしかなく、その分新しい領域に踏み出す時間を失うことになるからです(反面、自分が必要とされている喜びは得られます)。

    IT技術なんて、数年もしたら一新してしまう。つまりそこに居場所を作ったところで、確固たる先はないのです。

    であれば、恐れず自分の居場所を簡単な言葉にして、「簡単な作業」だということを暴露してみんなに公開してしまえばいい。「何だ、こんな簡単なことをやってたのか!」って思われるかもしれませんが、それでいいんです。

    見える化?して人に任せちゃうんです。当然、感じていた心の優位性と実際の仕事はなくなります。でも、それでいいんです!

    この行動が次の技術、次の領域に踏み込む時間を生むのですから。

    エンジニアは、どこかで「過去の自分をDELETEする」時が来る

    多くの技術は淘汰、整備され、消えていきます(消えるというか、意識しないでいい領域になる)。自分が推していた技術が数十年続くなんてことはほとんどありえないことを意識しましょう。

    少し昔の話をしますと、僕はLDAPやケルベロス認証といった技術を推進していた1人でした。ですが、クラウド全盛の時代になった今、こうした技術は根底から無力化されてしまう結果になってしまいました(レガシーシステムもあるので一概には言えませんが)。

    今思うと、これもIT系企業(もしくはオープン化団体)自体がブラックボックス化を作り、そこにビジネスを作り出す手法だったのかとも思います。オープン化してるのにブラックボックス化?って理解しづらい状況ですね^^;

    僕は、オープン化も一つの技術の流れだと感じています。確かにオープンソースですので、ブラックボックスとは言えません。でも、オープンソースに連携したシステムは、そのオープンソースの動向に依存する。その依存状態が、ブラックボックス化した技術とほぼ変わらない制約を受ける。

    結局利権争いなんです。その利権争いの中で、技術者は生きているといえます。

    これだけで朝まで語り合いたいくらいな感じです。が、横道にそれ過ぎたので話を戻すと……。一番言いたいのは、技術は絶えず進化し続けるということ。そして、その進化の中で、過去の技術的方針の選択は過ちであったように感じる状況に陥るということ。

    でも、それは過ちではなく時代の流れの中で最適解を求めた行為なのだから、恥じる必要はありません。

    恥じるべきは、その過去の技術方針を引きずり続けること。過去の自分の活動を自らDELETEするくらいのノリで良いんです。そしていち早く「その先」を見る時間を作り、前に進むことが大切です。

    だからこそ、今からでも、過去の提言を全てリセット!初期化!そして次にすすむために、自分のブラックボックスを周りに理解できる優しい言葉でさらけ出し新たな自分の時間を確保し次のステップに進みましょ!

    技術の進化は永遠ですから。面白い技術があなたを待っているわけですから!!!

    じゃあ「次の技術選定=自分の拠りどころづくり」はどうやればいい?

    From Marcin Wichary 新たな発見や提言が繰り返されるテクノロジーの世界で、どう知識を研鑽していけばいいのか?

    From Marcin Wichary 新たな発見や提言が繰り返されるテクノロジーの世界で、どう知識を研鑽していけばいいのか?

    では、どのような技術を探求していくべきなのでしょうか。自分が意識すべき次の技術の選定基準を挙げて、第3回連載を締めくくりたいと思います。

    本質的に大切なポイントは2つ。

    【1】利権争い的な技術ではなくユーザー(利用者)のメリットである技術であるかどうかをみる。

    【2】テクノロジーの押し付けではなく、本当にユーザーメリットになりえる技術かどうか。

    【具体的例】
    ビットコインを使えば円やドルを使わずに買い物や送金などができる。技術的には面白いが、ユーザーを見ていない。ユーザーはビットコインを使いたいわけではないのです。楽に金銭処理を実施できればそれでいいわけで。

    ビットコインを使うか円を使うかドルを使うか、電子マネーを使うか、クレジットを使うかはどうでもいい。これがまさに技術を見て、ユーザーメリットを見ていないという状況となる。

    今後も、僕たちエンジニアはあくまで利用者のことを考えた技術を突き詰めていきたいですね。

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