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スマホ決済サービス『Origami Pay』の生みの親に聞く、これからのFinTech エンジニアに求められる条件

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    近年ますます注目度が高まっているフィンテック(FinTech)業界。中でもスマホ決済分野は、スタートアップから大手まで、さまざまな企業がしのぎを削る「熱い」領域だ。2013年、モバイルECプラットフォームとして生まれ、16年には実店舗でのスマホ決済サービスに進出したOrigamiもその一つ。今回はOrigamiの技術部門を率いる野澤貴氏に、同社がスマホ決済分野で存在感を発揮できている要因と、この分野で活躍できるエンジニアの条件を聞いた。

    モバイルコマース『Origami Pay』の生みの親に聞くこれからのFintech エンジニアに求められる条件

    株式会社Origami プロダクト開発部/技術部 ディレクター 野澤 貴氏

    最大の競合は「現金」である

    「スマホ決済分野への参入は、創業以来の悲願でした。問題は参入すべきタイミングの見極め。私たちはスタートアップですから、参入時期を見誤ることは死活問題となります。そのため、3年ほどはスマホ決済市場の成熟度を眺めつつ、『Origami』加盟店の獲得や既存店との関係強化、サービスのUX改善に力を注いでいました」

    新たな金融サービスを立ち上げるには、信用力と資金力も問われる。同社は15年、ソフトバンク、クレディセゾンなどから、16億円におよぶ資金調達を実現し、満を持してスマホ決済サービス分野への進出を決めた。その後、参入から2年足らずで主要プレイヤーの仲間入りを果たしている。

    「既にスマホ決済分野には、『Alipay(アリペイ)』や『WeChatPay(ウィーチャットペイ)』といった中国勢に加え、国内では『楽天ペイ』や『LINE Pay』が市場参入を果たしています。しかし、顧客層やビジネスモデル、フォーカスしている事業がそれぞれ異なるため、完全なる競合ではありません。ましてや今は、市場の黎明期。各社はライバルというよりも、巨大市場を共に築く同志という側面が強いと言えるでしょう」

    むしろ、真のライバルは「現金」決済だと野澤氏は言う。

    「今、私たちが狙っているのは、現金決済からの置き換え需要です。日本は世界でもとりわけ現金志向が強い国。しかし、『Origami Pay』は、現金にはないさまざまな魅力を兼ね備えていると考えています」

    その魅力の一つが、独自の即時割引サービスだ。これは加盟店との密接な関わりから生み出した『Origami Pay』独自のサービスだが、同社の優位性はそれだけではない。『Origami Pay』は、『Alipay』を用いた決済も受け入れ、銀行口座決済への対応やクレジットカード会社への決済プラットフォーム提供などを実施。独自色を打ち出しつつ、今後数百兆円に成長すると言われる巨大市場に挑んでいるのだ。

    最大の競合は「現金」である

    高まる人材ニーズ。求められるのは専門性と貪欲な吸収力

    現在、スマホ決済サービスは、急速な発展の真っ只中にある。既存の金融機関や決済を必要とする事業会社との連携が進む中、こうした発展を支えるエンジニアには、どのような能力やマインドが求められるのだろうか。

    高まる人材ニーズ。求められるのは専門性と貪欲な吸収力

    「規制や業界構造がダイナミックに変化する中で、今後活躍できるエンジニア像を一言で表すことは困難です。しかし、あえて申し上げるなら、専門性と柔軟性を兼ね備えた人材が、これからますます求められるようになると言えるでしょう。金融の世界は、隣接分野であっても専門用語が異なるニッチな世界です。しかも、変化が非常に激しい。その違いやスピード感を楽しめる人にはやりがいのある環境だと思います」

    加えて野澤氏は、決済分野に対する関心を持ち、前向きに取り組む姿勢があれば、キャリアチェンジは充分可能だと見ているという。

    「業界を通じて求められるのは、決済領域における業務知識や決済プロセスに興味があり、チャレンジの数を重ねていける人。中でも、新しい知見に対して吸収力がある人は有望です。大雑把に決済分野の専門知識と言っても、ユーザー側のシステムと加盟店側のシステムでは様相が大きく異なります。こうした諸々の違いを理解し、楽しみながら学べる人なら活躍のチャンスは多いではずです」

    決済システム分野には、モバイルやセキュリティ、ネットワークの最先端テクノロジーが求められる一方、古くからあるテクノロジーも欠かせない。安定性や信頼性を最重要視する、既存の金融システムと連携に不可欠だからだ。野澤氏は、このように求められるテクノロジーの幅広さも、スマホ決済分野の面白さだと言う。

    「新しいウェブテクノロジーを駆使するフロントエンドエンジニアはもちろん、決済処理を正確かつ安定的に処理するバックエンドエンジニアの力量も重要です。ECに限らず、実店舗における決済のあり方に変革を起こしたいエンジニアなら、どの会社でも引く手あまただと思いますよ」

    スマホ決済分野は生まれたばかりとは言え、主要プレイヤーの顔ぶれは絞られつつある。エンジニアとしての未来をこの世界に託す気持ちがあるのであれば、このタイミングで決断することは決して悪くない選択だと言えるだろう。

    「発展途上の業界では、挑戦する気持ちが求められるものです。中でも当社には、システムの作り手であるエンジニアが主導権を持って、ビジネスを立ち上げていく社風があります。キャッシュレス社会の実現に向けて、能動的に動くことができるエンジニアには大きな可能性があると思いますよ」

    現在、スマホ決済分野におけるエンジニアの採用ニーズは活性化している。野澤氏が技術部門をリードするOrigamiも、今期中にエンジニアを倍増する計画だ。もしこの新しい金融サービスに関心があるなら、積極的に情報収集してみてはいかがだろうか。

    取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/赤松洋太

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