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COVID-19におけるGAFAMのAI施策とは?今知っておきたい注目事例を紹介

働き方

    本連載では、海外AIトレンドマーケターとして活動している“AI姉さん”ことチェルシーさんが、AI先進国・中国をはじめとする諸外国のAIビジネスや、技術者情報、エンジニアの仕事に役立つAI活用のヒントをお届けします!

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    海外AIトレンドマーケター | AI姉さん
    國本知里・チェルシー (@chelsea_ainee)

    大手外資ソフトウェアSAPに新卒入社後、買収したクラウド事業の新規営業。外資マーケティングプラットフォームでアジア事業開発を経て、現在急成長AIスタートアップにて事業開発マネジャー。「AI姉さん」としてTwitterでの海外AI事情やトレンド発信、講演、執筆等を行っている

    皆さん、こんにちは。AI姉さんことチェルシーです。

    世界中がCOVID-19の影響でリモートワークとなり、働き方改革も急速に進んでいます。

    FacebookやGoogleが年末まで在宅勤務を延長するだけでなく、Twitter社も永久在宅勤務を発表しました。COVID-19により、今後のエンジニアキャリアを考える上で非常に影響を受けた人も多いのではないのでしょうか。

    そして、COVID-19により一歩進んだのは人々の働き方だけでなく、AI技術も同様です。

    以前も中国で、COVID-19によりAI技術が大躍進した事例をご紹介しました。
    >>自律型ロボットにリモート診断……新型コロナで大躍進した中国AIテクノロジー【連載:AI姉さん】

    AI技術は世界のウイルス拡散をどのように防止しているのでしょうか。今回は中国ではなく、世界のGAFAMがCOVID-19に対して取り組んだAI施策の中で、特に面白い事例をピックアップしてご紹介します。

    Googleは最大のデータ分析コミュニティーでCOVID-19予測

    まず、COVID-19関連のAI技術で活躍したのはデータ分析・予測です。

    Googleが買収した世界最大のデータ分析コンペコミュニティー・Kaggleは、COVID-19で非常に注目されました。

    ホワイトハウスの科学技術政策局は、「59,000件を超える論文からCOVID-19に関する重要な問題の答えがあるのでは」と、世界中の400万人いるKagglerに問いました。そしてデータサイエンティストたちはCOVID-19 Open Research Datasetと名付けたデータマイニングツールを開発。

    さらにKaggleは取り組みを強化し、2つの予測課題を出しました。それが「世界中のCOVID-19感染拡大を予測」と「カリフォルニア州内の拡散拡大を予測」というものでした。

    Kaggle COVID-19で世界中のデータサイエンティストたちが医療の予測を支援し、COVID-19に打ち勝とうと日々取り組んでいます。Googleは世界中の天才コミュニティーを生かして、COVID-19の予測を行っているのです。

    kaggle

    出典:https://www.kaggle.com/c/covid19-global-forecasting-week-1

    AmazonはAWS診断開発イニシアティブで研究開発を加速

    Amazonの機械学習といえばAWS。AmazonはAWS診断開発イニシアティブプログラムを立ち上げ、2000万ドル(約21億)を投じました。

    このプログラムより支援された、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学病院の医療従事者は、AIアルゴリズムを活用し、胸部X線写真から肺炎を迅速に検出し、病院での医療が必要な患者や、自宅での経過観察が可能な患者の判別精度を高めています。

    写真は元のX線画像(左)とAIによる肺炎の検出結果画像(右)です。患者がペースメーカーを装着していたにも関わらず、肺炎を検出しています。基礎疾患があっても肺炎を識別可能なのです。

    AIによる肺炎の検出結果画像

    また、パンデミックの予測・監視のためにAWSでヘルステック企業を支援しています。

    ・4000%需要増の遠隔医療プログラムを行うカナダOntario Telemedicine Networkへ、どこでも医療にアクセスできるビデオサービスの規模拡大支援

    ・リアルタイムで発熱や症状をトラッキングする米Kinsaへ、病気の広がり可視化の支援
    など、分析予測等のヘルスケアテックの発展をAWSで支援

    Amazonは、COVID-19の最前線であるヘルステックパートナーへ画像診断・予測をAWSのクラウドで支援しています。

    FacebookはAIで誤った情報が拡散されないようにアップデート

    FacebookはSNSで情報を得る世界最大のコミュニケーションツール。COVID-19に関する誤った情報が拡散されないようにFacebookは取り組んでいます。

    以下の画像をご覧ください。

    ニュース画像

    2枚目の写真は、上の表示から誰かがスクリーンショットを撮った画像だと分かりますが、3枚目は「Is」が「ISN’T」と表記され、逆の意味になっています。

    SimSearchNetでInstagramとFacebookに上がるこうした写真の特徴を比較・特定し、誤った情報をAI画像分析アルゴリズムで検出しています。

    Facebookはこれまでに培ってきた画像解析AIで、COVID-19に関する誤報をいち早く止めるということを、力をいれて行っています。

    Appleは感染した人から濃厚接触者を追跡する

    AppleがGoogleと共に発表した、濃厚接触者追跡ソリューションが話題になりました。

    iPhoneやAndroidのBluetoothで、周辺のスマホを一定の期間で検知し、互いの識別情報を端末に保存。COVID-19感染者がいたら追跡するというものです。

    AI技術の活用においては、音声アシスタントの『Siri』のアップデートです。Siriにコロナにかかっているかを聞くだけで、簡易的な問診を受けられるサービスを米国で展開中です。

    Microsoftは『AI for Health』を立ち上げ、対策FAQチャットボットを開発

    Microsoftは1月に『AI for Health』を立ち上げました。

    5年間で4000万ドル(約42億円)の規模で、非営利団体・研究者などにAIツールを提供することで、世界中の人々の健康促進を支援するプログラムです。

    COVID-19発生後は、COVID-19解決のために、以下の5分野に注力すると発表しました。
    ・データと知見:安全・経済的影響に関する情報提供
    ・治療薬と診断法:ワクチン開発の研究支援
    ・リソース配分:病院のスペースや医療機器等にリソース配分する提案
    ・正確な情報の発信:誤った情報の拡散を抑える
    ・科学的研究:COVID-19の研究

    また、日本国内の事例として注目すべきは、AIを活用した内閣官房のCOVID-19対策WEBサイトにおける、AI活用FAQチャットボットです。

    各省庁のCOVID-19関連の情報を取り込み、チャットボットによってFAQの回答を得られる仕組みを支援しています。正しい情報を早く正確に知ることができるように、Microsoftは動いています。

    マイクロソフトの新型コロナウイルス感染症対策ページ

    GAFAMと同じく、自社の強みで何を解決するか

    今回は、GAFAMのCOVID-19に関するAIの取り組み事例をご紹介しました。

    先日、GAFAMの時価総額は東証一部2170社の合計を超え、560兆円になったというニュースもありました。世界のテック業界の最先端を行くGAFAMは、多くのAIタレント・プロダクト・独自技術を抱えています。

    事例でご紹介したように、Googleはデータ分析コミュニティーを活用し、Amazonはあらゆる組織と連携することでCOVID-19に立ち向かい、Facebookは得意の画像認識で誤情報を管理しています。

    各社は強みのAI技術を生かして問題を解決しながら、データを溜め、技術も進化させています。こういった事例を日々追いながら、自社の強み・エンジニアとしての自分の強みでCOVID-19にどう立ち向かっていくか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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