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AIが発明したスポーツに、自律型ドローンのレース!? 世界で加熱する「AI×スポーツ」最新事情

働き方

    本連載では、海外AIトレンドマーケターとして活動している“AI姉さん”ことチェルシーさんが、AI先進国・中国をはじめとする諸外国のAIビジネスや、技術者情報、エンジニアの仕事に役立つAI活用のヒントをお届けします!

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    海外AIトレンドマーケター | AI姉さん
    國本知里・チェルシー (@chelsea_ainee)

    大手外資ソフトウェアSAPに新卒入社後、買収したクラウド事業の新規営業。外資マーケティングプラットフォームでアジア事業開発を経て、現在急成長AIスタートアップにて事業開発マネジャー。「AI姉さん」としてTwitterでの海外AI事情やトレンド発信、講演、執筆等を行っている

    皆さん、こんにちは。海外AIトレンドを発信しているAI姉さんことチェルシーです。

    ラグビーワールドカップが盛り上がり、次は2020年の東京オリンピック。国内ではスポーツ関連の話題が絶えませんね。昨今、スポーツにもデータ分析領域の活用が進んできています。

    例えば2014年のサッカーワールドカップではドイツが優勝しましたが、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であるSAPのデータ分析技術を用い、選手やボールのカメラトラッキングによってパス回しの分析を行ったことが、勝因の一つだと考えられています。

    また、スポーツテックの世界的なアクセラレータプログラム、『SPORTS TECH TOKYO』(主催:電通・スクラムベンチャーズ)が2018年より開始され、今年も世界中から100社以上のスタートアップが東京に集結。12社のファイナリストの中に、撮影・収録・編集・ライブ配信を全自動化するAIカメラPixellot』も選ばれています。

    スポーツ領域にもテクノロジーが社会実装されるようになった現在、AI技術はスポーツの発展にどう貢献しているのでしょうか。オリンピック直前の今だからこそ、今回は注目すべき海外AIスポーツ事例・トレンドについてご紹介します。

    AIが発明した、世界初の新スポーツ『Speedgate』

    なんと今年、世界初「AIが発明した新スポーツ」が誕生しました。米国デジタルエージェンシーAKQAが生み出した『Speedgate』です。

    Speedgateは、ラグビーとサッカーを混ぜたような、6人制のチームスポーツ。3秒以内しかボールを所持できないルールで、パスやキックでボールをつなぎ、相手チームのゲートにゴールをすれば2ポイント獲得。さらに、ゴールしたボールをそのまま逆から打ち返し、再度ゴールすれば1ポイント加算。最終的にポイントを多く取ったチームが勝利です。センターサークルがあり、そこに入るとファールになってしまったり、パスは腰より下から投げないといけなかったりという細かいルール設定も。スピード感があって非常に面白いスポーツです。

    AI技術としては、テキスト生成RNNで世界中の400ものスポーツを分析し、新しく、かつ楽しめるスポーツのコンセプトとルールを生み出しました。また、画像生成アルゴリズムDCGANで、1万個以上の既存スポーツロゴから新しいロゴを生成しています。昨今注目されているディープラーニングの生成技術を活用して、新しいスポーツの概念を生み出したという、興味深い事例です。

    生成されたロゴ、参照:https://playspeedgate.org/

    生成されたロゴ(参照:https://playspeedgate.org/

    オリンピック展開を目指した、AI搭載の3Dアスリートトラッキング

    IntelとAlibabaは共同で、AI搭載の3Dアスリートトラッキング技術をCES2019(2019年1月)で発表しました。これは、コンピュータービジョンとディープラーニングアルゴリズムの組み合わせによって、コーチとトレーナーがリアルタイムで選手の動き(生体力学データ)を、3Dデータでパフォーマンス分析することができる技術です。

    従来は特別なセンサーやスーツを使用する必要がありましたが、この技術を用いることで、それらを使わずともビデオカメラでリアルタイムに分析できるのです。

    2019 CES:インテルとアリババは、2020年東京オリンピックを目指した新しいAI搭載3Dアスリートトラッキングテクノロジーを開発

    参照:2019 CES:インテルとアリババは、2020年東京オリンピックを目指した新しいAI搭載3Dアスリートトラッキングテクノロジーを開発 インテルニュースルーム

    自律AIを活用したeスポーツのトレンド

    フィジカルなスポーツ以外に、eスポーツ(デジタル競技)も今注目の領域です。eスポーツの市場は2017年の6億9420万ドル(約757億円)から、2023年までに21億7480万ドル(約2370億円)に成長すると予測されており、今後非常に発展が見込まれているマーケットです。

    現在、国際オリンピック委員会でもeスポーツを正式競技にするかどうかの議論が進んでいます。また、eスポーツに力を入れているIntelは、2020年6月に、オリンピックに先立ってeスポーツのトーナメント、『Intel World Open』を開催予定です。

    AI技術のeスポーツでは自律型ドローンレースが注目されています。10月よりアメリカで、AI Robotics Race(AIRR)サーキットが初めて開催されました。

    中でも話題なのが、ドローンレースの流行を受けて2015年に設立された団体であるドローンレーシングリーグ(DRL)が開発した、最高速度112キロで走る『RacerAI』。エッジAIであるNVIDIA Jetson AGX Xavierを搭載しており、カメラ・画像処理により人間の操縦者の2倍の視野でオブジェクトを検出し、自律走行することができるドローンです。

    eスポーツの中でも、人間ではなく、“人間により開発された自律型AIドローン”が操縦者になっていることは、非常に新しい事例です。

    スポーツにも知覚AI・自律AIの適用の波が来ている

    元Microsoft Research Asia・Google中国代表であるKai Fu Lee氏は、世界的大ヒット著書『AI Superpowers』でAIの4つの波について述べています。

    1. Internet AI(インターネットAI)
    2. Business AI(ビジネスAI)
    3. Perception AI(知覚AI)
    4. Autonomous AI(自律AI)

    3つ目の知覚AIは画像・音声技術により目・耳などの知覚を拡張します。スポーツでも画像生成・画像解析等の技術の研究・応用が進んでいる分野ですね。そして今後さらに応用が進むのが、4つ目の波である自律AIです。まさに近い将来、自律AI技術を活用したeスポーツが拡大していくでしょう。

    今後期待されるスポーツテック領域

    世界的に有名なベンチャーキャピタルであるスクラムベンチャーズが2019年8月に行った調査によると、今後1年でスポーツにおける最もインパクトのあるテクノロジーは、選手のパフォーマンス向上技術(ウェアラブルデバイス等)・スタジアムでの体験技術(チケット・セキュリティ等)を抑えて、ファンエンゲージメント技術(ライブストリーミング・メディア配信等)だと言われています。

    Industry Insights: The Current State of Sports Technology

    参照:Industry Insights: The Current State of Sports Technology

    スポーツをビジネスにするという観点においては、選手強化というよりも「観客をいかに楽しませるか」という視点が、今後のAI技術のスポーツ応用・開発において重要になるでしょう。

    今回はスポーツにおけるAI技術活用について事例及びトレンドをご紹介しました。

    オリンピック直前の今だからこそ、エンジニアの皆さまもスポーツを観て楽しみながら「AI技術をいかにスポーツに応用できるのか」ということを考えてみてはいかがでしょうか。

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