キャリア Vol.1089

ニッチなニーズにこそ注目せよ。「開発力×CRM思考」がエンジニアに求められる理由とは?

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技術力だけを磨いていればエンジニアのキャリアが拓けたのは過去の話。最近ではプラスαのスキルを掛け合わせることが、時代に求められるエンジニアになるための条件になりつつある。

掛け合わせのスキルの中で、最近注目されているのが「CRM」だ。消費者ニーズが多様化する今の時代において、あらゆるビジネスに必須とされるマーケティングの概念で、プロダクトやサービスの作り手であるエンジニアにもその視点や発想が求められている。

そこでCRM事業を展開するアーカス・ジャパン代表取締役社長である松原晋啓さんに、CRMの重要性とエンジニアが学ぶメリットについて聞いた。

アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原晋啓さん
アーカス・ジャパン株式会社
代表取締役社長 松原晋啓さん
アクセンチュアなどでSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでのエバンジェリスト、マイクロソフトでのソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、CRMを専門に扱うサービスチームを率いてさまざまな企業で事業の立ち上げを支援。2014年に設立したアーティサン株式会社に代表取締役副社長&CRM事業部長として参画。20年7月、CRM事業部が分社化し、アーカス・ジャパン株式会社を設立。代表取締役社長に就任

コロナ禍でも需要高まるCRM。なぜ“不況に強い”のか?

ーーそもそも「CRM」とは何でしょうか?

CRMは「Customer Relationship Management」の略語で、「顧客関係管理」と訳されます。企業とお客さまは、電話やメール、対面、DMなどさまざまなチャネルを通じて接点を持ちます。これらの顧客接点で得られた情報を全て一か所に集めて、お客さまを理解する。これがCRMの考え方です。

これにより、企業はお客さまのニーズを把握し、一人一人が満足できるサービスの提供が可能になります。

今は「個性の時代」と言われ、消費者のニーズは多様化しています。かつてはマーケティングの世界でも「20代女性」「30代男性」といった塊でお客さまを捉えていましたが、現在はお客さまを個人として捉えなければビジネスが成り立たない。

「一回売ったら終わり」という商売でいいなら話は別ですが、お客さまと長く良い関係を続けながら収益向上を目指すなら、企業にとってCRMは必須の経営戦略です。

ーーつまりCRMは、ものを売るための戦略ということですか?

いえ、違います。「売る」のではなく、「買ってもらう」。それがCRMの目的です。

お客さまが買いたいと思うものを提供すれば、企業が売ろうとしなくても、「そうそう、これが欲しかったんだよ!」と買ってもらえるはず。アップルのiPhoneはまさにこのパターンですよね。

アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原晋啓さん

「CRMって顧客に営業することでしょ?」と誤解されることも多いのですが、営業しなくても自社の製品やサービスが売れる状態をつくることが本来のマーケティングであり、CRMです。

私たちがアーカス・ジャパンの事業コンセプトを説明するときは、CRMではなく「パーソナライズドCRM」、顧客関係管理ではなく「個客関係管理」という言葉を使っているのですが、それもCRMの本来の目的をより分かりやすく伝えるためです。

一人一人の“個客”に合ったものを提供する、つまりパーソナライズすれば、CRMの目的である「買ってもらう」を実現できる。私たちはそのためのシステムを企業に提供しています。

ーーCRMシステムの導入により、どんなことが可能になりますか。

かつてのIT技術では、「営業支援システム」「コールセンターシステム」といった個別の業務や組織を最適化するシステムしか作れませんでしたが、テクノロジーの発展により個別のシステムをプラットフォーム上で統合させ、冒頭で説明した「お客さまの情報を全て一か所に集める」が可能となりました。

さらに現在はCRMとAIを融合させ、お客さまの性格や感情まで含む深い情報を基に、一人一人をプロファイリングできるようになりました。技術的にもCRM本来の目的を果たせる時代になったということです。

ーー現在は新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がビジネスに打撃を受けています。貴社のCRMビジネスへの影響はいかがですか。

それが打撃を受けるどころか、新しい引き合いの話が次々に舞い込んでいる状況です。既存のお客さまからも、新しいプロジェクトをスタートさせたい、あるいはサービスを更新したいといった話を数多く頂いています。なぜなら、CRMは“不況に強い戦略”だからです。

コロナ禍以降、全国の飲食店や小売店が苦境に立たされていますが、実は常連が多い店は意外とダメージが少ない。お客さまが「店が苦しいときこそ、私たちが何とかしなくては」と思い、経営を支えてくれるからです。

一方、一見さんを相手にしていた店の商売はどん底です。皆さんも、たまたま一度利用したくらいのお店を支えてあげようとは思いませんよね。

つまり、お客さまと長く良い関係を続けるというCRMを実行してきたお店は、不況にも強いということ。これは一般企業でも同じです。実はリーマンショックの時も、CRMシステムの需要は飛躍的に伸びたんですよ。

アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原晋啓さん

ーーそうなんですか!?

私は当時マイクロソフトで『Dynamics CRM』を担当していたのですが、その頃はまだCRMの概念が日本でなかなか理解されず、事業は赤字でした。そこへリーマンショックが起こり、あらゆる企業の業績が大きく落ち込んだ。

そこで私は今こそ経営戦略におけるCRMの重要性を理解してもらう好機だと考え、企業にCRMのメリットを説明して回ったところ、売上が大幅に伸びたのです。

不況になれば、お客さまのニーズや消費行動も変わります。ところがCRMシステムを導入していない企業は、お客さまの情報を掴むことができず、変化に対応できない。お客さまとの関係性も希薄なので、誰もその会社を支えようとは思ってくれない。

このWパンチを受けて、企業もようやくCRMの必要性に気付いたわけです。

エンジニアに必要なのは、
「どうしたら使ってもらえるか」という視点

ーーCRMは経営戦略とのことですが、エンジニアもその視点や思考を身に付けることは必要でしょうか。

そう思います。なぜならCRMを理解すれば、エンジニアが作るシステムやプロダクトは画一的なものではなくなり、そこにブランドが生まれるからです。

CRMで重視するのはマイノリティーです。一人一人が満足できるサービスを提供するには、ニッチな需要を捨てずに全て拾い集める発想が必要になる。

それを象徴するのがAmazonで、1年に1個しか売れないようなものも扱う「ロングテール戦略」によって、あれだけの巨大ビジネスに成長を遂げました。

ニッチを大事にするからこそ、お客さまはその企業やサービスのファンになってくれる。多くの企業はマジョリティー以外の顧客を切り捨てますが、CRMの発想は真逆です。

もしエンジニアがマジョリティーの視点しか持たず、大多数と同じものを作っていたら、他と差別化できないし、ブランドも生まれない。個性の時代に生き残るには、サービスやプロダクトの作り手もマイノリティーの視点や発想を持つことが不可欠です。

アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原晋啓さん

ーーCRMは経営者だけが理解すればいいわけではないのですね。

むしろ現場に近い人間ほどお客さまに近くなるわけですから、エンジニアを含めた全員がCRMを理解すれば、その企業は必ず強くなります。

例えばスターバックスの経営戦略を店舗で働くバリスタたちが理解していなかったら、あのブランドは成り立たちません。現場のスタッフ全員が「スターバックスは他のコーヒーショップとどう違うのか」を理解し、それをサービスとしてお客さまに提供するから、ブランドの価値がつくられるのです。

エンジニアも同じです。いくら経営者がお客さまのことを理解しても、実際にお客さまが使うものを作るエンジニアが理解していなければ、企業は価値やブランドを生み出せません。

ーーずっとパソコンに向かっていて、顧客と関わる機会が少ないエンジニアも多いので、なかなかお客さまのことを意識できないのかもしれません。

実は私もエンジニアになったばかりの頃は、自分の技術力を高めることばかり考え、がむしゃらに勉強してスキルを磨いていました。そんな時、当時の上司にこう言われたのです。

「お前はパソコンを見て仕事をしているが、作ったシステムを使うのはお客さまだ。お前がどんなスキルを駆使してシステムを作ったかはどうでもいい。エンジニアに求められているのは、お客さまが満足できるものを提供すること。だからちゃんとお客さまを見て仕事をしろ」

お客さまのニーズが全てである。今思えば、上司の言葉はまさにCRMの本質を突いたものでした。これをきっかけに私の意識は大きく変わり、それからは積極的にお客さまとコミュニケーションしたり、店舗や工場などの現場に足を運ぶようになりました。

すると現場で働いている人はいつもデスクに向かっているわけではなく、ノートパソコンを抱えてあちこち歩き回っていたりする。だったら立ったままでも操作しやすいユーザビリティーを提供しなければ、システムは使いにくくて仕方ないわけです。

いくら高いスキルを駆使して素晴らしい機能を搭載したシステムを作っても、お客さまに使ってもらえなければ意味がない。そのことに気付けるかどうかが、エンジニアの成長の肝だと思います。

アーカス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 松原晋啓さん

CRM思考が、エンジニアのキャリアを広げる武器になる

ーーでは、エンジニアがCRMの視点や思考を身に付けるには、どうすればいいのでしょうか。

大事なのは、いろいろな体験をして、多様な考え方に触れること。例えば弊社のメンバーが出張するときは、「会社の経費を使っていいから、現地でうまいものを食べて、観光してから帰ってこい」と言います。

自分が普段暮らしている場所とは異なる環境に身を置き、その土地ならではの文化や人々の習慣を学ぶことで、自分とは違う考え方があることに気付く。この“気付きのアンテナ”を張ることが、CRMの視点を養うのに欠かせません。

もう一つ私がよく言うのは「自分を疑え」という言葉。つまり、クリティカルシンキング(批判的思考)を身に付けろということです。

「これが正しいはずだ」と信じ込んでいると、お客さまと向き合ったときも相手の声や意見を聞き入れず、「自分はこう思う」と自己主張してしまう。でもCRMの世界では、お客さまのニーズが全てです。

よくビジネスではロジカルシンキングが重要だと言われますが、それだけでは頭の固い人間になりかねません。ですから弊社では、クリティカルシンキングと合わせて思考法の研修に力を入れています。

エンジニアの育成というと、ハードスキルである技術力を高めるものと思われがちですが、私たちの会社では思考力やコミュニケーション力、セルフマネジメント力などのソフトスキルを伸ばすことに重きを置いています。

ーーCRMの視点や思考を習得したエンジニアは、キャリアの幅も広がりそうですね。

CRMのプロになれば、どんな仕事やビジネスをやってもうまくいくと思いますよ。お客さまのニーズをつかめば、時代の流れを読めるようになる。

この力をエンジニアのスキルにプラスすれば、プリセールスなどの営業系やコンサルタントに転じることもできるし、もちろんマーケティングもできるでしょう。新規事業の立ち上げや起業だって可能になるはずです。

そんな人材ならどこの会社でも欲しがる。エンジニアがCRMという応用を身に付ければ、キャリアパスは限りなく広がります。ぜひ皆さんもCRMという武器を身に付けて、自分の可能性を広げて欲しいですね。

>>アーカス・ジャパン株式会社の詳細を見る

取材・文/塚田有香 写真/赤松洋太

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