この連載では、技術・組織づくり・経営・キャリアに詳しいIT業界の専門家たちが、社外メンターとして登場。エンジニアtype読者の“上司に言えない悩み”に、複数のメンターたちが回答を寄せていきます!
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ベテラン揃いの現場で、20代新人POがリーダーシップを発揮するには?澤円・えふしん・藤倉成太が回答
自分がリーダーとしてプロジェクトを率いていくはずが、メンバーの方が経験が豊富…という今回のお悩み。
自分よりベテランのパートナーさんたちに対してリーダーシップを発揮して、案件をうまく進めていくにはにはどうしたらいいのでしょうか?
エンジニアtype 公式メンターズ

圓窓 代表取締役 澤 円さん
日本マイクロソフトの業務執行役員の経験を経て、現在でも複数のベンチャー企業で顧問を務める。キャリアのスタートはCOBOLプログラマー。「プレゼンの神」の異名を持つ
BASE 取締役EVP of Development 藤川真一さん
『モバツイ』開発者。想創社の創業者。BASEでCTOを経て現職。今は組織マネジメントに専念している。通称えふしん
Sansan株式会社 CTO 藤倉成太さん
ミドルウエア製品の導入コンサルティングや米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発などを経験後、SansanのCTOに就任
Y.Kさんの質問:自分よりベテランのパートナーさんたちにリーダーシップを発揮するには?
自社メディアのPOとして10月からアサインされたのですが、開発を担当してくれているパートナーさんたちの方がサービス内容のことをよく分かっているし、システム担当としての経験値も高いです。
自分が発言すると「それは違う」とつっこまれる場面も多々あります。どうすればいいでしょうか?
澤さんの回答:「どうすればより良いものが作れるか」にフォーカスしよう
マネジャーやリーダーの役割は、メンバーたちよりも多くのことを知っていることではなく、メンバーが全力で仕事に取り組むための素地を作ることです。なので、どんどん相手に質問して、「どうすればより良いものが作れるか」にフォーカスしましょう
あなたは、素敵なメンバーに恵まれていますね! ここではリーダーとして、「どうすればより良いものが作れるか」にフォーカスしましょう。
相手と対決する必要は一切なく、あくまでも協業・協働するのが重要。一番やってはいけないのは、プロジェクトメンバー間で「競争」することです。これは誰も幸せになりません。
リーダーと開発担当者は役割が違います。スポーツの世界でも、監督と選手では役割が違いますよね。
そして、自分を助けてくれるのは「自己開示する勇気」です。分からないことを自己開示することで「助けてやろう」と思ってもらえればラッキーです。
これを「かわいがられ力」とボクは呼んでます。結構、役に立ちます。
そして、「ややこしいことは片づけておくので」と、リーダーとしての役割をサラッとこなすと、周りの皆さんも納得するのではないかなと思います!
えふしんさんの回答:態度は堂々としながら、水面下では必死にもがいていこう
周りの人たちの方が経験豊富なのは仕方のない事実なので、素直に教えを請うていく部分は誠実に行いましょう。その上で、的外れな話をしないように、いかに全力でキャッチアップしていくかです
こういう話は、途中からCTOでジョインしたような人は概ね経験をしています。ここで一番避けなくてはいけないのは、「この人は分かっていないし、信頼できないな」と思われることです。そのために全力でキャッチアップしていきましょう。
その時に気を付けなくてはいけないのは、安易に謝罪したりして、弱いと思われること。態度は堂々としながら、水面下では必死にもがくことを並行して行います。こういうのをハッタリ力と表現した人がいて、それは私も同意です。
Y.K.さんがPOとしてアサインされていると言うことは、Y.K.さんが持たなくてはいけない責任や強みというのが、その人達と違うスキルとして存在しているからだと思います。それをしっかり胸に抱えつつ、自分の力を発揮するために、みんなに認めてもらうように努力をしていくことが大切です。
藤倉さんの回答:今の自分が出せる「事業の成果」を着実に積み上げていこう
POが成すべきことは、任された自社メディアを成長させて、事業に貢献すること。そのための意見はしっかりと吸収して、事業の成果を出すことを意識しましょう
まずは、POとしてのご自身の責任を明確にしていくのが良いと思います。
POとして求められているものは、関係者よりも物事をよく知っているということではないはず。この立場で成すべきことは、任された自社メディアを成長させて、事業に貢献することではないでしょうか。
そのために、パートナーさんや周囲のメンバーの方がよく知っていることがあるのであれば、それをしっかりと成果に結びつければいいのです。また、そこで意見してくれた人々から信頼されていくためには、成果が誰のおかげだったかということを関係各位に伝えていくのが良いと思います。
パートナーのみんなが意見を出してくれたから開発が進められた、周囲のメンバーのおかげでいいアイデアが出せたなど、認めるところを認めてあげることが重要です。あまり無理して理想のPO像に自分を近づける必要はないので、今の自分が出せる成果を着実に積み上げるための行動を心掛けてみてください。
そうして関係者をまとめて実績を積み上げることができれば、Y.Kさんの成果にもなりますし、長く続けることができれば自ずと知識も積み上がると思います。そうなってくれば、今以上に自信を持って、POとしてリードしていけるようになるはずです。
『エンジニアWebメンタリング』では、読者の皆さまからの悩みを随時募集中!
澤円さん、えふしんさん、藤倉成太さんなど、エンジニアtype公式メンターズに相談したい内容を、下記のフォームからご記入ください。


株式会社圓窓 代表取締役
澤 円さん(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)※11月末発売予定
Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ メルマガ:澤円の「自分バージョンアップ術」 オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

BASE株式会社 取締役EVP of Development
藤川真一(えふしん)さん(@fshin2000)
FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスのプロデューサーのかたわら、07年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。10年、想創社を設立し、12年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。14年8月BASE株式会社のCTOに就任。19年7月から現職

Sansan株式会社 CTO
藤倉成太さん(@sigemoto)
株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮する
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