この連載では、技術・組織づくり・経営・キャリアに詳しいIT業界の専門家たちが、社外メンターとして登場。エンジニアtype読者の“上司に言えない悩み”に、複数のメンターたちが回答を寄せていきます!
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駆け出しエンジニアの「会社選びの基準」は? メルカリ名村・SmartHR芹澤・スマニューたいろーが回答
お悩みを寄せてくれたのは、実務経験2年のWebエンジニア。第二新卒枠で転職を考えているけれど、エンジニアの求人が多すぎて決めきれない……と迷っているそう。
そこで今回は、メルカリCTO名村さん、SmartHR CTOの芹澤さん、スマートニュースのたいろーさんに「皆さんだったらどんな基準で会社を選ぶ?」と相談してみました。
今回のお悩み:2年目の若手エンジニア。何を基準に会社を選べばいいか分からない
第二新卒枠で転職を考えています。でも転職サイトにはエンジニアの求人が多すぎて、決めきれません。皆さんがもし今、経験2年のエンジニアなら、どんな会社を候補にいれますか?
名村さんの回答:自分で意思決定する余地がある場所を選ぼう
企業がエンジニアにどういった役割を期待しているかを見てみてはどうでしょうか。自分で意思決定して、行動できる余地がある場所を選ぶことをおすすめします。
僕自身はエンジニアとして会社・環境に恵まれたと思っているので、それを基準とした話になります。第二新卒での転職をお考えということは、今の仕事がイメージと違ったから、ということでしょうか。
エンジニアとして働く人が、仕事に対して何を期待しているかはさまざまですが、もし今後もエンジニアとしてのキャリアを考えているのであれば、自らが考え、決断して行動することができる余地がどれほどあるかを基準とすることをおすすめします。
企業においてエンジニアが求められることは、さまざまなアイデアや計画を実現すること。それは、実現することに対して正しい意思決定ができることでもあります。
アイデアを実現するにあたって、技術的な視点が必要な意思決定は山のようにあります。さらに、事業視点が必要だったり、ユーザーの視点が必要であったり、意思決定に求められる視点もさまざまです。
例えば、そもそもアイデアは実現可能なのか、どういった技術を使うべきか、どういったフレームワークを使うか、どういった開発プロセスをとるべきか。他にも、どういった外部サービスを使うべきか、いつまでに何を作るべきか、品質と速度のバランスはどうするか……などです。
こういった意思決定の感覚を身に付けるには、実践で自らが判断していくしかありません。その経験を積むために、企業がエンジニアに、どこまでの役割を期待しているかを見てみてはどうでしょうか。
芹澤さんの回答:「いかに優れたエンジニアと一緒に働くか」がポイント
駆け出しのタイミングにおいては、目標となるような優秀なエンジニアがいて、それを自分の成長につなげられる環境のあるところがいいと思います。
これは僕自身の経験からのアドバイスとなりますが、経験2年といういわゆる駆け出しのタイミングにおいて、一番重要なのは「いかに優れたエンジニアと一緒に働くか」だと考えます。
よく「エンジニアの生産性には10倍の差がある」などと言われますが、これは本当にその通りだと思います。もちろん定量化できるものではありませんが、優秀なエンジニアというのは、実に驚くような成果を継続的に出しています。
これだけ生産性に差がある職種において、駆け出しの成長真っ盛りの頃に、その目標をどこに据えるかというのは、今後のエンジニア人生を大きく左右するポイントになります。上には上がいる精神の下、現状に満足せず貪欲に高みを目指していくのが理想でしょう。
なので、転職候補にいれる会社としては、目標となるような優秀なエンジニアがいてそれを自分の成長につなげられる環境のあるところ、というのが回答となります。
見極め方としておすすめなのは、会社の人事担当者にお願いして、できるだけ、多くの現場エンジニアと会って率直にお話をする機会を設けてみることです。
「プロダクトが有名だから」とか「SNSで有名な人がいるから」ではなく、ご自身の目でその会社にどんなエンジニアがいるのかを確かめ、成長できる環境かどうかを見極めてみてください。
成長できる・できないを全て環境のせいにするのはよくないですが、環境が要因の一つであることは間違いないかと思います。
たいろーさんの回答:若手のチャレンジに寛容な「急成長企業」を見てみよう
各方面から才能ある人材が集まりやすいので、急成長企業を選ぶといいと思います。成長機会がある環境かどうかは、面接で見極めることができます。
実務経験2年で転職というのは、この業界では珍しいことではありませんが、今回の転職に何を求めているかによります。ただ、若手の方が転職する先として僕が個人的におすすめしたいのは、やはり「急成長企業」です。
伸びている事業には、それを支えるために、各方面から才能ある人材が集まります。そして、そんな人たちと切磋琢磨しながら事業や組織を一気に成長させていく中で、ある日、ご自分でも想像していなかったステージに立っていることに気が付く時がくるでしょう。
個人の才能や努力でも、もちろん差はつきますが、環境や成長機会の違いは人を大きく変えるインパクトがあり、後からでは取り返しがつかないほどの大きな差になっていきます。
急成長企業では、事業の成長に対して採用や育成が追い付かず、たとえ経験不足だとしても若手の抜擢が起こりやすい傾向があります。それを追い風にして、自分で決断する機会を増やしていけるはずです。
面接は、それを見極める絶好のチャンス。事業の成長に関する数字を具体的に聞いてみましょう。未上場でも教えてくれる事があります。
また、面接でお会いする社員の方たちが、自ら決断をしたエピソードについて聞いてみましょう。そして、それが例え失敗に終わったとしても、そこから学んで次に活かせていると嬉々として語ってくれるようであれば、企業カルチャーもおのずとそういったチャレンジに寛容だと分かるはずです。
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メンターズプロフィール
株式会社メルカリ 執行役員CTO
名村卓さん
1980年生まれ。小学生の頃からプログラミングを始め、大学はコンピュータ・サイエンスを専門とする会津大学へ進学。コンピュータ理工学部へ進み、在学中からSIerでシステム開発を行う。2004年、大学を中退した後はSIerに就職、その後サイバーエージェントに入社。リードエンジニアとして『アメーバピグ』『AbemaTV』など主要サービスの開発に携わる。16年メルカリに入社。US版メルカリの開発などを担当。17年4月に執行役員CTOに就任
株式会社 SmartHR 取締役・CTO
芹澤雅人さん(@masato_serizawa)
2011年よりナビゲーションサービスを運営する会社にて、経路探索や交通費精算、動態管理といったサービスを支える大規模なWebAPIの設計と開発に従事。16年2月にSmartHR入社、開発業務のほか VPoE としてエンジニアチームのビルディングとマネジメントを行う。20年11月現職に就任し、現在はプロダクト開発・運用に関わるチーム全体の最適化やビジネスサイドとの要望調整を担う
スマートニュース株式会社 Technical Product Manager
森山大朗さん(@tairo)
早稲田大学卒業後、リクルートで人事・営業などを経験した後、エンジニアに転身。新サービスの立ち上げやビズリーチでの求人検索エンジン開発などを経てメルカリに参画。Head of Data/AI/Searchとしてメルカリの検索アルゴリズム改善やAIを活用した新機能の開発、Machine Lerning Engineer組織を統括した。2020年より現職。AIを活用したダイナミック広告のプロダクトオーナーとして開発のマネジメントを担っている。■ブログ:ユニコーン転職日記、■voicy:ユニコーン転職ラジオ、■note:たいろーのnote
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