「時代がやっと追いついてきた」デジタル×リアル融合イベント開発を手掛けるPKBソリューションが見せる“コロナ禍の一人勝ち”
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、音楽ライブや飲食フェスなど、多くの人が集まるリアルイベントは軒並み開催中止になった。それでもコンサートや演劇がオンライン配信されるなど、エンターテインメントの領域では「リアルからデジタルへ」の動きが加速している。
しかし、イベントは見たり聞いたりするだけでなく、“そこに足を運ぶこと”自体が大きな楽しみの要素でもある。いくらオンラインで実施できるようになったからといって、その不足感は否めないだろう。
そうした中、今「デジタルとリアルを掛け合わせた」スタイルのイベントに注目が集まっている。
今回取材したPKBソリューションは、デジタルとリアルを融合したイベントを実現するシステム開発の先駆者で、2006年の創業当初から、観光地などを巡りながらスタンプを集める『モバイルスタンプラリー』のシステム開発を手掛けてきた。
また最近ではコロナ禍をきっかけに、新たに『謎解きイベント』の施策を始動。アニメや地方自治体などと協力し、さまざまなイベントやプロモーションの企画開発を担っている。
代表の山本浩史さんと開発担当エンジニアの仲野崇宏さんは、「『デジタル×リアル』のシステム開発には独自の面白さがある」というが、それは一体どんなものなのだろう?
コロナ禍、「時代がサービスに追いついた」
山本:ええ。昔ある缶コーヒーを扱う飲料メーカーが、「缶コーヒーを買ってシールを集めるとプレゼントがもらえる」というプロモーションをしていて、こうしたプロモーションには数億円も費用が掛かっている、という話を友人から聞いたんですよ。
その時、「技術力のある自分たちなら、デジタルで同じような仕組みをもっと簡単かつ安価に作れるのでは」と思ったのが、モバイルスタンプラリーをひらめいたきっかけでした。
創業当初はスタンプラリー、フォトコンテストや抽選システムの仕組みだけを開発・提供していたのですが、当時はまだスマートフォンではなく、いわゆるガラケーが主流の時代。今ほどデジタルが身近ではなかったこともあり、なかなかお客さまに使い方やメリットを理解してもらうことが難しくて。
そのうち商業施設の販促施策に携わることになり、そこでモバイルを使ったプロモーション企画をいろいろと試す中で、「スタンプを集めて巡る」というスタンプラリーの施策が最も分かりやすく、ニーズがあることに気付き、モバイルスタンプラリー事業に注力し始めました。
これまでに、商業施設や鉄道会社、地方自治体、放送関係などさまざまなクライアントとタッグを組み、モバイルスタンプラリーのシステムを活用したイベントプロモーションを行ってきました。
当社ではこのモバイルスタンプラリーの、システム部分の提案や開発を手掛けています。具体的には、プロモーション会社や地方自治体から「モバイルスタンプラリーを活用したイベントを企画したい」とお話をいただいたら、そのイベントに最適な仕組みをオーダーメイドで開発し、提供しています。
山本:そうですね、当社への問い合わせの数も以前の5倍まで増えています。
コロナの影響でリアルイベントの開催が難しくなる中、オンラインのイベントも増えてきてはいますが、やはりそれだけでは味気ない。非接触で、密を回避しながらも「その場で楽しめる」仕組みは、ユーザーにとってもイベント企画者にとっても必用なのだと感じています。
われわれが手掛けていることは10年前から変わりませんが、コロナ禍をきっかけに世の中のニーズがPKBの事業にフィットしてきた、自分たちのしてきたことに時代が追い付いてきた、と感じる瞬間が何度もありますね。
競合はいない。「前例のない機能」を生み出す力
山本:スタンプラリーなどのシステムを制作する会社はかなり増えてきていますね。ただ、他社のシステムのほとんどは、単純に「紙のスタンプ台紙をデジタルにしただけ」に過ぎません。
一方で私たちが作っているのは、スタンプラリーの台紙ではなく、あくまで「ユーザーを楽しませるコンテンツシステム」なんですよ。
システムに合わせた企画を考えるのではなく、企画に合わせて最適なシステムを作るというのがPKBの大きな特徴。特設サイトやスタンプを集める仕組み、集めたスタンプで抽選や景品交換に応募する仕組み……。その全てを、イベント、企画ごとにオーダーメイドで作っているのです。
つまり、PKBはただのシステム開発会社ではなく、プロモーション企画の上流から携わり、システムを作って運用するまでを一貫して担っているので、そういう意味では競合他社はほとんどいないはず。だからこそ、イベント企画の担当の方にも「PKBに相談すればなんとかなる」と思っていただけているのではないでしょうか。
仲野:そうですね。ただ型の決まったシステムを作るのではなく、モバイルスタンプラリーシステムのベースを生かしつつも、「どんな仕様にすればこの企画に最適なものができるのか」を考えて作る必要があります。
イベントごとに新しい機能を作ることも多いですし、既存の機能を使うにしても、どれを選び取るかによって企画の方向性も変わってきますから、営業担当やクライアントとの密なコミュニケーションも求められますね。
そのためエンジニアはシステム開発以外にも、さまざまなレイヤーを担うことが珍しくありません。私自身も企画からインフラ、デザインまでの全てを担当することはよくあります。
仲野:前職では企業の基幹システムの開発に携わっていたのですが、法人顧客だとどうしてもユーザーの反応が見えない部分があって。一方で今の仕事では一般のユーザーが使うアプリを開発しているので、SNSなどを通じて生の声が聞こえてくるのが一番の喜びですね。
また、有名なアニメやコンテンツとコラボレーションできる点も大きな魅力だと思います。例えば以前、JR東日本主催の映画『君の名は。』とのコラボイベントのモバイルスタンプラリーシステムを当社で手掛けたんですよ。
こういう企画では大々的にプロモーションを打つことになるので、その時も山手線の中やあらゆる駅にイベントのポスターが貼られていて。「自分たちの作ったシステムを多くの人に知ってもらい、使ってもらえることが実感できる」と、社員みんなが喜んでいました。
開発の面では、当社は企画に合わせたシステムを一から作ることがよくあって。これまで作ったことのないもの・世の中にも事例がまだないものを、自分の力で考えて作るのは、前例がない分非常に苦労はするものの、面白い部分だとも感じていますね。
ディレクター的素養を活かし、「発想しながら作る」人材に
山本:ええ。モバイルスタンプラリーと並んで大きな核にしたいと考えているのが、「謎解きイベント×デジタルプロモーション」です。これは、今流行りの謎解きイベントや脱出ゲームに、私たちの持つデジタルの仕組みを掛け合わせるというものです。
従来の謎解きイベントは、ユーザーが会場に集まって、設置された謎やギミックを直接手で触りながら進めるものが一般的でした。でもコロナの影響で「モノに触る」遊びの提供が難しくなってしまいましたよね。
そこでわれわれの持つ「デジタル×リアル」のノウハウを用いて、会場にいながらも、謎解き部分はデジタルで楽しめるようなシステムを提供しようと考えました。
とはいえ、「謎をつくること」はさすがにわれわれには難しいので、その部分は謎解きの専門企業とコラボレーションしています。
山本:そうですね。ただ、実は謎解きイベントも、モバイルスタンプラリーから着想を得ているんですよ。
過去にとある地方自治体にモバイルスタンプラリーシステムを提供したことがあるのですが、「チェックポイントをただ巡るだけでなく、地域の歴史などを知ってもらえる仕組みがあるとうれしい」といった要望をいただいたことがあって。その時、単にスタンプだけでなく、その土地のことをテーマにしたクイズなどを組み合わせられたらいいなと思ったんです。
また3年ほど前にJR西日本と、『名探偵コナン』とコラボした謎解きツアーの企画を手掛けたのですが、それが非常にうまくいったのもきっかけになっていますね。
謎解きのノウハウを掛け合わせることで、モバイルスタンプラリーのシステムにおいても、これからできることが大幅に増えていくと思っています。
山本:やはり「ものづくりが好きなこと」が大前提だと思いますね。先ほど仲野も申し上げていましたが、当社のエンジニアの仕事は「仕様書通りにシステムを開発する」だけには決して留まりません。SEよりも、どちらかといえばディレクター的な素養が必要になるケースも多いです。
一方で、開発のノウハウを生かして「何ができるか」を考えることが好きな方にとっては、当社は非常に良い環境だと思います。
デジタルプロモーションの企画では、「こんなことをしたら面白そう」ということをクライアントと話しながら、自分でそれをシステムに組み込んでいくことができます。その意味ではビジネスの視点やアイデアが求められますし、PKBの仕事をしているとそうした能力が身に付いてくると思います。
今、この状況下だからこそ、私たちの仕事の領域はどんどん増えています。デジタルとリアルを融合し、ユーザーに思いきり楽しんでもらえるような新しい企画やシステムを生み出していける人材に、ぜひ来ていただきたいですね。
取材・文/高田秀樹 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)
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