「花界のSpotify目指す」資金調達40億円、花のサブスク『bloomee』の成長支えるサプライチェーン改革の裏側
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アクティブユーザーは10万世帯以上、「毎週自宅のポストに花が届く」というアイデアの斬新さが話題を呼んでいる、花のサブスク『bloomee(ブルーミー)』。運営するのは、これまで約40億円の資金調達を実施し、企業としても急拡大中のスタートアップ、ユーザーライクだ。
急成長の裏には、同社のエンジニアが先頭に立って行なった「サプライチェーンの改革」があったという。『bloomee』の躍進を支えたこのプロジェクトは、どのような技術で支えられ、エンジニアたちはどんなこだわりを持ってプロダクト開発に臨んだのか。
同社CMOの戸口興さん、エンジニアマネージャーの朝倉達也さんに話を聞いた。
「世界観の醸成に必要不可欠」サプライチェーン改革プロジェクト
――近年『bloomee』の躍進について、事業の成長に特にインパクトを与えた技術的な施策について教えてください。
戸口:昨年、開発チームが先頭に立ち、『bloomee』のサプライチェーンを整備・改革したプロジェクトがあります。これは今もプロダクトの根幹を支える、大きな決断となりました。
そもそも『bloomee』は、「綺麗な花を家庭に届ける」ことに価値があるプロダクト。しかし既存のサプライチェーンでは、「綺麗な状態の花」を均一に担保してユーザーさんに届けることが難しかったんです。
なぜなら、花が出荷されてから家に届くまで、1日でもスケジュールが狂えば、ユーザーさんの手元に届く時には「綺麗な花」ではなくなってしまうことがあるから。
たった1日、と思うかもしれませんが、花というナマモノの商品にとってタイムラグは致命的で、ユーザーさんの手元に届くまでに傷んでしまったり、到着後すぐに枯れてしまったりする可能性も高くなるわけです。
そこで運用当初から、仕入れから配送までのサプライチェーンを見直さなければ、という課題がありました。
朝倉:当社が『bloomee』のサービスを始めてから5年の間に、運用当初からの課題であったサプライチェーンの見直しや改善のために関わる領域も広がりました。おかげで解決できる課題は増えたのですが、それは同時に外部の影響を受けやすくなることでもあります。
昨年、サプライチェーンの流れの中で、お届けまでの期間が数日伸びるような、外部サービスの変更がありました。
しかし先ほどお話した通り、『bloomee』は1日の遅れが命取りのサービス。そこでプロジェクトを立ち上げ、問題の解決に加えてサプライチェーンの流れ自体もさらに改善していく挑戦を行なうことにしたのです。
――具体的には、どのようなプロジェクトなのでしょうか。
戸口:『bloomee』の花が自宅に届くまでは、まずは生産者が花を市場に上げて、そこから仕入れて花店が加工、その日のうちに出荷して配送し、宅配業者が届ける、というプロセスが存在します。
生産者、市場の方、花店、配送担当、オペレーターなど、関わる人の人数が多いことがお分かりいただけると思います。
これら一連の流れを全て洗い出し、無駄を省き、必要あればシステムを入れて……と、ベストなサプライチェーンを構築したのが今回のプロジェクトの概要です。
朝倉:例えば、お花を安定して仕入れられる日が限られていて、配送曜日が変わればお花の仕入れからお届けまでの各工程のタイミングや、オペレーションが変わる。オペレーションが変わるとメンバーの混乱も生まれる。そんな制約だらけの中だったので、当初から一筋縄ではいかないだろうなと思っていました。
戸口:ただ『bloomee』がこれからもっと成長するために、「新鮮できれいな花を届けるのが当たり前」という世界観をつくっていく必要があったので、このタイミングで取り組まなきゃいけないよねと。そこで、エンジニア、カスタマーサクセス、デザイナーなど一丸となって取り組みました。
ソフトウエア以外の視点も必要な、プロジェクトマネジメントの面白さ
――「サプライチェーン改革」に、エンジニアチームはどのように関わっていたのでしょうか。
朝倉:エンジニアはこのプロジェクトで、PMのように全体を把握する立場にいました。先ほどお話しした通り、今回のプロジェクトは影響範囲がとても広いもの。しかし各プロセスの日々のアクションやアウトプットは全てシステムやデータに集約されていたので、僕らは全てを把握できるポジションにいたんです。
そこで僕たちが全体を把握しながら、他のチームや関わりのある方々と連携して、どうすればベストなかたちになるのかを調整していきました。
もちろんそこには、オペレーションシステムの変更や、データの制御、細かいフォーマットの修正など、細々したシステム改修も発生したので、そのあたりも開発チームが担当していましたね。
――細々したシステム改修、というのは具体的にどのような内容ですか?
朝倉:例えば、これまではユーザーさんの出荷確定のタイミングは週に1回。毎週1回、決まったタイミングで決済し、その後花店に「今週の出荷はこれをお願いします」と最終確定版を送るというプロセスがありました。
それを週1ではなく頻度を増やした方が、お花の提供を柔軟に対応できることになるので、本来はベストなオペレーションです。
そこで、出荷確定のタイミングを増やしてもオペレーションが崩壊しないように、ミスなく最終確定版を送れるようなシステムを改修していました。
でも実は、このような実際にコードを書く部分よりも、開発を進める前段階、例えばオペレーションを整理することにも注力していたんですよね。
戸口:朝倉さんが率いる開発チームには全体も見てもらいつつ、細かいシステム改修もしてもらって、さらに社内のUXチームやカスタマーサクセス、経営サイドなどからの意見にも耳を傾けてもらう……本当にたくさんのことを担当してもらいました。
開発担当の領域を超えるものもたくさんあったでしょうし、ソフトウエア上で完結するサービスとは違う難しさがあったと思います。
――このような全社横断のプロジェクトを、開発チームが率いていくのは珍しいですよね。それだけ技術的な改善の重要度が高かったということでしょうか?
戸口:私たちのシステムは基本的にフルスクラッチで、すべてをゼロから作っています。しかしそこには、新しいテクノロジーを導入することで解決しようという意図はなく、あくまで手段の一つ。
オペレーション改善の積み重ねや、将来のオペレーション変更や市場の変化に対応できる状況にしていくことを重視しているので、技術面での仕組みとサービス全体の理解が重要になるんです。
朝倉:そうですね。どんな技術を使うかにはあまりこだわりがなくて、それよりも「ユーザーさんにとって大事なことは何か」という視点で開発だったり、オペレーションの変更だったりを進めています。
また、ユーザーライクではすべてのプロダクト開発において「ユーザー起点」という考え方を重視していて、何ごとも「ユーザー起点で考えて行動した結果どうなるか」で仕事を進めているんです。なので、エンジニアがシステム開発以外を担当することにも違和感はありませんでした。
――作り手が起点になる場合と、ユーザーさんが起点になる場合で、サービスづくりはどんなふうに変わるのでしょうか?
朝倉:何かを改善する時って、作り手側の仕事が効率化されるからいいよねとか、データ上では良さそうだからやってみようか、といった視点で物事を動かしてしまいがちですよね。
でも、僕らは必ずそこで「それってユーザーさんの視点から見るとどうなのか」をプラスして考えるんです。
先ほどお話しした「出荷日を複数つくる」というのも、まさにその視点。われわれがオペレーションを行う難易度は高くなってしまうかもしれないけれど、ユーザーさんにとってうれしくなる改善。だったら「やろう」となるわけです。
常にそのような視点でプロダクト改善を行なっているので、問題解決のスタートは「開発で解決しよう」「オペレーションで解決しよう」ではなく、「実行手段」は問わないでいいというのが僕らの考えです。
プロダクト開発は「ユーザーに憑依する感覚」で
――プロジェクトを実施した結果、事業にはどのような効果がありましたか。
戸口:実際に花の品質は良化し、オペレーションの改善など、各プロセスで数値の改善はありました。また今回で「プロダクトの根幹・土台」を整えられたので、ユーザー満足度や今後の事業展開など、長期的かつ多方面にじわじわと良い影響が出ているといった印象ですね。
――今回のプロジェクトでも重視していた「ユーザー起点」というのは、貴社のプロダクト開発全てに反映されているんですよね。
戸口:はい。私たちは常に「ユーザーさんの中に憑依する感覚」でプロダクトを作っているんですよ。サービスを作る側の感覚でものづくりをしてはならないと思っています。
朝倉:カスタマーサクセスからコーポレートのメンバーまで、皆その感覚は持っていますよね。
さらにエンジニアの場合は、ユーザーさんだけではなく「社内のメンバーにも憑依する」ことも重視だと思っていて。社内のメンバーの役割や考えを理解した上でアクションを取るようにしています。そこが他社のエンジニアとは、少し違うところかもしれませんね。
――今回のプロジェクトで、サービスのさらなる成長を支える「土台」が整ったとのことですが、今後は何に挑戦する予定ですか。
朝倉:僕個人の話でいうと、これまではプロダクトづくりに集中してきましたが、エンジニアのメンバーも増えてきたので、今後は組織づくりに注力していきたいですね。メンバーが得意な領域でパフォーマンスを発揮でき、本気で頑張れる環境をつくりたいです。
戸口:事業に関しては、今以上にサプライチェーンに深く入り込んでいきたいと考えています。今まで各業者間でつなげられていなかったデータを整備し、より質の高い商品を届けていきたいです。
あとは画像認識の技術を使って、ユーザーさんごとに花のパーソナライズをする仕組みも整えたい。レコメンデーションの精度を高めて、いずれは「花界のSpotify」のようなサービスになれるといいなと考えています。
いずれも実現のためには、テクノロジーが不可欠。今後ももっと技術を使って、ユーザー体験の質を向上させ、事業を加速させていきたいです。
取材・文/キャベトンコ 撮影/赤松洋太 編集/大室倫子
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