本連載では、圓窓代表・澤円氏が、エンジニアとして“楽しい未来”を築いていくための秘訣をTech分野のニュースとともにお届けしていきます
米テック企業「大解雇時代」日本のエンジニアへの影響…「基本的には華麗にスルー」で構わないワケ【連載:澤円】
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
皆さんこんにちは、澤です。
今回のテーマは、「米国のテック業界の影響と日本でのキャリアの関係」です。
最近の米国のテック企業では、大量に解雇をしたり新規雇用を抑制したりする動きがある、とメディアで報道されていますね。(参考:米テック企業で「大解雇時代」が到来? 批判集まるZoomでの“冷淡な通達”)
また、リセッション(好景気から景気後退期にシフトしていくこと)が経済に影響を与えるよ、という悲観的な見方も広がっています。(参考:世界のCEOの6割「来年までにリセッション入り」)
あるいは「テスラが全員出勤に戻す判断をした」という報道も話題になり、エンジニアにとって働きやすい状況は失われているのでは? と心配になっている人もいるかもしれませんね。
こういう報道は目をひきますし、エンジニアとしては他人事には感じられないかもしれません。
この手の報道が出てきた時のボクの基本方針は「華麗にスルー」です。
というのも、こういった報道の時の主語は大きすぎる気がするからです。
「米国テック企業」と一口に言っても凄まじい数の会社があるでしょうし、少し前のデータですが、「米国のIT人材は420万人」というレポートもあるので、業界としても極めて大きいのが実情です。
さらには、そのうち65%のエンジニアは事業会社に勤務していて、テック企業に在籍するエンジニアの方が少数派だそうです。(参考資料:IT人材白書2017年)
それをひっくるめて「解雇や雇用抑制の動き」と言われてもピンとこないんですよね。
それに、業界全体での大きな動きは自分にはコントロールできるものでもないので、「こういう時こそ、自分のできることにフォーカスしよう」と思うのです。
「みんな〇〇」は、主語が大きすぎることもある
主語を大きくすれば、自分も対象者に入りやすくなります。
「男性は」
「日本人は」
「IT業界人は」
上記のいずれにもボクは該当します。
しかし、その後に「みんな集中力がある」と言われても、「そうか、ボクは集中力があるのか!」とはなりません(笑)
あるいは「みんな倹約家である」と続いても、「全然違うんですけど〜〜」と感じるに違いありません。
大きく雑に括って「君はXXだね!」という評価をされて納得することって、それほど多くないと思うんですよね。
それがネガティブな情報であれば反発したくなるのも自然だと思います。
「プログラマって、みんな意地悪だよね」と言われて「その通り!プログラマは意地が悪くてなんぼじゃ!」って思う人が多数派ではないでしょう。
むしろ「なんでそんな決め付けされなくちゃいけないんだ!」って反発しても不思議じゃないですよね。
でも、なぜか「IT人材の冬の時代が来る」と言われると、「やばい、自分も巻き込まれる!!」って思っちゃう人もいるでしょう。
就職氷河期を体験した人などは、特にその危機感は強くなるかもしれませんね。
確かに、就職氷河期は「少なくなった椅子を取り合う難易度高すぎなゲーム」という感覚だったと、まさにその時代を生きていたボクのかみさんも言ってます。
でも、その中でも楽々と内定を取りまくる人もいたでしょう。
そんな人たちを「あれは別物」「学歴が違うし」「容姿端麗だからしゃーない」という諦めの目で見てしまうのも、これまた自然な反応かもしれません。
でも、この記事をお読みになっているエンジニアの皆さんは、すでに「エンジニア」になっているわけですよね。
就活の時の「よく分からない判断基準」での採用とは訳が違うはずです。
であれば、とにかく腕を磨けばいいわけです。
「人と比べてどうか」はとりあえず横においといて、「自分が得意な分野は何か」を徹底して研究した方がいいでしょう。
「え?だってニーズがなければ意味なくない?」と心配するかもしれませんが、今のDXの状況を見れば、いかなるエンジニアでも活躍できる余地が大きいと感じています。
何せ、どの業界でもエンジニアは取り合いですし、内製化の流れが強まりつつある日本において、エンジニアの就職先は今後増える一方だと楽観的に考えています。
ただ、その中でも光るためには、腕を磨く必要がある訳です。
その磨き方は?
それはいろんなアプローチがあるし、そのためには情報収集が不可欠です。
エンジニアtypeの記事だって、情報収集するためのソースとしては相当バリエーションに富んでいるし、片っ端から読めばめちゃくちゃためになります。
そして、できるだけ興味の幅を広げて、全く違う業界の情報に触れるのもいいでしょう。
ボクは今、9社と契約をして、顧問としてお手伝いしたりエバンジェリストの役割を担ったりしてます。
その中には、自動車販売会社や建設会社、医療サービスベンチャーなども含まれていて、それぞれの会社で得た知見は別の業界でも大いに役立ちます。
そして、ベースとなるITの知識はどこでも重宝されています。
読者のエンジニアの皆さんは、ほぼ例外なくエンジニアとしてはボクより優秀です。
それくらいボクはポンコツエンジニアでした。
でも、こうやってどうにか生き抜いてます。
その秘訣は、できる限り興味範囲を広く持っていたことだったと確信しています。
いろんなことに興味を持って、そしてエンジニアとしての自分に自信を持って、「大きな主語」に巻き込まれないエンジニア人生を送りましょう!
自分に嘘をつかない、
無理はしない。
だから、可能性が広がっていく。
マイクロソフトを卒業して、
自分らしく生きる僕が大事にしていること
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