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女性向けWeb3コミュニティー立ち上げ、大学院進学…NY在住エンジニアの面白さ優先のキャリア選択【高木里穂】

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インターネットの新たな概念として登場した「Web3」。

2022年6月、このWeb3に特化した女性・ジェンダーマイノリティーのエンジニア向けコミュニティー『Creators Studio』が誕生した。

NY在住の高木里穂さんは『Creators Studio』を立ち上げたメンバーの1人だ。彼女自身もフリーランスのエンジニアとして活動している。

国内大手企業でキャリアをスタートし、フリーランス転向、NYへの移住、Web3コミュニティー立ち上げなど数々のチャレンジを続けてきた高木さんの自分らしいエンジニアライフとは? 好きな仕事を長く続ける秘訣を聞いた。

※本記事は姉妹サイト『Woman type』より転載しています

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フリーランスWebエンジニア 高木里穂さん

2015年4月に楽天へ新卒入社。楽天市場データの基盤運用、ETL業務、基盤などに携わる。16年6月にVASILYへ転職し、サーバーサイドエンジニアとしてWebアプリケーションの開発に従事。19年8月、結婚を機に退職し、大阪へ移住、フリーランスエンジニアに。21年6月にアメリカに移住。現在、Webエンジニアとして3社の開発に携わる他、女性・ジェンダーマイノリティー向けのWeb3エンジニアコミュニティー『Creators Studio』を主宰 Twitter:@rllllho

Web3コミュニティー『Creators Studio』立ち上げに込めた思い

――2022年6月にスタートした女性・ジェンダーマイノリティー向けのWeb3エンジニアコミュニティー『Creators Studio』について、立ち上げの背景を教えてください。

私自身がWeb3に興味があったので、一緒に学べる女性エンジニアを増やしたかったんです。

Web3の世界はまだカオスな状態で、正しい情報がまとまっていない。新しい用語も多いから、一から自分でキャッチアップするのは大変ですよね。

なので、Web3に興味を持つエンジニア同士で集まることで、効率的に学べる環境をつくりたいと考えました。

――コミュニティーへの参加者を、女性とジェンダーマイノリティーに絞った理由はありますか?

Web3という領域に、ジェンダーバイアスを生みたくなかったからです。

エンジニアと一言に言ってもさまざまな分野がありますが、どの分野においても女性比率は低い傾向です。ジェンダーの不均衡は、時に男女間の格差を生むことがあります。

Web3はまだ新しい領域なので、「中心」がつくられていない状況。だからこそ、この早期のタイミングでWeb3領域の女性人口を増やしたかった

Web3=男性の領域、というイメージが確立する前に、そして、ジェンダーバイアスが生まれる前に、自分の手でWeb3に関わる女性エンジニアを増やせればと思ったんです。

――高木さん自身、これまでのキャリアの中でジェンダーバイアスを感じた経験はありますか?

ありますよ。高校時代の文理選択で理系を選んだ時、親に「難しいんじゃない?」と言われたり、理系に進んでからも、女性があまりにも少なくてその先の進路に悩んだり。

きっと、親にも私にも、「女性が理系に進むのはイレギュラー」という無意識のジェンダーバイアスがあったんですよね。

そういった状態が続くと、「私はマイノリティーなんだ」「エンジニアとして長く働き続けるのは難しいのでは」と自分で決めつけるようになってしまう。

固定概念にとらわれるようになってしまうこの現象を、心理学用語では「ステレオタイプ脅威」というそうです。

――高木さんは、その「ステレオタイプ脅威」をどう乗り越えてきたのでしょうか?

私の場合、高校時代に「このままでは自分に自信が持てなくなってしまう」と気付けたことが良かったのかもしれません。

それからは、自分がマイノリティーにならない場所を意識的に選ぶようになりました。

例えば、大学は理系の女子大を選びましたし、社会人になってからは複数の女性エンジニアコミュニティーに所属してきました。

自分の好きなことで人とつながれる場所や、性別を気にせず切磋琢磨できる場所に身を置くことで、学ぶことや技術を磨くことに集中してきたんです。

そして、この経験が今回の『Creators Studio』の立ち上げにもつながっています。

――高木さんは現在、ニューヨークにお住まいですよね。日本とアメリカでエンジニアという仕事に対するジェンダーバイアスに違いはありますか?

アメリカでも、映画やドラマでエンジニアの役を演じるのは男性が多いので、「エンジニア=男性中心の仕事」というイメージはありますね。

ただ、アメリカではエンジニアは収入の高い専門職として多くの人が憧れる職業とされています。そのため、エンジニアを目指す人は男女問わず多い印象ですね。

女性のエンパワメントも活発で、年1回、全世界から約3万人のコンピューターサイエンス分野の女性が集まる「Grace Hopper Celebrationt」というカンファレンスもあります。

SNSでやりたいことを発信。キャリアは「面白い」こと優先でつくる

高木里穂さん

――『Creators Studio』はWeb3に特化したコミュニティーですが、高木さん自身がWeb3に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

Web3は、特定のプラットホームに依存しないので、個人のクリエイターがもっと輝ける世界がつくれる可能性がある。その世界観がいいなと思ったのがきっかけです。

もともと、新しい技術やテクノロジートレンドが出てくると、どんなものでもワクワクする性格なんです。興味を持ったら触ってみずにはいられないんですよ(笑)

元をたどれば、エンジニアになったのも「面白い」と思えるものを選んでいった結果ですしね。

――特にどんなことを面白いと感じたのでしょうか?

小学生の頃からインターネットが好きで、Web関連の仕事がしたいなと思っていたんです。なので、大学では理系の情報科学を専攻しました。

Webの仕事の中でも最終的にエンジニアを選んだのは、いろいろやってみた結果一番楽しかったから。

大学生の時にアルバイトやインターンでデザイナーやプログラミング、企画職などを一通り経験してみたのですが、プログラミングが一番面白かった。

アイデアを出して、自分の手で実際にモノをつくって価値を提供できるのが、エンジニアという仕事の醍醐味ですね。

――今はフリーランスとして活動されていますが、働き方はどう選んできたのですか?

まず、新卒で楽天に入社しました。理由は日本を代表するIT企業で自分の書いたコードでユーザーに価値を届けたいと思ったからです。

福利厚生が手厚かったり、チームメンバーの半分が日本人以外のメンバーだったりと国際色豊かなメンバーと仕事ができたことは楽しかったのですが、もっとユーザーと近い立場で開発がしたいと思うようになりました。

学生時代のインターンで感じたような、一気通貫でものづくりができるエンジニアならではの面白みを感じられるような仕事がしたくて、VASILY、ZOZOテクノロジーズ(現ZOZO)などのスタートアップに転職しました。

――その後フリーランスになったのはなぜ?

結婚を機に大阪に移り、その後アメリカに移住もしたので、フリーランスを選択したのは成り行きだったかもしれません。

仕事は、Twitterやnoteで「こういうことがやりたい」と自己発信して探しました。もともとやりたいことだけをやりたい性格の私にとって、フリーランスはぴったりでしたね。

今は日本のスタートアップ2社とアメリカのWeb3のスタートアップから開発業務を委託しています。

NYの大学院進学を決意。やりたいことに素直になれた

高木里穂さん

――これから先のキャリアについては、どう考えていますか?

実は、今年の9月からニューヨーク大学の大学院に通うことが決まっているんです。

観た人に何らかの体験をしてもらえるような、デジタルを活用したインタラクティブアートを中心に学ぶ予定です。

――大学院入学を決めた理由は何だったのでしょう?

アートに触れることは好きなんですが、絵を描くのが下手なので、「自分はアートを生み出す側の人ではない」と思っていたんです。

でも、エンジニアの世界にある無意識のジェンダーバイアスと同じように、これも実は思い込みによる呪いみたいなものなんじゃないかと思って、はっとして。

興味があるなら、一度やってみようと思ったんです。

――働きながら新しいことを学び直すのは勇気が入りますが、それでも「やってみよう」と思えたのはなぜですか?

コロナ禍であらゆることが制限されるようになり、「いつ死んでも後悔のない生き方がしたい」と思ったことですね。

それまでは、技術の移り変わりが激しい業界にいるからこそ「成長しなくちゃ!」と焦ることも多かったのですが、改めて、自分が面白いと思えること、ワクワクできることを突き詰めていきたいと思うようになりました。

――「面白いと思えること」に集中するって、単純そうで意外と難しそうです。

そうですよね。私も気づいたら、自分が得意でも好きでもないことを引き受けたり調べ出したり、「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」を優先してしまいがちです。

なので、意識的に「これは本当に自分のやりたいことなのか」と自分に問うようにしています。

あとは、自分がやりたいことに集中できる環境を整えていくことも大切。

データ収集やデザインなど、自分が苦手なことや自分でなくてもいいタスクは、もっと得意な方にお願いするようにしています。

そうやって意識的に自分が得意でやりたいことだけに集中できる環境を整えれば、あとは楽しさやワクワクを基準に動くだけ。

これからも自分が本当にやりたいことを軸に、進む道を選んでいきたいなと思っています。

取材・文/古屋 江美子 編集/秋元 祐香里・関口まりの(ともに編集部)

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