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転職は“辞め方”も大事! 転職のプロmotoさんに学ぶエンジニアが退職時に絶対やってはいけない六つのNG行動

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いい転職は“最高の退職”から

エンジニアのための円満退職塾

辞めた企業のプロジェクトに副業で参画したり、再入社したり……。退職した企業とつながり続けることがスタンダードとなった今、キャリアの選択肢を狭めないために重要なのは、会社と“良い関係”のまま辞めること。エンジニアがいい退職・いい転職をかなえる方法を伝授する円満退職塾、ここに開講!

人材の流動化が高まる中、転職は誰にとっても当然の選択肢となった。特にエンジニアの場合、経験を生かして転職し、複数社で経験を積むのはメジャーなキャリアアップの方法だ。

転職が増えるということは、退職も増えるということ。プロジェクトによってさまざまな企業と関わるエンジニアは、過去の在籍企業や元同僚とつながる機会も多い。だからこそ「たつ鳥跡を濁さず」に会社を去りたいもの。

そこで今回は、自身も6回の転職経験を持ち、転職情報メディア『転職アンテナ』を立ち上げたmotoさんに、エンジニアが退職時にやってはいけないことを聞いた。

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motoさん

1987年長野県生まれ。戸塚俊介。moto株式会社およびHIRED株式会社の代表取締役。新卒で地方ホームセンターへ入社後、リクルートやベンチャー企業など7社へ転職。2021年3月に自身のメディア『転職アンテナ』を上場企業へ売却。著書に『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』(扶桑社)、『WORK-価値ある人材こそ生き残る-』(日経BP)がある
ブログ:転職アンテナ
Twitter:@moto_recruit
HIRED株式会社:https://hired.co.jp/

個人と会社の関係性は変化している

——多くの転職者の相談に乗ってきたmotoさんは、エンジニアの「退職」の変化をどう感じていますか?

ここ最近は、企業と個人の関係性に変化を感じますね。

僕が観測している範囲での話ですが、転職市場では「優秀なエンジニア」は争奪戦です。この争奪戦は年々激化しており、エンジニアの人たちにとっては有利な状況が続いています。そのため、特定の企業に属する働き方だけでなく、フリーランスに転身して、自分の力だけで稼ぐ人も増えたのではないでしょうか。

また、企業で働く上でも、リモートワークが普及したことによって場所に縛られることがなくなり、働く場所や時間なども以前に比べて広がっているのも事実です。

こうした環境の変化から、エンジニアにおけるキャリアの選択肢は、ここ数年で大きく広がり、企業と個人の関係性にも変化が現れているように思います。

具体的には、これまでのように「会社を退職したら終わり」ではなく、退職後も在籍していた企業とのつながりが続くケースが増えているようです。

勤めていた会社から副業で仕事の依頼をされたり、フリーランスになって過去に所属していた企業から仕事を請けたり、前職の会社から「またうちの会社で働かないか」と声が掛かって再入社するなど、個人と企業のつながりは、社外においても濃くなっているように思います。

——motoさん自身も辞めた会社と関わりはありますか?

もちろん、ありますよ。過去に退職した企業から仕事を依頼されたり、自分ではできない仕事を古巣の企業に依頼したりすることもあります。

もともと社内にいた人間なので、誰にどんな話を持っていけばいいか、金額感はどのくらいか、といったことが把握できている分、仕事やお金の話をスムーズにできるので、辞めた会社であっても大切にしている関係先になっていますよ。

円満退職

——企業を辞めるときも「退職後も関係性は続く」ということを意識する必要がありますね。

仮に、自分が積極的に関係性を持ちたくない企業であっても、どこかで一緒になる可能性はゼロではないわけです。

予期せずつながってしまうこともありますし、どんなかたちで自分の情報が流れるかも分かりません。

だからこそ、敵をつくるようなことはしない方がいいと思います。たとえ会社が嫌で辞めるとしても、去り際ぎりぎりまで、友好的なポーズを取っておくのが得策ではないでしょうか。

退職時に「やってはいけない」六つのNG行動

——そういう意味でも良い印象のまま会社を去ることが重要だと思います。退職時にやらない方がいいことは何でしょうか?

僕は大きく六つのポイントがあると思っています。

NG行動1. タイミングを考えずに退職報告をする
NG行動2. 退職の意思を「相談」として話す
NG行動3. 「どうせ辞めるから」と引き継ぎで手を抜く
NG行動4. 同僚に会社の悪口を言う
NG行動5. 企業の情報を気安く話す
NG行動6.退職後の業務委託を安請け合いする

——順番に教えてください。「NG行動1.タイミングを考えずに退職報告をする」とはどういうことですか?

これは僕の経験上ですが、円滑に退職を進めるためには、退職する旨を「誰に最初に伝えるか」が重要です。

例えば、自己保身の意識が強い上司の場合、自分の組織から退職者が出ることで、自分自身の評価が下がることを懸念し、自分の評価のために退職を引き止めてくるケースがあります。この場合のコミュニケーションは「辞めさせないこと」が目的となるため、長引くことが多いです。

そのため、最初はあなたのキャリアのことをきちんと考えてくれる上司や、人事の決裁権がある上司に話をするのが理想ですね。

——「まずは直属の上司に報告しなければ」と考えがちですが、報告相手は冷静に選ぶ必要があると。

そうですね。あと「いつ言うか」というタイミングも大切です。

いきなり退職を切り出しても、会社のタイミングによっては「もう少し待ってほしい」と言われることはよくあります。

特にエンジニアの場合は、プロジェクトのスケジュールに大きく影響します。辞め際をきちんとするためにも、事業計画やプロジェクトの状況を考慮し、退職までのスケジュールを組んだ上で報告するのがおすすめです。

——退職の報告をするときは、時間帯も考慮した方がいいですか?

役員会や人事計画に関する会議など、自分の退職が決定される場の前に報告しておくのがいいかもしれません。

逆に言えば、来期の目標や人事の話が始まる前に退職の意思は伝えた方がいいです。

円満退職

もちろん、転職をする時期や転職先の事情によって退職のタイミングがどうしても合わないこともあると思いますが、在職している以上は、できるだけ現職の事情を考慮して行動する方が、辞める際のストレスはお互いに少なくなると思います。

——なるほど。次の「NG行動2. 退職の意志を『相談』として話す」は、なぜNGなのでしょう?

「退職しようと思っています」という相談をしてしまうと、「(残ってもらうための)交渉の余地がありそうだ」と思われてしまいます。

こちらは転職する気満々でも「引き留めたら残ってくれるかも」という期待から相手はさまざまな切り札を出してくるでしょう。

こうした切り札を具体的に繰り出されると、自分の退職に対する意志が揺らぎ「それならやっぱり残ろうかな……」と、残留の選択肢もちらつくようになります。もちろん、残留することが悪いわけではありませんが、退職間際になっていろいろな提案をしてくる会社に残ることが正解なのか、という点は考えた方がいいのではないでしょうか。

退職する意思が固いのであれば、「相談」ではなく「報告」として伝える方が話もスムーズなので、遠まわしに伝えるより、ストレートに「●月で退職します」と伝え、自分の考えが揺らがないことを示しておくのがいいと思います。

——とはいえ、退職することに申し訳なさを感じてしまって、うまく伝えられない人もいそうです。

その気持ちはよく分かります。しかし、「いろいろ考えたんですけど、このまま続けるのはきついので……」みたいなふわっとした伝え方をすると「取り組んでいるプロジェクトを変えようか」とか「年収を上げようか?」といろいろな交渉をされてしまいます。

自分の中で転職することが決まっているのであれば、色々な提案を考えてもらうより、自分が辞めるまでの間にすべきことや、辞めたあとの体制をどうするか、といった点の話し合いに時間を割く方が効率的です。

円満退職

また、もし本当に迷いがあるのであれば、今一度自分が退職したい理由を考えてみるのも大切です。どんな条件が揃えば残留するのかを明確にしないことには、残留交渉も長引いてしまい、転職先にも迷惑が掛かってしまいます。

退職を伝えるときは、あくまで冷静に、現職と転職先への配慮をきちんとしましょう。その意味でも、退職の意思を明確に伝えることが重要です。

——「NG行動3. 『どうせ辞めるから』と引き継ぎで手を抜く」にもつながってきますね。これはたしかに印象が悪い……。

「どうせ辞めるから」と軽く考えてしまう人もいますが、引き継ぎで手を抜くのは最悪です。辞めると決めてからの振る舞いは大切にしましょう。

在職中に高い成果を出していた人であっても、退職間際の“手抜き”によってこれまでの信頼の残高が失われてしまうことは少なくありません。

もし同業に転職した場合、業界内で「あの人は仕事を投げ出して辞めた」という悪評が立つ可能性もゼロではないので、自分のためにもきちんとしておくことが大切です。

今の職場がイヤで辞めるのだとしても、最終出社日までちゃんと仕事をすることが最終的な自分の評価につながると思うので、最後の最後まで手を抜かずに、真摯に取り組むようにしたいところですね。

どんなに成果を残していても、退職が決まった途端に仕事がいい加減になったり、勤務態度が悪くなったりすると、「そういう人だったのか……」と印象は悪くなってしまうので、今後のキャリアのためにも最後まで気を抜かずに仕事に取り組むことが大切だと思います。

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——辞めるときの不誠実が、その後のキャリアにも影響すると。

僕自身、過去にいい加減な引継ぎをして辞めた経験があります。退職したあと、自分が担当していたクライアントから「後任の人から『motoさんは辞め方が悪かった』って聞いたけど大丈夫? 新しい転職先に仕事をお願いしようと思ったけど、やめようかな」と言われたことがありました。

完全に僕が悪かったので、きちんと謝罪した上で前職の引継ぎも再度きちんと行いましたが、この時に去り際まできちんと仕事しないと色々な人に迷惑をかけるな、と学びましたね。

「自分はもう辞めるから関係ない」ではなく、辞めたあとの関係性も大切にできる人に仕事は集まるのだと思います。

——「NG行動4. 同僚に会社の悪口を言う」も明らかに避けた方がいい行動ですね。

そうですね。辞めると決めた途端に「うちの会社は社長がイケてない」とか「年収も低いしサービスもクソだ」みたいな悪口を言う人を目にしたことがありますが、遠目に見ていて、それがポジティブに働いた事例を見たことがありません。

本人は会社の悪口を言うことで、会社の評価を下げて自分を正当化しているのかもしれませんが、下がるのはその人自身の評価です。悪口を言いたくなる気持ちも分かりますが、退職後にマイナスの評価を残すことに意味はありません。

それに、同僚はこれからもその会社で働くので、そこへの気遣いも大切です。自分が働いている会社の社長がたとえイケていなくても、その会社を志望して入社したのは自分自身ですからね。周りの人のことも考えて行動することが重要です。

——退職が決まると、同僚から辞める理由を聞かれるじゃないですか。会社への不満が転職理由の場合、どう答えたものでしょう?

ネガティブな理由を素直に伝えるのもいいですが、ただネガティブなことを伝えるだけでなく、自分の次のキャリアにおける展望などもセットで伝えるのがいいのではないかと思います。

「次の会社では新たにこんなチャレンジがしたいと思った」「年収も上がるから、もっと××に投資してキャリアを広げていこうと思う」みたいな話ができるといいですね。

前提として、多くの人は何かしら不満があって転職をするものなので、多少ネガティブな発言が出てしまうのは仕方がありません。でもなるべく抑えた方がよいのではないでしょうか。

——「NG行動5. 企業の情報を気安く話す」は、転職先の企業に、これまでいた会社の情報を渡してはいけないということですか?

会社員には秘密保持義務や守秘義務がありますから、前職で扱っていた情報を持ち出すのはルール違反です。絶対にやめましょう。

特に競合他社に転職した場合、入社後に内部情報をいろいろ聞かれることもあると思いますが、むやみに話さないこと。法律やモラルに反したことをしないのは社会人として基本中の基本です。

——最後に、「NG行動6.退職後の業務委託を安請け合いする」について詳しく教えてください。

エンジニアの場合、退職面談を進める過程で「辞めた後も業務委託で手伝ってもらえない?」と相談されることもあると思います。ですが、辞めることにうしろめたさを感じて安請け合いするのはおすすめしません

退職時は感傷的になりやすく、お友だち価格で引き受けがちですが、会社を辞めたあとは、お互いにビジネスです。

外に出れば企業対個人の仕事の話ですから、自分の価値を担保する意味でも適正価格で交渉しましょう。

——これまでの付き合いもありますし、価格交渉をするのは気が引けるような……。

気持ちはとても分かりますが、先々のことを想像してみてください。

新しい会社に転職し、慣れない環境で働く中で、前職の仕事を安く引き受けてしまうとどうしても優先順位は下がってしまいます。

「この金額でここまでやるのは面倒だな」「前の会社だしもう関係ないからいいか」と、だんだん仕事が雑になってしまうと、前職から「あの人、辞めた途端に仕事のクオリティーが下がったよね」という評価になってしまう。どれだけ良い辞め方をしても、結果的にマイナスポイントを生み出してしまうこともあるのです。

円満退職

一方、「この金額だったらやってもいいな」と思えるラインで引き受けることで、「これだけ金額をもらっているしな」と納得できますし、良い意味でのプレッシャーにもなります。

だからこそ、きちんとした仕事をして、お互いにリスペクトをできるようにするためにも、適正価格で引き受けた方がいいと思います。

退職後の良い関係のベースは「在籍時の活躍」

——motoさん自身が退職の際、最も意識していることは何ですか?

辞める意思をちゃんと持つことです。僕は6回転職をしていますが、勤務先に退職の意思を伝えてから実際に退職するまでの間に、「辞める意思」がブレそうになったことは何度もあります。

お世話になった人から引き止められたら「退職するのはやめようかな」と思ってしまう。でも、情に流されていては一生その会社から出られません。

大前提として、会社は自分のキャリアを守ってくれません。「自分のキャリアを保証できるのは自分だけ」という考えを持ち、「この会社が自分にとって全て」だとは思わないことが大切だと思います。

——自分の中で結論は出ていても、お世話になった人を目の前にしたら気持ちは揺らいでしまう。そういうものだという前提で意思を強く持つ必要があるのですね。

そうですね。ブレるのは仕方がないと自覚した上で、「お世話になった事実」と「退職の選択をした自分の意思」は切り分けて考えた方がいいです。

あと、個人的には会社から「辞めないでほしい」と言われるぐらいのタイミングで退職する方がいいんじゃないかと思います。必要とされていることがわかっていれば、また次のキャリアの選択肢にもできると思うので。

——退職した後、辞めた会社から仕事をもらったり再入社のチャンスにつなげたりするにはどうすればいいでしょうか。

大前提として、「あの人はちゃんと仕事をしていた」という信頼残高を在籍中にどれだけ積み上げられるかが退職後の関係性に大きく影響するのではないでしょうか。

円満に会社を退職することも大切ですが、退職後の有意義な関係性のベースとなるのはあくまでも「その企業にいた時の活躍」と「去り際の印象」です。何かしらの成果と人間性が必須だと思います。

——退職後の関係は在籍中にある程度決まっているのですね。

もちろん、退職後の活躍によって声が掛かることもあると思いますが、もう一つ必要なのは「声を掛けやすい状態をつくること」です。

辞めたあとの自分がどんなことをしているのか、飲みの場やSNSなどを通じて報告したり、『Qiita』やテックブログで発信したりと、退職後の状況を伝えるといいですよ。

円満退職

僕がリクルートにいた頃は出戻りをする人が結構多かったのですが、その多くがSNSでの近況報告や飲み会の場での声掛けでした。

現職中の成果も大切ですが、同時に退職者側も自分のステータスを随時発信しておくと、仕事のチャンスや出戻りの可能性につながっていくと思います。

「あいつは今、こんなことをやっているんだな」と周りの人たちが近況をキャッチし、「また一緒に働きたいな」と思われる人材であり続けることが、転職市場で生き残る人なのではないでしょうか。

取材・文/天野夏海 編集/秋元 祐香里(編集部)

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