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【駆け出しエンジニアの採用トレンド】 目立つ実績がなくても企業からスカウトされる人・されない人の職務経歴書は何が違うのか

転職

海外有名テック企業の大量解雇や採用停止、円安の影響による海外就労人口の増加など、ITエンジニアを取り巻くニュースが多かった2022年下半期。「日本のテック企業やエンジニアへの影響を考えた」という方も多いだろう。そこで『エンジニアtype』では各識者や最前線にいるエンジニアたちにインタビュー。2023年のIT転職市場は一体どうなるのか。少し先の未来を考えてみた。

今、業界経験1~2年の「駆け出しエンジニア」の採用に乗り出す企業が増えている。

総合転職サイト『type』に掲載されているエンジニア募集求人の内訳を見てみると、業界未経験者の採用を行う企業はコロナショックの影響で一次的に減少したが、再び増加傾向に。

現在は、約25%が未経験者も採用対象となっており、過去最高の水準。経験の浅い駆け出しエンジニアにとっても転職しやすい状況になっている。

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転職サイト『type』に掲載されているエンジニア募集求人の中で、採用対象に「未経験者」を含む求人の割合の推移

この傾向は1月以降も続くのだろうか? ITエンジニア向けスカウト型転職サービス『Direct type(ダイレクトタイプ)』のPMを務める前田直哉が、2023年の駆け出しエンジニアの採用・転職トレンドについて解説する。

プロフィール画像

株式会社キャリアデザインセンター
『Direct type』プロダクト責任者
前田直哉

2008年株式会社キャリアデザインセンターに入社し、転職サイト『type』の企画・運営に13年間従事。UXディレクション、CRMなどを担当し、19年~21年5月までtype編集長を務めた。21年4月にITエンジニア向けスカウト型転職サービス『Direct type』のプロダクト責任者に就任

採用ニーズは高騰するも、ポテンシャルの見極めはよりシビアに

ーー駆け出しエンジニアの採用が活況ということですが、その傾向は今後も続くと思いますか?

そう思います。コロナ禍を経てDXに取り組む企業が増えてIT人材の需要はますます高まっています。ですが、エンジニアの供給は圧倒的に足りていません。

そんな中、即戦力として経験者を採用するだけでは人材不足を補い切れず、経験の浅い駆け出しエンジニアを採用して社内で育成し、戦力にしようとする企業が増えてきました。

市場のニーズに対してエンジニアの供給が足りない現状は今後も変わらないので、「駆け出しエンジニアを採用したい」企業の数は引き続き増加していくと思います。

ーーなるほど。では、これから転職活動を始める駆け出しエンジニアにとっては、内定が得やすい状況になっているということですね。

そうですね。ただ、ここ数年で企業が駆け出しエンジニアを採用するときに重視するポイントが、以前と比べて変わってきたように感じています。

ーーどんな点が変化したのでしょうか?

コロナショック前までは、プログラミングスクールで学んだ経験など、入社前にどれだけ自主的に学習してきたかを重視する企業が多かったのですが、最近はもう少し視点がシビアになっている印象です。

例えば、オンライン学習等でプログラミングを学んだり、講座を受講したりすることが以前より簡単になっているため、ただ「学んだ」事実だけでは周囲の人と差がつきにくくなっています。

ですから、その「学び」をどう仕事に生かしたのか、学習して得たスキルで何をしたのかまで職務経歴書や面接で確認する企業が目立つようになりました。

さらに、エンジニアの仕事は常に新しい技術や開発手法を習得し続けなければいけない仕事なので、一度学んで終わりにしない人なのかという点も企業にとっては重要です。

採用後にミスマッチを起こしてすぐ離職ということにならないよう、企業側も候補者の過去の経験や行動をしっかり確認し、スカウトを送ったり、面接をオファーしたりするケースが増えていますね。

転職後のポテンシャルは「過去の行動」から示す

ーー実践の場で長く活躍し続けられる人であることを職務経歴書で伝える必要があると思うのですが、どんな書き方をすると採用担当の目にとまりやすくなりますか?

職務経歴書には、過去の経験と実績をなるべく分かりやすく記載してください。

例えば、少しでも実務経験がある人なら、過去に触れてきた開発言語や、使ってきた開発のフレームワーク、これまでの開発環境や自分が担当した案件・プロジェクトの内容、その成果などについて客観的にまとめてみましょう。

実際、『Direct type』に登録しているエンジニアの状況を見ても、過去に手掛けた仕事の実績など職務経歴書が充実している人の方が、企業からより多くスカウトを受け取っています。

また、 職務経歴書に自分の成果を書く際に注意したいのが、自分が所属している部署やチームの成果と個人の成果を切り分けて記載すること。

採用担当が知りたいのは、あくまで候補者の方が「できることは何か」「どんな成果を出せるのか」という点です。そこを分かりやすく伝えることで、現在のスキルレベルやポテンシャルに合う「自分と相性のいい企業」からスカウトをもらえるようになります。

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Direct type iOSアプリ版』では上記のように用意された選択肢を選んでいくだけで、事実ベースの職務経歴書が完成する

ーー駆け出しエンジニアの場合、アピールにつながるような仕事の成果と言えるものがないケースもあると思うのですが、書き方に迷ったらどうすればいいですか?

その場合、自分の考え方や仕事に対する姿勢が分かる情報を、過去の行動ベースで記載してみてください。

例えば、今の職場で特に力を入れて取り組んだ仕事について、「どんな点を工夫したのか」「何を課題と捉えてどんな改善アクションをとったのか」「チームの中でどんな役割を担ったのか」など、その仕事にどんなふうに取り組んだのかが分かればOK。

課題解決に取り組むときの考え方や仕事の進め方、チームの中での役回りなどは、会社が変わっても再現性があるポイントなので、駆け出しエンジニアの採用を行う際に企業が特に重要視するところです。

「オンライン面接で完結」には落とし穴も? 気になる企業は実際に会って“肌感覚”で確かめる

ーー職務経歴書を充実させるとスカウトがもらいやすくなるということですが、複数の会社からスカウトをもらえた場合、どうすれば自分に一番マッチする会社を見極められますか?

まずは、企業の採用担当が職務経歴書の内容をしっかり見た上で送ってきてくれたスカウトなのかどうか、メールの文面を確認してみてください。

例えば、過去に実務で使った言語はJavaで、多少はPHPも触ったことがあると職務経歴書に記載したのに、「PHPで開発してきた経験を当社で生かしてほしい」というスカウト文面が送られてきたり、自分自身の経歴にそぐわないオファー内容だったりした場合は要注意。面接に行った後にスキルのミスマッチが発覚することがあります。

逆に、過去の経験や現在のスキルを踏まえた上で「あなたにこの仕事を任せたい」「このポジションに挑戦してみませんか?」というオファーをくれた企業であれば、採用側の期待値と転職者側の実力値が一致しやすく、入社後のミスマッチも防ぎやすくなりますね。

ーーそのためにも、職務経歴書にはうそ偽りのない正確な情報をなるべく具体的に、分かりやすく入れておくことが大事なんですね。

そうです。あとは、気になる企業からスカウトをもらえた場合、送られてきたスカウトメールの文面だけ見て判断する人も多いのですが、入社後のイメージを膨らませるためにも採用HPを見てみたり、その企業が登壇しているウェビナーに参加してみたり、複数の情報源からその企業のことを調べてみるといいと思います。

ーーその上で面接に臨んだ方が、実際に採用担当に確認したいことも明確になりますね。

はい。また、最近はオンライン面接だけで選考を完結させる企業もありますが、選考の手前でカジュアルに話を聞けたり面談ができたりする企業も増えてきています。

一緒に働く人たちの雰囲気を確かめるためにも、入社前にオフィス見学をさせてもらったり、現場のメンバーと面談をさせてもらったりする方がミスマッチのリスクを減らせます。自分の肌感覚も大事にして「合う・合わない」を確かめてみましょう。

エンジニアは今さまざまな業界で引く手あまたで転職しやすい状況ですが、早期離職を繰り返してしまうことはおすすめできません。せっかくなら、「転職してよかった」と思える会社で、長く働き続ける選択肢を持ちながら活躍してほしいですね。

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