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ノーコード開発・ローコード開発とは? それぞれの特徴やメリット・デメリット、有効活用する方法を解説

エンジニア辞典

IT人材の不足やDX推進へのニーズ拡大に伴って、「ノーコード開発」「ローコード開発」の需要が高まっています。

プログラミングスキルを持たない人でもシステム開発を可能にするだけでなく、エンジニアにも新たな可能性を示す手法として注目が高まり続けているノーコード開発・ローコード開発。しかし、活用する前にはそれぞれの特徴やできること・できないことを理解しておく必要があるでしょう。

この記事では、ノーコード開発・ローコード開発の概要やメリット・デメリット、有効活用できるシーンなどについて詳しく解説します。

ノーコード開発・ローコード開発とは?

ノーコード開発・ローコード開発とは、システム開発においてコンピュータに指示を出す「コード」をまったく書かない、もしくは一部のみ書く手法のことを指します。

それぞれの特徴は下記のとおりです。

ノーコード開発とは

ソースコードを記述することなくWebサービスやアプリケーションなどを開発する手法のことです。プログラムを書く必要がないため、プログラミングに関する知識がまったくない人でも開発を行うことが可能になります。

ノーコードツールと呼ばれる各サービスや開発ツールは、ユーザーがプログラムを書く代わりにGUI(Graphical User Interface:画面上で操作が完結するユーザーインターフェース)で操作を行います。

クリックやドラッグ&ドロップなどの簡単な操作や文字入力のみで、Webサービスやアプリケーションのレイアウトや機能を設計・構築できることが特徴です。

ローコード開発とは

必要最低限のソースコードを記述しながらWebサービスやアプリケーションを開発する手法です。

こちらもGUIを活用して画面上でレイアウトや機能を設計・構築しますが、必要に応じてコードを書いて機能の拡張などを行える点がノーコード開発とは異なります。

コードの記述が一切不要なノーコード開発に対して、ローコード開発には一定のプログラミングスキルが必要です。その分、ノーコード開発よりも開発における自由度が高くなります。

ノーコード開発・ローコード開発が注目される理由

ノーコード開発・ローコード開発が知られるようになったのは2010年頃。近年、改めて注目を集めている理由としては、DXの需要増加やIT人材の不足が挙げられます。

企業にとってDXは変化の激しいビジネス環境に対応するために欠かせない取り組み。DXを早急に実現するためには、システム開発のスピードアップが必要不可欠です。

また、IT人材は市場全体で不足しており、どの企業でもシステム開発に携わる人的リソースの不足が深刻な問題となっています。

ノーコード開発・ローコード開発は非エンジニアでも開発を可能にしたり、開発スピードを向上させたりすることから、これらの課題の解決策として期待され需要が高まっているのです。

ノーコード・ローコード開発とは

ノーコード開発のメリット

ここでは、ノーコード開発の具体的なメリットについて解説します。

専門知識が不要

ノーコードツールを活用することで、専門的な知識・スキルがなくてもシステム開発を行える点が大きなメリットです。

プログラミング言語をまったく知らない非エンジニアでも、ノーコードツールを使えば簡単な操作でシステムを構築できます。

IT人材が不足している現在、エンジニアの確保に難航している企業にとっては魅力的な選択肢です。

エラー・バグが発生しにくい

ノーコード開発は既存のテンプレートを利用したり、既存のパーツを組み合わせたりしてシステムを構築します。

そのため、0からコードを記述していくスクラッチ開発と比較して、エラーやバグが発生しにくいメリットがあります。

突発的なエラーの修正作業などが発生しにくいため、開発スケジュールも予定通り進行しやすくなるでしょう。

開発スピードの向上・コスト削減

コードを書く時間が不要なため、0からコードを書く場合と比較して開発期間を大幅に短縮できます。ビジネスチャンスを逃すことなく、スムーズに開発してリリースすることが可能です。

また、非エンジニアでも開発ができることから、社内に新たなエンジニアを確保したり、外部の開発会社へ依頼したりする人件費を削減できます。

ノーコード開発のデメリット

一方で、ノーコード開発にはデメリットも存在します。

機能面の自由度が低い

簡易的な開発が容易に行える一方で、実装できる機能には制限があります。

あらかじめノーコードツールに用意されているテンプレートや機能を組み合わせることは可能ですが、カスタマイズしたり拡張したりすることは困難です。ノーコードツールを導入する際には、目的とする機能がそのツールで実現できるのか確認する必要があります。

大規模開発には不向き

ノーコード開発は用意された機能を組み合わせることは可能ですが、それ以上に複雑な機能は作ることができません。

そのため、大規模なシステム開発で求められることの多い複雑な機能やデータ処理はノーコード開発では対応しきれないことが多く、不向きとされています。

プラットフォームに依存する

ノーコードツールで開発されたシステムは、そのツールやサービスのプラットフォームに依存します。

もし使用しているプラットフォームの提供が終了してしまった場合、開発したシステムを利用できなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

ローコード開発のメリット

次に、ローコード開発のメリットについて解説します。

ノーコード開発よりも拡張性・汎用性が高い

ローコード開発は最低限のコードで開発ができることに加え、ノーコード開発ではできない自由な機能の追加やカスタマイズができます。

拡張性・汎用性が高いことが大きなメリットです。独自のロジックや複雑な機能を追加して、利便性や独自性を高めることができます。

ほかのシステムとの連携が可能

ローコードツールで開発したシステムは、APIを利用してほかのシステム・ソフトウェアと連携させることができます。

開発したシステムを社内の既存システムと連携させて利用することもできるため、ノーコード開発よりも大きな規模での開発が可能です。

開発スピードの向上・コスト削減

ノーコード開発と同様、ローコード開発でも開発スピードの向上とコスト削減が期待できます。

最低限のコードを記述する必要があるため、ノーコード開発より開発期間・コストが多くかかりますが、スクラッチ開発と比較すると時間・費用ともに大幅に削減できます。

ローコード開発のデメリット

ローコード開発におけるデメリットは以下のとおりです。

スクラッチ開発よりも自由度は低い

コードを記述することで機能の追加や拡張はできるのでノーコード開発よりも自由度が高いものの、ツールやサービスが提供する範囲を超えることはできません。

そのため、スクラッチ開発と比較するとカスタマイズ性や拡張性は制限されます。

一定のプログラミングスキルが必要

ノーコード開発と違い最低限のコードを記述する必要があるため、一定のプログラミング知識が求められます。

またシステム設計の知識がないと、開発に影響が出る可能性もあります。誰でも開発できるというわけではないため、知識や経験のない方にとっては学習コストが必要です。

ノーコード開発を有効活用できるシーン

ノーコード・ローコード開発とは

ノーコード開発のメリット・デメリットを踏まえて、有効活用できるシーンについて解説します。

小規模なシステム開発

ノーコード開発は複雑な機能が必要な大規模システムには不向きですが、Webサイトや業務アプリ、データベースなどのシンプルで小規模なシステム開発には向いています。

特定のシンプルな処理を行う機能の実装であれば、メリットを生かしてスムーズかつ簡単に開発することが可能です。

プロトタイプ・MVP開発

ノーコード開発はプロトタイプやMVPの開発に活用できます。プロトタイプとはシステムの機能や操作性を確認するための試作モデルです。また、MVPとは価値を提供できる最小限のプロダクトのことを指します。

これらはシステム開発における課題の発見や改善のために必要ですが、なるべく短期間でコストを抑えて制作する必要があります。そのため、ノーコード開発が適しています。

小規模な市場に特化したアプリ開発

従来のアプリ開発では大きなコストがかかるため、ある程度売り上げの見込める大きな市場を狙う必要がありました。

しかし、ノーコード開発ならコストを大幅に抑えて開発できるため、小規模でニッチな市場に特化したアプリを制作・リリースすることもできるでしょう。

大企業が参入していない市場を狙うことで、ビジネスチャンスを拡大できるかもしれません。

ローコード開発を有効活用できるシーン

ローコード開発を有効活用できるシーンとして考えられるものは以下の通りです。

外部システムとの統合が必要なシステム開発

ローコード開発では外部システムと連携することが可能なため、ほかのシステムとデータのやり取りなどが発生するシステムの開発に活用できます。

例えばデータベースやクラウドサービスと連携する企業の基幹システムや、顧客情報やセールスデータを管理するCRM(顧客関係管理)システムなどが挙げられます。

複雑なロジックが必要なシステム開発

一定の制限はありますが、ローコード開発はノーコード開発よりも複雑な処理を必要とするシステム開発に活用できます。

承認プロセスやタスク管理など、複数のステップや承認フローが必要なワークフローアプリケーションなどの開発が迅速に行えるでしょう。

ノーコード開発・ローコード開発の将来性と、エンジニアに与える影響

ノーコード開発・ローコード開発の市場規模は年々拡大を続けています。

ITRが2023年に発表した「ITR Market View:ローコード/ノーコード開発市場2023」では、2021年度の売上金額は前年度比18.6%増の611億6000万円でした。

今後も市場規模は拡大傾向にあり、世界的にも将来性が期待されています。では、ノーコード開発・ローコード開発の普及によりエンジニアにはどのような影響があるのでしょうか。

ノーコード・ローコード開発とは

ノーコード・ローコードツールでも対応可能なプログラミングではなく、難易度の高い処理や大規模アプリの企画・設計・実装のできるエンジニアが求められるでしょう。

ノーコード開発・ローコード開発は、エンジニアにとっても協力なサポートツールとなります。ノーコード・ローコードツールを使いこなして単純な作業は効率化し、より複雑でコアな業務へ集中しスキルアップに励むことで、市場価値を高めていくことが可能でしょう。

ノーコード開発・ローコード開発のメリットを有効活用しよう

ノーコード・ローコード開発とは

ノーコード開発・ローコード開発は、システム開発のハードルを下げる革新的な開発手法です。プログラミングスキルのない人でも開発ができたり、工数やコストを削減できたりと多くのメリットがあります。

非エンジニアでもシステム開発ができるようになることから、今後エンジニアにはより高いレベルが求められるかもしれません。

また、ノーコード開発・ローコード開発には複雑な処理や大規模な開発への対応は難しいといったデメリットが存在するのも事実。ノーコード開発・ローコード開発のメリットは業務効率化などに有効活用し、よりレベルの高い技術に集中して、高度で幅広いスキルを備えたエンジニアを目指すと良いかもしれませんね。

文/江副杏菜

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