「プロジェクトの途中でトラブルがよく起こる」「自分の説明が伝わっていない気がする」そんな“技術以外”の課題の背景にあるのは、ひょっとして「コミュニケーション」の問題かもしれない。プレゼンの神・澤円が自身の経験やノウハウをもとに、仕事がスムーズに進むコミュニケーションのヒントを伝授!
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メンバーとうまくいくコツってある? 澤円からの意外なアドバイス【連載「コミュ力おばけ」への道】
![プロフィール画像](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2020/03/IC_sawa21.jpg)
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
皆さんこんにちは、澤です。
ボクは「メンバーとうまくコミュニケーションするコツを教えてください」という相談をよく受けます。
背景には、「1on1を定期的にしましょう」「心理的安全性の高い対話をしましょう」といった風潮への戸惑いなどがあるようです。
ボクがいたマイクロソフト社では、マネージャーの一番重要な仕事が1on1でした。
メンバーとの適切なコミュニケーションこそが、マネージャーに求められる仕事そのものでした。
マイクロソフトのような巨大企業も、一番大事な資本は「社員」であることには変わりありません。
社員が最高のパフォーマンスを発揮するためには、マネジメントが適切に機能していることが不可欠です。
そのため、マネージャーの責任は実に重大で、うまくマネジメントしているかどうかを測るために、部下から評価を受けるという仕組みもありました。
これはなかなかマネージャーにとってはプレッシャーのかかる仕組みでしたが、自分のマネジメントの能力を測るためには、極めて効果的な制度だったなと思います。
![1on1ミーティング](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2024/02/d19c0fed73975308e70d70a088cca9fd.jpg)
コミュニケーションの「コツに頼る」はNG?
ということで、ボクは15年ほどマネージャーとして仕事をさせてもらい、大変多くの経験ができました。
そして、今回の「メンバーとうまくコミュニケーションをするコツ」という問いに対する明確な答えを自分なりに確立するに至りました。
それは「コツなどに頼ったらダメ」ということです。
なんかちゃぶ台ひっくり返すようなお話ですが、ホントにそう思うのです。
人間は、困ったり迷ったりすると「うまくいく方法を探す」という思考になりやすいと思っています。
これは自然な反応ではありますが、何かがうまくいっていないときに慣れない方法を試すのは、かえって問題を大きくしてしまう可能性があります。
「コツ」とは何かをChatGPTさんに聞いてみたら、下記のような答えが返ってきました。 「コツ」とは、何かを上手にやるための秘訣や技、またはその技術を身につけるための小さなポイントや方法を指します。特定の作業、スキル、芸術、スポーツなどを効率的かつ効果的に行うための、経験や練習を通じて得られる知識やノウハウを意味することが多いです。コツを掴むことで、作業の品質を向上させたり、時間を節約したり、より良い結果を出すことが可能になります。
何かを効率的に行うために、ちょっと加えるエッセンス、といったところでしょうか。
普段の仕事においては、このような「コツ」を身に付けるのはとても効果があると思います。
ただ、メンバーとのコミュニケーションを「コツ」に頼るのは、ちょっとボクはリスクを感じてしまいます。
![コツ](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2024/02/e43db49fae6cd61a0486b72253f24be2.jpg)
「興味を持つこと」がコミュニケーションの最初の一歩
コミュニケーションがうまくいかない人の相談に乗っているとき、ボクは必ず「メンバーを観察していますか?」と聞くようにしています。
「ん? どういうこと?」って思うかもしれませんね。
コミュニケーションの鉄則は「相手に興味を持つこと」だとボクは考えています。
興味をもって相手のことをよくよく見ることを「観察」と表現しています。
どんなことが得意なのか、誰と話しているときが一番楽しそうか、苦手そうな業務は何か……。
このあたりは、まずは観察することで仮説を立てることができます。
その仮説にのっとってコミュニケーションすることで、エラーを最小限にできるかもしれません。
「XXさんはデータ分析得意そうなんだけど、次のプロジェクトでその領域のリーダーを任せてもいい?」
と持ち掛けて、乗り気な雰囲気ならチャレンジしてもらったり、
「隣の部署の〇〇さんと親しい? 今度あちらの部署とコラボして仕事したいんだけど、窓口やってもらえる?」
といって、いい人間関係をそのまま仕事につなげてもらったり、
「もしかして、開発計画立てるの苦手? なんか手伝えることある?」
と問いかけて、サポートを買って出たり。
![観察する人](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2024/02/c0c7d197ec1e0522a91620274aec14bf.jpg)
ここで注意しなくちゃいけないのは、「決めつけない」ことです。
得意そうに見えても実は気乗りがしてないかもしれないし、仲が良いように見えてもめちゃくちゃ気を使っているかもしれないし、苦手だと思ってたことも本人は楽しく取り組んでいるかもしれないし。
コミュニケーションエラーの原因の一つは「思い込み」だとボクは定義しています。
特に、他者に対する思い込みは、強い反発になって跳ね返ってくる可能性があります。
思い込みは捨てて、しっかりと観察して仮説を立て、慎重に確認しながらコミュニケーションを重ねていく。
結局、コミュニケーションというのはひたすら地道にやるのが一番なのではないかなって思ってます。
![澤円](https://type.jp/et/feature/wp-content/uploads/2023/10/book.jpg)
2023年10月19日に澤の新著が出版されました!
自分自身をメタ認知するための考え方について書いた本です。
ぜひ手に取ってみてください。
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