ホームページから申し込む場合
【1】シスコのアカウント作成ページで必要情報を入力し、登録する
【2】ログインページからログインする
【3】ログイン後、受験ページから試験を予約する
【4】「確認書」のメールを受領する
ネットワークエンジニアの登竜門と言える資格「CCNA」。これからエンジニアを目指す人や、ネットワークの知識を習得したいと考えている人はぜひチェックしておきたい資格です。
本記事では、CCNAの試験内容や取得難易度、生かせる職種などについて詳しく解説します。
目次
CCNAとは、「Cisco Certified Network Associate」の略で、アメリカに本拠を置く大手ネットワーク機器メーカーであるCisco Systems(シスコシステムズ)が提供する技術者認定資格です。
この資格は世界的にも高い知名度を有し、シスコ社が市場で持つ圧倒的なシェアを背景に、実務に役立つ広範な知識をカバーしています。
CCNAでは主にネットワークに関する基礎知識が求められ、ネットワーク系資格の中では基礎知識が学べる初級者向け資格という位置づけにあります。
このセクションでは、CCNA試験の対象者、範囲、難易度について詳しく解説します。
CCNAの認定試験には、特別な受験資格は設けられていません。エンジニアの実務経験がない方でも受験することができ、努力次第で誰もが取得できる資格であることは、CCNAの大きな特徴です。
公式サイトでは下記を保有していることが望ましいと記されていますが、あくまでも「推奨」レベルです。
●1年以上のシスコソリューションの実装および管理経験
●基本的なIPアドレス指定の知識
●ネットワークの基礎に関する深い理解
CCNAは2020年2月に試験内容・範囲が改定されるまで、9種類の試験がありました。しかし、統合後は1種類の試験で済むようになりました。改訂後の試験範囲は、以下の6分野に分かれています。
●ネットワークの基礎/OSI参照モデル、TCP・IPなど(20%)
●IPコネクティビティー/ルーティングの仕組みや設定など(25%)
●ネットワークアクセス/スイッチや無線LANの設定など(20%)
●IPサービス/NTP、DHCP、FTPなど(10%)
●自動化とプログラマビリティー/自動化の影響やツールの理解など(10%)
●セキュリティーの基礎/セキュリティーの考え方や種類など(15%)
詳細な試験範囲は公式サイトのPDFで確認できます。出題比率は分野によって差がありますが、上記の中から満遍なく出題されるため、苦手分野がある人はしっかり対策した上で受験するようにしましょう。
CCNA試験では、120分の試験時間内に100問前後が出題されます。問題数は102問または103問程度で、全問正解すると1000点満点となります。問題数が多いため、1問1問にかける時間を管理することが非常に重要です。
特に計算が伴う問題や長文読解の問題には時間を要するため、戦略的な時間配分が求められます。例えば、選択問題には10秒程度で答えるなど、試験の進め方を事前に計画しておくと良いでしょう。
試験の結果は試験終了直後に表示されるため、受験者はその場で合否を確認することができます。
CCNAの合格ラインはシスコシステムズ社から公表されていないため、明確な基準はありません。一般的には、1000点満点中825点以上(正答率約75%)が合格点とされており、合格率はおおよそ20〜30%と推定されています。
ただしCCNA認定試験では、試験開始前または後に簡単なアンケートが設けられており、回答すると300点が加算される仕組みになっています。そのため実際には、525点の正解で合格となることが多いです。
祝日を除きほぼ毎日実施されていますので、受験者は自身のスケジュールに合わせて柔軟に予約を入れることができます。特に土日は人気が高く予約が埋まりやすいため、早めの予約がおすすめです。
試験会場は、自宅もしくは全国の試験会場(テストセンター)です。自宅での受験を選ぶ場合、試験監督員がオンラインでカメラを通じて監視を行うため、身分証明書の提示や適切な環境設定が求められます。
2024年5月現在、CCNAの受験料は300米ドルと設定されています。支払いはクレジットカードまたはバウチャー方式にて行えます。
バウチャー方式とは、利用チケットのことです。事前購入できる利点はありますが有効期限が設定されているため注意が必要です。、学生の場合、所属する教育機関がバウチャーを複数保有していることがあるため、利用可能かどうかを事前に確認することが推奨されます。
CCNAの試験は、Pearson VUE社が管理しています。Pearson VUE社の試験会場で初めて受験する場合、Cisco IDとは別にPearson VUEのIDナンバー取得が必要ですので、事前に申し込んでおきましょう。CCNAに申し込む方法には、以下3パターンがあります。
ホームページから申し込む場合
【1】シスコのアカウント作成ページで必要情報を入力し、登録する
【2】ログインページからログインする
【3】ログイン後、受験ページから試験を予約する
【4】「確認書」のメールを受領する
コールセンターから申し込む場合
【1】コールセンター(0120-355-173)へ電話
【2】受験申し込み・受験料支払い ※銀行振り込みの場合は入金確認後に予約が完了
【3】「確認書」のメールを受領する
テストセンターで申し込む場合
【1】Pearson VUE社テストセンターへ連絡
【2】受験申し込み・受験料支払い ※テストセンターによっては現金支払いも可
【3】「確認書」のメールを受領する
CCNA試験は申し込みの受付期間を設けておらず、随時受験の申し込みが可能です。ただし、希望する試験日の前日までには申し込みを完了させる必要があります。なお各テストセンターには定員制限があるため、受験希望日が決まったら早めに予約を入れましょう。
CCNAは不合格となった場合でも再受験でき、前回の試験日の中5日空けた翌日から可能です。ただし、PCのフリーズなどにより受験が適切に行えなかった場合は、別の日程で再受験できます。
CCNAは、取得後永久に有効な資格ではありません。有効期限は3年で、この期間が経過すると資格は更新が必要となります。これは、CCNAが最新のトレンドや技術を反映した資格であるため、内容が定期的に見直されるからです。CCNAを所有し続けるには、CCNAを再受験し合格する方法と、CCNAの上位資格を取得する方法の二つがあります。
CCNAの上位資格は、以下の三つです。
●CCNP(Certified Network Professional)
●CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)
●CCAr(Cisco Certified Architect)
シスコ技術者認定資格はCCNAを含めて複数の種類があり、それぞれレベルと経験年数に応じて区分されています。
●CCT(Cisco Certified Technician):未経験者
●CCNA(Cisco Certified Network Associate):エンジニア経験1~3年の初級者
●CCNP(Certified Network Professional):エンジニア経験3~5年の中級者
●CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert):エンジニア経験5~7年の上級者
●CCAr(Cisco Certified Architect):最上級者
CCNAはエンジニア経験1~3年の方に受験が推奨される初級者向け資格ですが、求められるネットワーク知識は広範囲です。資格取得に必要な前提条件は設けられていませんが、効果的な学習と実務経験が求められます。
以下では、状況別に必要な勉強時間の目安を解説します。
ネットワークやIT分野に関する知識が全くない場合、CCNAの勉強には最低でも200時間の学習時間が必要とされます。CCNAの勉強を始める前に、ネットワークの基礎について学ぶ必要もあるでしょう。
200時間を達成するためには、1日2時間学習したとしても約3カ月ほどの期間が必要です。特にITエンジニアとしての経験がない場合には、予想以上に学習時間が必要となることがあるため、受験計画は余裕を持って立てることが大切です。
経験年数や領域にもよりますが、既にネットワークの基礎知識がある人であれば、勉強時間は60~180時間程度必要とされています。
先ほども述べた通り、CCNAはネットワークに関する幅広い知識が求められるため、満遍なく全領域を勉強することを心掛けましょう。
ネットワークエンジニアの実務経験がある人であれば、勉強時間は60時間程度必要とされています。
ただし実務経験があっても、CCNAに出題される全ての分野に精通している人は少ないはずです。自分の弱い分野を重点的に学習し、効率的に勉強を進めましょう。
CCNAの取得には、六つの主要な領域に関する深い理解が求められます。それぞれの領域の内容と重要性について詳細に説明します。
ネットワークの基礎は試験問題全体の20%を占め、ルーターやスイッチといったネットワーク機器の基本的な役割と機能、無線LANの通信原理、OSI参照モデルやTCP/IPスタックなど、ネットワーク基礎知識が問われます。この領域は比較的難易度が低いため、高得点を目指すことが重要です。
IPコネクティビティーは試験問題の25%を占め、この領域の点数配分が最も高くなっています。主にルーティングの設定、ルーティングプロトコルの理解が求められ、シスコ製品に限らずその動作原理を把握しておくことが重要です。
ネットワーク アクセスは試験問題の20%を占めており、ネットワーク接続時の設定方法やコンポーネント設定に関する問題が多く出題されます。VLAN、STP、EtherChannelなどの概念について詳しく理解していることが必要です。
IPサービスに関する問題は全体の10%と配分されていますが、ネットワーク構築に関連する知識や、時刻同期、データ転送設定など実践的な理解が問われます。実務に役立つ知識を身につけることが推奨されます。
自動化とプログラマビリティーに関する問題は試験全体の10%を占め、ネットワーク設定の自動化やSDNに関連する知識が中心です。その他、ネットワーク管理を自動化した際に生じる影響や最新のシスコ機器、自動化ツールに関する知識も求められます。本領域は2020年の改訂以降に追加されたため、最新の参考書で学習しましょう。
セキュリティーの基礎に関する問題は全体の15%を占め、サイバー攻撃の増加に対応するためのセキュリティー対策に関する問題が中心です。暗号化やパスワード設定方法など、各階層でのセキュリティー技術についての理解が求められます。今後さらに重要視されることが予想されるため、しっかりと学んでおくことが大切です。
CCNA取得を目指す方向けに、効率的に学習を進めるための方法をいくつかご紹介します。自分に合った勉強法を見つけて、目標達成に役立ててください。
CCNA取得に向けて、信頼できる参考書を使うことは基本中の基本です。専門家による厳選された情報が収録されており、体系的な知識を構築するのに最適です。
また参考書はCCNAの内容が網羅的に含まれているため、CCNAを初めて受験する方が体系的に学ぶのにも役立ちます。自分の弱点に合わせた書籍を選ぶことで重点的に学ぶこともできるでしょう。
おすすめの参考書
シスコの公式サイトでは、チュートリアルや練習問題が公開されています。実機の操作については慣れない人も多いと思いますので、ぜひ一度は解いてみましょう。
また公式サイトでは、試験の操作方法が分かる動画も公開されています。CCNAは非常に問題数が多く、時間配分がポイントとなる試験です。試験の時間管理を学ぶためにも、実際の試験環境を想定した練習を行うことが高得点の鍵となります。
IT未経験者やネットワークの基礎知識が乏しい方には、専門のスクールがおすすめです。経験豊富な講師が直接指導してくれるため、不明点を即座に解消できるなど、学習効率が格段に向上します。
また、グループで学ぶ環境はモチベーションの維持にもつながります。多くのスクールでは、初回無料の体験レッスンを提供している場合もあるので、興味があれば積極的に利用してみると良いでしょう。
ここではCCNAを取得する主なメリットを、三つに分けて解説します。
ネットワーク技術は現代社会で「第4のインフラ」と呼ばれるほど、私たちの生活やビジネスに不可欠な存在です。」CCNA資格を持つことで、ネットワークに関する深い知識を有していることが証明されます。
また、シスコ製品についても詳しい知識を持っていることが認められ、シスコがグローバルに強いシェアを持っているため、世界中で活躍できる可能性が広がります。
シスコの機器は全世界で高いシェアを誇っているため、CCNAの資格を持っていることは転職市場において有力なアピールポイントとなります。この資格があることで、技術的な能力だけでなく、学習意欲や専門性を高く評価されることも期待できます。
多くの企業では、資格を持っていることが給与や昇進の面でプラスに評価されることがあります。特にCCNAのような専門的で認知度の高い資格は、資格手当支給の対象としている企業も多く、経済的なメリットを得ることもあります。
さらに、対外的に認められた技術知見を持つことで、キャリアアップの機会も拡大します。
先ほども述べた通り、ネットワークの知識はネットワークエンジニア以外でも重宝されます。ここでは、ネットワークエンジニアに加えて、CCNAが活かせる職種を三つ紹介します。
ネットワークエンジニアは、ネットワークの構築や保守を担当する技術者です。仕事内容は、設計書の作成、機器の選定、構築後の動作確認や拡張など、多岐にわたります。設計や構築といった上流工程を担当する人もいれば、運用や保守をメインに行う人もいます。またネットワークエンジニアは、テクニカルサポートと呼ばれることもあります。
CCNAはネットワーク全般に関する資格ですので、ネットワークエンジニアはCCNA取得時に得た知識を存分に活かせる職種と言えるでしょう。
クラウドエンジニアは、AWSやAzureなどのクラウド上のサーバーを設計・構築するエンジニアです。従来のオンプレミス型サーバーからクラウドサーバーに移行する流れが強まっており、クラウドエンジニアは今後も需要が増加するといわれている職種の一つです。
ネットワークに関する知識はクラウドエンジニアにとって必要な知識ですので、CCNAを取得することで知識の証明になるでしょう。
インフラエンジニアとは、システムやインターネットを使ううえで必要なサーバーやネットワークの設計や保守などを担うエンジニアです。担当領域や企業、プロジェクトによって「ネットワークエンジニア」や「サーバーエンジニア」などに細分化されたり、これらの職種を総合して「インフラエンジニア」と呼ばれたりすることもあります。
インフラエンジニアとネットワークエンジニアの業務領域は非常に近いため、CCNAの知識を活かせる職種です。
CCNAはエンジニア経験1~3年の初級者向けの資格です。より深い知識の習得を目指すなら、CCNA取得後に以下の資格にチャレンジしてみるのもおすすめです。
ネットワークスペシャリスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が運営する国家試験です。公式サイトによると、近年の合格率は13~15%程度で、CCNAよりも難易度が高いのが特徴です。
CCNAと出題範囲が似ているため、CCNA取得時に習得した知識を活かせるほか、受験料が7,500円(税込)と比較的安価で受験できるのもポイントです。
LinuCは、Linux技術者向けの認定試験です。地域性に左右されやすいLinuxの特性に合わせて、LPI‐JAPANが日本市場に最適化した日本独自の認定試験を開発しました。
LinuCにはLinuxのシステム設計・ネットワーク構築やサーバー、アーキテクチャに関する内容が含まれます。ネットワーク分野だけでなく、インフラに関する幅広い知識が必要となるため、CCNA取得後にさらに領域を広げたい人におすすめの資格です。
CCNP(Certified Network Professional)は、CCNAと同じく「シスコ技術者認定」の一つで、CCNAの上位資格にあたります。CCNPを取得すると自動的にCCNAを更新することができます。
CCNA取得後にさらに深く学びたいという方や、いずれCCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)の取得を考えている方におすすめの資格です。
CCNAは世界的に知名度が高い資格の一つで、ネットワークエンジニアを目指す人の登竜門的な資格でもあります。初心者向けの資格でありながら専門性をアピールできるほか、就職・転職にも役立つため、自分のキャリアアップのためにもぜひ取得を検討してみてください。
また、CCNAは有効期限がある資格です。再受験や上位資格を受験することは自身の知識のアップデートにもつながるため、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
文/赤池沙希
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