エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! さまざまな領域で活躍するエンジニアやCTO、テクノロジーに関わる人々へのインタビューを通じて、エンジニアとして成長していくための秘訣を探っていきます。
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「強みを活かせば“属人的”な働き方も悪くない」松岡玲音がMetaで感じた適材適所の利点【聴くエンジニアtype Vol.57】
「これは必要な仕事だろうか」と感じることはあっても、「仕事」だと思うと口にすることは躊躇われる……そんな人もいるだろう。
しかし、Meta Londonで働く松岡玲音さんは、「本質的ではないことに労力は割きたくない」とはっきり口にする。一体どのようなバランス感覚で仕事をしているのか、玲音さんの価値観とMetaでの仕事ぶりに迫った。
【ゲスト】
松岡玲音さん(@lain_m21)
1992年生まれ。東京大学薬学部卒業後、アメリカの大学院で宇宙工学を専攻。その後、機械学習のロボットへの応用へ興味を持ち、マサチューセッツ工科大学(MIT)の航空宇宙工学専攻へ転学。ロボットAIなどについて研究を重ねた。その後中退し、18年10月よりメルカリでインターンシップを開始し、19年1月に同社へ入社。機械学習エンジニアとして「出品価格推定」のモデリングや「レコメンドエンジン」の基幹システム、「エッジコンピューティング」など、メルカリの事業の中核となる技術に携わる。テックリードとしてプロジェクトマネジメントも担った後、22年5月に退社。同年夏からロンドンのMetaにジョイン
【MC】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish)
Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている
苦手なことは、人任せだっていい
ばんくし:前回「仕事が楽しすぎて趣味に割く時間が取れない」と話していましたが、仕事が楽しいなんてうらやましい限りです。
松岡:タイミングによって趣味に振り切っている時と、仕事に振り切っている時があるんです。最近はようやく仕事を一通り経験して、自分でもいろいろ工夫ができるようになってきて。そうなると、楽しいじゃないですか。気付くと四つくらい同時並行でプロジェクトを持っていて、「死ぬかも」と思う瞬間もありますが(笑)。成果が出ればその分給与も増えますし、何よりエキサイティングですよね。
ばんくし:給与よりもエキサイティングな環境を求めているんですね。
松岡:給与は、あくまでもベースラインという感じです。仕事って、エキサイティングじゃない瞬間ももちろんあるから、その時に給与が低いと違う会社に行こうかなという気持ちになっちゃう。そういう意味では、給与を高く設定しておくことは、企業にとっても従業員にとっても良いことなんじゃないかなと思います。
その点、Metaはすごく良い会社ですね。「これだけもらえるなら、くそみたいな仕事もやってやるか」みたいな気持ちになれるくらいの給与はもらえています。
ばんくし:そう感じる仕事がMetaにあるんですか?
松岡:「それ、エンジニアがやる仕事?」みたいな仕事は、どこであっても一定はある気がします。
「私は技術的に面白いことをして成果を出すためにMetaに雇われている」という自覚があるので、それ以外の部分では強みが発揮できない気がしていて。どんな仕事でもやったら世界が広がるのかもしれませんけど、私としてはやっぱり技術で貢献していきたいという気持ちが強いですね。
ばんくし:自分の世界観がしっかりあるのですね。玲音さんと話していると、エンジニアとして成長するなら、あまり幅を広げない方がいいのだなと感じます。
松岡:人によって戦い方があると思うんですよね。例えば経営的な部分に強い人もいれば、技術寄りの人もいると思うし。
うちの会社では上の役職にいくほど「アーキタイプ」ごとに分類されるんです。例えば「コーディングマシン」に分類される人は、ひたすらコードを書きまくって技術の最先端を突き詰めていくタイプの人。「プロダクトマネジャーミクスチャー」はTPMとプロダクトマネジャーとデータサイエンティストとエンジニアをミックスしたタイプの人。「フィクサー」タイプの人は幅広い領域を俯瞰して、問題を解決したり、ファイヤー・ファイティング(消火活動)をしたりできる人。どのタイプに属するかは人によって違うので、自分に合った分野で戦えばいいと思っています。
ばんくし:メルカリにいた頃から自分はこの分野で戦っていこうみたいな意識はあったのですか?
松岡:ぼんやりとはありました。ただ、そのころは周囲からめちゃくちゃ甘やかされていて。私が技術に集中できる環境を作ってもらっていた部分はあったと思います。
ばんくし:なるほど。そうやって働く中で世界観が確立していった部分もあるんでしょうね。
松岡:苦手なことが苦手だと分かるのって結構時間が掛かるじゃないですか。苦手だと気付くまではいろいろやってみるものの、いつまでも「なんかヤダ」という気持ちが変わらなくて。苦手な部分にエネルギーを割くよりも、得意な分野でエネルギーを使って、苦手な部分はそれが得意な人に任せる方が良いかなって。
ばんくし:それは大人数で働くメリットですよね。だからこそみんなで働いているみたいな部分はあると思います。
文/赤池沙希
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