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好きなCommon Lispで新しいWeb開発を~京大中退、22歳のサムライトCTOが取り組んだシステム再構築

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    サムライト株式会社のCTO・河西智哉氏。Common Lispを用いたWebシステム構築に力を注いでいる

    サムライト株式会社のCTO・河西智哉氏。Common Lispを用いたWebシステム構築に力を注いでいる

    2013年9月設立のスタートアップで、ネイティブ広告やオウンドメディア関連事業を展開しているサムライトでは、22歳の若手エンジニアがCTOとして開発チームを率いている。昨年5月に入社し、約5カ月後にCTOに就任した河西智哉氏だ。

    同社では、河西氏の意向でシステム構築の開発言語にあえてCommon Lispを採用。近い将来、Common Lispをメインとした開発体制をさらに整備してWeb開発の常識を変えたいという。

    そんな彼は、京都大学在学中に趣味として学んでいたプログラミング技術を“実戦の場”で磨きをかけたいと考えたことがきっかけで上京し、サムライトに入社した。

    「小学生くらいの時からプログラミングへの興味はありました。ただ、実際に始めたのは大学へ進んでから。専攻は数学だったんですが、大学で学ぶよりも何かきっかけがあればプログラマーとして働きたいという思いが強くなっていたんです」

    最初に触れた言語はC。その後もPythonなど、ひと通りの言語に触れたという。その中で河西氏の興味を強く惹いたのがCommon Lispだった。

    「明確な時期は覚えていないのですが、気付けばCommon Lispでのプログラミングにハマっていました。“リスト”によるデータ構造などが、自分の好みにマッチしていたように思います」

    こうしてプログラミングに没頭していく中で、興味を持ったのは人工知能の開発。この関心が、河西氏とサムライトを結び付ける結果となった。

    CTO就任後に、最高のパートナーを迎え入れる

    自分の考えを整理しながら、コードを書くことに楽しみを覚える中で、今すぐ社会に出て挑戦したいという気持ちが芽生えた河西氏。シゴトSNS 『Wantedly』内で「人工知能」や「レコメンドエンジン」のキーワードを記載していたサムライトに共感を覚え、代表取締役の柴田泰成氏とSkypeで面談を行った。

    その後、大学を中退して上京し、CTOに就任。ここから河西氏の環境や立場は劇的に変化した。

    大学はいつでも戻ることができる。今、自分がやりたいことを重視し、上京したと語る

    大学はいつでも戻ることができる。今、自分がやりたいことを重視し、上京したと語る

    「プロとしてやっていける自信さえあれば、学歴は必要ないと思っていました。それよりもプログラマーとしてどんなサービスを実現していけるのかという期待の方が上回っていましたね」

    河西氏は5月に入社し、約5カ月後にはCTOになる。着任後の仕事で最大のサプライズとなったのは、“Common Lisp界の大先輩”深町英太郎氏が昨年11月サムライトに入社したことだ。

    「深町さんは以前からブログやTwitterで『Common Lispを用いて何か新しいことをしたい』と発言されていたので、バックエンドの広告配信サーバをCommon Lispで開発したいと相談した結果、ジョインしていただけることになりました。誰よりも僕自身が驚いています(笑)」

    会社設立から約1年というあわただしい環境で、前述したとおり幅広い事業やビジネスを次々に立ちあげていたサムライトは、河西氏と深町氏の加入により開発体制が大きく変化した。

    5カ月かかったシステム構築を1カ月でリプレース

    創業間もないスタートアップで新しいビジネスを立ち上げる――。当然、開発期間もリソースも不足している。それをエンジニアの高度なスキルと技術で、どれだけ実現可能なものにしていくのかがカギになる。

    現在、河西氏が「開発業務の中心」と語るサムライトのネイティブ広告配信システム『somewrite ad』は、広告をコンテンツとして配信・表示する新しいビジネスモデルの1つ。そのシステムは主にRuby on RailsとNode.jsを用いて約5カ月かけて設計・構築されたものだった。

    それを深町氏がジョインした後、Common Lispを用いた全面的なリプレースに挑み、わずか約1カ月で実現したという。

    「効率重視で適宜、他の言語を使ったところもありますが、メインはCommon Lispです。開発期間を大幅に短縮できただけじゃなく、処理速度を約20倍にすることもできました。また、フロントはFacebookやInstagramでも使用されているReact.jsで作り上げました。HTMLが吐き出される際に、コンポーネントとして使うことができ、ライブラリの分離がとてもやりやすいためです。再利用可能になる点が非常に効率的だと感じています」

    ただ、Common Lispを採用しているベンチャーは非常に珍しいと話す河西氏。こうした実績を積み重ねていくことで、今後はWeb領域の開発でCommon Lispを使用することのメリットを対外的にも実証していきたいと話す。

    「あくまでも個人的な見方ですが、プログラミングのしやすさや実現できる機能の豊富さでは他のプログラミング言語を上回っていると思います。しかし、ライブラリは充実しているとは言えませんし、AWSとの連携面などにも課題が残っています。だから私たちが開発をして、外に出していくことが理想的だと考えています」

    その言葉通り、河西氏はユーザー(「Lisper」と呼ばれる)同士のコミュニティ活動に力を入れており、海外でのカンファレンスなどにも参加していると話す。

    「もともと深町さんが積極的に取り組んでいた活動ですが、サムライトとしてもWeb開発でCommon Lispを使用する勉強会を開催したりなど、実際に開発現場で役立っていることを伝えながら、広くアピールしていきたいですね」

    Common Lisp界を盛り上げたい。これが河西氏が取り組むもう一つの目標だ

    Common Lisp界を盛り上げたい。これが河西氏が取り組むもう一つの目標だ

    現在、サムライトではエンジニアを採用中だが、『Wantedly』の該当ページでもCommon Lispを用いてのWebアプリ/システム開発を前面に打ち出している。

    「ネイティブ広告ネットワークを開発してみて、少人数でもWebビジネスをスケールしていけることを実感しました。Common Lispに精通し、同じ好みでプログラミングできる仲間が集まれば、大人数でなくても素早く開発できると個人的には思っています」

    ちなみに河西氏、週末もCommon Lispのライブラリ拡充のためプログラミングに励む日々だという。サムライトの試みが、若きCTOの手によってどうスケールしていくのか。今後が楽しみだ。

    取材・文/浦野孝嗣 撮影/川野優希(編集部)

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