株式会社トライバルメディアハウス
SMMコンサルティング部 アシスタントコンサルタント
谷口正樹氏
SNSの専門家直伝、イケてるソーシャルプロフィールの作り方7つのポイント
Twitter、Facebook、LinkedIn、Blog、Instagram…今後エンジニアがキャリアを築く上で、メディアを通して自分をPRすることは、もはや欠かせない。
では、イケてるプロフィールの作り方やソーシャルメディアの理想形とは何なのか。
プロフィールを作る側と見る側など、異なる立場の視点から、上手なソーシャルプロフィールの作り方を探ってみよう。
2011年10月20日、世界最大のビジネスSNSが日本上陸を果たした。全世界で約1億人ものユーザーを獲得しているLinkedInだ。
国内市場において先行するTwitterやFacebookとは異なり、ビジネスユースに特化したLinkedInの登場は、ここ数年で活性化し始めているソーシャルメディアのビジネス活用を加速させるだろう。事実、特定領域に高い専門性を持つ職種やフリーランスの仕事をする人たちの中には、SNS経由で案件を受注する事例が増えはじめている。
もちろん、こうした変化は企業で働くエンジニアにとっても無関係ではない。ことによれば、あなたのソーシャルメディアの情報を見た人から直接仕事を依頼されたり、ヘッドハンティングの打診が来たりする可能性もあるからだ。
では、エンジニアにとって有効な各メディアの使い分け方やネット上に公開すべき経歴情報、つまり『ソーシャルプロフィール』作成のポイントとはどんな点なのだろうか。
LinkedInをはじめとする国内外のソーシャルメディア事情に詳しい谷口正樹氏に話を聞いてみたところ、今後のキャリア形成において重要になるであろう「ソーシャルプロフィールを効果的に魅せるために気をつけたい7のポイント」が浮かび上がってきた。
上手なソーシャルプロフィールを作る7つのポイント
1. 各種ソーシャルメディアの特性を正しく理解する
2. ストック型メディアのアップデートはこまめに
3. 「コミュニケーション」と「セルフブランディング」を使い分ける
4. 各SNSの安易な自動連動はNG
5. 業界有名人のソーシャル発信術を盗もう
6. 勉強中のつまづき・発見こそ発信すべき
7. リアルな場での交流を忘れないように
それでは、上記の7つのポイントに着目し、具体的な注意点を谷口氏に聞いてみよう。
ポイント1~2:ソーシャルプロフ作成の第1歩は、正しい理解から
1. 各種ソーシャルメディアの特性を正しく理解する
2. ストック型メディアのアップデートはこまめに
はじめまして。トライバルメディアハウスでソーシャルメディアに関するコンサルタントを行っている谷口です。
皆さんもご存知の通り、ソーシャルメディアには、設計思想やサービス内容がそれぞれ異なっています。
今回は、主要ソーシャルメディアとして取り上げるLinkedIn、Facebook、Twitter、各種Blogメディアのそれぞれの特性について改めて確認してみましょう。
ソーシャルプロフィールとして各種ソーシャルメディアを活用したいのであれば、表層的な部分だけでなく深層までを正しく理解しておくべきです。「今さら何を…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、意外な盲点だったりするのでここは押さえておきたいですね。
また、LinkedInに関して言えるのは、「プロフィールの定期的なアップデート」が重要だということ。その理由は、プロフィールをしばらく放置したままだと、LinkedInでつながっている人たちから「今、この人が何をやっているのかが分からない」などの印象を持たれかねないからです。
これはLinkedInに限らず、プログラマーで利用している方も少なくない『github』などほかのストック型メディアにおいても、同じことが言えます。「定期的なアップデート」に注目して、こまめにメンテナンスしましょう。
ちなみに、推奨される使い方はメディアごとにあるのでしょうが、一概に「このソーシャルメディアは仕事に使える」とか「使えない」と断言はできません。考え方や利用方法は人それぞれですし、まずは使ってみて自分なりのやり方を見つければそれで良いでしょう。
ポイント3〜5: 発信する情報すべてに意図を込める
3.「コミュニケーション」と「セルフブランディング」を使い分ける
4. 各SNSの安易な自動連動はNG
5. 業界有名人のソーシャル発信術を盗もう
これからビジネスシーンで積極的にソーシャルプロフィールを活用するなら、「TPOに合わせてソーシャルメディアを使い分けること」を意識しましょう。
言い換えれば、「コミュニケーション」と「セルフブランディング」の2つの視点に着目してツールを使い分ける、ということです。
例えば、ビジネスの現場で自分のプライベートな話にばかり終始するのは、「空気が読めない」という印象を周りに与える行為として敬遠されますよね。
それと同じように、ソーシャルメディア上にもTPOが存在します。
わたしの場合だと、Twitterや個人ブログはビジネスとプライベートの両方の話題を取り上げますが、私的な話題はFacebookに、仕事の話題はLinkedInに連携させるように意識しています。家族や友人との交流がメインのFacebookと、仕事の場として位置付けているLinkedIn同士は情報を連携させません。
メディアが異なれば読み手が異なりますし、読み手を想定した話題を提供することはコミュニケーションの基本。ですから、あなたがもし各種ソーシャルメディアをビジネスとプライベートの両方で使うなら、メディアごとに自分なりの位置付けを明確にした方が良いでしょう。各メディアを安易に自動連動させるのではなく、公私を区切り、あくまでも別物として使い分けることをお奨めします。
例えば、あなたがビジネス上のパートナーや顧客から「海外のWeb技術に精通したエンジニア」という認知を与えたいとします。その場合、日常からこれに類する話題を意識的に提供すべきでしょう。
また、新たな顧客から仕事の依頼を受けたり、採用担当者の関心を惹きたければ、自分の得意分野を具体的かつ詳細に伝えなければなりません。なぜなら、漫然と書きたいことを書くよりも、市場動向や読み手が求めるものが何かを想定して書く方が、互いの認識のズレを最小限にする効果が期待できるからです。
ここでお伝えしたいことは、自分が情報を伝えたい人は誰で、どんなメッセージを伝えたいのか、という意識を持つ必要があるということ。これは企業が中途採用を行う際、応募者に提出を求める職務経歴書を書く際の注意点とよく似ているかもしれません。
ただ、一点違う点があるとすれば、ソーシャルプロフィールは文字通り公開されている経歴情報だということ。つまり、業界の先駆者や自分が理想とする人物の記述内容を参考に自分のプロフィールを手直ししたり、強調すべきポイントを見直すことができるのです。これを活用しない手はないでしょう。
加えてエンジニアという職業は、ほかの仕事に比べてもスキルや実績を具体的に明示しやすい職種ですし、仮にあなたがWeb系エンジニアであれば、リンク一つで実績を見せることも可能なはず。比較的ソーシャルプロフィールとの親和性が高い職種といえるのではないでしょうか。
ポイント6〜7:ソーシャルプロフィールを上手く利用する
6. 勉強中のつまづき・発見こそ発信すべき
7. リアルな場での交流を忘れないように
読み手が求める情報を想定し、自分をどうブランディングすべきかを考えつつソーシャルプロフィールを書く。こういうと何やらとても敷居が高く感じてしまうかもしれません。実際に勉強会などでこうしたお話をすると、「自分には書くべきプロフィールがない」とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。
でも、誰しも最初から誇るべき経歴を持っているわけではありません。わたしにも同じような経験があるのでよく分かります。わたしがLinkedInに興味を持った当時、周囲はもとより自分自身にさえ知識やノウハウがありませんでしたし、事実上ゼロからのスタートでしたから。
しかし、少しずつ英文情報をかき集めて日本語に翻訳してBlogに載せたり、勉強会を主催したりするうち、だんだんと情報が集まるようになりました。結果的に、人脈も増え、徐々に仕事の問い合わせや相談が舞い込むようになってきたのです。
エンジニアの皆さんなら、将来性のある最新技術を見つけた時などがチャンスになるのではないかと思います。
例えば、最新技術を一から勉強する課程をソーシャルメディア上で公開したり、同じ興味や関心を持つ人と情報を共有することを始めてみるだけでも、少しずつ書くべきポイントが明確になっていくはずです。
そして最後のチェックポイント。Web上でソーシャルプロフィールを積極的に公表するのも大切ですが、リアルな場での活動も忘れてはいけません。ネットとリアルを切り分け、どちらかに偏るのはナンセンスです。
どちらも重要なのですから、人とのつながりも強化する上でも、自分が何をしたいのかをほかの人に知らしめる上でもどんどん交流していくべきでしょうね。
仕事に特化したLinkedInの登場により、ソーシャルプロフィールという概念は、今まで以上その重要度を増していくはずです。近い将来名刺やメールなどと同様、ビジネスになくてはならないツールとして認知されるようになるのではないでしょうか。
今から節目ごとにソーシャルプロフィールを見直したり、ブラッシュアップする習慣をつけておけば、今後のご自身のキャリア形成において決して損はないことだと思います。
取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/小禄卓也(編集部)
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