エンジニアtype×App Ape共同企画「Androidスマホ総研」
激しい競争が繰り広げられる群雄割拠のスマホアプリ市場で、エンジニアやプロデューサーが勝ち残るためのノウハウをお届けする連載。FULLER株式会社が提供するおよそ10数万にのぼるAndroidOS搭載の端末管理アプリ利用者の利用状況をレポーティングするサービス『App Ape』で得られた調査結果から、アプリの企画・開発に役立つノウハウを抽出、提供していく
エンジニアtype×App Ape共同企画「Androidスマホ総研」
激しい競争が繰り広げられる群雄割拠のスマホアプリ市場で、エンジニアやプロデューサーが勝ち残るためのノウハウをお届けする連載。FULLER株式会社が提供するおよそ10数万にのぼるAndroidOS搭載の端末管理アプリ利用者の利用状況をレポーティングするサービス『App Ape』で得られた調査結果から、アプリの企画・開発に役立つノウハウを抽出、提供していく
FULLERが提供しているおよそ10数万にのぼるスマホ端末管理アプリ利用者の利用状況を、レポーティング形式でまとめて提供していく『App Ape』との共同企画。
第3回は、スマホユーザーの「アプリ所持率」を軸に、人気のアプリや「息の長い/短いアプリ」の違いにフォーカスしてみた。所持率が上昇している今まさに“ホット”なアプリ、残念ながら一時上昇したもののアンインストールされてしまったアプリに関する調査、またその分析結果などから、企画のノウハウをつかんでほしい。
※以下、すべての調査結果について、Google社、各キャリアのアプリを除く。
まずは今、定番となっているアプリを知るために、直近2カ月における「所持率ランキング」を見てみよう。6月と7月で、上位8位までに変化はなかった。
1位は『LINE』、2位は『Facebook』。この2つの間に30%以上の開きがあるところに、「コミュニケーションアプリ」としてLINEをメインとして使っているユーザーが多いことが分かる。
3位から5位までは、ドコモのスマートフォンにプリインストールされているアプリが続く。6位は『Twitter』で40%強のユーザーが所持。7位は『マクドナルド公式アプリ』、8位はLINEのパズルゲーム『LINE POP』だ。
9位・10位には変化が。6月は、9位『LINE バブル』、10位『無音カメラ』だったが、7月に入り、9位『LINE camera』、10位『クックパッド』となっている。
続いて、インストールするユーザーの増えているアプリを表す「所持率上昇ランキング」を見てみよう。6月末から7月末の1カ月間における、所持率の上昇度合いが大きかったアプリを調査した結果が以下だ(※ここでは、端末関連メーカーのアプリもランキングから除外した)。
なんと1位から3位までLINE関連アプリが総ナメという結果に。1位は『LINE ポコパン』で7.77ポイントアップ。このアプリは今年5月23日に開始されたアクションパズルゲームで、サービス地域は全世界、公開から72日の8月2日に世界累計1000万ダウンロードを突破した。
これまでに日本、タイ、台湾のGoogle Play無料総合ランキングと、世界10地域(日本、タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マカオ、マレーシア、香港、台湾、スペイン)のApp Store無料総合ランキングで1位を獲得。7月30日および8月1日には、日本国内のApp Storeトップセールス総合ランキングでも1位を記録。8月10日からはテレビCMの放映も開始され、さらなるヒットが見込まれる。
2位は『LINE ツアーズ』で1.84ポイント。3位はランキング中最も高い所持率の『LINE camera』で1.76ポイント。
4位はドライブシュミレーター『走行の達人』(1.40ポイント)、飛んで6位は育成ゲーム『にゃんこハザード ~とあるネタの観察日記~』(1.27ポイント)と娯楽系のアプリが続く。
同率6位で日本語入力キーボード『Simeji』(1.27ポイント)、7位がアイコン・壁紙きせかえアプリ『CocoPPa』(1.20ポイント)、そして8位がコピーレフトとクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで利用可能な音楽を配信している『無料で音楽をダウンロード』(1.18ポイント)。
そして、9位は『アルパカにいさん ビギンズ』(1.14ポイント)、10位は『サイメラ (Cymera) – カメラ & 写真の効果』となっている。
ここで、「一時的に所持率が上昇したものの、その後アンインストールされてしまったアプリ」とその「アンインストール率=削除率(※1)」を分析してみた。この結果から、息の長いアプリとそうでないアプリの違いについて考察したい。
※1…調査期間(下記参照)中に一度でもそのアプリを所持していたユーザーのうち、アンインストールしたユーザーの割合。
まず、前出の所持率上昇ランキング(7月末時点)に登場したTOP10アプリについて、アンインストール率を調査した。
その結果、最もアンインストール率のパーセンテージが高かったアプリが『走行の達人』で38.74%。続いて、『にゃんこハザード ~とあるネコの観察日記~』(32.69%)、『LINE ツアーズ』(25.29%)、『アルパカにいさん ビギンズ』(21.83%)、『アイコン・壁紙きせかえ無料★CocoPPa(ココッパ)☆+*』(18.77%)、『無料で音楽をダウンロード』(17.58%)という結果に。
一方、アンインストール率が低かったアプリとして、『LINE camera』(4.93%)、『Simeji(日本語入力キーボード)』(5.19%)、『サイメラ (Cymera) – カメラ & 写真の効果』(9.54%)と続く。
この結果から、『App Ape』データアナリストの大野康明氏はこう分析する。
「所持率が伸びているアプリは、基本的にGoogle Playのレビューも良い。ただ、中でも『走行の達人』のような簡易ゲームアプリは、ほかのアプリと比較してもアンインストール率が高い傾向にあります。逆に、カメラや文字入力といった『普段利用する機能』に『独自性』を持たせたアプリは、あまりアンインストールされておらず、息の長いアプリになりやすいのでしょう」
最後に番外編として、各アプリを所持しているユーザーの男女比率を公開しよう。男性/女性の所持率を比較して、大きく差が出ているアプリをそれぞれ上位5位まで紹介する。
男性ユーザーの持っている率が高いのは、1位が『パズドラ』で男性90%/女性10%。2位は『麻雀 雷神 Rising-』。3位は『パズドラ攻略』、4位は『パズドラCombo』となっており、男性ユーザーへのパズドラ人気を物語っている。
一方、女性ユーザーの持っている率が高いアプリは、1位が『CAMELY~写真加工・カメラ・SNS~』で男性4%/女性96%。2位は『【夏ヤセ】モテ子がやってる1分キレイ革命~ダイエット革命編~』。3位は『【夏美肌】モテ子がやってる1分キレイ革命~美容革命編~』、4位は『【人気NO1!】フィルターで写メ画像を写真加工ボケピック!』、5位は『Beauty up Navi / Camera』という結果に。
ざっくり、【男性はゲーム、女性はビューティー】という傾向が見て取れる分かりやすい結果に。また、「人気のアプリに便乗したり、アプリの名称は“これでもか”というほど分かりやすくネーミングされているものも目立った」(大野氏)という傾向も見て取れた。
さらに、男女別のアンインストール率を見てみよう。
男性について最もパーセンテージが高かったアプリが『パズドラCombo』で21.86%。続いて、『LINE ホームランバトル バースト』(15.32%)、『パズドラ ゲリラ時間割をお知らせ!裏技情報で魔法石もGET!』(12.19%)、『パズドラ攻略』(8.23%)という結果に。
女性で最もパーセンテージが高かったアプリが『【人気NO1!】フィルターで写メ画像を写真加工ボケピック!』で14.75%。続いて、『CAMELY~写真加工・カメラ・SNS~』(8.90%)、『【夏ヤセ】モテ子がやってる1分キレイ革命~ダイエット革命編~』(7.61%)、『【夏美肌】モテ子がやってる1分キレイ革命~美容革命編~』(6.97%)という結果になった。
いかがだっただろうか。今後のアプリ企画・開発の参考にしてほしい。
■調査概要:
・出典:広告業界を対象としたスマートフォンアプリの利用動向調査(2013年7月)
・調査内容:通信キャリアごとのAndroid端末利用者の利用動向調査
・調査対象者:FULLER社アプリケーションのパネルユーザー(以下、調査対象者)
・調査方法:調査対象者から取得した以下の情報を利用
[1] デモグラフィック情報(性別、年代)
[2] アプリ利用情報(インストール、アンインストール、起動回数)
・調査期間:2013年7月1日~2013年7月31日(前月の情報:2013年6月1日~6月30日)
文/岡 徳之(Noriyuki Oka Tokyo)
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