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【DeNA南場×GMO熊谷×サイバーエージェント藤田】メガベンチャーの有名経営者たちが、若手エンジニアに伝えたいこと

働き方

    BIT VALLEY

    AIを始めとする新しい技術が次々と登場し、若手スターエンジニアやスタートアップ経営者は増える一方だ。そんな中、目の前の仕事で手いっぱいの自分に気付いて、ふと「このままでいいのだろうか」と未来が不安になってしまう人もいるのではないだろうか。

    そんな迷えるエンジニアには、大手メガベンチャーの代表が口を揃えて言う「世の中の役に立つものを、夢中になってつくれ」という言葉を捧げたい。

    2018年9月10日に開催されたテックカンファレンス『BIT VALLEY 2018』内で、渋谷発・メガベンチャーの代表たちが、集まった若手エンジニアにメッセージを送った。その一部を紹介しよう。

    エンジニアに必要なのは「挑戦」。
    特にITベンチャーはこの2年が勝負どころだ

    南場 これからのエンジニアには、世界中どこでも通用する人材になって欲しいですね。そのためには常に挑戦し続け、最高の技術を身に付けて、市場価値がどんどん上がる環境に身をおくべきだと思います。DeNAでは最近、データサイエンティストに対して「Kaggle社内ランク制度」を導入しました。Kaggleの成績を、社内での権限や裁量に紐づけたんです。社内ランクSSのメンバーは主担当としてアサインされる社内案件はなく、業務時間の100%をKaggle参加にあてて良い仕組みになっています。

    私たちは「永久ベンチャー」というミッションを掲げているのですが、これからもどんどん変化していくためには閉じたイノベーションではなく、もっとオープンでありたい。どこに行っても通用する人材を育て、高い次元でコラボレーションできるチームになりたいと思っています。

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    熊谷 エンジニアの成長に必要なのは、同業の人と接する機会を増やすこと。イノベーションは必ずそこから生まれます。閉じこもりがちなエンジニアも、同じ志を持った人たちと接触することがとても大切じゃないかなと思います。

    もしITで起業を考えているなら、これから2年が絶妙なタイミング。メガベンチャーのオフィス移転や統合が終わり、渋谷というITの集積地に中小のスタートアップが参入しやすくなります。どういうことかというと、周辺ビルに空きテナントがたくさん出るので、新しくオフィスを借りたり、オーナーと交渉するには千載一遇のチャンスだということです。

    周辺の飲食店やイベントもIT系の人々であふれます。そんな風に人が集積すると情報が集まり、チャンスも生まれる。そしてイノベーションも活発に起こります。

    GMOで大切にしているのは、エンジニアやクリエイターが社内外のさまざまな人たちとコミュニケーションを取り、イノベーションが生まれる環境をつくること。そうすることでエンジニアやクリエイターがものづくりをしやすくしています。

    南場 私たちは、最初の事業にどんどん新しい“柱”を追加して事業を拡大させてきました。なぜそれができたかというと、「こういう事業に挑戦したい」というメンバーの熱量を事業にしてきたからです。挑戦する熱量を失ったらDeNAではないと思います。

    また、DeNAでは2015年9月から、「Anyca(エニカ)」 というカーシェアリングサービスを始めました。それを提案したのは新卒3年目のエンジニアとビジネスキャリアのコンビです。

    私は車が大好きなので、「愛車を他人とシェアリングするなんて絶対にありえない」と、経営会議で一蹴したんです。そしたら彼らは3回も4回も食い下がってきた。彼らの情熱に負け、最後は認めざるを得ませんでした。

    その2人の若者がそのあとAnycaをかたちにするために夢中になってがんばったんですね。そして世に出した。最近、新卒説明会で「うちのサービス、何使ってますか?」と聞くと、Anycaを使っている人はかなり多いんです。そうしたら、その2人が私に勝ち誇った顔をしてね。彼らの挑戦する思いが、明らかにたくさんの人に喜びを届けたのだと思います。

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    ‟やりたくないこと”をする金額が、その人の値打ち。
    限りある自分の人生を、何と引き換えるのか?

    南場 押し付けがましいのかもしれないけれど……。実は私自身、“幸せってなんだろう”って考えた時期がありました。要素としては自分にとって2つあります。

    1つは、誰かの役に立っているという実感。もう1つは、夢中になっているという状態。

    やっぱり、精一杯何かに夢中になって、できあがったものがユーザーやお客さまから喜んでもらえるから、ビジネスってたまらないなと思います。これはエンジニアでもそうでなくても、皆一緒です。基本的には、使う人にとって素晴らしい体験をつくる、それを夢中になって試行錯誤する。それがビジネスをする上ですごく楽しいんじゃないかなと思います。

    だからどうか、持ち物とかブランドとか、ステータスではなく、“夢中”を求めてほしい。夢中になった成果として、誰かが喜んでもらえるようなものが作れたならば、それは必ず次のステップにつながっていくと思います。

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    藤田 僕は24歳の時に会社をつくって、今45歳なんですけど、仕事において大事なことは、“ホーム感”だと確信を持って断言できます。

    学生時代に、ゼミや研究室などで、自分たちの世界に一生懸命だった時は、時間を忘れて熱中していたと思うんです。だけど社会に出て、アウェー感があるところではやたらと時間が長く感じる。つまり権威とか習慣とか、理不尽な上下関係を気にしながら仕事をしても、良いものは生まれません。

    そういうものを気にせず、自分たちのアイデアや楽しいことに熱中して、それを形にできたときに仕事は楽しいんだと思います。“ホーム感”のある場所を見つけて、世界に誇れるようなものをつくってほしいですね。

    熊谷 僕はやりたくないことをする金額がその人の価値だと常々思っています。やりたくないことを1000万円でやる人は、1000万円の価値しかない人。限りある自分の人生をお金と引き換えてもいいけれど、僕は、人生ってそういうものじゃないと思う。お金は目的じゃなくて、結果じゃないといけないんですね。

    今、エンジニアやITベンチャー企業の経営者であるということは、間違いなく正しい選択です。過去の産業革命は、平均すると55年。インターネットという産業革命はこの先25年以上続きます。これを24時間にたとえると、まだランチの途中。これから美味しいディナーが待っているところです。

    エンジニアは、モノをつくる技術をもっています。つまり機械が理解できる”機械語”を操れるわけです。これはとても素晴らしいことで、英語や中国語など人間の言葉は、もうすぐITの力でリアルタイムに翻訳できるようになってしまいます。しかしエンジニアとして“機械語”を必死に勉強すれば、世の中を変えていくことができる。その方がすごいと思うんです。多くの人が喜ぶサービスを提供し、開発し、世界を変えていくことで、自らの存在を確認する。大切なのは、そういうことだと思います。

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    株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長
    南場智子氏

    1986年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。99年に同社を退社して株式会社ディー・エヌ・エーを設立、代表取締役社長に就任した。同年オークションサイト「ビッダーズ」を開始。2017年3月、代表取締役会長に就任

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    GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長・グループ代表
    熊谷正寿氏

    1963年生まれ。91年にGMOインターネット株式会社の前身となる株式会社ボイスメディアを設立し、95年にインターネット事業を開始。「すべての人にインターネット」を合言葉に、日本を代表する総合インターネットグループを目指し、インターネットに関連する事業を総合的に展開。現在は東証一部上場のGMOインターネットを中心に上場企業9社を含むグループ111社、パートナー約5,700名を率いる

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    株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長
    藤田晋氏

    1998年、24歳でサイバーエージェントを設立し、2000年に当時史上最年少社長として26歳で東証マザーズ上場、2014年9月に東証一部へ市場変更した。創業から一貫して、インターネット産業において高い成長を遂げる会社づくりを目指し、「21世紀を代表する会社を創る」を会社のビジョンに掲げる

    取材・文/石川 香苗子

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