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エンジニアの数が1年で3倍に!メルカリが組織拡大期に捨てたこと・始めたこと

スキル

    人が急速に増えていくエンジニアリング組織には、さまざまな課題がつきものだ。

    ・組織カルチャーをよく理解していない新人が次々に入ってくる
    ・ベテラン社員が新人教育に時間をかけてしまうことで、生産性が下がってしまう
    ・技術レベルも価値観もまるで違う人たちが一緒に働くことになる
    etc…

    上記のような課題に頭を悩ませているマネジャーも少なくないのではないだろうか。

    2017年~2018年の1年間でエンジニアが200人以上増えたというメルカリにおいても、組織規模の急拡大にともない数々の問題が生じることが予想された。同社CTOの名村卓さんが『Mercari Tech Conf 2018』(2018年10月4日、六本木アカデミーヒルズ)において語った内容から、エンジニアリング組織の拡大期に起こり得るマネジメント上の課題と、問題への対処法を学びたい。

    株式会社メルカリ 取締役CTO 名村卓さん

    株式会社メルカリ 取締役CTO 名村卓さん

    1980年生まれ。小学生の頃からプログラミングをはじめ、大学はコンピュータ・サイエンスを専門とする会津大学へ進学。コンピュータ理工学部へ進み、在学中からSIerでシステム開発を行う。2004年サイバーエージェントに入社し、『アメーバピグ』『AbemaTV』など主要サービスの数々を開発。2016年メルカリに入社。US版メルカリの開発を担当し、17年4月に執行役員CTOに就任

    1年でエンジニアが約120人→約350人へ

    「230」。これは、メルカリが1年でエンジニアを採用した人数だ。1年前は約120人だったエンジニアの人数は、2018年9月時点で約350人まで拡大している。「全体の3分の2が入社1年未満という環境になったことで、組織運営の方法もこれまで通りにはいかなくなった」と名村さんは話す。

    特に懸念事項となったのは、「生産性の低下」「裁量の減少」「思想の衝突」の3点だった。

    「これまでのような小さな組織であれば、確認者や承認者がすぐ側にいたため、エンジニアの開発スピードも速かったかもしれません。しかし、300人を超える規模になると、確認の数が増えたり、返答に時間がかかったり、過去の経緯を調べたり、全てに時間がかかるようになります。そして、何か新しいことをやろうとしてもまずいろんな人を説得しなければならないようになるなど、自分一人では決められなくなり、裁量も狭まってきます。さらに問題なのは、価値観がバラバラな人たちが集まってくると、『空気を読んでなんとなく合わせる』といったことは難しくなってきます」(名村さん)

    こうした危機的状況を回避するために、名村さんがまず意識したのは「同じ思想で開発する」ことから、「多様な思想で開発する」ことを目指すことにしたという。多様な思想を持ったエンジニアがいるということを前提に、開発思想のダイバーシティ化を進めている。

    EM、PM、テックリード
    役割を切り分けてエンジニアに最適な組織をつくる

    また、メルカリではさらに組織をスケールし、近い未来にエンジニア1000人規模の組織を目指している。そこで、これまで以上のスピード感で、より良いプロダクトを作るためには何が必要になるのか。名村さんは、「生産性だけにとらわれない働き方」を実現することの重要性を語った。

    「仮に、これからメルカリにエンジニアが1000人集まったとしても、既に1万人のエンジニアがいるような組織の生産性には太刀打ちできないんですよね。だから、生産性ばかり重視するのではなく、メルカリは創造性を技術力と考え、新しい技術・新しい方法を創造する力を伸ばしていきます」

    組織拡大期にあっても、エンジニア一人一人の才能や能力を伸ばしていく方が、結果的に強い組織づくりにつながると名村さんは考える。多様な思想・能力を持ったエンジニア同士がお互いにシナジーを生み、組織全体の技術力を上げていくことが狙いだ。

    組織体制の面では、採用や人材育成、組織開発などを主に行うEM(エンジニアリングマネジャー)と、PM(プロダクトマネジャー)を配置し、役割を切り分ける。さらに、どういった技術を持って開発・設計・品質管理をするのかという意思決定を行うテックリードという役割を採用しているのが特徴だ。EMに関しても、エンジニア出身者がそのポジションを担うため、エンジニアにとって最適な組織づくりへとつながる。

    Mercari Tech Conf 2018

    マイクロサービスを採用し、決断を最小化する

    また、組織をスケールする上でメルカリが特に注力するのが、「Micro Decision(決断の最小化)」だ。そこで、マイクロサービスアーキテクチャ(※)への移行を1年前から積極的に進めている。世界的なテックカンパニーへとメルカリが飛躍するための、意思決定の理論として重要視する。

    (※)マイクロサービスアーキテクチャ:大規模化・複雑化するソフトウェアを、一枚岩(モノリシック)な構造ではなく、さまざまな機能のビジネスロジックやサービスの組み合わせで実現するという開発手法。モダンな開発の手法であるとともに、ビジネスモデルや組織構成の考え方にまで通底する

    Mercari Tech Conf 2018

    「マイクロサービスがあることによって、オーナーシップが各エンジニアに分離され、技術、設計、すべての決断をエンジニア自身が行う必要が出てきます。決断の単位を可能な限り小さくし、あらゆる場所でいつでも決断がおこなわれる状態になります」(名村さん)

    今後メルカリが目指すのは、「生き物のように進化をし、プロダクトを作れるエンジニア組織」。名村さんは、テックカンパニーとしての進化を止めない方法を、組織づくりの面、技術戦略の面で考えていくと今後の抱負を語った。

    取材・文/君和田 郁弥(編集部) 画像提供/メルカリ

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