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【テックキャンプ×プロゲートCEO対談】 初心者からテクノロジー人材になるために必要なこと

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    ※この記事の内容はTECH::NOTE掲載時点(2018年8月)の情報です。


    TECH::CAMP(テックキャンプ)TECH::EXPERT(テックエキスパート)を運営する株式会社div 代表取締役 真子 就有(まこ ゆきなり)が、テクノロジー時代のキーパーソンに話を聞く連載、TECH::LEADERS(テックリーダーズ)。

    今回の対談ゲストは、株式会社Progate CEOの加藤 將倫(かとう まさのり)さんです。

    プログラミングが自動化される未来が来ても、仕事をし続けられるエンジニアになるために必要なこととは何でしょうか?また、そうなるために初心者からどのように学習をすれば良いのか。
    TECH::CAMP(テックキャンプ)とProgate(プロゲート)のCEOが「初心者からテクノロジー人材になるために必要なこと」を語り合います。

    株式会社Progate CEO 加藤 將倫(写真左) 株式会社div CEO 真子 就有(写真右)

    株式会社Progate 代表取締役 加藤 將倫(写真左)/ 株式会社div 代表取締役 真子 就有(写真右)

    加藤:これからの世の中は、あらゆるものがよりIT化されていき、テクノロジーを理解する人とそうでない人のギャップがどんどんどんどん広がっていくと思うんですよ。

    そうなったときに、テクノロジーを理解する側の立場に、なりたくてもなれない人が増えてしまうようでは嫌だなと。誰でもテクノロジーに興味を持ったら、少なくとも最初の一歩を踏み出せる状態であるべきだと思います。

    真子:テクノロジーを使いこなして社会の問題を解決できる人材と、そうでない人材。この間には、明確に大きな差がありますよね。何か新しいことをしようという時に、テクノロジーを使わないという選択肢はもはやありえないです。

    株式会社div 代表取締役 真子 就有(まこ ゆきなり)

    真子:テクノロジー人材になるためには、どれぐらい勉強すればいいと思いますか?

    というのも、プログラミングを学ぶ全ての人がエンジニアになりたいと思っているわけではないですよね。ただしプログラミングの重要性は理解していて、学習しようという意欲もある。

    そういった人はどれくらいの学習量をこなせば「テクノロジー人材」と呼べると、加藤さんは考えていますか。

    加藤:個人的な意見では、プログラミングは「ほんのさわりだけ」をやったところであまり意味がないと思ってます。そうした意味ではProgateのコンテンツは、まだまだ量的な課題があります。いまアップされているコンテンツは「さわりだけ」に近い初歩のものが多いですからね。

    やはり簡単なもので構わないので、まずは自分の手でサイトを作り、公開してみることが大事だと思います。自分のポートフォリオサイト的なシンプルなもので十分なので、まずは公開するところまでやってほしいですね。

    エンジニア職でない人であっても、1つのものを創り上げる経験をすればエンジニアがどういう気持ちでどんな仕事をしているのか細かいところまで理解できますし、今後コミュニケーションをとって仕事をする時に話せる内容が全然変わってきますから。

    真子:全く同感です。僕もやはりテクノロジー人材になる上で大事なことは、サービスを作り上げてみることだと思います。プロトタイプレベルで構わないし、1回でもいいのでとにかくやること。

    最低でもそのレベルまで体験しないことには、そもそもプログラミングを勉強したところで、プログラミングにどんな意義があり、何が楽しいことなのか理解出来ずじまいになる可能性があります。

    加藤:確かにそうですね!

    真子:もちろん、たまに未経験で少しコードを書くだけでも「うわ、めちゃめちゃ楽しい!」と言う人もいますけど、ほとんどの人はそうではありません。

    自分で一個のサイトやサービスを作り上げることで何倍も学ぶ意義や喜びを感じられるんじゃないでしょうか。そこまでは1回、必ずやったほうがいい。

    独学の挫折率が高いのは学習の最初。そこを乗り越えることが鍵

    真子:Progateのわかりやすさって、本当に素晴らしいと個人的に思うんです。それでも学習に挫折してしまう人は少なからずいますよね。

    加藤:もちろん全員が挫折しないのが理想ですが、何十万人もユーザーがいると中には挫折してしまう人はいますね。

    真子:そういう人ってどこで詰まって挫折しているんでしょう。例えばRubyであれば、Rubyはわかるけど、Ruby on Railsで詰まるという感じですか?

    加藤:いえ。そこまで行けた人はむしろ修了率が高いですよ。修了率が低いのは、本当に最初の方のカリキュラムですね。Rubyの一番最初のカリキュラムだったり、HTMLだったり。それらのコンテンツって、Progateにきた人が一番最初に触れるものですし、他のカリキュラムよりアクセスも多いので。

    真子:1回とりあえず見に来たけど、別に「今日はやるつもりなかった」ってこともあるでしょうしね。一回アクセスして、カリキュラム進めるのは別の日にしようとか。

    加藤:そうですね。最初のレッスンの場合、温度感があまり高くないユーザーもとりあえず見に来てくれたりするので、後の方のレッスンと比べて離脱率が高いのは仕方ない部分はあるかなと思っています。

    真子:Progateのコンテンツって、初級編であれば1カリキュラム30分もあれば終わりますよね。個人的にはせっかくアクセスしたなら「やっぱ今度にしよう」「別の日でいいや」と後延ばしにするんじゃなくて、30分だけ時間を使って欲しい…。最初を乗り越えられるかどうかが鍵なので。

    モチベーション維持に最も大切なことは環境

    真子:加藤さんは「モチベーション維持」ってどうやったらできると考えてますか?

    加藤:モチベーションの維持ですか。僕個人の原体験では、作るのものが決まっていて、期限もあったというのは大きかったですね。当時は受託開発をしていたので「やらざるを得ない」という状態でした。それを作るために必要だから、必死にプログラミングを学ぶうちにどんどん楽しくなるというフロー状態に入ってました。

    真子:プログラミングを学び始めて、すぐに受託開発を始めたのですね。

    加藤:そうです。受託開発は大変でしたけど、楽しかったです。必要な技術を勉強するのも楽しかったし、その時期はプログラミング以外のことなんて一切やりたくないというレベルで没頭してました。

    共に頑張る仲間を見つけよう

    加藤:僕は受託を受ける前、プログラミングを始めた本当の初期に、自分でゲームやアプリを作ろうとしました。でもそれは全部途中で投げ出してしまって。何事も中途半端だったんです。

    その点、仕事だったらやるしかないじゃないですか。絶対に投げ出せないので。そういうマインドでプログラミングに没頭できたことで、本当に成長しましたね。

    あとは仲間を見つけること。これは本当に重要です。くじけそうになっても支え合って、切磋琢磨し合える仲間がいたらやり続けることができるので。Progateも1番最初は、2人で立ち上げたサービスだったんですけど、やっぱり開発中は辛かったですよ。毎日寝る間も惜しんで開発をしていたので、純粋に「眠いな」「ちょっと休みたいな」と思うことはたくさんありました(笑)

    でも、仲間が頑張っているのを目の当たりにすると「自分だけ寝るわけにはいかない、頑張ろう。」と思って自然とモチベーションが湧いてきました。

    真子:TECH::CAMP、TECH::EXPERTはそれと近い感覚を生み出す環境かもしれません。周りの受講生の頑張りを教室で目の当たりにするのもそうですし、メンター(講師)とのつながりも大きいです。

    自分の師匠に当たる人間が、必死に自分を応援してくれてる。この期待に応えないわけにはいかないと受講生は自分を奮い立たすことができるので。

    学習を継続するには、いきなりプログラミングを闇雲にやるよりはまずは環境が大事かなと思いますね。

    プログラミングも自動化される時代、クリエイターとしてのエンジニアであれば生き残れる

    加藤:最近は「将来的にプログラミングも自動化される」とよく言われていますよね。僕自身はそれでもプログラミングは学ぶ意義があることだし、やるべきだと常々周りに言い続けているのですが、真子さんはどんな意見をお持ちですか?

    真子:「プログラミング」という言葉も「自動化」という言葉も、実は曖昧ですよね。例えば、マークアップ程度であればドラッグ&ドロップでできるようにどんどんなっていくでしょうし、人間がコードを書く必要なんてないと思うんです。

    簡素化という意味の自動化はさらに進むでしょうね。既に今の時点でWix(※4)やBootstrap(※5)の登場で、ペライチのサイトはどんな人でもすぐ作れるじゃないですか。<編集部注>(※4)ドラッグ&ドロップのホームページ作成ツール。無償版と有償版がある。(※5)CSSフレームワーク。レスポンシブWebデザインを手軽に実現可能

    ただ、そんな中でも「人間が自分のアイデアを実現するためのプログラミング」は絶対になくならないのではないかと思います。こういう課題を解決したいから、こういうサービスを作りたいという思考と実装のプロセスを全部自動化することは無理だと思ってます。

    エンジニアって「コードを書く人」ってイメージですけど、僕の考えではエンジニアとはクリエイターです。

    頭の中にあるものって、普通は言葉にしたりプレゼンテーションにするじゃないですか。でもこれからは「頭の中にあるものをプログラムに書く」未来が来るだろうと。要はプログラミングは言葉をしゃべるのと一緒です。プログラミングができないのは言葉をしゃべれないのと一緒です。

    では、人間が「こういうのができたらいいな」と思ったことが一瞬で実現する未来がくるかというと……。それって超能力ですよね。それはまだ実現されないだろうと思ってます。

    そこまで行けば、もう仕事って要らないですよね。みんな働かなくていい未来なので、そもそも自動化がどうこうを議論する意味もないですよ。考える必要もないことです。

    真子:僕は21歳からプログラミングをやっているんですけど、最近ってどんどん敷居が下がって、簡単になってます。まずProgateがある時点で、相当学習のハードルが下がりました。昔はProgateなかったですからね。

    そして簡単になった分、エンジニアって「全部わかっていること」が前提とされるようになりました。やらなきゃいけないことが増えてます。

    昔だったらマークアップだけするエンジニアというのもたくさんいましたけど、今そういう人は減ってますよね。フロントもサーバーもできて当たり前になりつつあります。インフラもAWS(※6)になったので、AWSも使えて当然です。もちろんサービスはリッチで当然。そういう環境にお客さんも慣れているので、エンジニアはある意味大変な時代ですよ。
    <編集部注>(※6)Amazonによって提供されるクラウドコンピューティングサービス。AWSのサービスの1つ「AWS EC2」は信頼性の高いクラウドサーバーとして支持されています。

    こういう進化って、時代との追いかけっこなので終わりがないですね。

    加藤:自動化されない部分が価値を持ち続けるでしょうね。学習のハードルが下がれば、一方で仕事で求められることは増える。この追いかけっこは終わらないですから、その核になる大事な部分を見失わないことが大事です。

    真子:結局はいまも昔も「思いついたら作る」しかないですね。これにつきますよ!

    加藤:ですね!そうできる人が増えるように、Progateも今後ますますコンテンツを充実させていきたいです。

    真子:今日は本当にありがとうございました。

    加藤:ありがとうございました。

    取材・文/関 和音 編集/桜口 アサミ

    ※こちらの記事は、『TECH::NOTE』コンテンツから転載をしております。
    >>元記事はこちら

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