「インフラエンジニアは今こそ作り手に回れ」国産クラウド『ニフクラ』開発者が語るクラウドの未来
【PR】 働き方
AWS(Amazon Web Services)や、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)など、外資系企業が幅を利かせるクラウド業界。そんな状況の中、独自路線でユーザーを獲得している国産クラウドサービスがある。富士通クラウドテクノロジーズの『ニフクラ』だ。今回は、2010年の立ち上げ当初から『ニフクラ』の開発に携わっている五月女雄一さんに、クラウド業界のトレンドと『ニフクラ』の強みを聞いた。
「Cloud or Nothing(クラウドか否か)」は答えでは無い
五月女さんは以前、ある顧客にこう言われ苦笑いするほかなかったと言う。
「『ニフクラのユーザーは“隠れキリシタン”のようなもの。使っていることを他社に知られたくない』と言われてしまいました。今から4年ほど前のことです」
『ニフクラ』は、パソコン通信の『ニフティサーブ』やインターネットサービスプロバイダの『@nifty』などで知られるニフティが、2010年にリリースした法人向けの国産パブリッククラウドサービスだ。2017年に富士通クラウドテクノロジーズへ社名変更して以降は、同社が提供している。
しかしなぜその顧客は、『ニフクラ』のユーザーであることを隠したいなどと言ったのだろうか。
「そのお客さまは、オンプレミス環境を維持しつつ、的確に『ニフクラ』を部分導入することでハイブリッド構成を実現していました。我々から見たらベストな構成です。しかし当時、大手クラウドベンダー各社は一貫して『全てのシステムは今すぐにでもクラウドネイティブに移行すべき』というメッセージを発していたので、『自社はニフクラで中途半端なクラウドの使い方をしている』と感じていたのだと思います。実は、オンプレミスとのハイブリッドこそが、当時からニフクラの強みだったわけですが」
しかし、ここ1~2年で状況が様変わりしたと言う。
「例えば、オンプレミスで運用している基幹業務システムを全てクラウドネイティブに置き換える必要があるでしょうか? 将来的にスケールする見込みがあるかないかによって判断は分かれると思いますが、つい最近まで『Cloud or Nothing(クラウドか否か)』的な二元論が幅を利かせていたこともあって、『クラウドに移行しない』『新規投資しない』『オンプレに戻す』という判断は、それだけで『時代に逆行している』『古い』と切り捨てられる傾向がありました。しかしクラウドサービスの黎明期から普及期に入り、オンプレミス、クラウドそれぞれのメリットとデメリットが出揃った今、現実を正しく踏まえた上で、最適解を選択しようという動きが出始めていると実感しています」
こうした潮目の変化は、昨年、大手クラウドベンダー各社が続々と仮想マシンソフトウェアの『VMware』をサポートしたサービスを展開すると表明したことからもうかがえると五月女さんは言う。
「こうした各社の対応により、オンプレミスシステムを主要クラウドに移行したり連携したりする事が比較的容易にできるようになりました。つまり、クラウドを利用することがただちに既存のシステム資産を捨て去ることを意味しなくなったわけです。こうした動きは、オンプレミス環境からパブリッククラウド環境への移行を促すだけでなく、オンプレミスと各種クラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの可能性を広げることに繋がっていると思います」
こうした「新常識」がクラウド業界に広まることで、『ニフクラ』の価値はさらに高まると五月女さんは見ている。『ニフクラ』は2010年のサービス開始当初から、『VMware』を基盤としたパブリッククラウドサービスを大規模に提供しており、自社サービスでの利用経験を通じてハイブリッドクラウドの構築経験も豊富だからだ。
「『ニフクラ』は当初から、日本のビジネス環境やお客さまのご要望を踏まえ、堅牢性(けんろうせい)を要する基幹系はオンプレミス環境を維持し、スケーラビリティを要する情報系はクラウドで運用したいという現実に即したニーズを数多く吸収してきました。こうした対応が取れたのは、『ニフクラ』に、@nifty時代から培ってきたネットワーク技術と、インターネット技術が注ぎ込まれていること、そして我々自身が事業会社として、お客さまと同じ課題に直面し克服してきた経験があるからに他なりません。クラウド業界全体が現実志向を取るようになった今、私たちの強みが際立つ時代がやってきたと感じています」
“クラウドを使う側と作る側”インフラエンジニアの二極化が進む
クラウド業界が「理想主義」から「現実志向」へと舵を切った今、クラウド技術の担い手であるインフラエンジニアに求められるスキルも二極化してきていくのではないかと五月女さんは予測する。
「今後、インフラエンジニアのキャリアは、“使う側”と“作る側”に大きく二極化していきます。前者はクラウドベンダーが提供するサービスを熟知した“目利き”としての能力が求められ、後者はネットワークや物理・仮想レイヤーのコアな技術力に加え、抽象的なニーズから実装すべき機能やサービスを構想する企画力やビジネスマインドも求められます。どちらの道を選ぶかは人それぞれですが、後者の方が希少性が高いのは確かです」
もし、クラウドを作る側に回るとするなら、海外クラウドベンダーか国産クラウドベンダーに進むという選択肢がある。しかし日本に住むエンジニアにとって日本国内に開発拠点があるクラウドベンダーの方が圧倒的に敷居が低いのは確かだ。
「『ニフクラ』も含め、国産クラウドベンダー各社は、それぞれの強みや個性を活かしたサービス展開を行っています。我々もお客さまへのデータ分析サービスの提供や、新規ビジネスの立ち上げ支援、『ニフクラ』の海外展開など、他社とは一線を画すビジネスに取り組んでいます。日本にいながらクラウドサービスを自らの手で“作る”という選択肢があることを、多くのインフラエンジニアに知っていただければと思います」
クラウドがシステム開発のあり方を変え始めてから10年あまり。これからもさまざまなテクノロジーが注目を集めるだろう。しかしインフラエンジニアといえどテクノロジーの動向ばかりに気を取られていてはいけない。市場環境やビジネス環境の変化にも敏感でなければ、変化の波に押し流されてしまうからだ。そういう意味でもクラウドビジネスの最前線に立つベンダーに身を置く価値はありそうだ。
「クラウドビジネスは右肩上がりで、経験豊富な人材は引く手あまたの状態です。しかも、一度、クラウドサービスの作り手を経験すれば、クラウドの使い手として、コンサルティングや受託開発、事業会社などで活躍することは容易でしょう。インフラエンジニアとしてのキャリアを確かなものにしたいのであれば、クラウドベンダーでサービス開発するという選択肢を是非検討してみてほしいですね」
取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/竹井俊晴
RELATED関連記事
RANKING人気記事ランキング
米国優位が揺らぐ?ひろゆき「CPUの進化でGPU神話って崩壊しません?」【AI研究者・今井翔太が回答】
NEW!
表面的なテクニックより「基礎基本の重要性」に気付かされた一冊【Node.js 日本ユーザーグループ代表・古川陽介】
AWS認定資格10種類を一覧で解説! 難易度や費用、おすすめの学習方法も
正論モンスター化に要注意!ぎくしゃくしない「ミスの指摘」のコツ【澤円「コミュ力おばけ」への道】
社会で成功するゲーマーに、ひろゆきが聞く「現実世界を攻略できないゲーマーに足りないものって何すか?」
JOB BOARD編集部オススメ求人特集
タグ