キャリア Vol.843

「今なら会社に対してマウントが取れる」Google・Yahoo出身開発者が、スタートアップ企業に転職して気付いたこと

タレントや声優、VTuberとファンが繋がり、シークレットな空間で密な関係をつくれるコミュニティーアプリ『fanicon(ファニコン)』。その立ち上げからグロースまで手掛けた2人の開発者は、GoogleやYahoo、DeNAといったテックジャイアントへ入社して数年で社員数わずか数名のスタートアップ企業THECOOに飛び込んだ。

「to C向けのコミュニティーサービスを作りたい」という明確なビジョンを持っていたプロダクトマネージャーの星川隼一さんと、0から1を生み出す開発スキルをさまざまな企業で磨いてきたリードエンジニアの城弾さん。

「大企業にいた頃と比較しても、今の方がもの作りをするワクワク感は大きいし、スキル面においてもどこへ行ってもやっていける自信がついた」と2人は口を揃える。

THECOOの何が、気鋭の開発者2人にそう言わしめるのか。話を聞いてみた。

THECOO
(写真左)THECOO株式会社 開発部 執行役員 星川隼一(ほしかわ・はやと)さん
2009年に早稲田大学卒業後、グーグル合同会社(Google)でデータサイエンティストとして活躍。15年、Google 時代の先輩であった平良真人さんに誘われTHECOOにジョイン。会員制ファンコミュニティアプリ『fanicon』の企画・立ち上げに携わる

(写真右)THECOO株式会社 開発部 城弾(じょう・はずむ)さん
2010年に早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社(Yahoo)にデザイナーとして入社。プロダクトデザインを行う傍ら、Yahoo! JAPAN IDや決済などの情報設計やプログラミングを手掛ける。その後、DeNA、リクルートなどでソーシャルゲームやデータ分析系のシステム開発を経て、17年にTHECOO入社

Google出身社長の元で再会した、同級生クリエーター

学生時代から一緒にWebサイトを作って“お小遣い稼ぎ”をしていたという、同級生の星川さんと城さん。現在はfaniconのプロダクトマネージャーとして全責任を負う星川さんを、リードエンジニアの城さんがバックアップする。

新進気鋭のスタートアップ企業THECOOでfaniconの成長を牽引する2人だが、両者とも大企業で働いていた経歴を持っている。

インターネットが好きだった星川さんは、憧れの会社に入りたいと新卒でGoogleに入社。ニコニコ動画やツイキャスが大好きで、いつかは自分でもto C向けサービスを作りたいと考えていた。

「Googleはもともと大好きな会社だったし、実際に入ったら思った通りすごく楽しかった。ここなら永遠にいられるなって感じたくらいです。でも、Gmailなどの社会インフラだけでなく、本来自分がやりたかったto Cサービスを自分の手で作りたいという気持ちが次第に大きくなってきて。『自分はこんなことをやったんだ』と言える明確なレコードをつくらなきゃという使命感がありました」(星川さん)

そんな時、Google時代の先輩で、当時THECOOを立ち上げたばかりの平良真人さんに「新しいサービス開発にチャレンジしてみないか?」と誘われ、同社に入社することを決めた。

その後、THECOOではさまざまなサービス開発の現場を経験し、満を持して『fanicon』の開発を始めることとなる。

THECOO

リードエンジニアの城さんは大学卒業後、ヤフー、DeNA、リクルートなど名だたる大企業を渡り歩いてきた。数年の間に転職を繰り返してきたのは、「サービス開発ができる一通りの技術」を磨いておきたいと考えたからだ。

「僕は自分で先頭に立つタイプではないけれど、多分どこかのタイミングで、誰かに誘われてゼロからサービスを作ることになるだろうという予感はありました。だからいつか来るその時に備えて、必要なスキルを身に付けておきたいとずっと考えていたんです」(城さん)

城さんが欲したのは、サービス立ち上げからリリースまでを全部一人で回せる力量だ。最初はあえてデザイナーとして就職し、PhotoshopとIllustratorでビジュアルを描くところから始めた。その後フロントの実装を経験し、DeNAではサービスの立ち上げ、Web・アプリ開発を手掛ける。リクルートでは、インフラや決済システムなどの技術を身に付けた。こうしてさまざまな経験を経て、30歳になった時には、望んだスキルをひと一通り手に入れていたという。

「特にDeNAには新規サービスを立ち上げる風土や環境が揃っていました。チャンスが平等にあって、エンジニアとして手を挙げたら大概のことはやらせてもらえた。そこで学んだのは、サービスを立ち上げるなら、一つ一つのスキルを100のレベルまで極めてから始めることより、50のレベルでいいからスピード感を持って一人でできた方がいいということでした」(城さん)

ちょうどその頃、星川さんから「新しいサービスを一から立ち上げるから、力を貸してほしいと声が掛かった。

「昔から星川はやると言ったら必ず成功させる、“ついていきがい”のある男です。ここが僕の勝負時だと思いTHECOOへの入社を決めました」(城さん)

THECOO

一方で、大手企業から転職することに不安はなかったのか。そう尋ねると、二人揃って「全くなかったですね」と笑った。

「自分のやりたいことや、チャンスを逃してしまうことの方がもったいないと思います。今は、どこの会社に属しているかではなく、自分に何ができるかの方が大事な時代ですしね。あと、もし転職した企業がダメになったとしても、ちゃんと自分にスキルがあるなら、ほかに仕事はいくらでもあるはずですから」(星川さん)

いつクビになったっていい。社会や組織と対等でいられる自信がついた

城さんが入社してからは、2人で3カ月に及ぶ海外での開発合宿を経て、faniconの原型を形作った。技術的な学びはもちろんのこと、既存のコミュニティサービスやアーティストのファンクラブを研究し、ユーザーとリアルな場で会話することも厭わなかった。

そして、サービスをリリースしてからも、「四六時中faniconのことで頭がいっぱいだった」と2人は言う。その熱中ぶりは、企画からマーケティング、プロモーションまで全て自分の責任で手掛けられる喜びがスパークした結果のように感じられる。自由に泳げる場所を見つけた2人は今、のびのびとやりたい仕事に取り組む日々を送っている。

「THECOOに入ってfaniconの開発者を任されてからは、仕事をしているのにずっと遊んでいるような感覚です。もちろん責任も伴いますが、エンジニアとしての欲求をストレートに叶えられるし、ずっとコードを書いていられる。苦手だった長時間の会議にも事務作業にも時間を取られることもないし、出世を気にすることもなくなりました」(城さん)

一方、星川さんは「自分という人間をまるごと使って、社会と“ガチな勝負”ができることが楽しい」と続ける。

「良い結果も悪い結果も、全部自分のせい。僕が一つ判断を間違えば、この会社ごと吹っとばしてしまうかも知れない。でも、そういう世の中との真剣勝負が面白いと感じています。手抜きをしてもしなくても良い環境だったり、上司がいうからこの機能を作ろうって思って仕事するのって、白けちゃうじゃないですか。あとは、開発したサービスがヒットしたとしても、それは“企業の看板が大きいから”なのか、自分が作ったものだから評価されているのか、分からないのも嫌で。スタートアップであれば厳しいことも多いけれど、自分の力がダイレクトに社会に反映され、評価されるのが何よりも楽しいですね」(星川さん)

faniconをリリースしておよそ1年半。有名タレントから声優、VTuberなど多くの著名人(アイコン)たちが集まり、準備中も含めると1000以上のコミュニティーができている。ユーザー数は右肩上がりで、AppStoreエンタメセールスランキングではSHOWROOM、Netflix、AbemaTV、ツイキャスに次ぐ5位を獲得したほどのヒットプロダクトにも成長した。もはや彼らの想像を超えて、プロダクトは大きくなり続けている。

その過程で2人が得たのは、「自分の力で生きていける」という絶対的な自信だった。

「前までは自分自身の実績も大してなかったし、『社会で生きていく自信』みたいなものはありませんでした。だけど今は、faniconは自分が率いたプロダクトだと胸を張って言える。だから極端なことをいうと、いつクビになっても構わないと思っているし、この先どんなところへ行っても会社と自分が対等でいられる自信があって。それだけで、人生の選択肢が広がったと感じています」(星川さん)

「僕も星川と考え方が似ていて。fanicon開発を通してとんでもない数の成功・失敗を繰り返してきたので、先を読む力が格段に上がりました。次に何か作ることがあったとしても、きっとものすごいスピードで、同じくらい良いものが出来るはず。どんな会社でどんなサービスを手掛けることになっても、立ち上げからリリース、そしてその先まで分かっているのはめちゃくちゃ強いと思います」(城さん)

ゴールは分からない方が楽しい。
どこまで行けるか、ずっとワクワクしていたい

THECOO

2人はこのサービスがこれからどこへ向かうのかを、あえて決めていないと話す。それすらも開発者の手に委ねられているのは、少数で舵を取っているスタートアップならではだろう。

「ゴールが分かっているってつまらないじゃないですか。僕がDeNAにいた時に、(創業者の)南場(智子)さんが『コトに向かえ』って話をしていたんですけど、その通りだなって思っていて。今僕がやるべきことは、目の前にある仕事やそこにいるユーザーと真剣に対峙していくことだと思っています。だからあえて長期的すぎる目線や、一人よがりの考えにとらわれないようにしているんです」(城さん)

ゴールへ向かって走っていくより、どうなるか分からないままワクワクしていたい。その方がずっと楽しいと、城さんは笑う。

一方星川さんは、これからはクリエイターとしての“賞味期限”を意識し、良質なインプットによって“クリエイティビティーをアップデート”していきたいと考えている。

「もの作りって、とんでもない熱量が必要なんだってfaniconを開発していて感じました。でも年齢を重ねていくと、家族ができて仕事よりプライベートが大切になったり、マネージメントの仕事が求められて手を動かせなくなったり、価値観が固定されたりして、その熱量が薄れてしまいがち。

僕も30代に突入したので、いつかはそんな“クリエーティビティーの賞味期限”がくるかもしれない。だからこそ今この瞬間を大切に、もの作りに全力を捧げていきたい、と最近は思っているんです。良い映画を見て、音楽を聞いて、本と出会って。世界中のいろんなものを自分の目で見ることで感性を鋭敏にし続けて、熱量を持って仕事ができる時間を大切にしていきたいんです」(星川さん)

そんな“熱量”を大切にしているTHECOOでは、例年社員をサンフランシスコで行われるGoogle I/OやFacebookのF8デベロッパー・カンファレンスなどに参加させている。星川さんと城さんは今年の5月に開催されるGoogle I/Oにも参加する予定だ。

ライブ中継で済ませることなく、時間もコストもかけて現地へ足を運ぶ。それはテクノロジーのど真ん中で最先端の空気に触れ、世界のトップが今何を目指しているかを感じ取ることがクリエイティビティーを飛躍させるために重要だと分かっているからだ。

「生意気かもしれないけど僕たちは『頂点で学べ』っていうスタンスで(笑)。役に立たない勉強会なら行きたくないし、中途半端な人脈もいらないんです。だから会社が、僕たちものづくり側の人間を尊重してくれて、その機会を与えてくれるのはありがたいですよね。ちゃんと実力になる勉強を重ねられるのは、スタートアップの良いところの一つだと思っています」(城さん)

取材・文/石川 香苗子 撮影/桑原美樹

>THECOOのRecruitページはこちら

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