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リファラル採用を行う企業の数は4年で3倍に!「うちに来ない?」と誘われたらエンジニアが注意すべきポイント5つ

転職

    求人倍率が右肩上がりの昨今、社員の紹介や推薦があった人を選考する「リファラル採用」を行う企業が増えている。「この4年でリファラル採用を行う企業は3倍強に増えた」と話すのは、国内初のリファラル採用ツール『MyRefer』を運営している株式会社MyReferのCEO・鈴木貴史さんだ。

    株式会社MyRefer 代表取締役社長 CEO

    鈴木貴史さん
    新卒で株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。ITネット業界を中心に企業の採用を支援した後、社長直下にて新規事業企画に従事。 2014年、グループ歴代最年少で社内ベンチャー制度「0to1」を通過し、1億円の社内出資の元国内初のリファラルリクルーティング事業 MyReferを立ち上げる。9カ月で黒字化を実現し事業拡大。 18年、事業譲渡によりMBOを経て完全独立。パーソル初となるスピンアウトベンチャー株式会社MyReferを設立、代表取締役社長に就任。

    同社ではこれまで500社以上のリファラル採用をサポートしてきたが、中でもエンジニア採用においてリファラル採用は活発に行われる傾向にあるという。

    「売り手市場の中でも、特にエンジニアは人手が不足しています。企業側は積極的に転職を検討していない層にまでアプローチをする必要に迫られているため、社員から採用候補者を紹介してもらうリファラル採用に注目しています。

    一方、エンジニア側では転職先を選べる有利な立場にあるため、オフィスの環境や技術選定の自由度など、より細かい情報を知りたいというニーズが高まっている。そういう意味で、知人から“生”の声が聞けるリファラル採用が適しているわけです」

    知人を通じてリアルな声が聞けることは、入社後のミスマッチ防止にもつながる。「リファラル採用はメリットが9割」と鈴木さんは語るが、そのメリットを最大限享受するために、エンジニアはどんなことに注意すればいいのだろうか。

    リファラル採用で転職する際によくある事例から、やってはいけないことを鈴木さんに聞いた。

    NG ポイント1. 年収や残業時間などの条件確認を怠る

    友だちに誘われてオフィスを訪問してみたら、エンジニアはみんなフレンドリーだし、伸び伸び働いている。技術選定の裁量は現場にあるし、最新の技術で開発しているようだ。ここなら自分に合いそうだし、転職を検討してもいいかもな。

    「リファラル採用の場合、最初のステップが社員との座談会やオフィス見学会になることが多いです。社員に直接働く環境について聞けるのは大きなメリットですが、給与や残業、福利厚生などのハード面の条件確認を怠ったまま転職してしまうことも。転職エージェントがいない分、年収の交渉や条件確認は自分でする必要があることは念頭に置いていただきたいですね。

    交渉する際は、事前に知人から給与に関する生の情報を仕入れておくことが重要です。知人からの推薦を根拠に自分のスキルセットを伝えることができる分、強気で交渉ができますし、知人が『彼は優秀ですよ』と後押ししてくれることもあるでしょう。技術力や人柄など、履歴書で伝えることが難しく、人事だけでは見極めずらい情報を知人経由でアピールしてもらうことも可能です。事実、上手に条件交渉をして年収150万円アップに成功したエンジニアの例もありますよ」(鈴木さん)

    NGポイント2. 「なんとなく良さそう」で転職を決める

    現場のエンジニアに話を聞いて、優秀なエンジニアがたくさんいる会社だということが分かったぞ。せっかく誘ってもらったし、このまま転職しちゃおうかな。

    「リファラル採用の場合、転職を考えてない時に知人から求人を紹介されることもあります。そのため『なぜ転職をするのか』という軸が定まっていないことも多いもの。とはいえ、転職という人生の一大転機であることは間違いありません。リファレンスがある分、自分の要望を伝えやすいのはリファラル採用のメリット。どんな仕事をしたいのかをしっかり伝えてキャリアアップをするチャンスですから、なんとなくで転職に踏み切ってしまうのはもったいないです。

    ぜひ一度立ち止まって、なぜ転職するのか、なぜその企業を志望するのか。これからどんな案件を手掛け、どんなエンジニアになりたいのか、自分のキャリアを整理してみてください。リファラル採用では紹介された1社だけを見て転職を決める方は少なくないですが、あえて転職サイトなどのさまざまな求人と比較してみるのも一つの手。それによって、自分の軸が見えてくることもあります」(鈴木さん)

    NGポイント3. 会社情報をよく調べず面接に行く

    友だちからの紹介なんだから、面接といってもカジュアルだろうし、ほぼ内定も出るはず。そんなに準備しなくていいんじゃない?

    「一般的な転職活動では、プロダクトの強みや将来性など、企業研究をしてから面接に臨むはずです。リファラル採用でもそれは同じ。会社について何も調べず面談や面接へ行くのは禁物です。繰り返しになりますが、リアルな情報を得やすいのがリファラル転職の一番のメリット。知人から話を聞くだけでなく、一日体験入社をさせてもらったり、社員と交流する場を設けてもらったりもしやすいですから、その利点はぜひ生かしてください」(鈴木さん)

    NGポイント4. あっさりもらった内定をすぐ承諾する

    1回の面接であっさり内定が出た。ラッキーな気もするけど、ちょっと不安……。

    「リファレンスがある分、選考フローが簡略化されることもありますが、そこに対して不安を感じるようであれば追加で面談の場を設けてもらうことをお勧めします。内定後でもいいので採用したいと思った理由など積極的に質問をぶつけて、気になることはクリアにできるようにしましょう。先述の通り、リファラル採用の場合は今後のキャリアを整理できていないこともあるので、もし不安があったら自分の気持ちを固めるためにも面談の機会を設けてもらうのは有効です」(鈴木さん)

    NGポイント5. 本音を隠してフェードアウトする

    いろんな人と話をしてみたけれど、この会社ではやりたいスキルが身に付けられないかも。でも、会社の皆さんと仲良くなってしまったし、断りにくい……。

    「通常の転職活動では人事に直接断りの連絡を入れるのが基本的なマナー。ただ、リファラル採用の場合は、紹介してくれた人に『今回は断りたい』と伝えてもOKです。知人だからこそ率直にミスマッチの理由を話せるところもあるので、企業側にとっては本音を聞き、今後の採用活動を見直すチャンスにもなる。これぞリファラル採用ならではのメリットですね。もし紹介された段階で転職の意欲があまりないのであれば、最初にその旨を伝えておくとよりスムーズです」(鈴木さん)

    通常の転職活動でもリファラル採用のメリットを活用すべき

    「リファラル採用の際に気を付けるべきことは基本的には通常の転職と同じ」と鈴木さん。

    リファレンスがある分、入社ハードルが低いからこそ、細かい条件やそもそもの転職動機が抜けてしまいがちであることを意識する。そして、その会社で働く知人からリアルな情報を得られるメリットを生かす。この2つを念頭に置くことが重要だ。

    「リファラル採用はあくまで転職手法の一つです。むしろ通常の転職活動の際に『リアルな情報収集を通じてミスマッチが防げる』というリファラル採用の利点を生かしていただきたいですね。希望の会社で働く知人に話が聞ければ理想的ですが、競合に当たる他社や近しい業界にいる人から仕事の実態や希望の会社の評判などの情報を得られれば、後悔しない転職ができるはず。自分の市場価値を高め、自分の描くキャリアを実現するための手法として、そのメリットを上手く活用していただきたいと思います」

    取材・文/石川香苗子 編集/天野夏海 撮影/森敦子

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