“コマ扱い”されないSESをどう見極める?業界経験20年超の代表に聞く、エンジニアを大切にする会社の共通点
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「希望する案件にアサインされない」「何を目標に成長すればいいか分からない」「会社との関わりが希薄で帰属意識が持てない」。
SES企業に対するエンジニアの不満は尽きない。そういった不満の大半は「エンジニアを大切な人材としてではなく、将棋やチェスのコマのように扱うことに起因しているのではないか」と話すのが、SESと受託開発事業を運営するシステム・リノベイトの代表、佐田浩志さんだ。
佐田さんは15年にわたるシステム開発経験を経て、2013年に同社を起業。P&G Japanやサイバーエージェントなどの有力企業が選出されている「人財力100」にて、人材採用と育成に力を入れている会社として選出されるまで成長させた。
そこで、エンジニアの「育成」に強い想いを持つ佐田さんに、技術者を「コマ扱い」しないSESの選び方について聞いた。
教師志望だったIT音痴を救ったのは「教育」だった
現在、東京・池袋でシステム開発会社を経営する佐田さんが、エンジニアの「育成」に対して強い想いを持っている理由は、未経験でエンジニアとしてキャリアをスタートさせた自身の経験にある。
「大学4年の秋まで中学・高校の数学教師を目指していたんです。でも、いざ教員採用の現実を目の当たりにしたら、想像以上に狭き門で。運良く採用されたとしても非常勤講師として何年も過ごさねばならないと知って、進路を変えて民間企業に就職することにしたんです」
佐田さんが着目したのは、当時にわかに脚光を浴び始めたIT業界だった。
「何しろこれからの成長が期待されている業界です。IT企業に的を絞って就職活動を開始しました」
進路変更を決断した時期こそ遅かったものの、すぐに大阪にあるSI企業に就職が決まる。喜んだのもつかの間、入社してすぐ佐田さんは、自分と同期との実力差に愕然とした。
「コンピューター系の専門学校を卒業していた2人の同期は、基本的なプログラミング技術は既に取得済みでITスキルの差は一目瞭然でした。当時の私は、教育担当の先輩から『パソコンを立ち上げて』と言われて、パソコンを持ち上げようとして呆れられるほどのIT音痴。しばらく劣等感に苛まれながら仕事をしていました」
だが救いもあった。上司や先輩がそんな佐田さんを見かねて、厳しくも懇切丁寧に「教育」を施してくれたのだ。
「できの悪かった私をよく見捨てずにここまで育てていただけたものだと、当時の上司や先輩には今でも感謝しています。配属後も新しい技術にチャレンジさせてくれましたし、コミュニケーションの大切さを知ったのも、クライアントに感謝されることが仕事のモチベーションに直結することを知ったのもこの会社でした。ただ懇切丁寧に寄り添うだけでなく、自立したエンジニアに導くために本当に私のためにできることは何かを考え、本気でコミュニケーションを取ってくれたのが当時の先輩方でした」
佐田さんが成長できたのは、まさに育成の環境が整っていたからこそ。もしも最初に選んだのがエンジニアをコマのように扱う会社だったとしたら、佐田さんのキャリアは全く異なるものになっていただろう。
創業から6年間で退職者はたったの3名。人が辞めない3つの理由
その後も佐田さんは、大阪を拠点に14年ほど開発者として、グループウェアの業務アプリケーションやJavaなどのオープン系システム開発に携わっていた。こうした経験が評価され、最終的には大阪拠点を任されるリーダーになった。しかし、その約1年後に会社を去ることとなる。
退社のきっかけとなったのは、売上利益至上を重んじる方針と、当時の開発チームの解散という会社からの一報だった。「突然の事業方針の転換でチームを解散するよう指示されたのは、自分にとっては大きなショックだった」と、佐田さんは当時を振り返る。
「会社員である以上、不本意な業務命令が下ることがあるのは承知していました。しかし、仲間をないがしろにするようなことをしてしまっては、私が大事にしてきた仕事の大義が守れなくなってしまうと感じてしまったんです。社会人である以上、会社の売上利益を目指すことは責務です。ですが、大前提として何のためにIT業界で働いているのかという大義も忘れてはならないと思うようになりました」
佐田さんの大義とは「クライアントのニーズを丁寧に汲み取り、ITの導入・改善でクライアントに喜んでもらう」ことだ。
「クライアントに喜んでいただくには、まずエンジニアがきちんと“人”として扱われることが条件、何より一緒に働く仲間もWin-Winの関係でいることが大切だと考えました。そうでなければ、何のための仕事なのか分かりません」
そうしてエンジニアを大切にするシステム開発会社として2013年5月にスタートしたのが、システム・リノベイトだ。現在の従業員数は43名と決して規模は大きくはないが、大企業に負けないものが1つある。それが社員定着率の高さだ。
創業から6年間で退職者はたったの3名。社員の定着率は社員全体で95%、女性に限ると100%というから驚異的だ。その理由は大きく分けて3つ。1つ目はエンジニアを決して見捨てない「教育」だ。
「開発未経験者向けの3カ月間の導入研修では、いきなりプログラムを学ばせることはしません。まずITに関する用語を総ざらいしてから、アルゴリズム、フローチャートなど、システム設計の基礎となる全体像を学んでからプログラム研修に入ります。いきなり開発言語を教えてしまうと、ついていけず脱落してしまう人が多いからです。この他にも、模擬プロジェクトへの参加を通じて、報連相、プログラムテストの重要性などについても学ぶ、非常に実践的な研修を行っています」
定着率を高める工夫は現場に出てからも続く。配属や異動の意図を正しく伝える「説明」とエンジニアの声に耳を傾ける「傾聴」だ。
「配属先は私や担当マネジャーが適性を見て決めますが、辞令を出して終わりという方法は取りません。必ず、私たちがその人のどこに適性を見出したのかを説明し、納得していただいた上で就業してもらうようにしています。そのため、双方が納得いくまで本音でコミュニケーションを取ることを決して疎かにすることはありません。就業後にも定期的に業務上の不満や悩みに耳を傾けています。
また、本人が希望する案件にアサインするだけではなく、自身が描くエンジニアとしての理想像に近づける案件かどうかを確認することも、私にとって大切な仕事です。あえて成長を促すために失敗させてみるということも、本当にエンジニアのことを考えているからこそ行ったりもします」
20年間SESを見てきて思う、エンジニアをコマ扱いしない会社の共通点
エンジニアをコマ扱いしない会社を見極めるポイントも、同じく「教育」「説明」「傾聴」の3つにあると佐田さんは話す。
「とにかく経験を積むことが大事だと言って、研修もそこそこに現場へ投入しようとする会社や、キャリアプランニングやスキルアップをエンジニア任せにしている会社は、日頃からコミュニケーションが希薄な傾向にあると思います。もし少しでも気になる点があれば、どんどん質問して反応を見るべき。回答に具体性がなかったり、説得力が乏しいと感じたなら注意すべきでしょう」
逆にいえば、じっくりとエンジニアの話を聞き、質問にも適切な回答をしてくれる開発会社にはエンジニアが活躍できる可能性があるということだろうか。
「こればかりは相性があるので、一概にこういう会社がいいとは言い切ることはできません。ただ、これまでの経験から言えることは、エンジニアをコマ扱いしない会社には、企業規模や知名度に関わらずエンジニアのやる気に歩み寄ろうという姿勢があるものです」
実際、システム・リノベイトは、受託開発の割合を増やして一次請負事業を担う企業を目指している。また、エンジニアの成長意欲に応えるため、外部研修費を全額負担したり、 社員のアイデアを取り入れた“コンシューマ向けの自社サービス開発”の実現へ事業を進めていると言う。
会社概要や給与、開発実績と比べて、企業の姿勢は見えにくい。だからこそ、「自分の目と耳で判断することが大事」と佐田さんは続ける。
「仕事のやりがいは開発案件からだけでなく、企業側のエンジニア愛から生まれる技術者を大切にする姿勢からも得られるもの。だからこそ、どの会社を選ぶかがとても大切です。整った制度や華やかな開発実績はもちろん魅力的ですが、そこだけに目を向けるのはもったいないなと思いますね。表面的な条件にプラスして、『エンジニアを大切にしようとする姿勢』がある会社を選んで、一人でも多くの人に幸せに働いて欲しいと願っています。当社に限っていえば、同規模の会社と比較してさまざまなプロジェクトに挑戦しています。もし今の環境に満足していない人がいれば、エンジニアへの愛だけは誰にも負けない自信があるので当社も検討候補に入れてもらえたら嬉しいですね」
取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/桑原美樹
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